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2005.03.06

尾形光琳の紅白梅図屏風

Scan10045熱海のMOA美術館に行き、念願の紅白梅図屏を観てきた。尾形光琳が最晩年に描いたというこの紅白梅図は、科学調査により新事実が明らかになり、専門家、美術愛好家の関心が高まっている。

実物をみると右隻、左隻とも屏風の折れ目のところに小さな損傷が数箇所
ある。これは意外だった。宗達の“風神雷神図”のほうがコンディションは
ずっといい。金地、真ん中の流水の色がもっと鮮やかな感じをイメージしていたが、
300年の歳月相応に色が落ちていた。

目は梅の老木にいく。右にある紅梅の枝は上にむかって伸び、赤い光琳梅を
咲かせてるのに対し、左の白梅のほうは太い幹の大半は画面の外にはみ
だしている。上から枝が垂れ下がり、細くなった先端はまた上のほうに折れ
曲がっている。カットされた部分をあわせて考えるとこの白梅の木はかなり
ダイナミックな姿をしてることになる。もちろんそんな木はない。
全体の構成を考え、古木の生命力をこういう形で表現したのであろう。
やはり光琳のデザイン感覚は凄い。

綿密な科学調査によりこれまで信じられてきた定説はいくつも崩れた。金箔と
思われていた金地はかりやすという植物染料のうえから金泥を塗ったものだった。
光琳は秀れた技をもつ職人をつかって、金箔のように見せかけていた。

また、老木の黒いところは墨とみられていたが、実際は緑青を焼いて灰色や
黒に変色させて用いていた。この焼き緑青だと墨では得られない古木の質感が
出せるからだという。光琳は宗達が開発した“たらし込み”の効果をある
工夫によってさらにあげた。その工夫が金泥である。たらし込みというのは絵具に
水をたっぷり含ませて描き、乾いていくときにあらわれるムラやにじみで
幹の質感をだそうとする技法。金箔にたらし込みをやっても、水の吸い込
みが悪いのでムラ、にじみがでない。

光琳はこの絵で梅の木を写実的に描きたかった。宗達よりレヴェルアップした
たらし込みにより生き生きとした感じを出そうとした。このために金泥にしたのである。
そして、金箔にみえるように描いた。

今回は紅白梅図の前に30分くらいいて、解き明かされた謎を考えながら隅から
隅までみた。素人には(専門家でも?)金箔のようにしか見えないが、金泥なの
だそうだ。新発見があった後だけにこの名画には2倍の関心をもってみた。
紅白梅図も観れたので琳派の名画鑑賞は小休止。

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コメント

こんばんは。
行ってこられましたね!熱海。
もう梅もしっかり咲いていましたよね?

感想にも書かれていますが、
あの絵金箔にしか見えません。
そうでないと分かっていて
私も近寄ってあれこれ角度を変えて
見たりしたのですが、やはり金箔でした。

光琳は何を意図して描いたのでしょうね?
なぞはなぞのままでもいいような気がしてきました。

投稿: Tak | 2005.03.06 22:43

to Takさん
今日は朝からはやる気持ちをおさえてクルマを運転しました。
紅白梅図をやっとみることが出来ました。金地と梅の古木に注目して
観ました。たらし込みがポイントだということがNHKの特集(04年8月)
をみて分かりました。

様式化した流水と写実的に描いた梅の木をどうやって融合させるかと
いうのが光琳の晩年のテーマだったのでしょうか。装飾的な絵を描
いた光琳でも最後は梅の木をたらし込みをつかって写実的に描きたかっ
たのかなと思いました。画技についてはわかっきましたが、この紅白梅図
で何を象徴的に描きたかったのかは謎ですね。2週間前の日曜美術館で
これをとり上げてましたが。いずれの説も説得力があるようで、無いようで。
私は様式と写実の統合のほうに関心があります。

投稿: いづつや | 2005.03.06 23:31

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