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2005.02.13

長澤芦雪の虎図

291昨日の美の巨人たちは長澤芦雪だった。南紀串本町の無量寺にある応挙芦雪館にカメラが入ったのをみるのははじめて。

ここは昨年の7月に訪れたので、まだ記憶に新しい。目玉は長澤芦雪が描いた襖絵“龍虎図”。6面毎に龍と虎が描かれている。とくに有名なのが右の“虎図”。この絵は重要文化財に指定されている。虎は今にも飛び出してきそうにみえる。でも、この虎は怖くない。そう、猫のように描かれた虎なのである。虎の瞳孔は丸いのに、縦になっている。猫の証拠。猫であろうがこの襖絵には感動する。

なぜこんな構図にしたのか?美術史家の山下祐二さんが謎解きをしていた。この
襖の裏には猫が池の魚を捕まえようとして、構えている絵がある。この魚になって
猫をみると猫はこんなに形に見えるという。実際みたときにはこんな解説はない
ので、裏の絵と虎図との関連はわかりようがないが、言われてみると納得する。

芦雪という人は面白い発想をする。この龍虎図が描かれたのは1787年、33歳の
頃である。他の作品を画集でみると、奇抜な構図が目を引く。これがこの画家の
最大の魅力。普通の絵師が気がつかないようなアングルで風景を捉えている。
芦雪の頭の中で視点が自由に動いてるようだ。まだ見たこと無いが、メトロポリタン
美術館にある“海浜奇勝図屏風”や根津美術館所蔵の“赤壁図屏風”などは意表
をつく、奇抜な構図で奇勝が描写されており、シュルレアリスムの絵をみるようだ。

無量寺がわかりにくく、道が狭いのでクルマの運転に気を使ったが、この虎図との
出会いは楽しいひと時であった。交通の便があまりよくないので、なかなか行けな
いが、いつかまた訪ねてみよう。

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コメント

はじめまして。
ちょっと虎のことで気になったのですが、
この時代って、日本人は、実物の虎を見たことがある人ってどれくらいいたのでしょう・・・?
写真ってあったのでしょうか?
中国の絵?
もしよろしければ、応挙が何を参考に虎の絵を描いたのか、
教えていただけると嬉しいです。

投稿: コナン・ザ・グレート | 2008.04.07 10:55

to コナン・ザ・グレートさん
はじめまして。プロレスがお好きですか?

円山応挙(1733~95)は18世紀の後半
に生きた人ですから、本物の虎はみていませんね。
江戸初期までのいわゆる南蛮貿易の頃は虎が輸入
され、京都四条河原の見世物小屋に出たりして
ましたから、狩野山楽(1559~1635)
などは獰猛な虎を描いてます。これにくらべる
と応挙の虎は猫みたいで可愛いですね。

応挙は虎の頭の毛皮を写生して本物の虎に迫ろう
としたようです。でも毛皮では立体感がつかめ
ないから、毛並みはリアルですが、目は大きく、
平らな顔、猫のような体つきの虎になりました。

架空の龍は鹿の角とか蛇の胴体、魚の鱗などを
合成してリアルな龍に仕立てあげますが、実在の
虎となると猫のような虎しか描けませんでした。
このあたりがおもしろいですね。

投稿: いづつや | 2008.04.07 14:39

ありがとうございました。

投稿: コナン・ザ・グレート | 2008.04.08 15:28

to コナン・ザ・グレートさん
どういたしまして。これからもよろしく
お願いします。

投稿: いづつや | 2008.04.08 18:16

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