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2005.06.16

加山又造の版画展

95昨年4月、76歳で亡くなった日本画家加山又造の版画を集めた展覧会が日本橋高島屋で開かれている(6/27まで)。

加山又造は近代日本画のなかでは好きな画家のひとり。昨年の琳派展に出品された“千羽鶴”をみたときの感動は生涯忘れないと思う。

加山又造は28歳のころ、版画をはじめている。版画をやってるのは知って
いたが、本物をみるのははじめて。今回、銅版画、リトグラフ、木版画を
あわせて155点でている。加山が37歳で教鞭をとった多摩美術大学に
版画、制作道具が遺族により寄贈され、この4月大学内に“加山又造資料
研究室”が発足したという。

加山が描いた大画面の屏風絵などと比べると、この版画はミクロの世界の
作品である。銅版画では初期の未来派の画風を連想させる鹿や狼を題材にし
たもの、昆虫、蝶、熱帯魚、鳥をあつかったものが多い。制作にあたっては、
加山は銅板を彫り、それに摺り師が色をつけている。

右は1983年につくられた“月、雪、花”の月。千羽鶴にもでてくる銀の波の
真ん中に白い三日月が描かれている。月の背景の波模様は山の稜線のよう
に立体感があり、海面が激しく動いてるようにみえる。琳派の宗達や光琳の
波よりさらに複雑なフォルムとなっている。三枚組みの雪は料紙装飾の
至宝といわれる本願寺本三十六人家集の一枚を思わせるほど美しい。
そして、花は炎に映える桜を描いている。

木版画は加山が下絵を描き、それをもとにアダチ版画研究所の熟練の彫り師と
摺り師が仕上げている。浮世絵の制作現場と同じで加山は北斎の立場。
加山は版画の魅力である共同作業ならではの発見や驚きを楽しんだようである。
この木版画の美人画では、裸婦像ではなく洋服をきた女性が浮世絵風に
3枚続きでポーズをとっている。また、日本画の名品と変わらぬ“夜桜”、千羽鶴
を思わせる“波と鶴”などが目を楽しませてくれた。小品ながら満足度
150%の展覧会であった。

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コメント

はじめまして、あちこちで拝見してましたが書き込みは初めてです。
僕も昨日高島屋に行ってきまして、眼からうろこが落ちる思いでした。
多摩美大で見たときも裸婦ばかり描く変な画家のイメージがあったので加山があんなにモダンで実験的な画家と始めて知りました。又伺わせてください。

投稿: oki | 2005.06.16 20:59

アッそうそう図録が300円の安っぽいのがいただけませんでした、お求めになりましたか?
三越の浮世絵はちゃんとした図録作ってあったのと比較するとどうもー。

投稿: oki | 2005.06.16 21:01

to okiさん
はじめまして、書き込み有難うございます。加山又造の琳派風の絵を
こよなく愛しております。今回の版画にも魅せられました。大規模な
回顧展をどこか企画してくれないかと期待してます。

確かに図録が淋しかったですね。いい絵が沢山あったので図録でまた、
楽しみたかったのですが。残念です。Juneさんの掲示板でお名前は
存じ上げています。これからもよろしくお願いします。

投稿: いづつや | 2005.06.16 22:04

加山又造版画展、私も観てきました。去年の「RIMAPA展」を髣髴させる作品がありましたね♪やはり日本画の人ですから、線への拘りが凄いと思いました。私も感想を書きたいのですが、ちょっとまだです(^^ゞ
ちなみに、「花」は速水御舟のオマージュだと思ったのですが、どうなのでしょうね?

投稿: June | 2005.06.20 00:59

to Juneさん
加山又造の絵が好きで画集に載ってる代表作を追っかけてます。
まだ、四割くらい残ってます。千羽鶴や今回出ている銅版画の月に
描かれている波の文様をみると、現代数学のトポロジーやカタストロフィー
の図形を思い出します。

加山は1978年に日本画の“雪月花”を制作しており、同名の銅版画
はこれのリフレインです。三つともいい絵ですね。しびれました。
御舟の“炎舞”を意識したかはわかりませんが、“花”に描かれた炎
はよく似てますね。加山は御舟が好きだったのでしょうか。

投稿: いづつや | 2005.06.20 16:57

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» 加山又造全版画展 [花耀亭日記]
先々週、日本橋高島屋で「加山又造全版画展」を観た。加山又造が教鞭を取っていた多摩美術大学に資料研究所が発足し、その記念展覧会ということだった。 加山又造を知ったのは去年のRIMPA展で「千羽鶴」を観てである。琳派へのオマージュに満ちた壮大な千羽鶴は荒ぶる波、岩、そして月とともに圧倒的迫力だった。波のうねりを表現する描線には日本画の伝統を観たような気がする。その加山又造が版画にも優れた作品を残したことを知ったのは版画にご... [続きを読む]

受信: 2005.06.27 23:44

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