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2005.02.22

踊るサテュロス

17今、東京国立博物館で特別展示されている“踊るサテュロス”(ブロンズ像)を見た。1月はじめ、この像が日本で初公開されることを知り(拙1/6ブログで紹介)、首を長くして待っていた。

奇跡の発見といわれるこのブロンズ像は完全な形ではなく、右足と両手の大部分が欠けている。先週の日曜美術館でこの踊るサテュロスが発見された当時の様子を映像で流していたが、像があった周辺をさらに調査してみ
ると、金属の反応があったというから、ひょっとすると欠けた部位が海底に眠って
いるかもしれない。

このサテュロスの周りを何回とまわってみてわかったことはこの像が随分
ねじれていることだ。右は後ろから見たものだが、左足の下半身、上半身、
頭が右にねじれている。頭部はおもいきり右肩のほうに寝かせている感じ。
このねじれで狂乱的に踊るすがたを表現している。BC4世紀前半の彫刻家
プラクシテレスの作品は片方の足に重心をおいてるので動きは出ているが、
ねじれはまだない。踊りの躍動感を体をねじらせ、手を大きく上にあげた
造形によって表現するようになるのは、もうすこし時代が下がって、
ヘレニズム初期のようだ。

ねじれとともに頭の髪にもおどろく。髪が風になびいている。一本一本の髪は
鋳造した後、彫ってながれる髪のように見せている。

会場には大理石やミニブロンズのコピーが置いてあって、“触ってみて下さい”と
案内している。これは気がきいている。アスリートのようなしなやかな筋肉を
リアリティに写した像に触れることでその緻密な写実性が実感できる。
こんなギリシャ彫刻の傑作を東京で見れるとは嬉しいかぎり。

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コメント

いづつやさん、こんばんは。
私も初日に観てきました。サテュロスは360度、どの角度から見ても素敵でしたね。
片足で回転しながら虚空を見つめる表情も生きています。以前、いづつやさんがご紹介されていたアテネのキリシア彫刻の青年と同じく、目にアラバスターの眼彩が印象的でした。虹彩も残っていれば...とちょっと残念です。
それにしても、風をはらむ髪の毛の描写といい、しなやかに動きを捉えた素晴らしい造形だと思いました。

投稿: June | 2005.02.24 23:40

to Juneさん
踊るサテュロス、じっくり観ました。期待値以上のブロンズ像でした。
昨年ギリシャで見た青年御者像のまつげと目にもかなりびっくりし
ましたが、このサテュロスの躍動感あふれる姿にも大きな感動を覚えますね。

Juneさんが書かれてるように目が臀部にいきますね。ふくらはぎや臀部
のへこみをみるとまさに踊り狂ってるところをリアルに表現してます。
また、“生首に。。”を読みましたから、アラバスターが象嵌された目
にも関心がいきます。そして、口元からうかがえる法悦の表情。

ギリシャで買い込んだ本を見たのですが、ここまでの動きをしたブロンズ像
は載ってません。これはやはり人類の遺産ともいうべき超一級の作品ですね。

宮下さんのカラヴァッジョ本に出てた“法悦の美”をレビュー
してます。カラヴァッジョの“悔悛のマグダラ”、ベルリーニの
“聖女テレジアの法悦”などのことですが、ギリシャ神話にでてくる
バッカス祭での女性やサテュロスの陶酔の踊りもあわせてみてみよう
と思ってます。

投稿: いづつや | 2005.02.25 16:49

はじめまして。
今日「踊るサテュロス」を観て来た者です。
なるほど!「ねじれ」が、あの躍動感を生んでいたのですね。
激しい風に吹かれているような頭髪の造型にも感心しました。

投稿: もとよし | 2005.02.27 22:58

to もとよしさん
はじめまして。書き込み、TB有難うございます。昨年、ギリシャ
を旅行し、青銅像をいくつもみたものですから、期待を膨らませて
この踊るサテュロスを見ました。何度も廻り、大変感動しました。
こんなイタリアの至宝を間近で見られるのですから、愛知万博に
感謝〃です。踊りの回転運動を表現するため、体をねじった造形に
するとは、ヘレニズム初期には鋳造技術がこのレベルに達していた
のでしょうね。凄いです。

投稿: いづつや | 2005.02.28 13:59

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