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2005.04.28

ボス

58ベルギー王立美術館にはボスの面白い絵がある。右はリスボンにある“聖アントニウスの誘惑”を忠実に模写した作品。プラド美術館にある“快楽の園”と同じ三連画。

聖アントニウスは紀元前3世紀、エジプト北部の富裕農民であったが、20歳頃全財産を失い、砂漠に隠遁する。聖人として105歳まで生きている。

この絵は隠遁してから15年、悪魔からの誘惑に悩まされた聖アントニウスの姿
を3連画で表している。左翼は地獄に拉致され、同僚に連れ戻されるところ。前景
には意識を失い仲間に抱えられて橋を渡るアントニウスが描かれており、上の空
では魔物たちに投げられたアントニウスのまわりを怪物たちがうるさく飛び回って
いる。

中央のパネルでは、邪悪な悪魔に取り憑かれ幻覚に悩まされる聖人が墓の前
の壇上でこちらに顔を向けている。聖人のまわりには人間やグロテスクな化け物
の姿をした魔物が一杯。ボスの時代、悪魔と天罰は実在し、魔女が力をふるい、
反キリストが出現してこの世を悪で満たすだろうと思われていた。現在の目でみる
と、奇怪な怪物や魔女の形がどう考えても想像の範囲を超えてるような気がする
が、ボスが生きた15世紀後半にはそれほどの驚きではなかったのかもしれない。

一つ〃の場面を解釈するのには相当の知識を要するので、専らグロテスクな怪物
の姿を追っかけた。中央画の右端をみると大きな鼠の上に下半身が蜥蜴の尻尾
をした女が赤ん坊を抱いている。これは何を意味してるのだろうか?

03年、ウイーンの美術アカデミー絵画館でボスの“最後の審判”に出会い、今回は
リスボンに行かなくてこの“聖アントニウスの誘惑”を楽しんだ。ブリュッセルでの
大きな収穫。

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コメント

大分前に(1993年)、リスボンで聖アントニウスの誘惑を観ました。
http://cardiacsurgery.hp.infoseek.co.jp/Children1.htm#PORT
その三連画の裏にも画が描かれていましたが、ベルギーのものはいかがでしたか?

投稿: とら | 2005.04.30 15:33

to とらさん
王立美術館のレプリカは表の絵のみです。リスボンのオリジナル
“聖アントニウスの誘惑”には12枚のレプリカがあるみたいですね。
本物の絵にとりつかれたパトロンが何人もいて制作を依頼したの
でしょうね。ボスが自ら手がけたのか、工房で描いたのかは不明のようです。

いつか機会があればとらさんが見られたオリジナルをじっくり観賞してみたいです。

投稿: いづつや | 2005.04.30 23:04

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