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2005.02.27

映画「アレキサンダー」

オリバー・ストーン監督の映画「アレキサンダー」を観た。総製作費は200億円という。
このところ、トロイやキングアーサーなど歴史上の物語、英雄を扱った映画が多い。
しかも、興行成績も良い。ちなみに歴史スペクタクルドラマの観客ベスト5(日本)は
 1位 トロイ、2位 グラディエーター、3位 キングアーサー、4位 ジャンヌダルク、
 5位 ブレイブハート
 
このアレキサンダーはベスト5の中に入る観客数が得られるか?これは良く分か
らない。この映画に対する映画評論家のコメントを読んでないので、現下の
人気度が掴めてない。劇場には世代と問わず結構入っていたようにみえる。
オペラ座の怪人に比べると少ないが。

オリバー・ストーン監督の映画はいくつも観たので、この監督は知っている。俳優に
ついては、プトレマイオス役のアンソニー・ホプキンスと母親オリンピアスを演じる
アンジェリーナ・ジョリーは知っているが、アレキサンダー役のコリン・ファレル
はNO情報。この映画で語りの役を務めるアンソニー・ホプキンスは顔が
かなり丸くなり、太目。最初、ホプキンスだとわからなかった。俳優は役作り
のため、体まで変える。メイキャップの方法もあるのだろうが、かなり食べてウエイト
アップしたのだろう。

20歳でマケドニアの王になり、東征のためギリシャ、マケドニア軍を率いてインド
の手前まで領土をひろげたアレキサンダー。BC323、突然の熱病により32歳
の若さで亡くなる。コリン・ファレルは若き獅子王アレキサンダーを好演していた。
蛇に囲まれた妖艶な母親オリンピアスが幼いアレキサンダーに言って聞かせる
シーンは凄味がある。アンジェリーナ・ジョリーはオリンピアスに適役。

見所はなんと言ってもペルシャ軍、インド軍との迫力ある戦闘シーン。これはトロイ
の戦いの場面よりすごい。個々の兵士や将軍の戦いぶりがリアルでカメラワークが
上手い。羽毛で飾られ獅子の顔をほどこした冑をかぶり、愛馬ブーケファラス
で戦場を駆け回るアレキサンダーの姿は凛々しく、美しい。これは観てのお楽しみ。

古代の戦術フォーメーションがこの戦闘シーンでみられる。アレキサンダーの
父フィリッポスが編み出したという方陣の密集隊形。歴史本に形の概略図が
のってるが映画でみると理解が深まる。また、ベルリンのペルガモン博物館を訪れた
のでバビロン宮殿のイシュタール門の再現には興味津々。

2年くらい前から、古代ギリシャ、ローマ史の資料を読んでいる。古典といわれる
本はほぼ網羅した。アレキサンダーの物語については次の2冊がおもしろい。
 ★アッリアノス著「アレクサンドロス大王東征記(上)(下)」(01/6 岩波文庫)
 ★阿刀田高著「獅子王アレクサンドロス」(00/10 講談社文庫)
AC130年頃、ローマ帝国の文人政治家アッリアノスが書いた東征記は映画に
も語り手として登場するプトレマイオスの著作を参考にしている。
最近、森谷公俊著「アレクサンドロス大王」(00/10 講談社選書メチエ)を
購入した。この人はアレキサンダー研究の第一人者のようだ。読むのが楽しみ。

映画は本で得た知識を映像でよりイメージしやすくしてくれる。2300年まえの
話を映画にするには相当数の情報を結集しなくてはならない。劇場で売っていた
パンフレットにはその製作過程で調べたアイテムのことが記されていた。映画は
総合芸術というが、歴史家の諸説、古代遺跡、美術の知識、ギリシャ神話など
などいろんな情報を盛り込んで、さらに一番肝心なエンターテイメントとして
面白い映画に仕上げないと評価は下がる。また、音楽も大事。ギリシャ人の
作曲家ヴァンゲリスは古代ギリシャをおもわせる荘重ないい音楽を作っている。

この映画は歴史がすきな者にとっては貴重な作品。娯楽性も勿論充分ある。
男女、男と男の関係は出すぎなくらい。満足度150%


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コメント

いづつやさん、お久しぶりです。
歴史モノ、私も大好きなのですが、期待薄というものが多かったです。
その中では例外的に「グラディエーター」は◎でした。ラッセル・クロウの演技も素晴らしく、また映像も美しかったです。音楽も合っていました。

「トロイ」はストーリーには当然目新しさがなく、ただただ男優陣の鍛えぬかれた筋肉美に釘付けでした。

「アレキサンダー」も賛否がはっきり分かれている作品ですね。他にみたい映画が次々とあるので、たぶんみないまま終わりそうです。あのスペクタル映像は、劇場用なんですけどね。

投稿: リセ | 2005.03.05 00:18

to Lyceeさん
歴史スペクタル物ではグラディエーターが断トツのできですね。
ラッセル・クロウと比べられるたらブラッド・ピットが可哀そう。
演技力のレベルが違います。Lyceeさんのおっしゃるように映像美、
バックにながれる音楽は一級品でした。

トロイ,アレキサンダーはこの時代のことを知る貴重な作品として
楽しみました。古代ギリシャ、ローマのことをレビューしてますので、
書物の情報が形になって目の前にでてくると大変刺激されます。

オリバーストーン監督はいいスタッフ、歴史家とコミュニケーションを
とりこの映画と撮っています。バビロンの空中庭園、イシュタル門、
アレキサンドリア図書館など美術史で興味ある建造物がいくつも
出てきて目が釘づけになりました。歴史好きな私としてはこれだけで
も元はとったなという感じです。

アレキサンダーのように謎の多い(資料が無い)歴史上の人物を
映画にするのは難しいでしょうね。男と男の関係よりも、アレキサンダーの
持病である癲癇に苦しむ場面を入れて欲しかったのですが、これは全く
でてきませんでした。高い点数を与えられるのは戦闘のシーンです。
これは上出来。コリン・ファレルは凄くかっこよく、凛々しく演じてます。

投稿: いづつや | 2005.03.05 11:58

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