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2005.02.21

美術本「小林薫と訪ねる美の巨人たち」

毎週楽しく見ているテレビ東京の“美の巨人たち”を纏めた本を読んだ。
“小林薫と訪ねる美に巨人たち”(日本経済新聞社 04年12月)。この番組の
売りである小林薫のナレーションそのままが15枚の絵の語りとして掲載
されている。

広島にいるときはこの番組には全く縁がなかった。で、番組のHPからプリントして
巨人たちの説明書きを読んでいた。だが、これでは小林薫の独特の間を
感じることが出来ない。今は歯切れのいい、決まったせりふで演出する
芸術エンターテイメントを楽しんでいる。

15の絵のうち実物を見ているのは。。
 ★1話 ピカソ “ゲルニカ”
 ★2話 ゴッホ “星月夜”
 ★3話 フェルメール “牛乳を注ぐ女”
 ★4話 モネ “日傘をさす女”
 ★5話 ミレー “晩鐘”
 ★7話 ドガ “舞台の踊り子”
 ★8話 ダ・ヴィンチ “モナ・リザ”
 ★12話 小倉遊亀 “浴女その一”
 ★15話 アンチンボルド “夏”

まだ見てない作品は。。
 ★6話 伊藤若冲 “菜蟲譜”
 ★9話 カラヴァッジョ “洗礼者ヨハネの斬首”
 ★10話 ホッパー “ナイトホークス”
 ★11話 スーラ “グランド・ジャット島の日曜日の午後”
 ★13話 熊谷守一 “猫三態”
 ★14話 コクトー “サン・ピエール礼拝堂壁画”

新たに知り得たことで興味をひいた点をいくつか。。
その一 ピカソの“ゲルニカ”が白と黒で描かれてるのは事件を報じた新聞の
     白と黒の影響。爆撃の現場を見ていないピカソはそれを伝える
     マスメディアにつうじて見た悲惨な事件を作品にする。色だけでなく
     絵のモチーフも新聞の影響を受けている。
 こんな話は知らなかった。新聞の写真に花をもつ少年が写ってるが、この花
 がゲルニカに描かれている。

その二 1814年、ミレーはノルマンディー地方の格式のある農家に生まれた。
     親族には神父や科学者も出ていた。家には本があふれ、ミレーも
     12歳のころにはラテン語で聖書を読んでいたという。
 昔、岩波新書“ミレー”を読んだとき、ミレーの文才におどろいたが、こういう
 家庭で育ったのなら納得。

その三 若冲の国宝級の絵が99年栃木県葛生町の旧家で見つかった。
     長さ11メートルの“菜蟲譜”という絵巻。野菜と蟲のオンパレード。
 この絵は是非実物を見てみたい。公開の予定があるかチェック。

その四 ドガが描いたバレーの踊り子の舞台裏では、踊り子が金持ちの男性
     を接待し、自分のパトロンになってくれるように頼み込む、そんな
     光景が見られた。
 当時のバレー界ではパトロンがこんな存在だったとは。踊り子も大変。

その五 点描画の歴史的傑作“グランド・ジョット島”を描いたスーラが語ったこと。
     “パルテノン神殿のフリーズは神々が行進をしているように列を作って
     いる。私もこのフリーズのように現代の人々の行進を永遠に残して
     みたかった”
 昨年、アテネでこのフリーズをみたが、スーラの絵とこんな繋がりがあったとは
 知らなかった。この絵をみる見方が変わった。

その六 コクトーがピカソと並べて巨匠と呼んだのがマチス。また、マチスもコクトー
     独自の目や輪郭を高く評価していた。コクトーは尊敬するマチスに認め
     られたことで自分の絵に自信を持つようになり、“サン・ピエール礼拝堂
     壁画”を制作した。
 南フランス、コートダジュールで、いつかコクトーのこの壁画にお目にかかりたい。

美の巨人たちを制作するディレクター、構成作家、プロデューサーたちの
芸術エンターテイメントを生み出す熱意、心意気に敬服している。最後に流れる
音楽がまたいい曲。ますます期待したくなる番組である。
     

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» 読了 [shink-tank Diary]
「ぱとろんはてな」の理念を強化するために、よみはじめた。 ISBN:4004304903:detail 「パトロン」について考える。 パトロンには、教会関係者、政府や自治体、美術館関係者や学芸員、同業者組合・実業家・ナリキンなどが思い出されるけれど、高階さんはこうもいう。 >> 入場料を払って美術館や展覧会を訪れるというのは、広い意味で芸術を支える経済活動の一部であり……芸術のパトロンの一人と言うことができる P.113「〓 パトロンの拡大」 << おぉ、[ht... [続きを読む]

受信: 2005.04.09 12:31

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