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2005.05.18

村上華岳展

321村上華岳の代表作はほとんど見ているのだが、これまで回顧展にはお目にかかったことがない。京都国立近代美術館で大規模な回顧展が開かれることを知って以来、これを心待ちにしていた。

今回出品された作品は267点。華岳の作品を全部もってきたのではないかと思うくらいの数である。初期のころから晩年までの絵がずらっと展示してある。

出品作の中で一番有名な絵は山種美術館が所蔵する“裸婦図”。
この絵は近代日本画の傑作と評価が高く、美術の教科書にのっている。
そして、“日高河清姫図”(東近美、重文)。風景画の名作、“二月乃頃”
(京都市芸大)。仏画の傑作、“太子樹下禅那之図”(何必館・京都現代
美術館)。

いままで見た名画のほかに期待してたのは初期の頃の作品。これが
今回刺激的だった。華岳は浮世絵のような風俗画を描いている。
江戸の町人や芸者たちが夜桜を楽しんでいる“夜桜之図”。また、
画風が似ている女性を描いた作品がなかなかいい。

右の作品は“二人舞妓”(部分)。舞妓の顔の輪郭線や目、睫、鼻を赤で
描いている。頬や口が赤なのは当たりまえだが、顔の輪郭を赤でとるのには
驚いた。日本画を沢山みてきたが、こんな色使いの絵ははじめて
みた。華岳もマティスのように自分が感じた色をそもまま使いた
かったのかもしれない。舞妓をモティーフにした絵、4点はどれも印象深かった。
同じ頃制作された牡丹の赤い花びらも輝いていた。舞妓は赤の着物を
着ており、華岳はこの頃赤が好きだったのだろう。

村上華岳は長いこと喘息に悩まされ、51歳で亡くなっている。喘息のため、
40歳のころ神戸花隈に隠棲する。以後、観音像などの仏画や六甲の
山々、牡丹花を描き続ける。“製作は密室の祈り”という言葉を残している。
会場には華岳がひたすら描いた仏画の名作が一杯でており、心が洗われる。
また、墨で描いた風景画や牡丹花には荘厳な雰囲気があり、画家が
追い求めた精神世界を垣間見ることができる。

村上華岳の画業の高さを再認識させられる展覧会であった。
会期は5/22まで。

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コメント

いづつやさん、こんばんは。
華岳展、すごい作品群でしたよね。
あれほどまでとは予想以上でした。
私も初期頃の作品にかなり魅せられました。

>舞妓をモティーフにした絵、4点はどれも印象深かった。

同感です。
そして、私は「妓女舞踊図」があまりにかわいらしくて絵はがきを買いました。

タ・ゴールの詩を墨で書いていたのにも感動しました。
タ・ゴール、大好きな詩人で、最近読みやすそうな「ギタンジャリ」を見つけて
買ったばかりです。

投稿: リセ | 2005.05.18 21:46

to リセさん
日程調整がやっとつき、村上華岳展を見てきました。凄い数でしたね。
代表作はだいぶみたので、緊張感が足りません。初期の作品が
新鮮でした。

“妓女舞踊図”には惹かれました。赤と緑の配色がいいですね。
風景画の“二月乃頃”は3度目なのですが、いつ見ても感動します。
ゴッホの“収穫”と調子が似てます。華岳の書もなかなかのものですね。
才能のあるひとは何でも出来ちゃう。仏教に深く入っていった華岳
ですからゴタールの詩に共感したんでしょうね。

投稿: いづつや | 2005.05.18 22:09

>風景画の“二月乃頃

そうそう、この絵、私の一番好きな絵です。
この絵の前で10分以上たたずんでいました。
今回初めてみたのですが、感動しました。

>ゴッホの“収穫”と調子が似てます

いわれてみれば・・・
なんだか最近ゴッホづいております。
何をみてもゴッホと比べているようです。

投稿: リセ | 2005.05.18 23:16

to リセさん
二月乃頃は昔の農村風景を見事に表現してます。ゴッホの収穫とは
もちろん色合いは違いますが、構図や農民の働く姿はよく似てます。
画面いっぱいに広がる田んぼと麦畑。共に風景画らしい風景画ですね。

投稿: いづつや | 2005.05.19 21:47

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受信: 2005.05.18 21:38

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