マグリット
ベルギー王立美術館の現代絵画部門の目玉はベルギー生まれのシュルレアリスト、マグリットとデルボーの作品。数ではマグリットの方が多い。
ここにはマグリットの代表作がずらっとある。“光の帝国”、“アルンハイムの領土”など。作品をみてて、前にみたような感じがしてきた。日本に帰ってから分ったのだが、02年7月、Bunkamuraで開催されたマグリット展にこの王立美術館所蔵のものが数多く出品されていた。
今回、Bunkamuraの展覧会ではみられなかった面白い作品をいくつか観た。
その一つが右の“エリプス”。これは絵というより漫画といったほうがいい。
CMのクリエーターが喜びそうな絵。左手の上に手がまた描かれてるのに目
がいく。鼻が拳銃になっており、被ってる帽子は一つ目小僧。マグリットは
50歳の頃、こんな絵を描いていた。
シュルレアリスムの絵ではダリとマグリットがとくに気に入っている。奇人
のイメージのあるダリに対して、マグリッドは普通の社会人風。ワイシャツに
ネクタイをして絵を描いてたというから驚き。屋外でスケッチすることがな
かったそうだ。
マグリットの画風で面白いのはダリもしばしばみせるダブルイメージ。“アル
ンハイムの領土”では鷹の頭と山の稜線が重なっている。そして、このダブル
イメージよりもっと惹きつけられるのは、日常生活にある風景や物、人物
が部分的に切り取られ、画面の中に組み合わされてできる不思議な空間。
“光の帝国”は郊外にある池に面する屋敷を描いてるが、屋敷と周りの木々
は夜の風景なのに、空は白い雲がある青々とした昼の空になっている。
現実離れしてるので、頭が変になりそうだが、このアンマッチな絵は写実的
に描かれてることもあり、じっとみてると美しさを感じるようになる。不思議な
感覚である。
頭が柔らかく、超イマジネーション力を持つマグリットの絵にますます引き込
まれていく。
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