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2005.03.31

サッカーワールドカップ予選 日本対バーレーン戦

ワールドカップ予選、日本対バーレーン戦を興奮してみた。後半、点が入った瞬間は
誰が入れたのかわからなかった。解説者の言葉で相手の自殺点に気がついた。
相手のミスでも、ゴールはゴールだから大拍手。やはり、嬉しい。オリンピックで
選手が金メダルをとったときの感動と似ている。このあたりがプロ野球の観戦と
ちがうところ。

個々の選手で目を引いたのが中村選手。3バックとか、4バックとか戦術のことはよく
分からないのだが、この選手が前線にいい球を出していた。素人目にも彼がだす
柔らかいキックから得点がうまれるような予感がする。それと三都主、彼のボール
をキープするテクニックは素晴らしい。左からの攻めはいつも彼が起点になっていた。

中田英の動きもイラン戦とは見違えるようによかった。この選手の凄いところは強靭な
体力。とにかく、かなりのハードアタックにも倒れない。そして、味方の選手、相手方
の動きを読むのが上手く、いいところにパスをだす。中田、中村のN&Nが
日本チームの軸であることに間違いない。

次回の戦いで奮起を促がしたいにが高原選手。FWらしく、点をとってほしい。この
選手はビッグゲームに弱いのかな?頑張って欲しい。
日本はこの勝利により勝ち点6で2位となった。イランをホームで破り、1位で予選を
通過したい。6月以降の3戦に目が離せない。

4/1から9まで、拙ブログはお休みいたします。

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2005.03.30

平家納経と俵屋宗達

40東京芸大美術館で3/25から厳島神社国宝展をやっている。昨年9月の台風18号により厳島神社も大きな被害をうけ、その修復に8億円くらい必要となるという。で、復興支援としてこの展覧会が企画され、奈良国立博物館と芸大美術館で実施されることとなった。

以前にも同じ台風で大事な国宝が壊れ、復旧に時間がかかった。ここ10年、厳島神社は台風に泣かされ続けている。広島に9年住んだので、
損傷した厳島神社を見ると心が痛む。

所蔵する国宝、重文を総ざらいみせるのは、厳島神社が世界遺産に登録され
たのを記念し、1997年地元の県立美術館で展示して以来のこと。
装飾経の傑作“平家納経”、鎧、刀、能装束など見ごたえのある宝物が
沢山出ている。一番の目玉は国宝“平家納経”。17巻が4期にわけて常時
4,5巻ずつ展示される。この平家納経は過去2回みた。濃厚に描かれた
装飾画に感動する。金銀泥の地に鮮やかな緑、紺、白、赤、で彩色されている。

右はそのひとつ“平清盛願文”の見返。これは1602年、福島正則がすすめた
平家納経補修事業で俵屋宗達が手がけた作品。背を丸くした鹿の描き方
から宗達の絵ということがいまでは定説になっている。単純にして雅な感じを出し
ているのが宗達流。斜めに切られた下の部分は銀泥塗りにし、鹿の足元
には墨で草むらを描いている。鹿の背には銀泥の斑文がある。上のほうは
金泥の地に銀泥で雲を描き、さらに金の砂子をかぶせている。

今回の出展数は通常の展覧会に比べると物足りないかもしれないが、質が
一級なので感動の総量は大きい。なお、この企画展は5/8まで。

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2005.03.29

ルネ・ラリック展

224京都駅ビルに入っている伊勢丹の7階でルネ・ラリク展というのをやっていた(3/28まで)。正確には美術館「えき」KYOTOの企画展。こんなところに美術館があるとは知らなかった。箱根でみたラリック作品がいまひとつぐっとこなかったので、口直しのつもりで入ってみた。

展示の大半はガラス工芸。魅力的なのが一杯ある。箱根の専門館にもガラス工芸の名品が揃ってたが、ここの造形の美しさ
にも釘づけになる。ラリックは宝飾品で名をなした後、50歳頃からガラス工芸
作家に転向し、透明ガラスで光の表現を追求する。造形に多く使われたのが
裸体の女性。

そのなかで魅せられたのが右の“三足鉢・セイレン”。ギリシャ神話にでてくる
美しい歌声で船乗りを誘惑するセイレンを、透明ガラスのなかに人魚の姿で
表現している。これは代表作のひとつだそうだ。じっと見てると目の前に人魚が
ゆらゆら動いてるように見える。

この作品のとなりにはオウムやインコをモティーフにした綺麗な花瓶がある。
また、光の角度でガラスの色がブルーになったり、オレンジ色になったりする
オパルセント・ガラスを使った作品が素晴らしい。裸婦を形どった花瓶や立像
は見る位置により色が変わる。このオパルセント・ガラスは1925年頃から
ラリックが使い、アール・デコ期に大流行したらしい。

このほかにも、香水瓶、カーマスコット、時計などにラリックが創作した優雅で
モダンな造形美をみることができる。この展覧会はこの後、日本橋高島屋に
巡回する(3/30~4/11まで)。

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2005.03.28

堂本印象美術館

38京都国立博物館を出たあと、立命館大学の前にある堂本印象美術館を訪ねた。15年くらい前、一度来たことがある。ここで今、堂本印象の画業展をやっている(3/15~10/2)。印象の初期から晩年までの代表作が間隔をおいて長期間展示される。

代表作のなかで人気の絵が右の“木華開耶媛”(このはなさくやひめ)。前々から追っかけていた作品だが、この美術館のHPを検索したら、運よく
でていた。4/3まで。木華開耶媛は日本神話にでてくる女神。春満開を示
す桜の木の下で、白の衣装を着た美しい女神がポーズをとるようにたんぽぽや
つくしが生える野の上に座っている。なんと優雅ですがすがしい絵だろう。

桜の幹がたらす込みのように描かれ、琳派の絵をみるよう。色調は違うが
土田麦僊作の“湯女”(東京国立近代美術館蔵)を思い出す。女神が大和絵に
出てくる女御のようでなく、身の周りから見つけられそうな女性のように
描かれているのでこの絵にすっと入っていける。桜の下でモデルが演ずる
木華開耶媛の撮影会に居合わせた感じ。

堂本印象という画家は晩年、モンドリアンのような抽象絵画を描き、あっと
驚く変身をやってのけた。そして、代表作の一つ“交響”を描きあげる。
また、西芳寺や法然院の襖絵もてがけた。これがまた凄い絵。まだ、本物を
観てないが、図録でみると、金地の襖に鮮やかな原色で
装飾的な造形を彩色し、さらにアクションペインティングのように勢いよく
描いた太い墨の線を重ねている。

宗達とクリムトとステラをミックスしたような絵である。この襖絵のことは最初の
訪問で知ったのだが、以来お目にかかれる機会を長らく待っている。
この絵の前に立つとさぞかし感動するだろう。

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2005.03.27

京博の伊藤若冲展

395京都国立博物館の平常展で特別展示されている伊藤若冲の作品を今日、滑り込みで見てきた。

静岡県美で若冲の桝目描きの代表作をみたので、今回は水墨画をまとめてみることで若冲の絵に対するトータルの理解を深めようという訳である。

見終わって、奇才若冲の絵の特徴、画法がだいぶ分かってきた。独自の画法で表現の巾を広げた若冲だが、点描法で描かれた“石燈籠図屏風(いしどうろう)”(京都国立博物館蔵)もユニークな作品。この絵を是非とも観たかった。1月、東博の元旦平常展に出品された“松梅群鶏図屏風”ではじめて点描法で描かれた石燈籠をみた。

この絵には石燈籠は少ししか出てこないが、京博蔵の六曲一双の屏風では
画題の中心が石燈籠。スーラが用いた点描法とは違い、若冲は石の質感を出
すために点々で描いている。たしかに、石燈籠はこんな感じ。若冲の
並外れた観察力が点描という技を生み出したのだろう。樹木や鳥や背景の
山々は普通の墨の濃淡で描かれている。

多才な技をモティーフにより使い分け、画面を構成していくのは並みの才能では
なしえない。これは若冲でなければ描けない絵である。桝目描きといい、
点描法といい、描きたい対象をリアルに表現するためにアイデアがいくつも
出てくるなんて、天才としかいいようがない。

このほか気に入った絵は子犬を沢山描いた“百犬図”、あまりに太ってるので思わず
笑ってしまう鶏が登場する“隠元豆双鶏図”、赤と黄色が強く印象に残る
鶏頭(けいとう)と蟷螂(かまきり)を描いた絵などなど。

時代を突き抜ける個性をもち、人々をあっと驚かす技を駆使して、超リアルに花鳥画を
描いた若冲。世界に誇れる絵師ではなかろうか。

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2005.03.26

ゴッホ展

Scan1004823日から東京国立近代美術館ではじまったゴッホ展を観た。10時の開館に10分遅れただけなのに、入場口はもう混んでスムーズに入れない。ということはかなりの人が開館前から並んでたのだろう。やはりゴッホの人気は高い。

過去に開かれたゴッホ展で印象に残ってるのは世田谷美術館のゴッホ美術館所蔵展、横浜美術館およびBunkamuraで開かれたクレラー・ミューラー蔵展。今回はゴッホ美術館とクレラー・ミューラーから名品をもってくるというのだから凄い。

それに国内にある有名な作品が出ている。損保ジャパン東郷青児美術館の
ひまわりが図録に載っていたが、今日はなかった。期間限定?ひろしま美術館
の名画“ドービニーの庭”は最後のコーナーに飾られている。これはたまらない!!

ゴッホ以外の画家にもシニャック、シスレー、ミレー、モネのいい絵がある。予想
もしてなかったビッグなオマケ。

てんこ盛りのゴッホ名作のなかで一番みたかったのが右の“夜のカフェテラス”。
これまでクレラー・ミューラーからは“種まくひと”、“糸杉と星の見える道”は
やってきた(今回も出品)が、“跳ね橋”と夜のカフェテラスは出てこなかった。
今回、この名画、夜のカフェテラスにお目にかかることができた。日本でこれが
観れるとはこんな幸せなことはない。店の外にあるテーブルの薄い緑、壁の
黄色、そして星が輝く空の青が目にしみる。天性の色彩感覚と奥行きのある
構図により、カフェテラスに集う人々の夜の楽しみを情感たっぷりに描いている。

ゴッホ美術館の作品は昨年10月、現地で観たばかりなので感動がまたよみ
がえった。イエローパワーが魅力の“黄色い家”、浮世絵に見られる近景、中景
、遠景の描き方から影響を受けた“アルル近郊の花道”に心うたれた。

この展覧会を見ることを計画している人は早く行ったほうが良いかもしれない。
マスコミで紹介され、口コミで評判が伝わると、来場者がどんどん増えるのでは
なかろうか。2回目はゆっくりみれないかも?それを心配している。満足度200
%、ラ・トゥール展とともに忘れられない展覧会になりそう。

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2005.03.25

横山大観展

279日本橋にある老舗デパート、三越と高島屋が日本画の展覧会で競っている。おかげで質の高い作品をみる機会が多くなった。今、日本橋は日本美術のホットゾーンかもしれない。

三越が1月、平山郁夫展をやると、高島屋では岡倉天心と日本美術院展を開催し、今度はこれに対抗するように23日から三越で足立美術館(島根県安来市)所蔵の横山大観展がはじまった。会期は4/10まで。

足立美術館は中国地方では西洋画の大原とならぶ名美術館。
日本画のコレクションではトップクラスの地位を占めている。なかでも
横山大観の作品は質が高く、数も多い。今回はこの足立美術館の目玉で
ある右の“紅葉”をはじめ50点が展示してある。

“紅葉”は大観の絵の中で最も絢爛豪華な趣のある作品。
六曲一双の屏風の左半双は真紅の紅葉が画面を埋めつくし、右半双には銀地
の空を飛ぶ鶺鴒(せきれい)と群青に色どられた流水が描かれている。
酒井抱一の絵のように気品があり、と同時に川の流れを背景に真っ赤な紅葉が
咲き誇る風景は光琳のように装飾的で華麗である。この絵をみるのは
4回目だが、観るたびにいい気分になる。

ほかにも傑作が揃っている。その中の白眉は海山十題のひとつ“海潮四題・夏”。
この作品は“波騒ぐ”(霊友会所蔵)とともに人気が高い。素晴らしい絵である。
今回、この海山シリーズから長らく所在が不明だった“龍躍る”をふくめ4点が
出ている。

また、“蓬莱山”、“春風秋雨”、“暮嶽”などの風景画やリス、雀、鶉や
牡丹、桔梗(ききょう)を描いた花鳥画にも足がとまる。大観の名画がこんなに揃う
のはなかなか無い。二重丸の展覧会であった。

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2005.03.24

レンブラントの自画像

35熱海にあるMOA美術館には光琳の紅白梅図屏風をはじめとする日本美術を代表する絵画や陶磁器があるが、見逃してはならないのが西洋画家の名画。

地下の展示室にモネとレンブラントの絵が飾ってある。この部屋だけ美術館の人がいつも椅子に座っている。モネの2点と右のレンブラント作“自画像”のために張り付いてるのだろう。

沢山ある自画像のなかでこの絵が一番レンブラントライトを感じさせてくれる。
左上から光が強くあたった右目とその下あたりだけが明るくなっており、明暗の
コントラストが印象深い。この自画像はレンブラントが23歳の頃に描いた作品。
02年京博で開かれた“大レンブラント展”に同じ時期の自画像が出品されて
いた。肩には金属の首当てをつけてるところは同じだが、口を閉じている。帽子
は被らず、髪は長めの巻き毛。

ここの自画像は口が半開きになので、すこしアホぽくみえるが、光の効果に
圧倒されて、おもわず見入ってしまう。自画像の絵なら、ロンドンナショナルギャ
ラリーの作品や晩年の自分を描いた絵のほうが魅力的だが、左上からあたっ
た光と影の描き方をみると、この絵は傑作ではないかと思う。

アムステルダム国立美術館にある“夜警”やフランクフルト・シュテーデル美術
館の“目を潰されるサムソン”ほどの感動ではないが、似たような衝撃があった。

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2005.03.23

箱根ラリック美術館

34箱根、仙石原にルネ・ラリック専門の美術館が出来たというので行ってみた。今までラリックの宝飾やガラス工芸をまとまった形で見たことがないので、期待して観た。清里にも北澤コレクションがあるそうだが、まだ訪れてないのでこの新美術館が所蔵する作品のレベルがどのくらいなのか分からない。

2階建ての美術館はガレと並ぶアール・ヌーボーの旗手であるルネ・ラリックの創作活動の全貌がわかる展示になっている。ジュエリー、香水瓶、花器、置物、建築装飾など目を奪われる作品が
綺麗に展示してある。その中で、美しいと感じたのが右のブローチ“風の精あるい
は羽のあるセイレーン”。女性と蝶を組み合わせた造形がなかなか魅力的。世界
美術館紀行で紹介されたグルベンキアン美術館(リスボン)に“蜻蛉の女”という
素晴らしいブローチがあった。ここのも同じタイプだが、ちょっと小さい。

3/17の新聞に載ったオープン通知広告にこれが使われていたので、期待を膨
らませて観たが、ありゃら。。こんなに小さいのというくらい小さい。残念。。。学芸
員の人が“皆さん、そう言われるんですよね。館長のお気に入りでして”と恐縮し
ていた。確かに、いいブローチだと思う。でも、小さすぎる。これを言ってはいけな
いが、騙されたような気分。見ごたえがあるのは2階にあるガラス工芸。なかでも
斬新なデザインの花器が秀逸。

料金は1500円。そして、またまた駐車料金を300円とってくれる。近くのポーラ
美術館が500円とるのでここも右に習えしたのだろう。これではリピート客には
なれない。

なお、日本橋高島屋でも3/30から4/11までルネ・ラリック展が開催される。この
美術館の宝飾品は全般的に小ぶりで、満足感はいまいちだった。展覧会で一番
必要な、これが目玉というのがない。ここでの消化不良が高島屋の展示品で解消
されればいいのだが。

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2005.03.22

ポーラ美術館のルノワール

Scan10047箱根にあるポーラ美術館を訪れた。開館3周年を記念して今、自慢の印象派作品をずらり展示している(8/28まで)。入場料が1800円と高め。また、駐車料金を500円もとられる。美術館に行って駐車代を払わされたのははじめて。肝心の印象派の名作に会う前にこの美術館に対する好感度は減じられた。嫌な予感。

でも、出品作の質は高い。数も多い。印象派の絵を所蔵する国内の美術館で特○はブリジストン、大原、ひろしまだが、ここも名画が揃っている。セザンヌ、モネのコレクションは一級品。セザンヌは“アントニー・ヴァラブレーグの肖像”、“プロヴァンスの風景”、“アルルカン”が秀逸。モネがまたいい。睡蓮の傑作が2点、
連作の積みわら、ルーアン大聖堂は国立西洋美術館のモネ作品に見劣りしない。
ゴッホ、ゴーギャンは残念ながら見るべき絵がない。これはこの美術館に限ったこと
ではないので評価が下がるわけではない。

ルノワールの絵が結構ある。そのなかの傑作が、右の“レースの帽子の少女”。この
絵を観たいがためにMOAのあと箱根までドライブした。国内にあるルノワールでは
ブリジストンの“座るジョルジョット・シャルパンティエ嬢”と並ぶ名画ではなかろうか。

このレースの少女は1891年に描かれた。“真珠色の時代”と呼ばれる1890年代、
ルノワールは女性を描く際、白い下塗りをし、その上に明るい透明な色彩をうす塗りし、
肌の質感や柔らかさを出している。レースの帽子の少女には心うたれた。MY女性画
にも当然登録。

料金には不満が残るが、ルノワール、モネ、セザンヌの傑作を見れたのでまあいい
展覧会だったとしておこう。

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2005.03.20

岩佐又兵衛の浄瑠璃物語絵巻

332週間前に行ったMOA美術館にまた、クルマを走らせ、岩佐又兵衛が描いた“浄瑠璃物語絵巻”(全12巻)を観賞した。奇才岩佐又兵衛の絵巻群は昨年10月、千葉市美術館で開かれた展覧会(拙ブログ11/28)で一通り見たのだが、出品された作品は残念ながら膨大な長さの絵巻の一部であった。

又兵衛の絵を多く所蔵するMOAはNHKの大河ドラマ義経を意識したのか、義経が登場する“浄瑠璃物語絵巻”を現在、
12巻全部公開している(4/19まで)。2年まえにも“山中常盤”を全巻みせている。

岩佐又兵衛と工房が1640年ごろ描いたこの“浄瑠璃”を1巻から熱心に見た。
この絵巻の素晴らしい点は色が鮮やかなことと細密な描写。高価な顔料や金箔を
おしげもなく使い、極彩色の世界をつくっている。右は義経が恋する浄瑠璃姫
を口説いてるところ。浄瑠璃姫の衣装、柱にまきつけられた布の赤や紺色、松の
緑に目が眩みそう。細密な描写力は義経、浄瑠璃姫、お付の女官の
衣装の文様、障壁や調度のデザインに覗え、細かいところまで丁寧に描き
込まれている。工房の絵師たちが総動員で手抜きせず、時間をかけて仕上げた
のであろう。これほど細密な絵を描いたのは又兵衛のほかには伊藤若冲しかいない。

この絵の凄さは本物を観ないと分からない。義経に言い寄られる浄瑠璃姫の
髪が異常に長く、そして一本一本がリアリティに表現されているのがおもしろい。
ここだけをみるとエロティック。髪フェチといって、話を盛り上げる評論家が
いるが、これはちょっと大袈裟。岩佐又兵衛を官能の絵師にしなくていい。

この物語は後半、黄金の龍、雷神、大きな天狗などが登場する場面があり、
劇画を見るようで楽しい。子供たちにも結構受けるような気がする。

連休のため道路はめちゃ混みでしんどい一日だったが、又兵衛の傑作を観た
満足感が疲れを吹っ飛してくれた。

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2005.03.19

ピレシュが弾くモーツァルトピアノ協奏曲

N響アワーでやっていたピレシュのピアノ演奏を聴いている。1944年リスボン
生まれのこの女流ピアニストはモーツァルト弾きの大家だそうだ。先週流されたの
は83年と92年とちょっと昔の演奏会。ビデオ収録したのは2度目。このポルトガル人
ピアニストの演奏をはじめて聴いたのは、99年のベルリンフィルとの共演で
弾いたモーツァルトピアノ協奏曲ホ長調K271。指揮はハイティンク。

このときは、ショートカットの髪をした柔らかい感じの中年の女性が弾くモーツアルトは
とてもすがすがしく、いい演奏だったという印象だった。

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2005.03.18

ラ・トゥールのマグダラのマリア

32先週の日曜日に見たラ・トゥールの絵が今、頭の中のかなりの部分を占めている。今回の展覧会は世界的にみて、96年のワシントン展、97年パリ展以来の大規模な回顧展なのだそうだ。

美術評論家たちは何回も足を運んでるのではないかと思う。ラ・トゥールの研究で名が売れてる人は誰れ?作品が少ないせいかこの画家の本があまりない。カラヴァッジョの宮下氏とかフェルメールの小林女史のような
美術史家の著作を読んでみたいのだが。謎の画家なので研究も一筋縄では
いかないのだろうか。とりあえず、最近出たラ・トゥール本(創元社、知の再発見
双書)と図録を丹念にレビューしてみよう。

出展作品については年代が書かれてないので、描かれた絵の前後関係がわか
らない。右は夜の情景作品で“聖ヨセフの夢”と共に心に強く残った“書物のあ
るマグダラのマリア”。いつごろ描かれたのだろうか。ルーブルにある“灯火の
前のマグダラのマリア”が1640年ごろなのでこの頃の作品かもしれない。

マグダラのマリアは多くの画家が画題にしている。これまで観た絵ではティティ
アーノ、カラヴァッジョの作品が一番印象深い。カラヴァッジョが描いた“マグダラ
のマリアの法悦”(1606)を観たときの衝撃度はマグニチュード7級。この絵
の連鎖でベルニーニの彫刻“マグダラのマリア”が次回ローマ訪問の主要ター
ゲットになってしまった。

フランス人のラ・トゥールが描いたマグダラはこれまでの作品とは趣きが随分
ちがう。カラヴァッジョからは光の効果の影響を受けてるが、画面構成や人物の
描き方はラ・トゥール独自のもの。“書物のあるマグダラ”では長い綺麗な髪に
見惚れる。マグダラのマリアといえば長い髪と髑髏と書物が定番であるが、
このマリアの髪はシャンプーのCMに出てくる美しい黒髪を連想させる。横顔の
大半はその髪で隠れ、目すら見せない。蝋燭の炎で照らされた髑髏を両手で
さわり、じっとみつめているマリア。素朴で静謐な感じのする絵である。

“荒野の洗礼者聖ヨハネ”に描かれたヨハネの髪がマリアの髪のように長く、
そして綺麗。ヨハネは男性なのにどうして女性の髪を描いたのか?興味ある
テーマがみつかった。しばらくconcernしよう。

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2005.03.17

大リーグオープン戦

今年の大リーグは楽しみが一杯。新たにリーガーになろうとしている日本人選手が
多く、マスコミの取材も日本のプロ野球並み。で、彼らのオープン戦での
成績を毎日、関心をもってを見ている。

今、最も注目している選手はドジャーズの中村。今日、2本目のホームランを打った。
左足を大きく上げたバッティングフォームが新聞に載っていた。この選手はグラブ
さばきは一流なので、いかに打撃力をアピールできるかで大リーグ昇格が
決まる。今の調子を維持し、ヒットと大きいのを重ねれば一塁のポジションが
獲れるのではないか。

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2005.03.16

佐渡の能楽

31佐渡は能楽が盛んな所。島内には33の能舞台があり、演能月間となっている6月には毎日能が演じられるという。どうして能が盛んになったかというと、佐渡の初代奉行、大久保石見長安が能楽師の出身で能楽を保護したためという。もっと遡れば、能を完成させた世阿弥が佐渡に流されたことも、少なからず影響してるかもしれない。

両津港からクルマで10分くらいのところに、気楽に能楽を楽しめる道の駅
がある。能舞台があり、人と見紛う人形(ロボット)によるミニ薪能“道成寺”
を上演している(右の写真)。本物の薪能というものを観賞したことがないので、
仕掛けはロボットでも、シテ(主人公)やワキの踊りやしぐさに見入ってしまった。

能面や能装束を展覧会でみることが多く、能の世界にだんだん近くなって
きたので、そろそろ面や鮮やかな衣装をつけたシテの演技を観てみようと思う。
一体、能楽堂は近い所でどこにあるのか?MOA,鎌倉、新国立劇場、料金は
高い?横浜にもあったような気がするが。

能に関していつも不思議に思うことがある。能役者はどうしてみんな
二重顎なの?面の下の顎、首まわりの太いこと。シテは普通サイズの顔では
ダメなのか。太目の役者は幽玄な世界に欠かせない?本格的に能のことを
レヴューしてみたくなった。

この能楽の里では、普段は見られない楽屋で能装束をつけるときの着付けと
しきたりを映像で再現してくれる。前田青邨の絵に舞台にでる前の能役者の
姿を描いた“出を待つ”(拙ブログ1/31)というのがあるが、この映像をみて、この
絵の理解が深まった。佐渡が能楽事始のきっかけになりそう。

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2005.03.15

横山操のウォール街

Scan10046東京国立近代美術館の平常展(2階)に横山操と中村正義の傑作が展示されている(5/22まで)。横山操の墨絵を山種美術館で観たばかりなので、この画家の作品への関心が強くなっている。

右の“ウォール街”(部分)は横山操の代表作。やっとお目にかかれた。この絵を観て日本画と思う人はまずいない。洋画である。でも、この絵は岩絵具で描かれている。色は画面中央の空を表す青とビルの先端に使われている赤、そして壁面の荒いタッチで描かれた白と黒の4色のみ。画面の大半は白と黒で埋められている。ビルの谷間に僅かにみえる空の青が絵全体を引き締めている。

横山は日本画の枠にとらわれず、鋭い感受性で摩天楼に聳え立つビル街と
いうアメリカを象徴する光景を無機質的にひんやりと描いている。

横山操の作品はこの絵と墨絵の“万里の長城”、“塔”の3点が出ている。
万里の長城は中国の人に見せたいくらいの名画。実際の長城はこの絵の
ようにはなっていないが、横山の心象風景としての砦が大画面に描かれ
ている。塔は放火によって焼け落ちた東京の谷中にあった天王寺の五重
の塔を濃い墨色と力強いフォルムで描いた作品。強く印象に残る絵である。

いい作品を観させて貰った。横山操の画技と深い精神性にますます魅せ
られていく。

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2005.03.14

ラ・トゥール展

30国立西洋美術館で開かれている“ラ・トゥール展”をみた。この画家が描いた絵(真作)は今現在40点という。そのうち20点がこの展覧会に出ている。

ラ・トゥールの絵がどの位あるのか知らなかったが、40点の半分を集めたというのは凄いことではなかろうか。しかも、東京に。

この画家の絵はルーブルにある6点、メトロポリタンの2点、ワシントン・ナショナルギャラリーの1枚しかみたことがない。
印象深い作品はルーブルの“灯火の前のマグダラのマリア”、“大工の聖ヨセフ”、
“ダイヤのエースを持ついかさま師”、メトロポリタンの“ふたつの炎のあるマグダ
ラのマリア”、“女占い師”。

今回はルーブルから右の“ダイヤのエースを持ついかさま師”が出品されている。
中央にいる女の目つきがいい。気が強そうで、左のいかさま師をキット睨むまな
ざしと顔と胸の白さに釘付けになる。一番驚かされるのは女や右端にいる男が
着ている衣装やネックレス、イヤリング、ブレスレット、そしてテーブルの上にある
金貨の質感。実にリアルに描かれている。

フランス人画家ならではのセンスだろうか。デッサン力が高くないとこんな風には
描けない。これまで蝋燭の光にイメージされる夜の情景にばかり関心がいってい
たが、カラリストを思わせる昼の風俗画にもまた別の魅力を感じる。

もうひとつ気に入った作品は“聖ヨセフの夢”。天使の右手が蝋燭の大半を隠して
いて、袖の下に光がこぼれ、指一本一本が透けて見える。カラヴァッジョの光の
使い方はこんなに繊細ではない。カラヴァッジョの動に対して、ラ・トゥールの絵
は静謐。

模写も含めラ・トゥールの作品を沢山観れたのが良かった。ラ・トゥールの画業に
少し近づけたような気がする。有難い展覧会であった。

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2005.03.13

佐渡ヶ島

29金・土は佐渡ヶ島を訪れた。昨年行く予定だったのだが、中越地震などで新幹線が運休したこともあり、延び延びになっていた。新潟までは上越新幹線で約2時間。そのあとの両津港までのフェリーが長い。2時間20分かかる。こんなにフェリーに乗ったのははじめて。高速船だと60分で着く(料金は倍)。申し込んだツアーでは大型フェリーで佐渡に渡る。

佐渡の見所は多い。能舞台、トキ、佐渡金山、尖閣湾の断崖絶壁の景観、
たらい船などなど。一番みたかったのがトキと金山。両津港から近いところに
あるトキの森公園に現在58羽のトキがいる。20メートル離れたところ
からケージのなかにいるトキを双眼鏡でみる。トキは時折、飛び回り美しい淡い
ピンクを帯びた白色の羽を見せてくれる。この色はとき色と呼ばれる(右の写真)。

明治時代、トキの羽は羽箒(はぼうき)につかわれ、高く売れたため、
乱獲された。トキ保護センターの人の説明で分かったことだが、トキの羽毛の
色は繁殖期には頭から背中にかけて灰色になる。これは目立たないよう
首のまわりから黒い粉がでて、それを嘴で羽につけて灰色にかえるのだそうだ。
展示室にある“ミドリ”の剥製は灰色。繁殖中に死んだためだ。

2015年には60羽くらいを山に放つ計画になっているようだ。1999年、
中国からやってきた“ヨウヨウ”、“ヤンヤン”のペアリングで初めて人口ふ化に
成功して以来、トキの数は順調に増えている。野生化したトキが空を飛ぶ姿
をいつか見てみたい。

相川の佐渡金山では江戸時代に行なわれた過酷な採掘作業の様子を
ロボットで再現している。江戸や大阪から無宿人が約2000人集められ水替作業
に従事させられた。坑内が深くなると、浸水がひどくなるため、排水を人海戦術
でおこなったのである。1601年に金の採掘が開始されて、平成元年に
操業を止めるまで、この間の金の生産量は78トン。坑道の総延長は約400km
という。これは相川から東京までの距離に相当する。

島根県にある石見銀山とこの佐渡金山の採掘跡をみたので金銀の生産過程が
頭によく入った。

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2005.03.09

尾形光琳と速水御舟

278MOAで観た紅白梅図屏風の余韻に浸っている。と同時に、光琳が最晩年に描いた紅白梅図と44歳で画壇に登場したころの作品、燕子花(かきつばた)図との違いに思いがいく。

燕子花では金箔地に群青と緑青を使い文様化した燕子花を繰り返し、装飾的に表現したのに対し、紅白梅図ではデザイン化した流水を真ん中に配し、左右に生命力旺盛な老木をたらし込みの技法で写実的に描いている。幹の質感を出そうとして、焼き緑青によるたらし込みという工夫もした。

光琳は後年、雪舟や雪村の絵に影響を受け、表面的な美しさだけでなく、
自分の精神的な思いを出そうとしたようだ。人生に対する光琳の気持ちがこの
紅白の梅の木に表れているのかもしれない。そして、生き生きとした
写実的な梅の古木と装飾性豊かな金地(金箔ではなく金泥)、藍色の流水を
同じ画面に描きたかったのではなかろうか。写実と様式の融合である。

紅白梅図屏風をみてて、速水御舟の画風の変遷を思い出した。右の
“名樹散椿(めいじゅちりつばき)”は41歳で若死した御舟の35歳のときの作品。
昭和期の美術作品では唯一重文に指定されている近代日本画の傑作である。

20代のころの御舟は細密画のように緻密な写実性を追及し、舞妓の髪一本
一本まで描き、新しい日本画を追求した。対象物を徹底的に観察し、
新しい感覚で美を表現した御舟の画風は幾度となく大胆に変わるが、
名樹散椿では琳派風の壮麗な装飾表現になっている。

金地の画面に描かれた椿は写実的でありながら、装飾性も強く、華やか。
太い幹から四方にでた枝は力強い感じをあたえ、赤、白の椿の花が鮮やか
に咲いている。また、下に散った花びらは文様的に描かれている。この御舟の
名樹散椿にも写実と装飾の統合がある。

光琳は様式からスタートし、写実と様式をミックスさせた絵を描いた。
一方、御舟は最初は横山大観から嫌悪されるほどの写実的な絵を描き、
最後は装飾的な琳派風の絵に新境地を求めた。画家にとって写実と装飾は
どちらも大きなテーマなのであろう。

10~12日は外泊しますので、拙ブログはお休みいたします。

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2005.03.08

MOAにあるモネの睡蓮

27光琳の紅白梅図屏風を観るため訪問したMOA美術館で思わぬ名画に出合った。地下の展示室になんとモネの傑作が2点飾られていた。右の“睡蓮の池”と“ポプラ”。この絵がMOAにあることは知っていたが、今回の日本美術名品展でみれるとは予想だにしなかった。これは儲けもの。

“睡蓮の池”は1917~19年に制作された作品。130cm×200cmの大きな絵である。大原美術館にある
“睡蓮”(1906年)は最初に描かれた睡蓮の連作でサイズは73cm×92cmと
一回り小さい。これにたいして、“睡蓮の池”は、ジヴェルニーの庭にある池を大きく
したあとに描かれたので、大画面になっている。絵自体にも変化が見られ、抽象画
ぽくなる。睡蓮の葉の形態がなくなり、画面いっぱいに黄色が輝いてる。この明る
い色彩に魅せられた。

日本国内にはMOAの作品以外にも睡蓮の名画がいくつもある。中でも気に入って
いるのが、国立西洋美術館とアサヒビール大山崎山荘美術館にある睡蓮。MOA
のと同様、2回目の睡蓮連作で、共に200cm×200cmと大きな絵。03年10月、
森美術館の開館記念展に出品されたアサヒビール所蔵の睡蓮を観たときの感動
がいまだに忘れられない。緑の水面に浮かぶピンクと紫、白で描かれた睡蓮がな
んとも言えぬ美しさだった。

MOAの“睡蓮の池”にも感激した。モネの睡蓮をみてると気持ちが落ち着く。花鳥
画をみるときと同じ感覚。日本人のモネ愛好家がいい絵を収集してくれるお陰で、
国内の美術館でこんな傑作を観ることができる。モネ好きにとっては幸せな美術
環境である。

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2005.03.07

伊藤若冲の樹花鳥獣図屏風

26日曜日はビッグな日本画を二つ観た。光琳の紅白梅図屏風と奇想の画家、伊藤若冲が描いた“樹花鳥獣図屏風”。世界にも類を見ないこの樹花鳥獣図を見るため、静岡県立美術館までクルマを走らせた。

名古屋にいたとき、静岡県美は一度訪れた。ロダンの彫刻が揃っているのがこの美術館の自慢。西洋のモザイク画をおもわせる桝目描きという画法で描いた作品は3つある。

今回の“若冲と京の画家たち展”に2つでている。若冲ファンにとっては
おいしい企画展である。もう一つの米国人コレクター、プライス夫妻が所有
する“鳥獣花木図屏風”は03年10月、森美術館の“ハピネス展”でみた。
樹花鳥獣図と鳥獣花木図は六曲一双の大きな屏風であるが、樹花鳥獣図の
ほうが少し小さい。それでも縦133cm、横357cmの大きさだ。

絵の印象は鳥獣花木図のほうが色が鮮やかで保存状態がいい。樹花鳥獣図は
陰影を施して立体感を出そうとしているので、色が鳥獣花木図のように目に
とびこんでくる感じではない。共に右隻に動物、左隻に鳥を配し、真ん中に
白象、鳳凰が描かれている。

右は左隻の鳥尽くし(部分)であるが、吉祥をあらわす鳳凰は尻尾の羽根が
異様に大きく、優雅な鳥というよりは怪鳥のイメージ。他の鶏、あひる、鴛鴦
などに較べ大きく描かれているので、存在感があり、印象深い。そして、
水面を泳ぐ鴛鴦の頭の白がとても美しい。
一方、動物のほうは鳥のポーズにくらべ、トリッキーで意表をつく格好をしている。
ひねりを加えて斜め下から上をみているようなジャガー?。頭を垂直に伸ばし
ている鹿。首を右にぐっと曲げた黒豹。。

こんな桝目描きを想いついた若冲の才能は計り知れない。凄い画家がいたものだ。
小ぶりの“白象群獣図”もでてたので、桝目描きの絵がよくわかった。
静岡県美に感謝〃。

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2005.03.06

尾形光琳の紅白梅図屏風

Scan10045熱海のMOA美術館に行き、念願の紅白梅図屏を観てきた。尾形光琳が最晩年に描いたというこの紅白梅図は、科学調査により新事実が明らかになり、専門家、美術愛好家の関心が高まっている。

実物をみると右隻、左隻とも屏風の折れ目のところに小さな損傷が数箇所
ある。これは意外だった。宗達の“風神雷神図”のほうがコンディションは
ずっといい。金地、真ん中の流水の色がもっと鮮やかな感じをイメージしていたが、
300年の歳月相応に色が落ちていた。

目は梅の老木にいく。右にある紅梅の枝は上にむかって伸び、赤い光琳梅を
咲かせてるのに対し、左の白梅のほうは太い幹の大半は画面の外にはみ
だしている。上から枝が垂れ下がり、細くなった先端はまた上のほうに折れ
曲がっている。カットされた部分をあわせて考えるとこの白梅の木はかなり
ダイナミックな姿をしてることになる。もちろんそんな木はない。
全体の構成を考え、古木の生命力をこういう形で表現したのであろう。
やはり光琳のデザイン感覚は凄い。

綿密な科学調査によりこれまで信じられてきた定説はいくつも崩れた。金箔と
思われていた金地はかりやすという植物染料のうえから金泥を塗ったものだった。
光琳は秀れた技をもつ職人をつかって、金箔のように見せかけていた。

また、老木の黒いところは墨とみられていたが、実際は緑青を焼いて灰色や
黒に変色させて用いていた。この焼き緑青だと墨では得られない古木の質感が
出せるからだという。光琳は宗達が開発した“たらし込み”の効果をある
工夫によってさらにあげた。その工夫が金泥である。たらし込みというのは絵具に
水をたっぷり含ませて描き、乾いていくときにあらわれるムラやにじみで
幹の質感をだそうとする技法。金箔にたらし込みをやっても、水の吸い込
みが悪いのでムラ、にじみがでない。

光琳はこの絵で梅の木を写実的に描きたかった。宗達よりレヴェルアップした
たらし込みにより生き生きとした感じを出そうとした。このために金泥にしたのである。
そして、金箔にみえるように描いた。

今回は紅白梅図の前に30分くらいいて、解き明かされた謎を考えながら隅から
隅までみた。素人には(専門家でも?)金箔のようにしか見えないが、金泥なの
だそうだ。新発見があった後だけにこの名画には2倍の関心をもってみた。
紅白梅図も観れたので琳派の名画鑑賞は小休止。

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2005.03.05

大リーグキャンプ

大リーグのスプリングキャンプでは実戦のオープン戦に入った。日本人大リーガー
の実力がここできっちりチェックされる。大リーガーとしての技量に達しないものは
容赦なく振り落とされ、マイナー行きが通告される。既に大リーガーになってる選手
でも、調子が上がらなければ、打者ではレギュラーでの起用は無く、先発
ローテーションに入れない投手もでてくる。さて、1ヶ月後の開幕戦で何人先発
メンバーに名を連ねるだろうか?

イチロー、ヤンキースの松井はオープン戦初戦でヒットを放ち、好調な仕上がりを
アピールした。松井は4番に座っている。昨年、チームで一番多い打点をあげた
シェフィールドが故障でオープン戦出場が遅れるため、松井への期待が高まっている。

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2005.03.04

大和文華館の婦女遊楽図屏風

290ハンス・アルプ展を開催中の神奈川県立近代美術館では美術史家矢代幸雄(1890~1975)の資料展というのも行なわれている。

フィレンツェに住んでいたバーナード・ベレンソンのもとでルネッサンス美術の研鑽をかさねた矢代幸雄は後年、日本画の研究に取り組み、名著“日本美術の再検討”などを書いている。70歳のとき、近鉄の社長からの懇願で奈良市にある大和文華館の館長をつとめ、優れた東洋美術品、日本絵画の収集に尽力した。

この大和文華館には2回訪問した。ここには風俗画のとびっきりの名画がある。
右の国宝“松浦屏風(婦女遊楽図屏風)”。制作されたのは17世紀前半?と
いわれている。6曲1双、各縦155cm、横362cmの大きな屏風である。
遊女と女の子など18人を等身大で描いた群像図。

3年前、この屏風を見たときの感動はいまでも忘れられない。金地を背景に遊女は
キセルや鏡などを手に思い思いのポーズをとっている。遊女の品のいい丸顔
にも目がいくが、一番魅せられるのは衣装。刺繍や絞り染め、金銀箔をすりつけた
色とりどりの文様のなんと綺麗なこと。等身大なので屏風のまえにずっと立って
いると、なんだか遊女と対面しているような錯覚を覚える。豪華な小袖の
ファッションショーを観ている気分である。

女性が沢山登場するという点、また表情が古臭くないということではボッティチェリ
の“春”に似てるかもしれない。この松浦屏風は修復によりその色彩は一段と
鮮やかさを増し、00年に4年ぶりに公開された後、02年、03年に出品された。
この絵は風俗画の一番のお気に入りで、リビングにミニ屏風を飾っている。

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2005.03.03

美術史家の役割

本日の朝日新聞に奇想画家についてのコラムが載っている。新しい情報として
現在、京都国立博物館で伊藤若冲の絵を26点特別展示していること
(3/27まで)、そして4/12からはここで“曾我蕭白”展がはじまることが
書かれていた。知ってしまうと俄然京都に行きたくなる。

最近、奇想画家、若冲が好きな若者が増えているという。スーパーテクニックを
使って描く、リアルで幻想的な花鳥画に美を感じるのだろうか。そういえば、同じく
奇想の画家と呼ばれている長澤芦雪の“虎図”(串本町の無量寺)を20代の
女性が熱心に眺めていた。

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2005.03.02

十二ヶ月風俗図 その二

24山口蓬春記念館に展示されてる“十二ヶ月風俗図”が、22日から6月から12月の年中行事に替わったのでまた観に行った。

拙ブログ1/25でとり上げた1~5月では鶯合、鶏合、花売りなど京洛の人々の営みが金泥が薄く刷られた明るい画面に描かれていた。6月から12月のモティーフは祇園会の神輿、風流踊り、中秋の名月、重陽の節句、観楓酒宴、御火焚、雪転。

右の絵は“十一月の御火焚”。火の粉にあたれば無病息災とする風習がある。
積み上げた薪に神火をつけ、炎の中にお供えの蜜柑、饅頭、菓子などを
投げ入れる。真ん中の赤い火柱のまえで火の粉をかぶっている女性の格好が
おもしろい。男児が着ている陣羽織の文様がとてもモダンで、赤や緑など
色のとり合わせがいい。

このような風俗画がいろんな方面の研究分野から注目を浴びている。陣羽織は
当時の流行を反映しているとされ、服飾史における貴重な資料となっている。
日本画のなかでは今、この風俗画を意識してみている。とくに町人、武士、遊女らが
着る服装の図柄、色を観るのが楽しみ。観るたびに驚きと発見がある。
現在でも支持されそうなはっとするデザインがでてくる。

装飾美の伝統は源氏物語絵巻のころから脈々と続いている。根津美術館で開催中の
“誰が袖図屏風と江戸時代のきもの展”にも艶やかで美しい文様の小袖がいくつ
もあった。日本古来から受け継がれてきた華麗な服飾デザインにとりつかれている。

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2005.03.01

山口蓬春と尾形光琳

23今年に入って、近代日本画家、山口蓬春の絵にはまっている。きっかけは松岡美術館で観た代表作の“山湖”(拙ブログ1/26)。そして、以前みた名品の由来を葉山にある記念館で知り、ますますこの画家の作品に目がいくようになった。

その絵が右の“月明”。広島にあるウッドワン美術館が所蔵する日本画、洋画の名品をはじめて全国各地の美術館で巡回展示したとき、この絵も出品
された。観たときの印象は二重丸。月は描かれていないのだが、澄んだ青の画面は
月夜を感じさせ、羽ばたく鴨を照らしだしている。

この空を飛ぶ鴨の先行例は琳派にある。山口蓬春は尾形光琳が描いた“飛鴨図”を
所蔵していて、この絵が現在、記念館の新春展にでている。二羽の鴨が向きを
ちがえて飛び交う構図がいい。墨一色で描かれ、羽や背における墨のにじみに
より鴨の生態をよく描き出している。光琳もまた宗達の飛鴨図を先行図様としている。
蓬春は琳派の流れを意識してこの“月明”を描いたのである。

近代日本画で名をなした画家は宗達や光琳、抱一の世界に魅力を感じるのか
琳派風の絵を描いている。昨年、東近美で開かれた“琳派展”でも巨匠たちの名画が
ずらっとでた。横山大観、菱田春草、下村観山、前田青邨、小林古径。
次世代の中村岳陵、福田平八郎、山口蓬春、加山又造。
山口蓬春の“扇面流し”(記念館所蔵)もなかなかいい絵だった。
日本画が世界に誇れるのはなんと言ってもその装飾性、工芸美である。
琳派の魅力は尽きない。

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