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2005.05.11

国宝 辟邪絵

68横浜市にある県立金沢文庫は今年、開館75周年になるという。これを記念して4/21から奈良国立博物館の名宝展を開催している。会期は6/5まで。

美術館の隣には池に朱塗りの太鼓橋がかかる称名寺がある。美術品と寺を一緒に楽しめる。横浜にも鎌倉の気分を味わえる所があった。周りが住宅地のため、美術館まで車は一方通行で入れない。グルグル廻って、800mくらい下の駐車場に車を入れ、
そこから10分歩いた。

この展覧会のお目当ては鎌倉時代(12世紀)に描かれた国宝辟邪絵
(へきじゃえ)。たまたま見た新聞の文化欄に展覧会が紹介され、この
絵が解説されていた。奈良国立博物館は作風が同じでちょっと怖い
絵、地獄草子も所蔵している。

95年、この博物館の開館百年を記念して日本仏教美術名宝展が開か
れた。彫刻、仏画、工芸品の名品がこれでもかというくらい出品され
ていた。しかし、会期中に展示換えがあり、当日は地獄草子、辟邪絵は
なかった。以来、この2点を追っかけている。その1点が金沢文庫という
思わぬ美術館で観れるのだからたまらない。

辟邪絵は当時は絵巻であったが、現在は断簡として掛幅装にになって
いる。辟邪絵は人間に危害を加える邪悪な鬼などの類を辟(さ)け除
いてくれる色々の善神を描いた絵のこと。善神は例えば天刑星、神虫、
鐘馗、毘沙門天であったりする。今回でてるのは天刑星と神虫。

中国の古い話を解説文で理解しながら目の前のグロテスクな絵にじっと
見入る。右の絵は名宝展から待ち望んでいた作品。8本の足をもった
昆虫の化け物みたいなのが神虫(しんちゅう)。典拠ははっきりしないが
諸々の鬼を大量に食うらしい。蚕を神虫と呼び、霊異のある虫とする
観念が奈良時代には中国から伝わってることから、蚕と結びつける説も
あるという。

8本の足は鬼を捕まえ、鋭い歯をした口のなかに入れようとしている。
鬼を退治してくれる有難い神様なんだけど、姿があまりに異形でオドロ
オドロシイため、鬼よりもっと怖い悪魔をイメージしてしまう。口の周りや
地面に飛び散る血の赤が鮮明なのに驚く。

浮世絵師歌川国芳の版画に大きな蜘蛛をやっつけるのがあるが、この
神虫の比ではない。ボスが快楽の園を描いたのは16世紀のはじめ。
これよりもっと前の12世紀、日本には地獄草子、餓鬼草子、辟邪絵が
あった。

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