映画「オペラ座の怪人」
話題の映画、オペラ座の怪人を観た。映画を劇場でみるのはやはり楽しい。
最近はクラシックのコンサートに足を運ばなくなったので、映画館の良い音響
システムで聴く音楽は非常に新鮮。その曲がミュージカルの大ヒットナンバー、
オペラ座の怪人となると気分は一段と高揚する。
この映画はミュージカルの舞台を再現しているという。もちろん映画なので、
舞台では出来ないシーンがいくつもある。見終わって買い求めたパンフレット
にそのことが書かれていた。シャンデリアが上からどーんと落ちてきたりとか
、ラウルが地底の水溜りをもぐったりとか。。。
この映画に期待していたのは舞台の再現。まだ本場、NYやロンドンの劇場で
このミュージカルを見てないので、どんな曲が歌われるのか、テーマ曲、
“オペラ座の怪人”や“ミュージック・オブ・ザ・ナイト”、“オール・アイ・アスク・
オブ・ユー”が歌われるシーンのことにイメージを膨らませていた。これには
見事に答えてくれた。満足度は200%。
怪人役のジェラルド・バトラーの歌唱力が少し落ちるかなという気がするが、
ブーイングするほどのことはない。ロック歌手ぽいところがあるが、バトラー
の歌い方に慣れればこれがスタンダードになるかもしれない。つい、
マイケル・クロフォードと較べてしまうが、オールド世代の怪人をいつまでも
懐かしがっても仕方が無い。
エミー・ロッサムは今、19歳。歌う場面の一番多い、クリスティーヌを見事に
こなしていた。圧巻は父の墓で歌うシーン。素晴らしい歌声で感動した。この女優は
7歳からメトロポリタン歌劇場でドミンゴやパパロッティたちと共演したという。
オペラで鍛えた歌唱力で名曲“オペラ座の怪人”や“オール・アイ・アスク・オブ・ユー”
を伸びやかに美しく歌ってくれた。舞台と違って手を叩けないので、心のなかで
大拍手をした。
ラウルを演じたパトリック・ウイルソンもなかなかの歌い手。クリスティーヌと一緒に
歌う“オール・アイ・アスク・オブ・ユー”は甘いラブロマンスの雰囲気を十二分に
出していた。
パンフレットでは作曲家ウェバーが“ポイント・オブ・ノーリターン”のシーンが
セクシーぽく仕上がったと満足していたが、こういう風に撮る必要があったの
かなと思った。エミー・ロッサムにストーカーみたいな怪人に怯えてみせたり
、すぐその後で“ここに来たからには後戻りは出来ないと”官能的に演じさせても
見てる側は前の余韻が残ってるので揺れ動くクリスティーヌの大胆さに
戸惑う。あどけない美しい表情をしたロッサムとの落差がちょっとあり
すぎる。物語の進行のテンポが速く、シーンがぽんぽん変わっていくので、
この落差が余計気になる。
舞台をベースにしながら、映画としても見せ所がないといけないので心理描写に
凝ったのだろうが、このあたりは評価が難しいところ。トータルの評価としては、
琴線に触れる曲がこんなにあるミュージカル“オペラ座の怪人”を劇場に
行かずに観れたと思えばこの映画は二重丸。
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コメント
劇場では観たことがないのですが、
この映画単体で観て、とっても良い印象を受けました。
ミュージカルがもともと好きなので
たまらなかったです。
お墓で歌うシーンは確かに良かったですね。
投稿: Tak | 2005.02.17 13:11
to Takさん
ミュージカルは現代オペラですから、役者の歌声が一番の楽しみです。
はじめから映画としての期待はしてません。ストーリーは知っているので。
唯〃3つの名曲を聴きたくていきました。舞台のセット、衣装、美術は
当時の雰囲気を出してますので、3人の歌声が素晴らしく聞こえますね。
ブラボーです。エミー・ロッサムは小さいころからメトロポリタンに出て、
場慣れしてるのでしょう上手でしたね。バトラーにはウェバーが最初
難色を示したとパンフレットにありましたが、確かに歌唱力は二人より
落ちるかなという気がします。でも、問題になるようなレベルではないですね。
映画が終わった後に流れていた曲はウェバーがこの映画のために作った曲
で本編で使う予定だったようですが、最終的にカットされて、正解です。
平凡な曲です。これを使っていたらぶち壊しでした。監督のほうが分かってます。
投稿: いづつや | 2005.02.17 17:31