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2005.04.29

ヴィクトル・オルタ

59最近はアールヌーボーの作品を観る機会が多い。あまり馴染みのなかったルネ・ラリックの展覧会を2回もみた(拙ブログ3/23、29)。

そして、ここブリュッセルには建築家ヴィクトル・オルタが建てたアール・ヌーボー様式の建築物がある。2000年にこれらは世界遺産に登録されている。

現在、一般公開されてるのは右のオルタ邸のみ。このオルタ美術館は町の
中心からちょっと離れたところにある。徒歩と電車を乗り継いで近くまで行き、
あたりをきょろきょろしてると、ツアーで一緒になった母親&娘、息子のご家族
の方にお会いし、美術館の場所を教えてもらった。

玄関を入ると大理石の階段ホールがある。水の流れをイメージして設計された
という。この階段を上がったところが食堂。間口は6mしかないが、奥行きは
20mもある。最上階には美しいステンドグラスの天井がある。今では製作不可
能なアメリカングラスでこの天井は作られている。これは直射日光をあてると
光が拡散される鉄粉をまぜた特殊なガラス。

なかの吹き抜けはより多くの光をとりこむため上にいくほどその空間は拡大
している。これにより新感覚のデザインが施されている扉の取っ手や蝶番の
ディテールまではっきり見ることができる。邸宅の内部にいて魅了されるのは
ガラスと鉄を使った明るい居住空間と植物の蔦を連想させる曲線がおりなす
装飾美。部屋一つ〃に雰囲気があり、床や壁面の繊細なデザイン、柱や
階段のうねりを見ていると時間が経つのも忘れてしまう。

楽しい気分にさせてくれたこのオルタ邸を見ることができたのは大きな喜び。
ヴィクトル・オルタはブリュッセル中央駅の設計を手がけている。昔、ここにも
来たはずだが、全く覚えてなかった。中央駅はちょっと高台にあり、ここを下っ
ていくとグラン・プラスにでる。自由行動の最後に聖ミシェル大聖堂を訪れた。

拙オランダ・ベルギー旅行記におつき合いいただきまして有難うございます。
絵画、観光地を中心に感動をブログ詰めにしました。一つ残念なことはベルギ
ー王立美術館の最大の楽しみであったダリの“聖アントニウスの誘惑”が
フィラデルフィア美術館に貸し出し中で見れなかったことです。大ショックですが、
楽しみは先にとっておくことにしました。これからもよろしくお願い致します。

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2005.04.28

ボス

58ベルギー王立美術館にはボスの面白い絵がある。右はリスボンにある“聖アントニウスの誘惑”を忠実に模写した作品。プラド美術館にある“快楽の園”と同じ三連画。

聖アントニウスは紀元前3世紀、エジプト北部の富裕農民であったが、20歳頃全財産を失い、砂漠に隠遁する。聖人として105歳まで生きている。

この絵は隠遁してから15年、悪魔からの誘惑に悩まされた聖アントニウスの姿
を3連画で表している。左翼は地獄に拉致され、同僚に連れ戻されるところ。前景
には意識を失い仲間に抱えられて橋を渡るアントニウスが描かれており、上の空
では魔物たちに投げられたアントニウスのまわりを怪物たちがうるさく飛び回って
いる。

中央のパネルでは、邪悪な悪魔に取り憑かれ幻覚に悩まされる聖人が墓の前
の壇上でこちらに顔を向けている。聖人のまわりには人間やグロテスクな化け物
の姿をした魔物が一杯。ボスの時代、悪魔と天罰は実在し、魔女が力をふるい、
反キリストが出現してこの世を悪で満たすだろうと思われていた。現在の目でみる
と、奇怪な怪物や魔女の形がどう考えても想像の範囲を超えてるような気がする
が、ボスが生きた15世紀後半にはそれほどの驚きではなかったのかもしれない。

一つ〃の場面を解釈するのには相当の知識を要するので、専らグロテスクな怪物
の姿を追っかけた。中央画の右端をみると大きな鼠の上に下半身が蜥蜴の尻尾
をした女が赤ん坊を抱いている。これは何を意味してるのだろうか?

03年、ウイーンの美術アカデミー絵画館でボスの“最後の審判”に出会い、今回は
リスボンに行かなくてこの“聖アントニウスの誘惑”を楽しんだ。ブリュッセルでの
大きな収穫。

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2005.04.27

ブリューゲル

57ブリューゲルの絵を一番多く所蔵しているのはウイーンの美術史美術館であるが、ベルギー王立美術館にも4点ある。これがルーベンスとともに古典部門の目玉となっている。

展示コーナーは広く取られ、父の作品を模写した息子の作品も一緒に飾られているので美術史美のブリューゲル室にいるような気になる。

図録でみて是非見たかった“反逆天使の失墜”、“イカロスの墜落”と“ベツレヘ
ムの戸籍調査”。そしてもう一枚、“スケートをする人々”があるのだが、これは
貸し出し中であった。ボスの絵をみるような反逆天使はいくらみてても飽きない。
人間よりもトカゲやらグロテスクな魚、ムール貝などを見ているほうが面白い。
怒ったふぐのように丸くなって口を大きくあけてる魚をみて思わず笑ってしまった。

一見牧歌的な風景画にみえるのが右の“イカロスの墜落”。前景の右に腰を降
ろす漁師の前に足が海面から突き出ている。これがイカロス。この絵はブリュー
ゲルがギリシャ神話の話を扱った唯一のものとされている。天から落ちてきた
イカロスには何の関心もないかのように画面手前では農民が狭い土地を耕して
いる。その下には羊飼いと羊の群れが通りすぎる。

海面の緑が印象的で遠景にある町や白い岩は水面に浮かんでるように見える。
ブリューゲルの構図のとりかたは歌川広重の描き方と似ている。ウイーン美術
史美にある“サウロの回心”が広重の東海道五十三次、日坂とよく似てるので
驚いたことがある。

イカロスはクレタ島の迷宮を造った名工ダイダロスの息子。二人はダイダロスが
作った翼を蝋で身体につけ大空に舞い上がり、迷宮を脱出するが、イカロスは
気分が舞い上がって、あまり太陽に近づくなという父親の忠告を忘れてしまう。
やがて蝋が溶けて海に墜落し、溺れ死ぬ。

当時この話は愚かにも身体や地位の向上を野望する者の運命の譬え話として
理解されてたようだ。ブリューゲルのこの絵は人間の愚行を象徴している。

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2005.04.26

デルヴォー

56ベルギー王立美術館ではデルヴォーの名画を堪能した。縦、横のサイズが大きいので見ごたえがある。

ここには“民衆の声”、“ピグマリオン”、“戦火”、“夜汽車”など傑作が揃っている。どの絵にも目鼻立ちの整ったドールのような女性が登場する。

デルヴォーは誰もが知るマザーコンプレックス。夢の世界にでてくる女性はデルヴォーが35歳のとき死別した母親を
象徴しているという。人工的でひややかな感じのする女性であるが、豊満な裸体
をじっとみてると心がざわざわしてくる。女性ばかりみないで画面全体をみてみる
と、どこか醒めてる感じ。デキリコの形而上絵画の雰囲気がある。

ギリシャ神話の物語を題材にした右の“ピグマリオン”を興味深くみた。この絵は
ピグマリオンの話をひねっている。真ん中に立ってるのはヴィーナスの姿をした
母親。その前にあるのはデルヴォーをモデルとした大理石の彫刻。ヴィーナスは
彫刻に命を与えている。

本来のピグマリオン物語はこうなってる。彫刻家のピグマリオンは女性嫌いで
長らく独身を守っていたが、象牙で作った女性の彫像が素晴らしい出来栄えだっ
たので、その像に恋をしてしまう。なんとかこの恋を実らせんとピグマリオンは
ヴィーナスに自分の妻として、象牙の乙女のような女性を与えて下さいと懇願
する。心優しいヴィーナスはピグマリオンの願いを聞き入れて、彫像に命を吹
き込んでやる。彫像が生身の乙女に変わったのをみてピグマリオンは大喜び。
とてもいい話し。

デルヴォーの絵では登場人物の性が転換している。女性版ピグマリオンをシュ
ルレアリスム的に解釈すると、所有欲の強い母親の支配に耐え忍ぶデルヴォー
ということになる。

デルヴォーは50歳のとき、20年まえ母親から反対されて別れた恋人と偶然
会い、新しい人生をスタートさせる。この絵を通じて人間デルヴォーを見たような
気がする。

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2005.04.25

マグリット

55ベルギー王立美術館の現代絵画部門の目玉はベルギー生まれのシュルレアリスト、マグリットとデルボーの作品。数ではマグリットの方が多い。

ここにはマグリットの代表作がずらっとある。“光の帝国”、“アルンハイムの領土”など。作品をみてて、前にみたような感じがしてきた。日本に帰ってから分ったのだが、02年7月、Bunkamuraで開催されたマグリット展にこの王立美術館所蔵のものが数多く出品されていた。

今回、Bunkamuraの展覧会ではみられなかった面白い作品をいくつか観た。
その一つが右の“エリプス”。これは絵というより漫画といったほうがいい。
CMのクリエーターが喜びそうな絵。左手の上に手がまた描かれてるのに目
がいく。鼻が拳銃になっており、被ってる帽子は一つ目小僧。マグリットは
50歳の頃、こんな絵を描いていた。

シュルレアリスムの絵ではダリとマグリットがとくに気に入っている。奇人
のイメージのあるダリに対して、マグリッドは普通の社会人風。ワイシャツに
ネクタイをして絵を描いてたというから驚き。屋外でスケッチすることがな
かったそうだ。

マグリットの画風で面白いのはダリもしばしばみせるダブルイメージ。“アル
ンハイムの領土”では鷹の頭と山の稜線が重なっている。そして、このダブル
イメージよりもっと惹きつけられるのは、日常生活にある風景や物、人物
が部分的に切り取られ、画面の中に組み合わされてできる不思議な空間。

“光の帝国”は郊外にある池に面する屋敷を描いてるが、屋敷と周りの木々
は夜の風景なのに、空は白い雲がある青々とした昼の空になっている。
現実離れしてるので、頭が変になりそうだが、このアンマッチな絵は写実的
に描かれてることもあり、じっとみてると美しさを感じるようになる。不思議な
感覚である。

頭が柔らかく、超イマジネーション力を持つマグリットの絵にますます引き込
まれていく。

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2005.04.24

デルヴィル

54ベルギー象徴派の作品ではクノップフの愛撫が第一のターゲットだったが、彼より10歳若いデルヴィルの“悪魔の宝物”にも関心があった。しかし、残念ながらこの絵は展示されてなかった。

デルヴィルの作品はほとんど知らない。記憶にちゃんとあるのは96年Bunnkamuraであった象徴派展で見た数点のみ。作品のイメージはイギリスのブレイクの絵をもっと写実的に描いた感じだった。

王立美術館でデルヴィルの作品に会えず消化不良だったが、現在、
Bunnkamuraで開催中の“ベルギー象徴派展”でリカバリーショットのような
感動の一枚に出会った。それは右の“死せるオルフェウス”。今回、デル
ヴィルの絵は“帝権”、“栄華を司る天使”、“死せるオルフェウス”、“エレ
ウシスの女たち”、“パルジファル”がでている。

どれもいい絵。デルヴィルに対する評価がこの絵をみてグンと上がった。
こんな魅力的な絵を描く画家とは知らなかった。ベルギー象徴派のことが
すこしわかってきた。どうもクノップフとデルヴィルが飛びぬけてるようだ。

チラシをみて気になってた“死せるオルフェウス”は神秘的な絵。オルフェ
ウスの首を載せた竪琴は海に浮かんでいるのか、天空をさまよってるの
か?竪琴には綺麗な装飾文様が細工されている。画面全体は空とも海中
とも思わせるような青一色。上から光が当たり、青白くなったオルフェウス
の顔が光っているのが印象的。

ギリシャ神話にでてくるオルフェウス物語は絵画の画題によく取り上
げられる。悲劇から抜け出せないのがオルフェウスの可哀そうなところ。
妻のエウリュディケが蛇に噛まれて命を落とした際、冥界まで行き、
妻を返してもらうことになったのに、地上に着くまでは後ろを振り向かな
いという約束をつい忘れてしまい、寸前のところで妻は再び冥界に
戻されてしまう。

それ以後、絶望したオルフェウスはすべての女性を避ける。この潔癖症
がトラキアのバッカスの信者たちに嫌われ、八つ裂きにされてしまう。
そして、頭は川に投げ捨てられ、竪琴は天の星座になる。

この死せるオルフェウスはモローが描いた“オルフェウス”(オルセー美
術館)と共に忘れられない絵になった。

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2005.04.23

クノップフ

528ブリュッセルにあるベルギー王立美術館は魅力的な美術館だ。古典美術と現代美術に分けられているが、最初に入ったのは現代美術館。昔購入したラミューズの世界の美術館シリーズで目玉の絵を確認しながら、展示コーナーを進む。

どんな作品が飾ってあるのかと落ち着きの無い目でみていると、いきなり右のクノップ作“愛撫”がとびこんできた。お目当ての絵。50cm×150cmと
横長の画面に、一度みたら忘れられない、顔が美しい女性となっているチータが
描かれている。これはスフィンクスでオイディプスにみたてられた両性具有の青年
と頬を摺り寄せている。図録でみるとチータの黄金が輝いてるイメージだったが、
実際は逆に色が薄い感じ。

象徴派の絵を解釈するのは素人には難しい。観念を横においてみてもこの絵には
魅せられる。女とチータの組み合わせはケンタウロスにヒントを得たようなものだが、
クノップフは自分が愛した妹をこの女のモデルに使っている。このあたりが複雑。
この絵は1896年に制作され、1898の第一回ウイーン・分離派展で展示された。
クリムトも彼の絵を高く評価したという。

クノップフの絵はもう一点、“メモリー・芝生のテニス”があった。これも非現実的な
不思議な絵。7人の女性が広々とした芝生の一角にスポーティーな装いをし、
ラケットを持っている。女性は同一人物で妹の肖像。クノップフの絵には妹が
何度もでてくる。

このコーナーにラファエロ前派、バーン・ジョーンズが描いた“プシケの婚礼”が
あった。クノップフはラファエロ前派のハント、ワッツ、ロセッティ、バーン・ジョーンズと
交流があり、とくにバーン・ジョーンズとは仲が良かったらしい。クノップフはバーン
・ジョーンズの描く女の型、男性的な面差し、四角ばった顎、虚ろなまなざしをした女
に霊感をうけている。

これまで象徴派の絵をまとまってみたのは96年、Bunnkamuraでの企画展しか
なかったが、今回、クノップフの代表作“愛撫”とバーン・ジョーンズの名画が加わり、
象徴派の絵にだいぶ目が慣れてきた。明日はBunkamuraの象徴派展を見に行く
予定。

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2005.04.22

ゲント 神秘の子羊

52ファン・エイク兄弟が描いた“神秘の子羊”をゲントの聖バーフ大聖堂でみた。この絵には前々から関心があった。

この絵が幾度となくベルギーから離れ、数奇な運命をたどったということに興味がそそられるだけでなく、15世紀前半、フランドルではじまった油絵の最高傑作となると是非とも本物を観たくなる。

数奇な運命の極めつけは第2次世界大戦の末期、ナチスの手元にあった
神秘の子羊が寸前のところで爆破を逃れたこと。ヒトラーは1939年頃から
美術館建設を計画し、ヨーロッパ中から美術品を強奪してくる。神秘の子羊も
1942年、南ドイツのノイシュバンシュタイン城に運ばれる。

ドイツ敗北の色が濃くなった1944年、連合軍の爆撃をさけるため、この祭壇
画はオーストリアのアルトアウスゼー塩坑に移される。なぜここが選ばれた
かというと坑内は温度も湿度も一定し、保存に適していたため。1945年4月、
米軍が迫ってきたのでドイツ軍は塩坑全体を美術品もろとも爆破しようとし、
爆弾を運び入れる。このとき、オーストリア人の坑夫がひそかに爆弾を外に運び
出し、再び塩坑道が爆破されないように自分たちの手で坑道の入り口にダイナ
マイトを仕掛け、坑道をふさいだという。こうして、神秘の子羊は守られた。

バーフ大聖堂の中に入るのは無料だが、神秘の子羊を見るにはお金がいる。
20人も入れば一杯の礼拝堂にこの絵はある。門外不出。祭壇画は観音開き
になっている。中央のパネルの真ん中には祭壇が置かれその上に神の子羊
イエス・キリストが立っている。制作されたのは1432年。570年くらい経ってる
のになお鮮やかな色が残っている。

油絵の魅力をこれほど感じさせる絵はない。光沢をもった絵肌の質感に驚かされ
る。聖職者が着ている服装の赤、子羊の周りの木々、草花の緑、遠くに描かれた
山々の青に心が揺さぶられる。草花は写実的に細かいところまで描かれている。
ボッテイチェリの春にでてくる花をみるよう。

30分くらい近くに寄ったり、左右に動いたりしてじっくりみた。15世紀に写実的な
細密描写の絵があったとは。ダビンチのモナリザより70年前にこんな傑作がフラ
ンドルの地で制作されていた。絵画史への理解が一歩前進。

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2005.04.21

ブリュージュ

51北のヴェニスとも言われるブリュージュを訪れたのは2度目。この町は本当に美しい。世界遺産に登録されているマルクト広場にある州庁舎とブルク広場の市庁舎が圧巻。

右の州庁舎は19世紀、ネオ・ゴシック様式の建築スタイルで建てられた。屋根と正面の外壁の白色が実に優雅。そして、幾本もの尖塔が印象的。マルクト広場はブリュッセルのグラン・プラスよりずっといいような気がする。
鐘楼の反対側にある切妻屋根の古風な町並みは中世そのもの。昔はなかった?
馬車ツアーがここからでている。馬糞の匂いに閉口。

水の都、ブリュージュ観光の目玉は運河クルーズ。街を縦横に走る運河を
小さな遊覧船に乗り、約40分間中世ヨーロッパの世界にタイムスリップ。
古い町並みの中には木造の家も残っていた。

船を下りるとき、日本語によるガイドテープの最後の
文句は“船頭さんに心づけをよろしく”ときた。こうしたサービスにもチップを
要求されるとは。。。外国人観光客も払ってるのかな?英語で露骨に
チッププリーズなんて言うはずがない。言われなくても払うのが常識?
どうでもいいことに拘っている。

クルーズの後、聖母マリア教会を訪れた。ここにミケランジェロが制作した
大理石の彫刻“聖母子像”がある。昔、ここに来たはずなのだが、
肝心の聖母子像を見たという記憶がない。隣の方はちゃんと覚えているという。
何か別のことを考えてたのかもしれない。

イタリア以外の国にあるミケランジェロの彫刻はこの聖母子像と
サンクトペテルブルグ、エルミタージュ美術館の“うずくまる少年”の2点のみ。
うずくまる少年は以前見た。“聖母子像”はヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂
にある“ピエタ”を彷彿させる傑作。ここでミケランジェロの彫刻に会えるとは
聖母マリアに感謝。

中世の町並み、色鮮やかなゴシック建築、運河、ミケランジェロ、豪華な
ブリュージュ観光であった。

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2005.04.19

アントワープ大聖堂のルーベンス

50バロックの巨匠、ルーベンスの最高傑作があるアントワープ大聖堂を訪れた。ルーベンスの絵はルーブル、ミュンヘンのアルナ・ピナコテーク、プラド、ウイーン美術史などで代表作を見ることができる。

だが、ひとつ傑作が欠けている。それはアントワープに行かないと見れない“十字架降下”。今回、やっとこの名画に会えた。アントワープ大聖堂にはルーベンスの絵が4枚飾ってある。
いずれも大きな祭壇画。“十字架昇架”、右の“十字架降下”、“聖母被昇天”、
“キリストの復活”。

一番のお気に入りは十字架降下。3連画になっており、真ん中のパネルが
十字架降下。十字架から降ろされる青白くなったキリストと白い布、キリストを
下から支える男が着ている真っ赤な服に目を奪われる。ルーベンスはローマ
で彫刻や浮き彫りから肉体の表現を学んでおり、キリストのポーズはヴァティ
カン美術館にある“ラオコーン”を借用している。

この理想的な肉体にくわえ、キリストを斜めにおく対角線構図が劇的効果を
一層高めている。そして、キリストの足を支えるマグダラのマリアがいる。
聖母マリアの顔はキリストと同じように青白くなっているが、マグダラのマリア
のほうは亜麻色の髪が美しく、死せるキリストをじっとみている。キリストの足
を髪で拭いたという話しを連想させる。いままでみたルーベンスの絵でこれ
ほど感動した絵はない。ここに来れて本当によかった。

日本では“フランダースの犬”でルーベンスの絵を思い浮かべる人が多い。
1872年、英国の女性作家ウイーダによって書かれたこの小説はフランダー
ス地方ではほとんど知られてなかったようだ。1985年にようやくオランダ語
に翻訳され、子供むけの漫画本が出版された。ネロ少年があこがれたルー
ベンスの祭壇画。クリスマスイブのミサが終わった後、少年は月の光に照
らされた絵を見ながら息絶える。

大聖堂の前にフランダースの犬の碑があり、日本語で碑文が書かれていた。
制作費を出したスポンサーは世界のトヨタ。

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2005.04.18

レンブラントのスザンナ

49オランダ古典絵画の巨匠、レンブラントとフェルメールの絵が存分に楽しめるのがこのツアーのいいところ。アムステルダム国立美術館とマウリッツハイス美術館では2人の作品は別格の扱いになっている。

マウリッツハイスのレンブラントコレクションは国立美術館に劣らず、名作が揃っている。レンブラントの絵で人間くささを一番感じるのは晩年の自画像と右の“スザンナ”。
残念ながら1669年の自画像は見れなかったが、後年は苦労の多かった
レンブラントの寂しげな顔が心をうつ。

“スザンナ”も印象深い作品。この絵を観るのは2度目。03年、西洋国立美術館
で開催されたレンブラント展ではじめてこの絵に接したときは、かなり驚いた。
レンブラントの絵といえば肖像画、自画像、聖書物語を光と影の演出で人物の
内面をも描いたというのが一般的な評価である。が、その心の状態が聖書物語だ
といまひとつピントこない。でも、このスザンナは画題は旧約聖書からとってるが、
スザンナの怯えた表情がストレートにこちらに伝わってくる。

スザンナは純潔の象徴。沐浴中に二人の長老から関係を迫られたスザンナは、
純潔を守ったがために無実の罪に陥れられるが、最後は預言者ダニエルに
救われる。画面の右の藪のなかに隠れてスザンナを見ている長老を配してる。

ウイーン美術史美術館でみたティントレットの同じ名前の絵はスザンナの白い肌
がなんとも美しくかつ官能的だった。ティントレットに比べればレンブラントのスザ
ンナのほうが絵のなかに入っていける。長老の誘惑に怯えるスザンナの姿が痛
ましい。レンブラントライト効果が良く出ている作品ではなかろうか。

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2005.04.17

フェルメールのデルフトの眺望

182期待のマウリッツハイス美術館を訪れた。北海に面したデン・ハーグ市にある。あまり大きな美術館ではないが、所蔵する作品はオランダ絵画の傑作が揃っている。

レンブラント、フェルメール、ハルス、ロイスダール、ステーン、アーフェルカンプ。。

とくにレンブラントの絵が多い。レンブラントの出世作となった“テュルプ博士の
解剖学講義”、“スザンナ”、“老人像”、“シメオンの賛歌”、“自画像”(若いころ)。
どれもいい絵。最も見たかった晩年の自画像(1669年)はなかった。どういうわ
けかアムステルダムの国立美術館でも“使徒パウロとしての自画像”(1661年)
にお目にかかれなかった。ツイてない。

ハルスの“笑う少年”は小さな絵だが、無邪気な笑いにおもわずこちらの口元が
ゆるむ。当時、笑う人物を絵にするなんて勇気がいることだと思うが、ハルスは
これを最初におこなった。しかも、印象派のような描き方で。ゴッホはアムステル
ダム美にあるハルスが描いた集団肖像画をみて、感激したという。

当マウリッツハイス美術館の自慢はフェルメールの作品。3点ある。“デルフトの眺
望”、“真珠の耳飾りの少女”、“ディアナとニンフたち”。いつも3点飾ってあるこの
部屋になんとウイーン美術史美術館所蔵の傑作“絵画芸術の寓意”があった。
まったく予期せぬビッグな展示。

96年、ここでフェルメール展が開催された時、この絵画芸術はコンディションが悪く
出品されなかったので、9年ぶりのお目見え。フェルメール作品のトップの傑作、
真珠の耳飾り、デルフト、絵画芸術が一度に見られるなんて夢のよう。真珠の耳
飾り、絵画芸術は過去見たので、はじめて観る右の“デルフトの眺望”に神経を
集中。

噂には聞いていたが、見事な風景画。マルセル・プルーストがこの絵は世界で
一番の風景画と言ったというが、全く同感。西洋画のなかで好きな風景画といえ
ばこれまではモネの作品だったが、このデルフトの眺望はモネよりいいかもし
れない。光の表現がとにかく凄い。真ん中、中景の建物の屋根のレンガは明る
く輝いている。空の青には高価なウルトラマリンブルーが使われている。

画面の大半を占める空に大きく広がった白い雲が印象的。川に面してたつ建物
のレンガ色、茶褐色が実にここちよい。また、川に浮かぶ船は点描にように描
かれ、光っている。印象派の絵を先取りしてる感じ。構図も巧み。手前に砂浜を
描き、奥行き感をだしている。何か話をしている女性、船に乗り込もうとしてる
人たちに目がいき、質感が素晴らしい建物、明るい空に心うたれる。

フェルメールは他のオランダの画家には思いもつかなかったこんな風景画を20代
の終わりに描いた。感動200%の傑作。

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2005.04.16

キューケンホフ公園

47スキポール空港から南西に40kmくらい行ったところに世界最大の球根花公園、キューケンホフ公園がある。1年まえからここの花を見たいと思い、この公園が開園となるタイミングでツアー参加を申し込んだ。

今年は3/25からオープンしたばかりなので(5/20まで)、果たして期待のチューリップはちゃんと咲いてるだろうかと少し心配だった。でも、4/3、朝一番乗りで入園し、広い公園を進むとその心配
はすぐに解消された。チューリップ、水仙、ヒヤシンスなどの花による美しい色の
ハーモニーが眼前にひろがる。赤、黄色、白、ピンク、紫とまさに色の洪水。花には
詳しい隣の方に感激した花の名前を確認しながら散策。

いくつかある温室パビリオンにある花は外に咲いてるチューリップなどに比べ満開
状態で、種類も色も豊富。この花園にいると心が洗われるような気がする。一番
大きなパビリオンをでると目の前に風車が見えてくる。係りの人が風車を回
してくれる。ここで写真を一枚二枚。余計なことだが、子供をつれた若い中国人も
シャッターを押していた。

風車に登ってみるとあたり一面が見渡せる。周囲は球根栽培畑が広がり、黄色や
赤の絨毯が敷き詰められたようにみえる。このチューリップの絨毯を見たくて、
オランダ、ベルギー旅行を選んだ。右の写真も綺麗にみえるが、実際の風景は
もっと美しい。赤や黄色のチューリップや水仙をみて、オランダにたいする見方が
変わった。

22年前、アムステルダムの町や近隣の風車を見たときは、暗い感じがした。
建物の壁の色はレンガ色、土色が多いので質実剛健なイメージが強かった。
が、オランダにもこんな綺麗な花畑があった。

あまりに色が鮮やかなので、ふとゴッホやモンドリアンの絵を思い出した。ゴッホは
オランダ人だからここのチューリップを見たのだろうか?黄色いチューリップがゴッホの
イエローパワーを生み出した?モンドリアンの“ブロードウェイブギウギ”に出て
くる交差する線が黄色をベースにしてるのは球根畑の花の影響?

ここでみた美しい花の風景は一生の思い出になるだろう。いつかまた訪れたい。

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2005.04.15

デ・キリコ

46アムステルダム観光の自由行動ではアムステルダム市立美術館に出かけた。ガイドブックによると、ここには近代、現代絵画の名画がいくつもあるようだ。

何年か前、広島であったこの美術館所蔵展でシャガールの“7本指の自画像”という不思議な作品やゴッホのいい絵をみた。で、ここでまたシャガールの名画に会えると期待をふくらませて入館した。

現在、アムステルダム市立美は改装中のため、所蔵品の展示は中央駅から歩いて
15分くらいの郵便局のホールに飾ってある。仮展示のため、期間に分けて作品をロ
ーテーションする。今回の出品作には残念ながらシャガールの絵は1点もなかった。

印象派、象徴派からシュルレアリスム、キュビズム、現代アートまでビッグネームの
画家の作品が一通り揃っている。足が止まったのはドンゲン、デ・キリコ、ドローネー、
デュシャン、ポロック、アペル、ニューマン、イブ・クライン、ケリーなどの作品。意外に
もオランダ人画家のモンドリアンの絵にお目にかかれなかった。

頭に抱いてた画家には裏切られたが、デ・キリコが描いた右の“考古学者”で救われ
た。デ・キリコの作品に接する機会は少ない。手元の画集に載ってる絵を眺めるとまだ
2割くらいしか観てない。この考古学者と似たようなのが画集に3点でていた。

この絵は1929年に描かれている。2つのマネキンの腕は長く、足は異常に短い。
まず、これにおやっとする。胴部をギリシャ神殿のような風景が貫ぬいてるのがかなり
シュール。マグリットの絵をみるよう。卵のようななめらかな頭部は大原美術館にある
“ヘクトルとアンドロマケの別れ”にでてくる無機質的なマネキンとは違い、人間ぽくは
あるが、ちょっと不気味。

これまでマグリットのシュールさが最高と思っていたが、マグリットはデ・キリコから
霊感を得たのかもしれない。これは大きな発見。

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2005.04.14

エゴン・シーレ展

348ゴッホ美術館の新館でエゴン・シーレ展をやっていた(3/25~6/19)。オランダでシーレの大規模な回顧展が開かれるのははじめてらしい。

お目当てのゴッホの作品を観た後、急いで観賞した。思わぬビッグなオマケに得した気分。会場にはウイーンのアルベリティナ・コレクションから水彩、グワッシュ、素描、油彩が沢山飾られている。

興味深かったのはシーレがゴッホの絵に触発されて描いた作品。一つは
ゴッホの“寝室”の影響をうけた“画家の部屋”。もう一点はひまわりを意識
した同名の絵。シーレはゴッホの寝室を1909年、ウイーンで開催された
国際クンストシャウ、ウイーン展で見たらしい。シーレが寝室に霊感を得て
描いた“画家の部屋”は赤や紫が印象的で、なかなかいい絵。

“ひまわり”は95年、日本であった“ウイーンのジャポニスム展”で一度みた。
その時はシーレがゴッホのひまわりの影響をうけたことは知らなかった。ウイ
ーンやドイツの表現主義画家にとってゴッホの絵はかなり刺激的だったのだ
ろう。

最後のコーナーには名画が目白押し。昨年訪れたウイーンのベルヴェデーレ
美術館で感動した“4本の樹”にまた出会った(拙ブログ05/2/5)。
また、この美術館からは代表作“窓”も出品されている。シーレは自画像を
はじめとする強烈な印象を与える人物画を数多く描いた。どぎつい表現がドン
とでてくるのであまり長くみてられないという場面もある。こうした絵ばかりみて
るとシーレはちょっと苦手ということになる。

ここに出ていた作品は日本で観たのとくらべると、マイルドで綺麗な絵が多か
った。オランダで最初のシーレ展なので主催者は気を使ったのだろうか?右の
絵“縞模様の服を着たエディット・シーレ”に魅せられた。1915年、シーレは
エディットと結婚し、この肖像画を描いている。エディットの着ている服の色合い
にうっとり。赤、緑、紫、、黄色の縞模様をみるとマチスばりのカラリストの天分
を感じる。外見よりも内面を強くだした他の人物画とくらべ、この絵に描かれた
妻は静けさをたたえている。

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2005.04.13

ゴッホ美術館のドンゲン

218アムステルダムのゴッホ美術館はゴッホの作品だけでなく、印象派の画家などのいい絵が結構揃っている。

お気に入りはモネの3点、その1点“球根畑と風車”が今、東近美のゴッホ展に展示されている。昨年この絵をここで観た時はワオーてな感じで、大変感激した。色使い、筆のタッチはモネもゴッホも変わらない。ゴッホがこの絵を描いたと言われても分からないかもしれない。

点描画家、スーラの“クールボアのセーヌ河”は小さな絵だが色の組み
合わせが秀逸。ゴッホと仲がよかったロートレックの作品にもいいのがある。
ひとつは“ゴッホの自画像”、もう1点は“テーブルのそばの若い女性”。

この美術館はルドンなど象徴主義の芸術家の作品やゴッホの影響を受けた
オランダ人画家の絵も収集している。右の絵はキース・ヴァン・ドンゲンが
描いた“画家の妻、ヒュース・プライテインゲルの肖像”。ロッテルダム生まれ
のドンゲン(1877~1968)はゴッホの強烈な色彩に触発され、マティス、
ブラマンク、ドランらと共にフォービズムと呼ばれる新しい絵を描きはじめる。

1911年頃制作されたこの妻の肖像画を昨年見たときはドキッとした。フォー
ビスムらしく背景には赤を使い、衣装の青、肌の白と強いコントラスをなして
いる。女性は官能的で洒落ている。ドンゲンの絵をみる機会は少ないのだが、
この絵はエルミタージュ美術館(拙ブログ04/12/30)にある絵と同じくら
い魅力的。

ドンゲンという画家には竹久夢二の“黒船屋”という絵をレビューしてる時、
偶然出会った。その後、この画家の絵が高いレベルにあることに気づいた。
自由行動のとき訪ねたアムステルダム市立美術館にも女性を描いたいい絵
があった。ドンゲンの作品をいくつも観れたのはこの旅行の大きな収穫。

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2005.04.12

ゴッホ美術館

43ゴッホ美術館入場はアムステルダム観光の目玉。ここは昨年10月にも訪問したので、今回は他の人とは離れ頭に入ってる展示コーナーを効率的に回った。

2階はいつも混雑している。飾られている絵はあれもこれも教科書やカタログに載ってるおなじみの作品。まさに名画のオンパレード。

時代順に並べられているので、ゴッホの画業の変遷が良く分かる。オランダ時代
の傑作、“じゃがいもを食べる人たち”、パリで描いた“クリシー大通り”などに足
が止まる。そして、ハイライトであるアルル時代の絵があるところにくると、もう気分
は最高潮。

イエローパワー溢れる“ひまわり”、“寝室”、“収穫”や“種まく人”に釘づけになる。
時間が限られてるので次のサン・レミ、オーヴェール・シュル・オワーズ時代の作品
へと急ぐ。ここも名画が揃っている。“花咲くアーモンド”、“アイリス”、“荒れ模様
の空の麦畑”、“カラスの群れ飛ぶ麦畑”。

右の絵は非常に魅せられた“収穫”。アルルに近いラ・クローの広大な平野を描い
た見事な風景画である。昨年も感動したが、今回も心うたれた。見渡す限り、黄色
と緑の畑。中央に描かれた青色の荷車、赤の犂(すき)が強いアクセントになって
いる。中景には馬車や収穫に精をだす農夫たちが描かれ、遠景の丘や空の青は
畑の黄色や緑とうまく調和している。上の空の部分がすくないため、奥行き感が
あり、高い地点から風景を眺めているような感じがする。

ゴッホはこの絵を最も成功した作品のひとつと見なしていたようで、弟のテオへの
手紙に“この絵に比べると、他の絵はみんな負けてしまう”と書いている。

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2005.04.11

アムステルダム国立美術館のフェルメール

42改装のため展示作品を絞っているアムステルダム国立美術館に足を運ぶ人のお目当てはオランダが世界に誇る巨匠レンブラントとフェルメールの絵。

世界中からやってくる美術愛好家のため、この2人の画家の展示スペースは確保されている。実はこの美術館が大規模な改装を08年までやるとの情報を得ていたので、会場に入るまでひょっとしてレンブラント、フェルメールの絵も全部観賞できないのではと心配していた。

フェルメールの絵は3枚飾ってある。“小路”、“牛乳を注ぐ女”、“手紙を読む女”。
もう1点、“恋文”があるはずだが、残念ながらお目にかかれなかった。この絵は
確か、Takさんが観に行かれたフランクフルトのシュテーデル美術館に貸し出し中。

牛乳を注ぐ女の画題はありふれた日常生活のひとコマ。でも、絵の仕上がりは
超一級。女性が着ている服の黄色、青が鮮やかで、テーブルにあるバスケットや
パンに光があたりきらきらしている。レンブラントの光と影の演出とは異なり、光を
効果的に使い明るい色調で質感を巧みに表現している。また、構図のとりかたも
いい。左上にちょこっと窓を見せ、、奥行きのある空間をつくり、ほぼ真ん中に牛乳
を注ぐ女性をもってきている。

22年まえに観た時はまだ絵を観るセンスがなかったが、最近は多少目が肥えて
きたので、この絵の素晴らしさがわかってきた。フェルメールのなかではやはり
1,2位にランクされる傑作ではなかろうか。

フェルメールを再発見したのはフランス人批評家トレ・ビュルガー。1866年に書か
れた論文でフェルメールの絵画が注目されるようになった。当時パリでは歴史画
よりも風俗画が好まれており、フェルメールが描いた市民絵画に魅せられる人が
多くいたようだ。

フェルメールよりも少し前に生まれたラ・トゥールも1630年代“女占い師”や“女い
かさま師”など風俗画の傑作を残している。フランスでフェルメールが見直されたと
いうのも面白い。日本のラ・トゥール展とアムステルダム美術館で風俗画の名画
をみせてもらった。

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2005.04.10

レンブラントの夜警

414/1からオランダ、ベルギーを旅してきた。申し込んだツアーの売りは花と名画との出会い。花はキューエンホフ公園に咲く水仙やチューリップ。そして、名画はレンブラント、ゴッホ、フェルメール、ルーベンス、ファン・エイクの巨匠が描いた傑作。

感激は花だけでなく、団子にもある。ベルギーの美味しいビール、ムール貝、甘くてとろける味のチョコレート。旅行には三つの楽しみがあるという。
行く前の期待感、現地での感動、最後に帰ってから思い出に浸る楽しみ。で、
旅の楽しみを簡単な旅行記でリフレインし、名画や素晴らしい風景でうけた感動
をパック詰めにしておこう。

最初に訪れたのはアムステルダム。この町に来たのは3回目。昨年10月にも
来た。アムステルダム国立美術館、ゴッホ美術館に行けるのが嬉しくてたまら
ない。国立美術館のほうは、現在建物を大改修のため、美術館の一部を使って
作品を展示中。

昔、入場したところとは全然違うので、全く新しい美術館を訪れたような感じ。
入館すると、心はレンブラントの“夜警”へとはやる。この美術館では現地のガイ
ドさんが絵画の説明をしてもいいことになっているが、話は半分聞くと、どんどん
先行して夜警のコーナーにたどりついた。

22年ぶりにこの絵を観た。真ん中にいる隊長と副隊長だけに左斜め上から光が
当っている。この絵には34人が描かれているが、この2人だけが一歩前にいて、
動き出すような感じがする。隊長が“前に進め”と号令をだした一瞬がドラマチッ
クに描かれている。これまでの集団肖像画とはあきらかに違う。隊長、隊員と
一人の少女の表情や動きを光と影で演出し、内面の感情までも描きだしている
のが凄い。

レンブラントの他の作品にも感じることだが、副隊長が着ている黄金色の衣装の
質感に驚かされる。レンブラントの画才の高さにあらためて感服した。

今旅行の日程は
アムステルダム ー キューケンホフ公園 ー ハーグ ー キンデルダイクの
風車ーアントワープ ー ブリュージュ ー ゲント ー ブリュッセル。

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