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2005.03.18

ラ・トゥールのマグダラのマリア

32先週の日曜日に見たラ・トゥールの絵が今、頭の中のかなりの部分を占めている。今回の展覧会は世界的にみて、96年のワシントン展、97年パリ展以来の大規模な回顧展なのだそうだ。

美術評論家たちは何回も足を運んでるのではないかと思う。ラ・トゥールの研究で名が売れてる人は誰れ?作品が少ないせいかこの画家の本があまりない。カラヴァッジョの宮下氏とかフェルメールの小林女史のような
美術史家の著作を読んでみたいのだが。謎の画家なので研究も一筋縄では
いかないのだろうか。とりあえず、最近出たラ・トゥール本(創元社、知の再発見
双書)と図録を丹念にレビューしてみよう。

出展作品については年代が書かれてないので、描かれた絵の前後関係がわか
らない。右は夜の情景作品で“聖ヨセフの夢”と共に心に強く残った“書物のあ
るマグダラのマリア”。いつごろ描かれたのだろうか。ルーブルにある“灯火の
前のマグダラのマリア”が1640年ごろなのでこの頃の作品かもしれない。

マグダラのマリアは多くの画家が画題にしている。これまで観た絵ではティティ
アーノ、カラヴァッジョの作品が一番印象深い。カラヴァッジョが描いた“マグダラ
のマリアの法悦”(1606)を観たときの衝撃度はマグニチュード7級。この絵
の連鎖でベルニーニの彫刻“マグダラのマリア”が次回ローマ訪問の主要ター
ゲットになってしまった。

フランス人のラ・トゥールが描いたマグダラはこれまでの作品とは趣きが随分
ちがう。カラヴァッジョからは光の効果の影響を受けてるが、画面構成や人物の
描き方はラ・トゥール独自のもの。“書物のあるマグダラ”では長い綺麗な髪に
見惚れる。マグダラのマリアといえば長い髪と髑髏と書物が定番であるが、
このマリアの髪はシャンプーのCMに出てくる美しい黒髪を連想させる。横顔の
大半はその髪で隠れ、目すら見せない。蝋燭の炎で照らされた髑髏を両手で
さわり、じっとみつめているマリア。素朴で静謐な感じのする絵である。

“荒野の洗礼者聖ヨハネ”に描かれたヨハネの髪がマリアの髪のように長く、
そして綺麗。ヨハネは男性なのにどうして女性の髪を描いたのか?興味ある
テーマがみつかった。しばらくconcernしよう。

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コメント

いづつやさん、こんばんは。「ラ・トゥール展」が嬉しくて、再び観に行ってしまいました。
METやルーヴルの「マグダラのマリア」を観てしまうと、今回展示の「書物のあるマグダラのマリア」が少々地味に見えてしまいましたが、ロウソクの灯りが書物を捲ってしまったり、頁から透けて見えたりと、細やかな描写も楽しめる好作品でしたよね。表情豊かな美しいサラサラ髪は見えない顔の表情を代弁しているかのように思えます。
で、同じサラサラ髪の洗礼者聖ヨハネですが、図録ではCARAVAGGIOのコルシーニ絵画館作品が参考作品として載っていましたが、どちらかと言うとカンサスシティ作品の構図に似ていると思われませんか?
http://www.wga.hu/html/c/caravagg/07/41baptis.html
レオナルド・ダ・ヴィンチの「洗礼者聖ヨハネ」は同じ長髪でもくりくり巻き毛でしたが、ラ・トゥールのさらさら長髪はかえって洗礼者の清楚で真摯な面差しを伝え、とても効果的だと思いました。
あの…私的に思うのですが、当時「荒野の洗礼者聖ヨハネ」のテーマは美少年を描くための口実だったんじゃないでしょうかね?(^^;;;

ところで、ラ・トゥール研究と言えば田中英道氏の「冬の闇―夜の画家ラ・トゥールとの対話―」(新潮社、1972年)が有名ですが、以前入手できなくて、東京都図書館で読みました。読み応えのある内容でした。

投稿: June | 2005.03.22 02:27

to Juneさん
こんばんは。ラ・トゥール展にまた行かれましたか。私ももう一回
観ようと思ってます。こんなにラ・トゥールの作品が観られるなんて2度と
ないでしょうから。

マグダラのマリアはやはりJuneさんのおっしゃるようにルーブルと
メトロポリタンの絵が一番いいですね。この書物の前のマグダラは
蝋燭の炎の先が揺れて曲がっているのと顔が見えないことが非常に
気になります。蝋燭の炎を光源にした絵はユトレヒトのカラヴァッジェスキ、
ホントホルンストの影響でしょうね。昔、エルミタージュ美術館で
ホントホルンストが幼いキリストが蝋燭を持っている場面を描いた絵をみました。
印象に残るいい絵です。

ラ・トゥールはこの先行例の登場人物をマグダラのマリアに変え、
聖女らしくない、長い髪をした女として描いています。部屋に
飾っておきたくなる絵ですね。女性画に弱いものですから、METか
ルーブルの絵が目の前にあったらなあとつい夢をみてしまいます。

洗礼者ヨハネの構図はカンサスシテイのほうがご指摘のとうり似てますね。
美少年を描きたいという潜在的欲求はあるでしょうね。この絵を
最初みたとき、女性と見間違えました。髪もマグダラと同じ質感ですので。

興味の尽きない絵がいくつもありますので、ラ・トゥールを
カラヴァッジョのように時間をかけてレビューしようと思ってます。
お示し頂いた関連本や専門家の著作をあたってみます。有難うございました。

投稿: いづつや | 2005.03.22 21:44

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