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2005.06.30

小林古径展 その二

106小林古径展の後期に出品された作品をみるため、竹橋の東京国立近代美術館に足を運んだ。会期は7/18まで。

作品の数は前期、後期同じくらいに調整してあり、目玉の名画もどちらかに偏らないように配分している。ただ、展示期間の少ない絵もある。永青文庫所蔵の“髪”(重文)は7/5からの展示となっている。この絵は昨年、永青文庫の特別展で鑑賞したので今回はパス。

大規模な回顧展なので、作品の質は高い。前期、後期をみれば古径の絵で
これはというのはあまり残ってないかもしれない。前期に行ったとき図録
を購入したので、後期に期待する絵はリストアップしておいた。まだお目にかか
ってない作品で惹きつけられたのは、筝三線、花、竹取物語、孔雀、不動。

前期出品の“河風”に描かれている女性には驚いた。古径がこんな妖艶な
女性を描いてたとは知らなかった。美人画なら鏑木清方か上村松園の絵をすぐ
思い浮かべるのだが、古径の描く女性は江戸初期の風俗画にでてくる遊女
に似ていて、心を揺すぶる。河風と同じくらい魅力的なのがコスモ石油所蔵
の“花”。桜の下で、藤の花をあしらった淡水色(うすみずいろ)の衣装を着た女
性が頬づえをついて横たわっている。部屋に飾っておきたくなる絵である。

右の“竹取物語”(京都国立近代美術館蔵)は全部で6場面あるが、後期に
ハイライトのかぐや姫の昇天の場面がでている。まだみてないが横浜美術館にも
昇天の絵がある。これを図録でみて早く見てみたいと思っていたら、
京近美の竹取物語で願いは叶えられた。2つの絵は同じ1917年に描かれ
ており、横浜美のは昇天の場面だけを再制作したもの。

竹取物語は巻物で、昇天の右には月へもどるかぐや姫との別れを悲しむ翁ら
が描かれている。白と白紫の衣装を着たかぐや姫のまわりを取り囲むように、
月から迎えに来た使者が黄色や赤、水色をした衣装を風にたなびかせて進ん
でいる。使者の顔、姿態はよく見るとみんな同じ。衣装の色の違うグループをいく
つか作ることで華やかさを出している。人口に膾炙したかぐや姫のハイライト
のシーンはこの絵のような甘美な王朝ロマンの世界だったのだろう。

このほか、足がとまったのは“羅浮仙”、“孔雀”、“尾長鳥”、“菖蒲”、“芥子”、
一度見たことのある島根県の足立美術館が所蔵する“楊貴妃”、“阿新丸”、
風景画の“伊都岐島”、“住吉詣図”。美しい線描、気品のある色彩、精神性を
取り込んだ静物画など次々と日本画を革新していった古径。長く記憶に
残りそうな展覧会であった。東京国立近代美術館に感謝。

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2005.06.29

お釜と蔵王温泉

105蔵王のシンボルであるお釜(右の写真)を訪れたのは2度目。最初に来たのはもう随分昔。たしか夏休みの頃だと思うが、エメラルドグリーンの湖面に感動した覚えがある。

このイメージをもって、直径330m、周囲1kmのお釜を眺めたが、今回は青みがかってなく、緑一色の湖面であった。ええこんなだったかなという感じ。湖面の色は光の関係で日に五度も変わるらしい。それで別名五色沼と呼ばれ
ている。また、シーズンによっても変化する。

思えば、前回は乳白色のまじったコバルト色がみれる、一番いい時期だった
かもしれない。ほかにこういう美しい火山湖があるのだろうか?このお釜は
山形県とみられがちだが、実際は宮城県側にある。

泊まりの旅行では温泉のあるところに行くことにしている。蔵王温泉は好き
な温泉地のひとつ。湯量も豊富で、かけ流しが本物の温泉のあかし。
泉質は強酸性の硫黄泉。温泉はリラックスできるのがいい。白い湯に長くつか
っているときの気分は最高。温泉もいくつかあるが、今は湯治客ではないので、
病気が治るという温泉よりは硫黄の匂いがしたり、乳白色の湯がある温泉
のほうを好んでいる。

いままで入った温泉で満足度の高いのをあげてみると。九州では別府温泉が
一番気に入っている。雲仙温泉も硫黄のにおいがいっぱい。四国では
松山・道後温泉がいい。透明な湯で、温泉慣れした人が多くあつまっている。
中国地方にもいい温泉がある。鳥取県の三朝温泉(みささ)は人気が高い。
色は透明で、ちょっとぬるぬる系の温泉。河では露天風呂も楽しめる。
山口県の長門湯本温泉にも観光客があつまる。島根県にある温泉津温泉
(ゆのつ)は小さな温泉だが、病気が治る湯として知る人ぞ知る名湯。ただここの
湯は熱い。これさえ辛抱すれば病気の回復にいいことがある。

近畿では湯船からの眺めが素晴らしい勝浦温泉と有馬温泉がベスト。
中部地方にある白骨温泉はいい印象だったが、ここは最近信頼を裏切った。
昨年訪れた草津温泉は大変よかった。湯量が豊富で、硫黄のにおいが鼻をつく。

好きな温泉ベスト3は1.別府 2.草津 3.蔵王。
東北の名湯に詳しくないが、情報を集め、人気の温泉に入ってみたい。

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2005.06.28

山寺と松尾芭蕉

104昨年、横浜に戻ってきたとき、東北の名所旧跡をまわる楽しみを夢に抱いた。

優先順位は決めてないが、例えば、羽黒山五重塔、米沢市上杉博物館にある洛中洛外図(国宝、狩野永徳作)、山寺、盛岡、奥入瀬渓流、弘前公園の桜、青森ねぶた祭などなど。また、既に訪問したことのある仙台の瑞鳳殿や松島などにも行ってみたい。

東北旅行の第一弾が山形県の山寺となった。山寺には着いてすぐ登る
のでなく、山寺全体が見渡せる高台に行き、山寺が下からみてどのくらいの
所に建てられてるのかを概観する。この段階で、あそこまで登れるか
なとちょっと心配になってくる。体力に自信のないひとはここで脱落。ここは
登山グループに入って、一番高いところにある奥の院をめざすことにした。

奥の院までは1100段あるという。山門をくぐって石段を進むと、老杉や
木々が頭上に聳えている。石段は少しずつ急になり、全山の半分ほど登った
ところに松尾芭蕉の句が刻まれた蝉塚がある。860年、慈覚大師が
開いた天台宗の山寺(正式には宝珠山立石寺、ほうじゅさんりっしゃくじ)に
芭蕉は1689年に訪れ、有名な“閑かさや岩にしみいる蝉の声”の句を
詠んでいる。切り立った岩肌の前でこの句を詠むと、まだ、蝉の声は聞こえ
ないが、この俳句の世界が実感できる。岩にしみいるという表現が凡人
には思いつかない。

1100段の石段はさすがにキツイ。途中で休憩をとりながらやっと奥の院に
たどりついた。ここに長居はできない。見晴らしのよい舞台式御堂、五大堂が
実質の到達場所(右の写真の右端)。下の高台から見えていた五大堂から
の眺めは素晴らしく、苦労して登ってきた甲斐があった。でも、足はガタガタ
している。こういう時の下り方は難しい。なんとか登山口まで帰った。

これまで登るのに難儀をしたのは琴平の金刀比羅宮の石段だったが、ここは
御本宮まで785段なので、山寺の石段数のほうが多い。いい思い出
になった。

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2005.06.27

シャガール展

103諸橋近代美術館でビッグなおまけがあった。シャガール展を開催中で、これを通常の入場料金950円でみることができた。

展示の内容としては、アオキインターナショナルのコレクションが中心となり油彩画、リトグラフ合せて70点がでていた。会期は7/3まで。

シャガールは好きな画家なので、過去国内で開催された大きな回顧展は欠かさ
ず見てきた。その中で質、量ともに良かったのは02年、東京都美術館で開催
されたマルク・シャガール展。ここではポンピドーセンターから“盃をかかげる二重
肖像”、“ロシアとロバとその他のもの”などの代表作が出品され、満足度の高
い展覧会であった。

諸橋美術館のシャガール展では見たことのない名作がいくつもあった。この展覧
会のテーマは“愛の軌跡”。妻のベラ、そして故郷ヴィテブスクに対して注いだ愛を
シャガールが絵の中でどのように表現しているか、またどう変化していったかを
みせてくれる。

目玉は右の“誕生日”。シャガールは同じ名前の絵を2枚描いている。最初の
作品は1915年に描かれている。現在、NYのMoMAの所蔵。もうひとつの“誕生
日”は1923年に描かれ、これが右の絵(アオキインターナショナルの所蔵)。シャ
ガールとベラの愛の物語は2人の著作でよく知られているが、この絵には2人の
楽しい婚約時代の甘い夢のような幻想の世界が描かれている。

シャガールの7/7の誕生日に、婚約者ベラが花束やお菓子をもってやってくる。
画面では花束を手にしたベラとシャガールはふわりと宙に舞い上がっている。
シャガールの体は陸上の走り高跳びの選手がする背面とびのよう。奥行きを感じ
させない平面的な構図で、カーペットの赤やシャガールの着ている服の緑、青が
鮮やか。この絵のシャガールのへんてこな体は一度見たら忘れられない。

2人が空を飛ぶ絵をもう一枚見たことがある。それは1917年に描かれた“街の
上で”。1998年、ローマを旅行中に遭遇した“トレチャコフ美術館所蔵シャガール
展”にこの絵がでていた。たぶん、街は2人のふるさとヴィテブスクではないかと
思う。

愛の軌跡、シャガール展には油彩の他、シャガールの定番である動物や農村、
サーカスなどが出てくるリトグラフのいい絵が何枚もあった。ダリの作品に感動し、
お腹は満腹だったのに、シャガールのおまけまであった。通常の展覧会鑑賞より
2倍気分がよかった。

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2005.06.26

諸橋近代美術館のダリ

10223日、24日は山形、福島を旅行した。目玉は山寺、お釜、五色沼などの名所観光とさくらんぼ狩り。

最後の五色沼の散策は自由行動だったので、毘沙門沼のすぐ近くにある諸橋近代美術館を訪れた。

この美術館は今年のはじめに放送された迷宮美術館で紹介された。前々からここにダリの作品が沢山展示されてることを聞いていたので、いつかこの目
でその作品を確かめたいとおもっていた。

館の入り口の前に立つと一瞬ヨーロッパにいるのではないかと錯覚する。貴族
の館を思わせる立派な建物である。中の展示ホールは天井が高く、外光を多
く取り入れた開放的な空間になっている。1999年にこの美術館はオープンした。
コレクションの85%がダリの作品。ダリの作品を常時展示している美術館とし
てはスペイン・フィゲラスのダリ劇場美術館、アメリカ・フロリダのダリ美術館に
次いで世界で三番目。

自慢の作品は37点の彫刻。ダリの彫刻をこんなに多く所蔵するのはここだけ。
家に戻ってわかったのだが、1991年、新宿三越で開催された“ダリ展”にこれ
と同じ作品がでていた。このときは作品の所蔵はリヒテンシュタイン、ストラットン
財蔵となっていた。諸橋美術館に確認してないので断定的なことはいえないが、
館を設立した諸橋廷蔵氏が1991年以降、ストラットン財からこれらの彫刻を
購入したのかもしれない。

いくつかの彫刻、例えば“回顧的女性胸像”を鑑賞してたとき、前に見たことがあ
るなという感じがした。隣の方も記憶にあると言う。三越の展覧会はだいぶ前なの
で、目の前にあるシュールで不思議な形をした彫刻にみとれ、昔みたことをすっ
かり忘れていた。ダリのブロンズや大理石の像にはミロのヴィーナス、サモトラケ
のニケ、ナポレオン、ニュートンなど我々がよく知っている作品や人物が題材に
なっている。そのため、造形的には普通の頭では考えつかないものであるが、頭
がくらくらすることはなく、結構楽しめる。中には考えさせられる作品もある。1931
年、ダリが27歳のとき描いた“記憶の固執”に出てくるやわらかい時計のように。
くにゃっとまがった時計が木の枝のかけられたりしている。

絵のコーナーに面白い作品がいくつもあった。中でも気に入ったのが右の“ビキニ
の三つのスフィンクス”。ここではダリ得意のダブルイメージ(二重像)が使われ
ている。この絵の中にアインシュタインとフロイトがだまし絵のように描きこまれて
いるのである。アインシュタインは手前の人間の頭部のなか。原子雲のような
頭髪の真ん中にアインシュタインの横顔が黒のシルエットとなってみえる。樹木
の頭部の右端には眼鏡をかけたフロイトがいる。

1945年8月、広島と長崎に落ちた原子爆弾にショックをうけたダリがこれをモチ
ーフにしたのがこの絵で、1947年に制作した。その際、ダリはアインシュタインと
フロイトが1932年、手紙でやり取りした話を覚えていて、二人を絵の中に登場
させている。二人の会話とは。

Q.アインシュタイン“人間を戦争のくびきから解き放つことはできないのか?”
A.フロイト“本来、人と人の利害の対立は暴力で決着をつけるんだ。破壊という
 衝動を人間から取り除くことはできない”
Q.アインシュタイン“人間の心を特定の方向へ導き、憎悪と破壊の病に冒され
 ないようにすることはできないのか?”
A.フロイト“出来る。文化の発展を促がせば、戦争の終焉にむけて歩みだすこと
 が出来る”

裏磐梯にある諸橋美術館でダリの名作を堪能させてもらった。いつか、また訪れ
たい。

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2005.06.23

展覧会情報

東京・神奈川にある美術館の展覧会スケジュールをチェックしている
つもりでも、この世界は広く、フィリップス・コレクション展のように見逃す
こともある。5月以降新たに入手した展覧会の情報をまとめてみた。

★西洋画  7/20~31     ジャン・コクトー展  日本橋三越
        9/15~11/13  ダヴィンチ展     森美術館
       10/22~12/18  プーシキン美展   東京都美術館
     (7/22~8/21、割安ペアチケットー2人分1800円を発売)

★日本画  6/10~7/10  光悦と琳派展    サンリツ服部美術館
        6/25~7/24  光琳デザイン展Ⅱ MOA美術館       
       7/2~9/25   鍋島焼名品展    戸栗美術館
       7/2~8/11   日本画詩情展    山種美術館
       7/5~31     国宝孔雀明王像   東博平常展
       7/29~8/28  京近美日本画展   MOA美術館
       8/31~9/11  浮世絵名品展    MOA美術館
       9/10~10/23 加守田章二展   東京ステーションギャラリー 
      10/25~12/4  北斎展        東京国立博物館

        

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2005.06.22

草間彌生

101朝日新聞の文化欄に、草間禰生の絵がNYで開かれたクリスティーズのオークションで1億2千万円で落札されたという記事が載っていた。

米国画商に落札されたのは1962年に描いた“№B,3”で、日本人が制作した現代美術では過去最高額だという。現代絵画における市場相場についての知識がないので、草間の絵が世界的に見てどうなのかわからないが、億単位の絵なら上位に位置づけられる
のではなかろうか。以前、若手の村上隆の絵に6000万円の値がついてびっく
りしたことがある。今回の金額はこれの2倍。

草間禰生の絵は詳しくない。昨年10月、東近美であった回顧展でこの画家
の絵、美術品の特徴を掴んだ程度。一緒にまわった現代美術に強いTakさん
やじゅんさんに色々教えてもらって、すこし草間の作品に目が慣れた。
この女流画家のイメージが岡本太郎に似ているので、作品もとびはねたもの
かなと思っていたが、さほどでも無く、絵のなかにすっと入っていけた。

右の絵は最後に飾ってあった“宇宙物語”(1993年)。縦278cm、横248cm
の大きな絵。赤の小さな点が沢山描いてあるだけなのだが、背景の橙色で
浮かび上がった赤の点がゆっくりと天空を移動してるように見え、遠い宇宙の
かなたへ吸い込まれそうな気がした。

3年前、BS2で放送された“国宝100選”に草間禰生が出演していた。
意外だったのは現代絵画をやってる彼女が、京都の三十三間堂にある1001体
の千手観音像と、自分が1991年に制作した“ミラールーム(かぼちゃ)”には
無限の反復という共通性があると強調していたこと。何体もある仏像
を造形としてみて凄く感動したという。

たしかに、草間の絵には網目や水玉模様が繰り返しでてくる。この反復が
くどくなく、造形的に美しく、調和がとれてるのがいい。草間ブランドは
上昇傾向にあり、クサマ信者が沢山いるらしい。この天才画家の展覧会を
見る機会がまたあるかもしれない。期待して待つことにしよう。

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2005.06.21

静嘉堂文庫の京のやきもの展

100日本および中国の美術品を数多く所蔵している静嘉堂文庫で今、“京のやきもの展”を開催している。

ここには過去、国宝 曜変天目茶碗や宗達の“関屋澪標図屏風”(せきやみをつくし、国宝)をみるため、4、5回行ったことがある。展示のスペースは広くないので、作品の鑑賞には時間があまりかからないが、ひとつひとつ味わい深い作品が多いので、トータルの満足度はいつも高い。

今回の展示は館所蔵の京焼のコレクション。仁清、乾山、楽家、古清水、
清水六兵衛、仁阿弥道八、永楽保全の作品がずらり揃っている。野々村仁清
の作品が7点ある。期待していたのは色絵茶壷。仁清の色絵茶壷は現在
12点くらいあるが、ここにある“色絵吉野山図茶壷”(重文)ははじめてみた。
壷の上三分の一は漆のような黒地、その下に赤、緑、金泥で吉野山に
咲き乱れる桜の花がリズミカルに描かれている。福岡市美術館にある同じ
名前の色絵茶壷と比べると、少し小ぶりで華やかさでは負けるが、上品な
美しさを感じさせる茶壷である。

仁清のなかでは右の“色絵法螺貝香炉”(重文)に魅せられた。過去に
一度見たことがあるが、今回はなぜかすごく心を打たれた。これは石川
県立美術館の“雉香炉”とともに彫塑的な作品の代表作である。型による制作
だが、法螺貝の造形が実物にそっくり。そして、手の込んだ彩色が見事。金地に
緑、赤、青で小さな折れ線を法螺貝の形をした蓋に連続的に描いている。
型作りによる作品では入り口の近くに展示してある“白鷺香炉”も優品。
長い首と口ばしを上に向けたユニークな姿に見入ってしまう。

京都に住んだ貴族が好みそうな雅な感じのする古清水のやきものも目を
楽しませてくれる。最後のコーナーに楽家の名碗がいくつもでている。
長次郎の“黒楽茶碗 紙屋黒”、“黒楽茶碗 銘風折”、三代道入の“赤楽
茶碗 銘ソノハラ”など。

この美術館へたどりつくには坂をすこし上るのでいつも疲れるが、帰るときは
満足感から足どりも軽い。なお、この展覧会は7/31まで行っている。

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2005.06.20

敦煌と平山郁夫

99シルクロードの新しいシリーズを毎月楽しく見ている。25年ぶりの取材で、新しい発見も多い。シルクロードはまだまだ神秘とロマンが漂う世界である。

旧シリーズで番組を盛り上げていたのが石坂浩二のナレーションと喜多郎のシンセサイザー音楽。このメロディーが砂漠のなかをラクダのキャラバン隊がすすむ冒頭の場面に流れると、東西文化の接点であったシルクロードへの郷愁がいやおうにも高まった。

新しいシリーズにも、世界的チェリスト、ヨーヨーマの奏でるいい曲が流れ
ている。第6集は敦煌だった。25年前の番組で敦煌の洞窟壁画を知って以来、
これを見たいという思いは年々強くなる。まだ、具体的な旅行計画はないが、
2,3年のうちには行けるかもしれない。

今、敦煌には492の洞窟があり、45,000平方mの壁画があるという。
新、旧シリーズの敦煌で紹介された洞窟の素晴らしい壁画や塑像の数々には
TVの画面からでも釘付けになる。現場にいたらさぞかし心が打たれるだろう。
塑像で興味があるのは、足を十字に組んだ交脚という座り方をした“交脚弥
勒菩薩”。西域の影響がのこる菩薩像である。また、唐時代につくられた腰を
ひねり、ふくよかな顔をした菩薩像にも惹かれる。

敦煌の莫高窟は千仏洞といわれ、洞窟の建設は西暦366年から開始された。
この洞窟に描かれた彩色あざやかな壁画に魅了される。とくに天井画にみ
られるラピスラズリーの美しい青をこの目でみてみたい。ここに描かれている
阿弥陀来迎図のまわりで舞っている飛天は日本画にもよく出てくる。これをみる
と日本美術の源流が敦煌壁画にあったことがわかる。

昨日は日本画家の平山郁夫をゲストに迎え、旧の敦煌を再放送していた。
平山郁夫は30年以上シルクロードとかかわり、現地の風景を絵にしている。
右の絵は1985年に描いた“敦煌鳴沙”(右隻)。まだ、現地をみてないのに、
敦煌といえばすぐこの絵をイメージしてしまう。01年、平山は奈良、
薬師寺の玄奘三蔵院伽藍の“大唐西域壁画”を20年ががりで完成させた。
玄奘三蔵の求法の旅を7場面、13壁画であらわしたこの壁画を見たときの
感動はいまでも忘れられない。

1959年の“仏教伝来”以来、玄奘三蔵の人生を心にきざみ、何度も中央
アジアに足を運び、絵を描き続けた平山郁夫の画家としての歩みは17年か
かった玄奘三蔵のインドへの道のりに似ている。

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2005.06.19

与謝蕪村

98本日の新日曜美術館は与謝蕪村であった。どこかで蕪村展をやってるのかと最後のコメントに注目していたが、回顧展の情報はなかった。

蕪村の展覧会はこれまで一回しかみたことがない。02年に出光美術館の“大雅と蕪村展”で山水図屏風(重文)を鑑賞したのみ。いまではこの絵の印象も薄くなっている。

蕪村の絵で一番の思い出は“十便十宜帖”(国宝)。この絵は02年サントリー
美術館で開催された“川端康成が愛した美の世界展”に、浦上玉堂が
描いた水墨画の傑作“凍雲篩雪図”(とううんしせつず、国宝)とともに目玉の
作品として出品された。これは画帖なので、一点を数日間展示し、期間中に
10点全部みせる方法をとっていた。そのため、当日の展示は十便を一点、
十宜を一点のみ。十便の絵は一番見たかった“釣便”ではなかったので、消化
不良の感が強かった。が、ラッキーなことに翌年山口県の徳山市美術博物館
でこの展覧会が開かれたので、広島から2回かけつけ、念願の“釣便”や十宜
のいい絵をみた。

この十便十宜帖は池大雅が十便を、与謝蕪村が十宜を描いている。二人の
画家は面識はあったが、とくに親しかったというわけではないらしい。依頼者に
応じて別々に描き、一組の作品となっている。画題は中国の明から清にかけて
の文人、李笠翁(りりゅうおう)が作った“十便十二宜詩”。別荘での暮らしは
都会より便利だとうたう“十便”と、四季折々、刻々と変わる自然の素晴らし
さ=宜しきことをうたう“十二宜”の詩の意味を理解し、それぞれの持ち味を生かし、
絵にしている。昭和25年、川端康成がこの絵を手に入れ、現在は鎌倉の
川端康成記念会の所蔵。

右の絵は蕪村の十宜のなかの“宜暁”(あかつきがよろし)ー水辺にある家は
夜があけたことがすぐわかる。朝日が池に反射し、白壁に美しい波紋を映し出す
から。白壁の波紋が陽炎のようにゆらゆら揺れているように見えたのが強く印象
に残っている。蕪村の光の表現は鋭い。

これから蕪村の絵で見てみたいのは番組でも紹介されていた“鳶鴉図”(京都、
北村美術館、重文)と最高傑作と言われる“夜色楼台図”(個人蔵、重文)。
とくに、雪につつまれた京都の町並みを描いた夜色楼台図(やしょくろうだいず)
と対面できる日を首を長くして待っている。

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2005.06.18

東京国立博物館の平常展

97東京国立博物館の平常展を見るため、定期的に上野に足を運んでいる。事前に東博のHPで展示作品をチェックしているのだが、全部は記載されないこともあり、現場でおもわぬ名画に出会うことがある。

今回は420円の料金で随分楽しませてもらった。新装成った日本美術の展示コーナーで重点的にみているのは、2階の国宝室、禅と水墨画、茶の美術、安土桃山・江戸、浮世絵、1階の近代美術。

国宝室には最古のやまと絵屏風の“山水屏風”が飾られている。この屏風は
京都の神護寺で直に見たことがある。緑がきれいな山々を背景に寝殿造り
の建物や山荘に集う貴族たちの光景が情趣豊かに描かれている。

安土桃山のところには狩野山楽の“車争図屏風”がある。平安貴族の間で
は自分たちが乗る牛車の豪華さを競っていたという。この絵は源氏物語、葵の
巻から想を得ており、葵の上一行と六条御息所一行の乱闘シーンを扱っている。
仔細に描かれているが、よくみないとどこで何がおこってるのかわからない。
山楽にもこんな絵があった。

今回は1階の近代美術の部屋に名画がそろっていた。河鍋暁斎(かわなべ
きょうさい)の“地獄極楽図”、速水御舟の“比叡山”、今村紫紅の“熱国之巻”、
前田青邨の“京名所八題”。このなかで、比叡山と地獄極楽図ははじめてみた。

とくに右の地獄極楽図(部分)には驚いた。昨年10月に出版された別冊太陽
の狩野派決定版(平凡社)のなかにこの絵を見つけ、暁斎の絵もまだまだ
知らないのが沢山あるなと感心していたところ。大きな絵である。縦200cm、
横340cm。地獄極楽となってるが、全篇地獄の絵で極楽の場面はでてこない。
画面左上に地蔵菩薩が地獄にいる人を極楽にあげてる場面が極楽を暗示
している。右では罪人が鬼から鏡に映された生前の悪行を詰問されてるところ。
その隣の地獄の番人は罪人を火攻めにしている。

劇画チックにこんな絵を描く河鍋暁斎の想像力には驚くばかりである。
しばらくはこの絵の衝撃から逃れられそうもない。

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2005.06.17

フィリップス・コレクション展

96期待のフィリップス・コレクション展を六本木ヒルズの森アーツセンターで見てきた。この展覧会の存在を知ったのはほんの2週間前。うかつにも森アーツセンターは現代アートが専門とばかりに、展覧会スケジュールはノーチェック。

日本にルノアールの傑作“舟遊びの昼食”をわざわざワシントンから持ってきてくれるなんて夢ではなかろうかと思うほどである。この美術館の運営力は凄い。

絵画は56点、彫刻が4点と出品数は多くない。が、でている作品の質は高い。
これには驚く。まず、入ってすぐのところに飾ってあるグレコの“悔悛の
聖ペテロ”が絶品。ペテロの目からはいまにも涙がこぼれそう。また、ドラクロア
の“海からあがる馬”は画集でみたような名作。躍動感あふれる馬と鮮やかな
色彩に釘づけになった。印象派ではマネの“スペイン舞踊”に足がとまる。
マネ、30歳ころの作品。簡潔な筆致で、リズミカルなダンサーの動きを表現し
ている。画面の多くを占める白が印象的。

今回の目玉はルノワールが40歳のときに描いた右の“舟遊びの昼食”。画集
では絵の大きさが実感できなかったが、大きな絵である。130cm×175cm。
5年前の作品“ムーラン・ド・ラ・ギャレット”と同じ大きさ。この絵はフランスの
田園画と似ている。場所はパリ郊外のシャトゥーの島にあるレストラン・フルネ
ーズ。ここはセーヌ河を走る船の船頭とその恋人たちの溜り場だったところ。
この絵にでてくるのは船頭ではなくて、ルノワールの友人とモデルたち。

食事はもう終わりかけのところ。登場人物の名前はわかっている。例えば、前景
の左、子犬と戯れている娘はルノワールと結婚したアリーヌ・シャリゴ。その向
こうで頬杖をついている若い女性は美しいアルフォジーヌと呼ばれたレストランの
娘。たしかに、ここに描かれている5人の女性のなかでは一番の美人。絵全体
をみると、みんなくだけた感じで温かさが満ち溢れている。

ムーラン・ド・ラ・ギャレットでは人物像が光をあびて背景に溶け込んでるが、この
絵の人物ははっきりと輪郭線がつけられている。オルセーにある“田舎の踊り、
都会の踊り”やボストンの“ブージヴァルの踊り”の描き方と同じ調子。そして、
テーブルの向こうにちらっと描かれた河は白く輝いており、とても美しい。この絵
からは生きる楽しみがひしひしと伝わってくる。これまでみたルノワールの絵では
一番感動した。ワシントンにまた行く機会があれば最初にこの美術館を訪れ、この
傑作を見ようと計画していたが、日本で実現するなんて嬉しくてしようがない。
森アーツセンターに感謝〃。

ルノワール以外ではゴッホのびっくりするようないい絵があった。アルル時代に
描いた“アルルの公園の入り口”。イエローパワーが溢れている。また、セザンヌ
の静物画も魅力的。近代絵画ではマチスとブラックの作品に魅せられた。

ひょっとするとこの展覧会はゴッホ展のように混雑するかもしれない。とくに
ルノワールの舟遊びの昼食の評判が伝わっていくような気がする。
なお、会期は9/4まで。

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2005.06.16

加山又造の版画展

95昨年4月、76歳で亡くなった日本画家加山又造の版画を集めた展覧会が日本橋高島屋で開かれている(6/27まで)。

加山又造は近代日本画のなかでは好きな画家のひとり。昨年の琳派展に出品された“千羽鶴”をみたときの感動は生涯忘れないと思う。

加山又造は28歳のころ、版画をはじめている。版画をやってるのは知って
いたが、本物をみるのははじめて。今回、銅版画、リトグラフ、木版画を
あわせて155点でている。加山が37歳で教鞭をとった多摩美術大学に
版画、制作道具が遺族により寄贈され、この4月大学内に“加山又造資料
研究室”が発足したという。

加山が描いた大画面の屏風絵などと比べると、この版画はミクロの世界の
作品である。銅版画では初期の未来派の画風を連想させる鹿や狼を題材にし
たもの、昆虫、蝶、熱帯魚、鳥をあつかったものが多い。制作にあたっては、
加山は銅板を彫り、それに摺り師が色をつけている。

右は1983年につくられた“月、雪、花”の月。千羽鶴にもでてくる銀の波の
真ん中に白い三日月が描かれている。月の背景の波模様は山の稜線のよう
に立体感があり、海面が激しく動いてるようにみえる。琳派の宗達や光琳の
波よりさらに複雑なフォルムとなっている。三枚組みの雪は料紙装飾の
至宝といわれる本願寺本三十六人家集の一枚を思わせるほど美しい。
そして、花は炎に映える桜を描いている。

木版画は加山が下絵を描き、それをもとにアダチ版画研究所の熟練の彫り師と
摺り師が仕上げている。浮世絵の制作現場と同じで加山は北斎の立場。
加山は版画の魅力である共同作業ならではの発見や驚きを楽しんだようである。
この木版画の美人画では、裸婦像ではなく洋服をきた女性が浮世絵風に
3枚続きでポーズをとっている。また、日本画の名品と変わらぬ“夜桜”、千羽鶴
を思わせる“波と鶴”などが目を楽しませてくれた。小品ながら満足度
150%の展覧会であった。

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2005.06.15

日本人大リーガーの活躍

今日は日本人大リーガーの活躍がいくつもあった。まず、イチロー。
大リーグ出場、696試合目で通算1000本安打を達成した。この696試合
というのは1900年以降では3番目に早い記録だという。1、2番目は
1933、32年のものだから、イチローの記録は近代野球になってからでは
最も早い。

天才イチローにとっては、1000本は単なる通過点にすぎないだろうから、
これからもどんどんヒットを積み重ねるにちがいない。逆に、現在のバッチング
状態が心配。打率は下降気味で、3割を割っている。チームが
低迷し、このままでは首位のエンゼルスや2位のレンジャーズに追いつけ
そうもない。こういうチーム状況ではモチベーションを維持し、高い打率を
維持するのはイチローといえども難しいかもしれない。チームの勝利を願う
ばかりである。

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2005.06.14

安井曾太郎

476NHKの日曜美術館では先週、安井曾太郎を取り上げていた。長いことこの番組を見ているが、安井曾太郎の特集をみたのははじめて。同じ洋画の巨匠、梅原龍三郎も登場してない。

現在、茨城県立美術館で安井曾太郎の没後50年を記念した回顧展が開かれているらしい。この企画は東京国立近代美術館が一番ふさわしいような気がするが。。

安井曾太郎といえばすぐ肖像画の“金蓉”(きんよう)を思い浮かべる。
この絵は東近美の平常展の定番。青のチャイナドレスを着た女性はなか
なか魅力的。足を組み、両手を膝の上でむすんだポーズが決まっている。
肖像画ではこの絵しか知らなかったが、昨年4月、島根県立美術館で
開かれた昭和前期の洋画展にほかの代表作が2点出ていた。
“婦人像”(京近美所蔵)と“玉蟲先生像”。安井の画集には必ず載って
いる名作である。目のパッチリした美人が着物姿で椅子に座ってるところを
描いた婦人像は金蓉に負けず劣らずの傑作。

日曜美術館には大原美術館にある“孫”でモデルを勤めた女性が当時の
模様を語っていた。おかっぱの女の子の顔は祭りの白化粧のように白く、
また着ている洋服も白一色。安井はじっとしておれず体を動かす孫を、愛情を
こめてのびやかに描いている。記憶に残る作品である。

風景画では大原にある右の“外房風景”が忘れられない。この絵を大原
美術館ではじめて見たときは感動した。まず、大きさに驚く。横に長いのである。
縦71cm×横203cm。場所は千葉県南房総太海、太平洋に向いた
小さな漁師町。海辺にある旅館の四階の一室からパノラマのように広がる
海を眺めながら、この冬の房総を描いたという。

安井はセザンヌの絵に惹かれていたようだが、この絵を見たときはそのことは
知らなかった。前景の左、松の木が大きくせりだし、家の屋根を覆い隠して
いるのにまず目がいった。前景で家並みを大きく描き、中景に青い海、遠景に
山々を配している。歌川広重の構図をみるよう。色彩的には白を沢山使っている。
石段、木、海の波、そして空の雲。この白が海の青や山の緑をひきたてている。

安井曾太郎はこの絵にたどり着くのに15年かかった。セザンヌの絵のようでもあり、
山水画のようでもある。洋画家が描いた風景画の中では一番好きな絵。
大原に行き、また見てみたい。

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2005.06.13

鎌倉の北大路魯山人展

93鎌倉の小町通りに和菓子の老舗、源吉兆庵がある。本店は岡山市。広島にいたとき、岡山に出張の折、この店の和菓子を買ったことがある。

ここの社長が熱心な魯山人陶器のコレクターで、01年鎌倉のお店のすぐ後ろに吉兆庵美術館を開館させ、魯山人の陶磁器、漆器、書画などを展示している。

横浜そごうで魯山人展をみたあと、この美術館にも魯山人の作品があること
を知り、いつかのぞいてみようと思っていたら、タイミングよく、4/8から7/5
まで“北大路魯山人展”をやっていた。年4回企画展を開催し、四季の移り変わ
りにあわせて魯山人の作品を展示するという。

今回、魅力的な陶器がいくつもあった。圧倒されたのが“雲錦大鉢”。
桜と楓を意匠化した鉢を雲錦鉢(うんきんばち)と呼んでいる。これは江戸時代
の京焼の陶工仁阿弥道八が考えだしたものだが、魯山人風アレンジによる
桜の白と楓の赤が優雅に融合している。本店が岡山県にあるということで、
備前焼の鉢、平鉢、花入などが比較的多くある。

気に入った一品は右の“乾山風椿絵鉢”。2階の奥にしつらえた茶室に飾られ
ている。白、赤、緑、黄色の配色が実に見事で、眩いくらい。尾形乾山が
制作した色絵透彫反鉢を連想させる作品である。乾山は陶器の形よりは色彩
を重視し、透彫では鮮やかな赤の紅葉を華麗に描いている。椿絵鉢のほか、
同じ乾山風の色絵糸巻文角平向付も名品。

こうした作品をみると、魯山人という陶工がいかに尾形乾山を敬愛していたか
がわかる。現在でも、京都の老舗料亭などでは乾山のつくった器に料理が
盛られてるという。料理人魯山人も自分でつくった板皿や鉢に自慢の料理
を盛り付けている。デザイナー乾山、魯山人の意匠がいつまでも心に
残っている。

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2005.06.12

片岡球子展

303日本画家の片岡球子(たまこ)は今年1月、満100歳を迎えたという。いつか、車いすで展覧会の会場をまわっておられるのをTVで拝見したことがある。しゃべりも全く変わらず、お元気そのものでだった。

画伯の100歳を記念して、現在、葉山にある神奈川県立近代美術館で大規模な回顧展が開かれている(6/26まで)。富士山、面構シリーズの絵がみたくてこの展覧会を楽しみにしていた。

これまで、回顧展に縁がなかった。院展で面構の作品を2、3点見たことがあるが、
まとまってみるのは今回がはじめて。片岡球子という日本画家はかなり
前に見た“面構 葛飾北斎”(神奈川県立近代美術館、今回、出品)で知った。
この絵を描いたのが女性ということにも驚いたが、北斎の顔を絵のテーマ
にするユニークな発想に圧倒された。凱風快晴(赤富士)の絵の前で北斎が
ポーズをとっている。顔は今まで伝わっている北斎の肖像版画を参考にして描か
れている。この絵は日本画の中では人気が高い。手元にある“昭和の
日本画100選”(1989、朝日新聞社)の作品ベスト20では、“面構 葛飾北斎”は
17位にランクされている。

今回の出品作は全部で80点くらい。お気に入りは火山、富士山シリーズ
と戦国武将、高僧、浮世絵師などの相貌を取り上げた面構シリーズ。
富士山が3点、浅間山が2点ある。力強い筆致で赤や青を大胆に使って仕上げ
た富士山はダイナミックで活気がある。斜めに富士山が描かれたりして、体が
曲がるが、この動きのある構図に逆に魅力を感じてしまう。じっとみているとふと、
棟方志功が描いた富士山を思い出した。

面構シリーズは1966年、最初に手がけた“足利尊氏”をはじめ、37点出ている。
足がとまったのは足利尊氏、豊太閤と黒田如水、葛飾北斎、鈴木春信と平賀源内、
勝川春章、雪舟など。浮世絵師をかいた作品には物語性があり、面白い。写楽が
でてくるが、この謎の絵師の顔をどのようにしてイメージしたのか興味はつきない。

右の絵“葛飾北斎”は1976年の作で、1971年にかいた最初の“面構 北斎”の
別バージョン。北斎のバックにいる白の胴体をくねらした龍は、北斎が晩年、
滞在した長野県小布施にある祭屋台に嵌め込まれた龍の天井絵を参考にしている。
赤富士の北斎に劣らず心に残る作品。

なお、この展覧会はここでの展示が終わると、名古屋市美術館(7/26~8/28)、
茨城県立美術館(9/17~11/3)を巡回する。

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2005.06.11

北斎と広重展

273今、日本橋三越で開かれている“北斎と広重展”はお得な展覧会だ。ここはいつも招待券をくれるのでこの思いが強い。会期は6/19まで。

新発見の肉筆画のことがチラシで強調されてたので、版画はそこそこかなとあまり期待してなかったが、出品された絵は北斎と広重の代表作がてんこ盛り。人気風景絵師、葛飾北斎と歌川広重のお馴染みの作品がどんどん出てくる。

まず、北斎の富嶽三十六景からはじまり、諸国瀧廻り、千絵の海、
諸国名橋奇覧、雪月花と続く。そして、広重も豪華なラインナップ。東都名所、
東海道五十三次、近江八景、京都、浪花名所、箱根七湯、雪月花、義経
一代記など。北斎の富嶽三十六景と広重の東海道五十三次が一緒に見れ
る機会はなかなか無い。これらを全部みて、太田美術館でやっている広重の
名所江戸百景にも足を運ぶと浮世絵の風景画は一休みしてもいい。

今回有難かったのは広重の箱根七湯と義経一代記が見れたこと。チラシ
にでている義経と弁慶が五条の橋で戦う絵は魅力的。二人とも片足をあげて、
緊張の瞬間を見事にとらえている。面白いのは弁慶の薙刀が長いこと。
北斎の絵では諸国名橋奇覧が11点全部でていた。これはラッキー。この
名橋奇覧は富嶽三十六景や諸国瀧廻りと同じ時期に制作されている。

右は“飛越の境つりはし”。一度見たら忘れられない面白い絵である。
飛騨(岐阜県北部)と越中(富山県)または越前(福井県東部)の境なのだろうが、
現実にこの場所があるかはわからない。おそらく北斎の創作であろう。
二人のいるあたりはつりはしが大きくたわんでおり、先は安全なのだろう
か?と不安になる。北斎は実景をいろいろ組み合わせて、見ているものが
はっとする光景をつくりだしている。

北斎が超想像力の持ち主であることがこうした絵をみるとよくわかる。この
並外れた想像力が神奈川沖浪裏のようなダイナミックな構図、スピード感、
激しい動きのある絵を生み出してきた。天才としかいいようがない。

最近、おもわぬ所で、ビッグな展覧会情報を得た。六本木の森美術館
で6/17から9/4までワシントンのフィリップコレクション展が開かれる。
ここになんとルノワールの代表作“舟遊びの昼食”が出品される。
森美術館が印象派の絵をもってくるなんて、全然ノーマークだった。
念願の舟遊びの昼食が日本で鑑賞できるなんて夢のよう。

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2005.06.10

歌川広重の名所江戸百景

272_2歌川広重の名所江戸百景を太田美術館の特別展のおかげで、全点みることができた。6月26日まで作品の入れ替えなしで展示している。

この名所百景は二代目広重の1点を含めて119点ある。広重は百景を超えても描き続けたようだ。江戸ではこの名所絵が描かれる前年に安政の大地震 (1855)があり、かなりの部分が崩壊している。江戸の名所を作品にして残したいという思いが広重にあったのだろうか。

出世作の東海道五十三次よりも倍ちかい数の版画が目の前に並ぶと、
どの絵も見逃すまいと目に力が入る。絵の形は縦絵。広重の構図のとりかた
は自在。大きく見せる俯瞰の構図、画面の端に描く対象はトリミングし
てちょこっとしかみせないもの、手前を思い切り大きく描き、遠景との対比
をねらったものなど。どれもうまいなーと感心する。江戸の各地の名所を
人物と一緒に鮮やかな色彩、ぼかしなど高い技量を使い、情緒たっぷりに
描いている。

印象派の画家たちに強い影響を与えたのは大きく描かれた前景、全体を
大胆にカットし、少ししかみせないトリミング法、そして色使いである。
ゴッホが亀戸梅屋敷や大はしあたけの夕立を油絵で模写している。マネ
の“海上の船”(オルセー)は百景の渡し守の手と足だけを手前に
大きく描いた“はねだの渡し”にヒントを得たのではと言われている。
モネの太鼓橋のある睡蓮の絵は誰がみても亀戸天神境内の影響。
また、ロンドンのテイト・ブリテンにあるホイッスラーの“青と金のノク
ターン”は百景の京橋竹がしの構図を参考にしたという。

右の絵は亀戸梅屋敷における梅の描き方と似ている“上野山内月のまつ”。
本当にこんな奇怪な形をした松があったのかと疑いたくなるが、上野の
山には実際にこんな枝ぶりの松があり、“月の松”と呼ばれて名物になって
たようだ。枝がつくる円形に不忍池の対岸風景を映している。印象派
をはじめヨーロッパの絵かきたちはこんな絵に度肝をぬかれたのではない
だろうか。

もう一点、びっくりしたのは色。初摺りの版画では色が本当によくでている。
特に青の深さがなんとも言えず美しい。広重の江戸名所百景を堪能
させてもらった。

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2005.06.09

小林古径展

896/7から東京国立近代美術館で始まった“小林古径展”をみてきた。この展覧会を見ようと計画されてる方はちょっと注意が必要。

展示作品は前期(6/7~26)と後期(6/28~7/18)に分けられているので、全部の作品(124点)をみたい人は2回分の入場料がいる(通期でみれるのは数点)。

古径のファンなら誰でも全部みたいと思うのだから、前期、後期をセット
にして一回の料金、1200円に2,3百円位プラスしたチケットを販売して
くれたら助かるのに。国立の美術館というのはまだまだ役所感覚が
抜けきらず、展覧会マーケティングがわかってない。

小林古径の大規模な回顧展にこれまで出会わなかった。で、山種美術館
や島根県の足立美術館、東近美、東博の平常展で古径の代表作に
接してきた。03年、山種で開かれた古径展には同館所蔵の“清姫”、
“菖蒲”(今回の展覧会に出品)など23点くらいでた。
また、昨年は琳派展(東近美)と永青文庫の名品展で念願の“髪”、
“鶴と七面鳥”に会えた。

今回の展覧会には図録をみるかぎり、代表作のほとんどがでており、
全国の美術館から集めている。さすが、東近美が企画しただけのことはある。
小林古径の絵は中国や日本の古典や歴史物語から題材ととったもの、
花鳥画、犬などの動物画、女性画などが大半を占める。風景画というのは
あまりない。古典の絵では竹取物語や清姫などに足がとまる。
日本画ならではの美しい色調で描かれ、王朝ロマンの香りがただよっている。

鳥の作品にもいいのがそろっている。鴨や鷺、孔雀(後期)、尾長鳥は生き
生きとしていて、優雅。中でも“鶴と七面鳥”に魅せられる。この絵は琳派展で
2回みた。右は二曲一双の屏風の右隻。鶴の白い羽が実に丁寧に
描かれている。鶴の白が後ろの立葵の赤を和らげ、画面に安らぎをあたえている。
余白をたっぷりとった画面のなか、鶴が前に進む姿に見入ってしまう。

鶴の絵を南宋の中国画や狩野派、琳派の作品で沢山みてきたが、この鶴ほど
感動したことがない。なお、この“鶴と七面鳥”は前期のなかでも6/19まで
の展示となっている。山種の展覧会では小林古径を画聖と呼んでいた。
やはりこの画家は近代日本画の巨匠である。後期の展示が楽しみ。

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2005.06.08

祝サッカー日本代表 ワールドカップ出場

サッカー日本代表が北朝鮮を破り、見事ワールドカップドイツ大会への
出場を決めてくれた。勝つとは思っていたが、実際勝利を手にしてみる
と嬉しさが増してくる。選手の頑張りに拍手々。

前半戦は堅い守りでボールを支配していたが、誰に最後ボールを出すのか
いまひとつ見えてこなかった。鈴木、柳沢選手の2トップが機能するのか
心配だった。事前の天気予報では今にも雨が降り出す感じだったが、
幸いにもゲームが終了するまでもってくれた。これも味方した。

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2005.06.07

円空仏

537現在、横浜そごうで“円空展”が開かれている(6/19まで)。円空が彫った木彫の仏像は過去2回くらいしか見たことがない。京都の寺にあったのと一度展覧会でお目にかかった。

今回の展覧会には140体でている。円空は死ぬまでに12万体の神、仏像を作ったといわれ、日本各地で確認された像は5200体。今も調査が引き続き行われている。

TV東京のなんでも鑑定団でも関東のある農家からでてきた円空仏が
紹介されてたので、これからも新発見があるかもしれない。ここでも近年で
てきた7体が展示されている。

遊行僧円空は1632年、いまの岐阜羽島あたりに生まれている。死んだのは
1695年。63歳の生涯のうち、35歳ころから故郷美濃を離れ、東北、北海道
を皮切りに関東、飛騨、尾張・三河、近江、伊勢・志摩を旅し、黙々と
円空仏をつくる。12万体を作り上げるためには、一日10体ずつ、これを
延々33年、彫り続けなければならない。驚くばかりの数である。

会場にある彫像は鉈(なた)彫り仏とよばれるノミ跡をそのままの残した仏像。
鉈でえい、えいとばかりにぱっぱっとつくった感じ。実際、円空は素早く制作した
らしい。高さ1m80cmの像を硬い桜の木からたった一日で彫ったという。
円空が仏をつくる様子をあらわす絵が展示してある。円空が死んで百年後に
でた“近世畸人伝”という本に、立ち木にはしごをかけて登った円空が
鉈をふるって木の幹に仏の顔を彫り付けてる場面がある。

鉈でスピーディに鋭角的に彫った彫刻には木肌のざらつきがのこり、未完成の
ような造形となっている。この素朴で力強いフォルムが円空仏の最大の魅力。
自然木の折れ口で背後の火炎を見事に表現している“不動明王立像”は
心に残る一品。

厳しい顔をした不動明王像がある一方、やさしい微笑み顔をした観音菩薩像、
薬師如来もある。右は笑顔が魅力的な“十一面観音菩薩”。会場には
笑ってる像の顔をアップした写真がご丁寧にもパネルになって掲示してある。
睫、眼、口をただ横にひいた感じだが、一体〃豊かな笑いの表情をつくっている。
心がなごむ。これを見ただけでもここへ足を運んだ甲斐があった。
本来の仏像とは異なる仏像を円空仏にみた。

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2005.06.06

ルーヴル美術館展

87ルーヴル美術館にはこれまで2回縁があり、2回目に訪れたのが1990年なので、それからもう15年たつ。この間、リシュリュー館が新たに加わり、展示の配置変えがあったと聞く。

また、ここに行きたいが、まだ見てない名所のほうが優先順位が高く、パリは2、3年先になりそう。横浜美術館で開催中のルーヴル美術館展で本場の気分を味わうことにした。ルーブルという名前がきいてるのか、入場者は多い。
3ヶ月の展示期間があるのでかなりの人を集めそう。会期は7/18まで

チラシにはアングルの傑作2点、“トルコ風呂”、“泉”が載っている。アングル
が80歳をこえて描いたトルコ風呂は日本、初お目見え。裸婦像の研究に
多くの時間を費やしたアングルが晩年、その集大成としてこの絵を制作した。
円形の画面に様々なポーズをとる女性が何人も描かれている。手前の6人は
大きく、向こうのほうにいる女は小さく、沢山描き込んでいる。奥行き感があり、
オリエンタルムードが漂っている。もう少し、明るい絵と想像してたが、全体
はグレーぽい。裸婦像が数え切れないほど出てくるので、色調はこのくらいの
ほうがいいかもしれない。アングルの絵では“スフィンクスの謎を解くオイディ
プス”もいい。

この展覧会で期待してたのがドラクロアの作品。全部で6点あった。ルーヴル
にはドラクロアの代表作が大半あり、それらはもってこれないだろうが、今回
出品されたのも質は低くない。ローズ嬢という裸婦像があった。ドラクロアにも
こんな作品があったとは知らなかった。右の絵は特に気に入った“レベッカ
の略奪”(部分)。ドラクロア得意の文学作品を題材にした絵である。ウォルタ
ー・スコットの歴史小説“アイヴァンホー”のなかにでてくる、美しいユダヤ娘
レベッカがテンプル騎士団の騎士に奪われていく場面から着想を得ている。

ルーベンスを思わせるような劇的で動きのある構図で暴力的な、レベッカに
とっては悲しい情景を描いている。色の使い方も巧みで、レベッカの衣装や
馬の白が際立ち、馬をひいてる男のターバン、騎士の上着の青も鮮やか。
ドラクロアはアングルに比べるとデッサンは下手かもしれないが、勢いのある
筆致と色調、動きのある構図、的確な人物描写により、劇的な瞬間や登場
する人物の悲しみや怒り、空しさなどの内面を表現している。

アングルやドラクロアだけでなく、ダヴィッド、ジェリコー、グロ、ジェラ-ル、
そして、コローのいい風景画など名画が沢山でている。ルーヴル美術館の
カタログに出ている作品ばかりが傑作というのではない。ここは所蔵品が多
すぎて割愛しているだけ。こういう展覧会をみるとそのことがよくわかる。

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2005.06.05

アンソール展

86港区白金台にある東京都庭園美術館をはじめて訪れた。ここで今、アンソール展をやっている(6/12まで)。

アンソールという画家の絵に接する機会が少ないので、興味がすごくあったという訳ではないが、01年のカラバッジョ展を開催した庭園美術館であれば、作品の質もある程度は期待できるかなと思い入館した。

また、4月にベルギーに旅行し、いい絵を沢山みたのでベルギーの画家
の作品を集中的にみたいという願いもあった。日本でアンソールの回顧展が
ひらかれるのは20年ぶりという。意外に少ない。

これまでアンソールの絵をみたのは、上野の森美術館がMoMA展を
主催したときの“聖アントニウスの苦難”、Bunkamuraの象徴派展にでた
絵くらい。4月に訪問したベルギー王立美術館ではこの画家の作品に
期待したのだが、展示してあったのは1点、“憤慨した仮面”のみ。
アンソールは1883年(23歳)、この絵ではじめて仮面を描いた。

この展覧会ではアンソール初期の作品から、ジャポニズムの影響で手がけ
た日本の武者絵などの素描、印象派のような風景画、そして髑髏や
仮面が登場する代表作など140点くらい展示してある。アンソールの絵を沢山
所蔵してるアントワープのアントウエルペン王立美術館からいい絵が何枚
もきている。

最後の展示室が圧巻。これぞアンソールという絵が目の前にあらわれ、
興奮した。ここには仮面が展示してある。いくつか心に残った絵のなかで
印象が一番強かったのが右の“仮面と死神”。アンソールは白の色が
好きだったようで、画面の真ん中にいるパントマイムの主人公ピエロは白を
身を纏い、髑髏になっている。また、左端の人物が着ている服の強烈な
赤に目がいく。

2階にあった絵では“首吊り死体を奪い合う骸骨たち”が興味深い。
死体の帰趨をめぐり、二人の骸骨がほうきやモップを手にし、争っている。
絵というよりは漫画に近い。仮面や骸骨がでてくるのだから、普通の
絵画ではない。ドイツの表現主義者、グロスなどもどぎつい、緊張感の
ある絵を描くが、これほどマンガチックではない。

今回の展示でアンソールの画風がよくわかった。仮面の画家に
近づけるいい機会であった。

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2005.06.04

日本 バーレーン戦勝利

サッカーの日本代表がやってくれた。アウェイでのバーレーン戦、また
試合直前の小野選手の怪我で心配させたが、試合がはじまると日本ペース
で進み、1-0で勝利した。これでドイツ本大会への出場はほぼ確実。

ワールドカップのときだけのにわかサッカーファンなので、各選手の
ポジションの意味や戦術面の話はよく分からない。FWが柳沢選手一人
でMFに6人の布陣だった。キーマン中田選手はDFのすぐまえ。この
中田選手が90分フルに動いた。やはり彼の体力は強靭だ。それに比べ
期待はずれなのが、柳沢選手。一回もシュートを打ってない。もう少し、
中田選手の出すボールに反応してくれたらと思うのだが。。

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2005.06.03

野々村仁清の色絵茶壷

Scan10049野々村仁清の色絵茶壷に魅せられ、代表作を追っかけてきた。きっかけは随分前、熱海のMOA美術館で見た国宝“色絵藤花文茶壷”。

この茶壷には今年久しぶりにお目にかかった。茶壷の表面をつかって描かれた絵画をみるようで、気持ちがよい。藤の花が咲き誇る様をきれいに描きあげている。

出光美術館の“茶陶の源流展”に当館自慢の右の“色絵芥子文茶壷”(重文)が出品されている。これまでみた仁清の色絵茶壷でお気に入りのベスト4は、MOAの“藤花文”、出光の“芥子文”と東京国立博物館が所蔵している“色絵月梅図茶壷”(重文)、そして福岡市美術館の“色絵吉野山図茶壷”(重文)。

どれも名品だが、感激度の大きいのは出光の芥子文茶壷と福岡市美の
吉野山図茶壷。MOAと東博の茶壷は品があり、優美なのに対し、芥子文
と吉野山図は少し荒々しい仕上げだが、スケールの大きさ、生気を感じる。

出光美術館の色絵芥子文茶壷は茶壷の中では一番大きい。
高さが42cmある。仁清の茶壷の色絵装飾は狩野派の装飾意匠に影響を
うけており、狩野派の絵師に絵付けをさせたか、絵師の下絵をつかった
と言われている。茶壷の隣に狩野派が制作した六曲一双の麦芥子図屏風
があり、屏風に描かれた芥子と茶壷の芥子が似ている。

仁清は轆轤の名人といわれ、轆轤ひきで見事な丸く張った球体に仕上げ
ている。大振りな外見だが、薄く成形されて軽いそうだ。一度でいいから
さわってみたい。かなわぬ夢だが。。赤い花と葉の緑に惹きつけられて、
この茶壺を長く見ていると、花鳥画を見ているような気持ちになる。
これが仁清の色絵茶壷の魅力かもしれない。

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2005.06.02

尾形乾山

84出光美術館で“茶陶の源流展”が開かれている(6/26まで)。この美術館は陶磁器の名品を所蔵している。なかでも古九谷様式、古唐津のコレクションはトップクラス。

今回は茶陶の源流というタイトルをつけ、新しい解釈により作品を展示している。ここの荒川正明という主任学芸員は陶磁器分野では名の売れた専門家。

桃山時代の信楽、伊賀、備前窯の茶碗、茶入、花生、水差などは古代の
須恵器や猿投窯の陶器が源流であるとし、こうした焼き物をいくつも
展示している。古い陶器にあまり美しさを感じなかったのだが、今回は違った。
一度見たことのある“灰釉秋草文壺”(渥美窯、平安時代後期、国宝)に
施された草花の文様は古の日本の風景をみるよう。また、奈良時代の
猿投窯、“灰釉短頚壺”の丸いフォルムにおおらかであたたかい
ものを感じる。

信楽、伊賀焼の茶陶に中国の影響よりは日本古来の焼き物の流れを
みる一方、志野茶碗や織部にみられる形の歪みの理由を、日本人が
昔からイメージしてきた洲浜、蓬莱山というようなモティーフに求める
面白い仮説を展開している。

洲浜との関連で取り上げられてるのが、尾形乾山が作陶した右の
“銹絵染付金銀彩松波文蓋物”(重文)。この蓋が海に突き出た洲である
洲浜に似てるという。州浜というのは洲が大きくなり、海岸線に曲線的に
出入りのある浜辺のこと。この陶器の隣には洲浜を描いた屏風が飾ってある。
二つをじっとみているとそんな気もしてきた。過去一度これをみたことが
あるが、白泥、金銀で描かれた琳派風の松の形が心にとまり、洲浜と
の関係など知らなかった。乾山のほかに、形が三角形になるほど歪んだ
絵唐津茶碗もでていた。

日本の陶器の源流から桃山、江戸前半までをコンパクトに見れるの
は助かる。二重丸の展覧会だった。

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2005.06.01

五島美術館の茶の湯名碗展

83世田谷区の上野毛に五島美術館がある。源氏物語絵巻、近代日本画、陶磁器、書などの名品を所蔵する美術館として名高い。

ここで今、茶の湯名碗展が開かれている。02年に名古屋の徳川美術館との共催で開催した桃山時代の茶の湯名碗展に続き、今回は江戸時代の前半期、茶の湯に使われた茶碗の名品を展示している。

前回は天目茶碗など名品が主要美術館からごっそり出品されていたが、
今回も期待にたがわず、図録に載ってる作品が揃っていた。やはり、
五島、徳川美術館が手がける陶磁器関係の展覧会の質は高い。あまり
広くない展示コーナーに100点くらいでていた。

最初に、中国や朝鮮、安南から輸入された茶碗があった。はじめてみた
紅安南茶碗がよかった。安南は現在のベトナム。この地域で焼かれた
陶磁は日本では安南焼きと呼ばれ、紅安南は朱、緑、藍などの色絵の
あるもの。朝鮮の井戸茶碗では根津美術館所蔵のものに惹かれた。

この展覧会で一番わくわくしたのが、本阿弥光悦と楽家の茶碗および京焼
の野々村仁清の作品。右のは本阿弥光悦の“黒楽茶碗 銘七里”。
光悦の作品は6点でている。こんなにみれる機会はめったにない。光悦は
79歳まで生きた偉大な芸術家で、書、陶器、蒔絵などに数々の名品
を残している。

光悦が焼き物制作に熱を入れだしたのは60歳代後半のこと。
楽家の2代定慶、3代道入の支援をえて独自の楽茶碗ができあがる。形は
丸味をおびたものと直線的な角造りのものとがある。“黒楽茶碗 銘七里”は
角造りのタイプ。手捻りで成形し、そのあとへらで仕上げている。
造形はサンリツ服部美術館で昨年みた“不二山”(国宝)に似ている。
高台は低く、どっしりした感じがいい。見込みや胴の側面に黒釉の掛けはずし
があり、アクセントになっている。

02年と今年の名碗展を見れたことの幸せをかみしめている。五島美術館に
感謝〃。なお、本展覧会は6/19まで開かれている。

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