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2005.05.08

歌川広重の肉筆画

270浮世絵専門の太田美術館では今、開館25周年を記念し、歌川広重展を開催中。4月から6月26日までの会期中、3回の展示換えを行い、広重の優品360点が展示される。4月は肉筆画、5月が版画、6月は“名所江戸百景”シリーズ全点。

広重の肉筆画はこれまでちょこちょこ見たことがあるが、まとまってみるのははじめて。美人画もあるが、魅力的な作品はやはり風景画。また、写実的に描かれた鯛、海老、鰹も面白い。

一番の収穫は天童広重と呼ばれる肉筆画。広重が出世作“東海道五十三次”を刊行したのは37歳のとき。天童広重の肉筆画を制作するのが55歳。そして、大胆な構図で印象派の画家を唸らせた名所江戸百景は亡くなる2年前の60歳の作品。

天童広重というのは広重が山形の天童藩の依頼で制作したのでこう呼ばれる。
天童藩は2万石の小藩で財政難にくるしみ、富農や豪商から借りた御用金
が返せないので、広重の肉筆画が返済金の代わりに下賜(かし)された。
軸物で約100組、200幅くらいあったという。太田美術館はこの肉筆画を多く
所蔵している。

気に入ったのは“日光三滝”と“近江八景”。右は日光三滝の一つ、
日光山裏見ノ滝(部分)。もう二つは霧降ノ滝と華厳ノ滝。華厳ノ滝は見たこと
あるが他の滝は知らない。裏見ノ滝と霧降ノ滝は実景ではないのかも
しれない、それとも当時は存在してた?

裏見ノ滝で釘付けになったのは滝が落下しているちょうど真ん中あたりに
描かれた細い道。こんな道が滝の裏側につくれるのか。意表をつく構図
である。滝と道を交差させるところはマグリッドの画風を連想させる。
北斎の肉筆画にも鯉が滝を登るシュールな絵があった。掛け軸には滝の絵が
ぴたっとはまる。これまで見たことのない広重の風景画がいつまで
も心に残っている。

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コメント

いづつやさん、こんばんは、
毎晩、楽しみに芸術論を拝見してます。知らず知らずに芸術全般の知識が増え、展覧会情報などもわかるのでありがたいです。
ところで、本日の広重論で「裏見ノ滝と霧降ノ滝は実景ではないのかもしれない、それとも当時は存在してた?」という部分がありましたが、日光では有名な場所です。
裏見ノ滝は東照宮の裏側にあり、大分崩れたものの今でも、部分的に裏側に回れますので
江戸時代は堂々と通れた思います。
霧降の滝も四季を通じて展望台から良くみえます。
(埼玉県春日部在住で、栃木県出身、奥日光に
風景スケッチによく行く、熱心ないづづやファンより)

投稿: T.Masuda | 2005.05.08 22:08

こんばんは。
私も肉筆画、観てきました。
そろそろ第二部の版画をみにいこうと思っています。

投稿: lysander | 2005.05.08 23:32

to T.Masudaさん
はじめまして。書き込みいただきまして有難うございます。文章を長くし
ますと粗がでるものですから、画像でなんとか体裁をとっています。
こんなブログですが、これからも宜しくお願いします。

日光の滝は華厳の滝しか知らず、お恥ずかしい限りです。広重が
描いた滝では霧降ノ滝が一番ダイナミックです。教えていただいた
滝を機会があれば見に行こうと思います。

投稿: いづつや | 2005.05.08 23:58

to lysanderさん
はじめまして。書き込み頂きまして有難うございます。天童広重を
はじめて観ました。太田美術館は開館25周年記念でいい作品を
見せてくれますね。当分、目が離せません。今、版画をいつみるか
日程調整してます。また、6月の名所江戸百景が楽しみです。

投稿: いづつや | 2005.05.09 00:41

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