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2005.05.16

曽我蕭白展

394昨日は京都に行き、最終日となった“曽我蕭白展”を見てきた。会場は京都国立博物館。

ここには狩野博幸という大物学芸員がいる。この方が伊藤若冲の回顧展を企画し、今回これに続く期待の曽我蕭白展を仕掛けてくれた。

長いこと蕭白展を待ち望んでいた。過去にはたしか2回しかなかったと思う。最初が三重県立美術館、2回目が千葉市立美術館。三重県美は蕭白に目覚めるまえ。千葉のときは広島にいて縁がなかった。曽我蕭白の絵をみたのはこれまで3回しかない。

91年、日本橋高島屋で開かれた“ボストン美術館の屏風絵名品展”に蕭白の
傑作が3点でた。明治時代、日本にやってきたフェノロサはアメリカ人が
好きそうなちょっと毒のある蕭白の絵を買い込み、持ち帰った。伊藤若冲の
作品も眼力のあるアメリカ人コレクター、プライスが第二次大戦後、日本の愛好家
が知らないうちに買い集め、大コレクションを築きあげている。

ボストンの絵ほど立派ではないが、意外なところで蕭白の作品を見た。
山口県の萩にある熊谷美術館に1点ある。美術館では三重県美が沢山もっている。
その一部を昨年、横浜そごうで開催された三重県美名品展でみた。

京博の蕭白展はどうか。これは凄い。凄すぎる。さすが、奇想の画家を世に売り
出すことに長けてる京博だけのことはある。日本中、いや世界中から蕭白の絵
を集めている。あまり多いので、途中で疲れてしまった。これで終わりかと思うとまた、
いい絵がでてくるという感じ。

奇怪な、荒々しい絵を描くというのが曽我蕭白の一般的なイメージ。今回の展示は
この毒毒しい作品をずらっと揃える一方、水墨画の達人が描く洒落た絵が
いくつもある。要するに、狂の絵も蕪村のようなユーモラスな絵も構図が見事な
山水画も、蕭白はなんでも描けるのである。こんなに幅のある絵師とは
思わなかった。

右の絵は蕭白が35歳ころ描いた“群仙図屏風”。ちなみに蕭白は51歳で
亡くなっている(1781年)。六曲一双の大きな屏風でこれは右隻のほう。
龍に乗った仙人の髪がびゅうびゅうと吹く風でまえに流されている。仙人の後ろに
描かれた台風の目のようなものと龍のまわりの波しぶきが緊張感あふれる画面を
作っている。

この絵を制作するにあたって、蕭白は上質の絵具を使ったらしく、仙人の衣服の青
がいまでも鮮やかに残っている。屏風全体を見てみると、色では赤、白、黄色が
印象深い。驚いたのは2羽の鶴を1羽は白で描き、もう1羽は黄色にしている。
普通の日本画に黄色の羽をした鶴はでてこない。蕭白は色彩で遊びたかったのだ
ろう。左にいる古代中国の女性の着物を黄色で描いたあと、この絵具をもっと使い
たいと思い、黄色の鶴にしたのではないか。

追っかけていた“群仙図屏風”を見れて大満足。大二重丸の博覧会であった。
京博に感謝。

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コメント

こんばんは はじめまして。
Takさまの記事からこちらへお邪魔いたしました。
わたしは自分からネサフしない人間なので、ひとさまから教えられては、それで素敵なサイト様を知るという暮らしをしております。

こちらのブログにも本当にときめきました。
この蕭白展は去年のヒットでした。
冒頭にあるように、狩野博幸さんの力業だと思います。STARWARS展も狩野さんのおかげでした。

わたしは古美術を特に愛しておりまして、最愛は近世風俗画と又兵衛と蕭白と応挙一門のわんこと國芳なのです。

ですからこちらで蕭白の記事を読み、とても嬉しくなりました。

この展覧会のとき、『石橋図』がなかったのでがっかりしましたが、今都美に来てくれているので、待った甲斐があったなあ、と今更ながらに思ったりしています。

'91年の屏風絵展のことにも言及されているので、その展覧会を思い出して感慨にふけっております。
光琳の松島図屏風とか、奴たちの姿とか。

それにしてもカテゴリーの分け方もいいな、と思いました。わたしは絵葉書は分類しておりますが、ブログは『展覧会』としか分けていませんでした。これからしても、なんだか嬉しくなります。

これから色々と読ませていただこうと思っております。

投稿: 遊行七恵 | 2006.02.14 21:20

to 遊行七恵さん
はじめまして。書き込み有難うございます。西洋の美術、日本の絵画、陶磁器
を時間の許す限り観ております。岩佐又兵衛や蕭白、国芳ですと奇想の
絵師がお気に入りのようですね。昨年あった蕭白の展覧会を堪能しました。
代表作で残っていたユーモラスな“石橋図”を今回バークコレクション展でみれ
ましたので、今は蕭白がやっと終わったという感じです。

日本画の鑑賞には時間がかかりますから、追っかけてる作品に出会えたと
きの喜びは格別ですね。元旦の記事にターゲットの絵を載せたのですが、
毎年少しずつつぶしています。3月は京博で光琳の“太公望図屏風”と若冲
の“菜虫譜”に会えそうです。これからもよろしくお願いします。

投稿: いづつや | 2006.02.15 11:46

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