円空仏
現在、横浜そごうで“円空展”が開かれている(6/19まで)。円空が彫った木彫の仏像は過去2回くらいしか見たことがない。京都の寺にあったのと一度展覧会でお目にかかった。
今回の展覧会には140体でている。円空は死ぬまでに12万体の神、仏像を作ったといわれ、日本各地で確認された像は5200体。今も調査が引き続き行われている。
TV東京のなんでも鑑定団でも関東のある農家からでてきた円空仏が
紹介されてたので、これからも新発見があるかもしれない。ここでも近年で
てきた7体が展示されている。
遊行僧円空は1632年、いまの岐阜羽島あたりに生まれている。死んだのは
1695年。63歳の生涯のうち、35歳ころから故郷美濃を離れ、東北、北海道
を皮切りに関東、飛騨、尾張・三河、近江、伊勢・志摩を旅し、黙々と
円空仏をつくる。12万体を作り上げるためには、一日10体ずつ、これを
延々33年、彫り続けなければならない。驚くばかりの数である。
会場にある彫像は鉈(なた)彫り仏とよばれるノミ跡をそのままの残した仏像。
鉈でえい、えいとばかりにぱっぱっとつくった感じ。実際、円空は素早く制作した
らしい。高さ1m80cmの像を硬い桜の木からたった一日で彫ったという。
円空が仏をつくる様子をあらわす絵が展示してある。円空が死んで百年後に
でた“近世畸人伝”という本に、立ち木にはしごをかけて登った円空が
鉈をふるって木の幹に仏の顔を彫り付けてる場面がある。
鉈でスピーディに鋭角的に彫った彫刻には木肌のざらつきがのこり、未完成の
ような造形となっている。この素朴で力強いフォルムが円空仏の最大の魅力。
自然木の折れ口で背後の火炎を見事に表現している“不動明王立像”は
心に残る一品。
厳しい顔をした不動明王像がある一方、やさしい微笑み顔をした観音菩薩像、
薬師如来もある。右は笑顔が魅力的な“十一面観音菩薩”。会場には
笑ってる像の顔をアップした写真がご丁寧にもパネルになって掲示してある。
睫、眼、口をただ横にひいた感じだが、一体〃豊かな笑いの表情をつくっている。
心がなごむ。これを見ただけでもここへ足を運んだ甲斐があった。
本来の仏像とは異なる仏像を円空仏にみた。
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