小林古径展
6/7から東京国立近代美術館で始まった“小林古径展”をみてきた。この展覧会を見ようと計画されてる方はちょっと注意が必要。
展示作品は前期(6/7~26)と後期(6/28~7/18)に分けられているので、全部の作品(124点)をみたい人は2回分の入場料がいる(通期でみれるのは数点)。
古径のファンなら誰でも全部みたいと思うのだから、前期、後期をセット
にして一回の料金、1200円に2,3百円位プラスしたチケットを販売して
くれたら助かるのに。国立の美術館というのはまだまだ役所感覚が
抜けきらず、展覧会マーケティングがわかってない。
小林古径の大規模な回顧展にこれまで出会わなかった。で、山種美術館
や島根県の足立美術館、東近美、東博の平常展で古径の代表作に
接してきた。03年、山種で開かれた古径展には同館所蔵の“清姫”、
“菖蒲”(今回の展覧会に出品)など23点くらいでた。
また、昨年は琳派展(東近美)と永青文庫の名品展で念願の“髪”、
“鶴と七面鳥”に会えた。
今回の展覧会には図録をみるかぎり、代表作のほとんどがでており、
全国の美術館から集めている。さすが、東近美が企画しただけのことはある。
小林古径の絵は中国や日本の古典や歴史物語から題材ととったもの、
花鳥画、犬などの動物画、女性画などが大半を占める。風景画というのは
あまりない。古典の絵では竹取物語や清姫などに足がとまる。
日本画ならではの美しい色調で描かれ、王朝ロマンの香りがただよっている。
鳥の作品にもいいのがそろっている。鴨や鷺、孔雀(後期)、尾長鳥は生き
生きとしていて、優雅。中でも“鶴と七面鳥”に魅せられる。この絵は琳派展で
2回みた。右は二曲一双の屏風の右隻。鶴の白い羽が実に丁寧に
描かれている。鶴の白が後ろの立葵の赤を和らげ、画面に安らぎをあたえている。
余白をたっぷりとった画面のなか、鶴が前に進む姿に見入ってしまう。
鶴の絵を南宋の中国画や狩野派、琳派の作品で沢山みてきたが、この鶴ほど
感動したことがない。なお、この“鶴と七面鳥”は前期のなかでも6/19まで
の展示となっている。山種の展覧会では小林古径を画聖と呼んでいた。
やはりこの画家は近代日本画の巨匠である。後期の展示が楽しみ。
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コメント
いづつやさん 早速行かれたんですね。私もゴッホ展を教訓?にして、なるべく早く行こうと思っています。前期と後期があるんですね。いいことを伺いました。感動したら、28日以降もう1度行ってみようと思います。とても充実しているようで、楽しみです!
投稿: Yuko | 2005.06.09 21:30
to Yukoさん
小林古径の花の絵がいっぱい出てます。小倉遊亀の絵に魅せられた
Yukoさんなら、これらの作品にもきっと足がとまると思います。
また、飛鴨といういい絵があります。昔、拙ブログで紹介した山口蓬春
の“飛鴨”とおなじモティーフです。
投稿: いづつや | 2005.06.09 21:44
いづつやさん、こんばんは。
>尾長鳥は生き生きとしていて、優雅。中でも“鶴と七面鳥
素晴らしかったです。
本当に美しく描かれていました。
それにしても通し券が欲しいです。
半分も展示替えで入れ替えなんてちょっと…。
実際に苦情を申し出ている方も見ましたが、
その気持ちも分かりました。
投稿: はろるど | 2005.06.15 00:32
to はろるどさん
TB有難うどざいます。今回出品される小林古径の鶴と七面鳥、髪、
孔雀は目白にある永青文庫の所蔵です。熊本のお殿様、細川家が
古径の後援者だった関係でここに代表作のなかの名画があります。
山種美術館にも名画が揃ってます。なかでも清姫が自慢の作品です。
そして、東近美にもいいのがあります。極楽井は美しいですね。心が洗われます。
はろるどさんご指摘のとおり、花や鳥、犬などの絵には古径の優しい
気持ちが表われてますね。山種の菖蒲や柿の絵には足がとまります。
後期は孔雀が楽しみです。
チケットの件ですが、ゴッホ展のときは割安のペア券をだしたのに今回は
配慮が無さすぎますね。ゴッホ展での好感度が帳消しになりました。
展覧会マーケテイングや顧客満足度のことがわかってません。
投稿: いづつや | 2005.06.15 11:13
いづつやさま
はじめまして、はろるどさんのブログ経由できました、イッセーと申します。
小林古径展行ってきました。はろるどさんやいづつやさんのブログで、かなりの作品の入れ替えがあることを知って、早速行って来ました。
古径の作品あれだけまとまて見たことが無いので、楽しめました。そんなに混んでいなかったので、ゆっくりみれましたし。
後期も行きます、というか見たい作品の関係で、後期前半に行く予定です。
ただ、これだけ入れ替えがあるなら、もう一工夫欲しいです。通し券にするとか、2回目は入場料半額とか。
もしよろしければ、当ブログにもお越し下さい。よろしくお願いします。
投稿: イッセー | 2005.06.22 03:18
to イッセーさん
はじめまして。書き込み有難うございます。大規模な古径の回顧展が
開かれ喜んでいます。料金設定の拙さはありますが、作品がどれも
素晴らしいので救われてます。
後期に期待しているのが、竹取物語の後半部、孔雀、不動、髪です。
とくに、竹取物語のかぐや姫が昇天する場面をみたいですね。
手元にある“昭和の日本画100選”(1989年、朝日新聞社)に古径の作品
は“鶴と七面鳥”、“清姫”、“髪”が入ってます。そして、作品ベスト20
のなかに、髪が6位、清姫が9位にランクされてます。ちなみに、画家のベスト20
では小林古径は安田靫彦とともに2位となってます。1位は前田青邨。
これからもよろしくお願いします。内容の充実した貴ブログを
これから見させてもらいます。
投稿: いづつや | 2005.06.22 13:20