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2005.05.25

ティツィアーノのエウロペの略奪

78何年か前に訪れたボストンのガードナー美術館が所蔵する絵のなかで、一番価値の高いのがティツィアーノの“エウロペの略奪”である。この絵もギリシャ神話をモティーフにしている。

米国人コレクターのイザベラ・ガードナーはボストンにヨーロッパにある名画をもってこようと、美術指南役であるバーナード・ベレンソンに絵画の収集を依頼する。ルネサンス美術の目利きであるベレンソンが彼女のために探したの
がこの“エウロペの略奪”。

この絵はティツイアーノの最高傑作ともいわれており、1560年ころ制作され
ている。コレッジョの“ユピテルとイオ”より30年くらい後、ティツィアーノも
ユピテルの変身話をとりあげた。エウロペはヨーロッパの語源。

フェニキア王の娘にエウロペという美女がいた。美女となるとユピテルはどこ
からでもやってくる。でも、素では現れない。変身したのは白く優雅な牡牛
ちゃん。これを見たエウロペは安心して、牡牛の角に花を飾ったりして戯れ、
そのうち背中に乗ってみる。さあ、大変、ユピテルはこの機を逃すわけがなく、
牡牛は彼女を乗せたまま、どんどん海を進んで行き、クレタ島に上陸し、思
いを遂げる。

ティツィアーノの絵はエウロペが連れ去られる場面をよく描写している。画面
の左下には翼をつけた子供(プット)がイルカの背にのって、エウロペを乗せた
牡牛を追っかけている。また、対岸ではエウロペの仲間がじっとこれを見つ
めている。この絵の魅力はヴェネティア派の真骨頂である鮮やかな色彩と大
胆な構図。牡牛が急いで逃げ去ろうとする様子がよくでている。

02年、国立西洋美術館でプラド美術展が開かれたとき、ルーベンスの模写
が出品されていたが、この模写に大変感動した。ルーベンスはミケランジェロ
やティツィアーノの絵を熱心に研究したというから、この“エウロペの略奪”が
特に気に入ったのだろう。

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