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2005.02.28

棟方志功の東海道棟方板画

22鎌倉に棟方板画美術館というのがある。大仏さんの前を通りぬけて間もなくのところを左折し、どんどん高台に上がっていくとこの美術館がある。1階と地下1階が展示スペースになっている。

ここで、今、東海道棟方板画(全64柵)が展示されている(3/20まで)。現代の東海道53次版画である。棟方は駿河銀行から依頼され、7回の写生旅行をして、昭和39年に完成させている。ただ風景を写すというのでなく、その土地
〃で生活している人々の姿やそこの空気のなかに存在するお寺、工場などを
人間臭く描いている。そして、縦長(彩色)、横長(黒白)の画面を交互におい
ている。

シリーズ物は沢山あると、ダレル絵がありそうなものだが、天才棟方にはそんな
絵はない。一枚一枚に味がある。彩色版画は赤、黄色、紫、青がどんと目に
はいる。画面にいっぱい描き込んでいるが、ビジィーな感じがしない。これは棟方
がモティーフから感じる生命力を力強い彫りで表現してるからだろう。

右は“藤沢 独銀杏”。画面中央に堂々とした銀杏を描いている。地の赤と黒い
大樹のコントラストがいい。棟方は“生きつづけている絶対のホントウさという律動
を知った”と述べている。

棟方は版画と書かないで、板画という字を使ってる。板(はん)による表現なので
板画(はんが)だそうだ。“板(はん)のいのち”を彫りおこすのだという考えである。
ここ2,3年、棟方志功展が何度も開催され、この国際的版画家の代表作を沢山
観た。観るたびに感動するので、まだまだ作品を追っかけようと思う。幸い、ここ
は家から近いので再々来られる。

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2005.02.27

映画「アレキサンダー」

オリバー・ストーン監督の映画「アレキサンダー」を観た。総製作費は200億円という。
このところ、トロイやキングアーサーなど歴史上の物語、英雄を扱った映画が多い。
しかも、興行成績も良い。ちなみに歴史スペクタクルドラマの観客ベスト5(日本)は
 1位 トロイ、2位 グラディエーター、3位 キングアーサー、4位 ジャンヌダルク、
 5位 ブレイブハート
 
このアレキサンダーはベスト5の中に入る観客数が得られるか?これは良く分か
らない。この映画に対する映画評論家のコメントを読んでないので、現下の
人気度が掴めてない。劇場には世代と問わず結構入っていたようにみえる。
オペラ座の怪人に比べると少ないが。

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2005.02.26

川端龍子とダリ

21昨年11月訪れた川端龍子記念館で、あらたな作品が展示されたので又行ってみた。今回のテーマは“龍子 変幻する視点”(1/4~4/17)。東近美のような広い展示スペースではないが、龍子絵画の特徴である大きな作品が15点出ている。

代表作に数えられる“龍安泉石”、“朝陽来”、“印度更紗”、“伊豆の国”などに心をうたれた。俯瞰の構図やピカソのキュビズムのように複数の視点を組み
合わせるなど自在に視点をかえて描いている。そして、なによりも絵の大きさに
圧倒される。龍安泉石の場合、縦は186cm、横巾は838cmもある。このくら
い大きな絵だと龍安寺の座敷から枯山水の石庭をみてるような気になる。

川端龍子は大衆のための絵画芸術をめざし、誰でもが絵を美術館など公的な
場所でみれるようにと、一部の愛好家が所有する掛け軸のような絵でなく、
大きな絵を描くようになる。これを会場芸術主義という。この大きな絵が龍子の
一番の魅力。

作品を観終わってロビーで所蔵作品の図録をぱらぱら見てたら、ある作品の
ところではたと気がついた。何に気がついたかというとダブルイメージ。右の絵
は前回ここで見た“渦潮”。横浜美術館でみたダリの“幻想的風景”により、ふた
つのイメージを重ねて描くダブルイメージの技法に開眼した。この作品は鳴門
の渦潮をみた印象と龍神伝説の二つをモティーフにして描いたものだが、壮観
な渦と海面から出てくる白龍の頭部が見事に重なっている。

シュルレアリスト、ダリと同じような絵を描く龍子の才能にあらためてびっくりした。
日本画でこん絵を描く人は他にいない。龍子とダリがつながったのは大きな
収穫。

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2005.02.25

ハンス・アルプの彫刻

2003年10月に開館した神奈川県立近代美術館葉山では今、ハンス・アルプ展が開かれている。日本におけるドイツ2005/06の一環としてアルプ美術館所蔵の作品が多数展示されている。ハンス・アルプの本格的な回顧展は20年ぶりとのこと。

アルプの作品はレリーフや抽象彫刻を内外の美術館でみる機会はあったが、接した作品が少ないこともあり、すごく感動したという記憶は無い。
だが、今回は違った。ここにある大理石、ブロンズの彫刻に魅了された。

こんなにおもしろい彫刻をいくつも見たのははじめて。あまり期待しなくて入場
したのに、会場を出るときは気分がハイになっていた。ミロの絵をみるよう
でもあり、ブランクーシの木、ブロンズの彫刻にも似ている。また、
ヘンリー・ムーアの大型彫刻を小ぶりにし、柔らかくしたようにも見える。

彫刻の中では大理石の作品が一番気にいった。右の作品には“地の精の国から”
という名がついている。子供が喜びそうな作品。アルプ自身、おとぎの国の
世界が好きで、詩もつくっている。この柔らかい造形をみると、不思議な森の精
が目の前にいるようだ。もっと変容させると宮崎駿監督のアニメにも登場しそうな
フォルム。もうひとつ、この彫刻をみて昨年、アテネ国立博物館でみた
キクラデス時代(紀元前3000~2000年)の大理石彫刻“竪琴を弾く男”を
想い出した。

アルプは1930年頃から丸彫り彫刻をはじめている。これらの彫刻はまわりを
ぐるっと廻ってみるようになっている。正面というものがない。どこからみてもいい。
好きな角度から自由にみてイメージをふくらませるのは楽しい。地の精の国から
は卵のようなものがいくつもくっついてて、それが手にみえたり、頭にみえ
たりする。

会期はは3/27まで。その後、
川村記念美術館(4/5~6/26)、
岡崎市美術博物館(7/3~9/4)、
群馬県立館林美術館(9/11~11/27)
を巡回する。

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2005.02.24

ルオー版画展

19出光美術館とともにルオー作品を沢山所蔵してる松下電工ミュージアムで今、“ルオー版画展”を行なっている。会期は2/27まで。この企業美術館には汐留再開発で高層ビルの一角にオープンしたとき一度訪問した。

ルオーは版画集をいくつか制作しており、そのなかから多色刷り版画の“流れる星のサーカス”、“受難”、モノクロ版画と色彩版画の“悪の華”が展示されている。そして、常設展示コーナーには
油彩の名品も数点飾ってある。ルオーといえばキリストを題材にした宗教画家、
サーカスの役者、とりわけ道化師を描く画家というイメージが強い。

色彩版画の場合、色調は油彩にくらべてそれほど強くはなく、黒く太い輪郭線が色と
うまくとけあっている。とくに気に入ったのが右の2枚。曲芸師とバレリーナの動作の
ひとコマをうまくとらえている。
白黒版画の悪の華をみてると、この画家が人間の弱さ、孤独感といったことに
真正面から向き合っていたのがわかる。色が無い分、重たい感情が
ストレートに伝わってくる。

ルオーの絵は出光美術館でよく観た。油彩の“受難”の連作や版画“ミセレーレ”など
約400点があるという。フランス以外では一級のコレクション。これに松下電工の
作品が加わったので、ルオーの絵をみる機会がぐっと増えた。黒の輪郭線をつかい、
絵の具が異様に盛り上がった絵は一度観たら忘れられない。“聖顔”のように
師モローの出現を連想させる激しい作品もあれば、ポンピドーの“ベロニカ”のように
美しい聖女もある。ルオーの絵は時間をかけてみたほうがいい。
じっとみてるとこの孤独な画家の深い人間性に近づけるような気がするからだ。

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2005.02.23

尾形光琳の竹梅図屏風

294東京国立博物館の平常展を定期的に見るのが習慣になってきた。企画展に較べどこの美術館でも平常展の集客力は弱い。だが、ここ東博や東近美では平常展に出品される作品は一級品。

なにせ所蔵品の数が多いので、平常展でも少しずつしか出てこないが、毎回足を運ぶ度に感動がある。日本画の名作を見るならこの平常展が一番いい。

今、右にある尾形光琳の“竹梅図屏風”(重文)が本館2Fの特別1室で展示され
ている。これまでタイミングがあわず見逃していたが、やっとお目にかかる
ことが出来た。意外と小さい2曲1隻の屏風である。金箔地の上に墨で
竹と梅が描かれている。2本の竹の間に梅がぼんと割り込んだような構図が
おもしろい。

上にある竹の葉は一部外にはみ出している。さらっとこんなトリミングを
するのが光琳の卓越したデザインセンス。梅のほうは簡略的にシャシャと描い
てる感じ。そして、花びらを一枚一枚描かずにまとめて輪郭線で描いている。
これは光琳梅と呼ばれ、光琳模様の一つとして着物、紋章、漆器などに
広く取り入れられた。

この絵は光琳の晩年の作品である。装飾性の高い光琳のほかの絵と比べると、
この金箔地と墨の濃淡で描いた竹と梅の組み合わせは物足りないかも
しれない。でも、ほの暗い日本家屋の座敷でこの屏風をみると竹と梅のシルエット
がすごく映えて見えると専門家は言う。屏風をそんな環境で見たこと無い
のでイメージしにくいが、たしかにそんな感じもする。

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2005.02.22

踊るサテュロス

17今、東京国立博物館で特別展示されている“踊るサテュロス”(ブロンズ像)を見た。1月はじめ、この像が日本で初公開されることを知り(拙1/6ブログで紹介)、首を長くして待っていた。

奇跡の発見といわれるこのブロンズ像は完全な形ではなく、右足と両手の大部分が欠けている。先週の日曜美術館でこの踊るサテュロスが発見された当時の様子を映像で流していたが、像があった周辺をさらに調査してみ
ると、金属の反応があったというから、ひょっとすると欠けた部位が海底に眠って
いるかもしれない。

このサテュロスの周りを何回とまわってみてわかったことはこの像が随分
ねじれていることだ。右は後ろから見たものだが、左足の下半身、上半身、
頭が右にねじれている。頭部はおもいきり右肩のほうに寝かせている感じ。
このねじれで狂乱的に踊るすがたを表現している。BC4世紀前半の彫刻家
プラクシテレスの作品は片方の足に重心をおいてるので動きは出ているが、
ねじれはまだない。踊りの躍動感を体をねじらせ、手を大きく上にあげた
造形によって表現するようになるのは、もうすこし時代が下がって、
ヘレニズム初期のようだ。

ねじれとともに頭の髪にもおどろく。髪が風になびいている。一本一本の髪は
鋳造した後、彫ってながれる髪のように見せている。

会場には大理石やミニブロンズのコピーが置いてあって、“触ってみて下さい”と
案内している。これは気がきいている。アスリートのようなしなやかな筋肉を
リアリティに写した像に触れることでその緻密な写実性が実感できる。
こんなギリシャ彫刻の傑作を東京で見れるとは嬉しいかぎり。

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2005.02.21

美術本「小林薫と訪ねる美の巨人たち」

毎週楽しく見ているテレビ東京の“美の巨人たち”を纏めた本を読んだ。
“小林薫と訪ねる美に巨人たち”(日本経済新聞社 04年12月)。この番組の
売りである小林薫のナレーションそのままが15枚の絵の語りとして掲載
されている。

広島にいるときはこの番組には全く縁がなかった。で、番組のHPからプリントして
巨人たちの説明書きを読んでいた。だが、これでは小林薫の独特の間を
感じることが出来ない。今は歯切れのいい、決まったせりふで演出する
芸術エンターテイメントを楽しんでいる。

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2005.02.20

歌劇「ヘンゼルとグレーテル」とアンチンボルド

16普段は紳士淑女が集まる歌劇場に子供たちの入場が多いオペラがある。フンパーディンクの“ヘンゼルとグレーテル”。

物語がグリム兄弟の童話を素材にしてつくられ、主役が子供たちである。ストーリーや曲は大略分かっているが、肝心のオペラは前にビデオを撮ったままにしていたので、時間をさいて見てみた。98年12月、チューリッヒ歌劇場での演奏。

歌い手をみると、ヘンゼルは男の子だが、女性が扮し、魔女は逆に男性が
女装している。演奏時間は前奏曲と3幕で1時間半くらいの短いオペラ。
3幕の森の中がハイライト。菓子の家をみつけ、そのお菓子を食べて楽しい
気分のヘンゼルとグレーテルだが、魔女に捕らえられてしまう。
やがて魔女に食べられそうになるが、二人で助け合い、難を逃れ、魔女を
やっつける。魔法が解けて、捕らえられていた他の子供たちも自由になり、
魔女は焼かれてクッキーに変わる。そこに、探し回ってた両親が現れ、喜びの
再会となる。最後は皆で、神を讃える歌を歌い、幕がおりる。

演奏される曲は明るくて、いいメロディーで、子供たちの歌声も伸び伸びして綺麗。
年齢を問わず楽しめる。この歌劇場の舞台セットに面白いものをみつけた。
菓子の家が顔になっているのである。そして、その顔をよく見ると、右の
アンチンボルドの“夏”を参考にして作っている。一番目に付く大きな鼻は西洋梨
、ほっぺたは桃、目の瞳は野いちごで出来ている。これには驚いた。

ウイーン美術史美術館にある奇画、果物と野菜を組み合わせて顔を描いた
“夏”を下敷きにするとはセンスがいい。オペラと共に舞台美術でも楽しませて
貰った。

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2005.02.19

買い物行動

デパートや大型ショッピングセンターが好きでよく行く。こういう空間で
人がどんなものを買っているのかを見るのも結構楽しい。売れ筋商品が何か
とか、食品売り場ではこのイチゴがどこの県で生産されたものだとか、どの国
からきたかとか。。いつか隣の方が買ったアジの干物は生産地がオランダで
日本で加工したとラベルに書いてあった。へえー。この干物、日本じゃなく
オランダからかとちょっとびっくりした。

今は、国内なら47都道府県のどこからでも、また海外のどの国からでも品質が
よくて、消費者にうける物なら、入荷される。バイヤーは良品をもとめて
飛びまわっている。日本のグロスの消費量はやはり凄い。

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2005.02.18

世界遺産・黄山

Scan10044先週、日曜日のTV世界遺産で紹介された中国・黄山にいつか登ってみたいと思っている。

険しく切立った峰〃、面白いかたちをした奇岩、黄山松に興味津々。そして、冬の時期にはあたり一面は雲海につつまれるという。昨年、BS2でその大雲海をみたが、神々しいほど神秘的な光景。まさに天地が生まれてくる瞬間のようであった。

伝説によると、不老不死をもとめて黄帝がやってきた山というので黄山
という名前がついたという。険しい山、立ち込める霧、海のような雲は
北宋時代に描かれた山水画を彷彿させる。

いくつか旅行会社のパンフレットをみると、黄山のコースも結構ある。
上海との組み合わせが多い。BSでみたときは観光客は下の方からすごく
急な階段を一歩一歩登っていたので、頂上にたどり着くまでは相当キツそう。
で、わが身の体力で大丈夫だろうかという心配で頭が一杯になったが、
行程マップをみるとロープウェイがあるみたいだ。希望が出てきた。

黄山は険しい山のため、世界遺産に登録されるまではこの地を訪れる人はまだ
少なかったようだが、最近では登山のためのインフラが整備されたり、
ホテルの建設などにより、今では年間、150万人が訪れるという。TBSでもBS
でも地元に住む水墨画家が描いた黄山の絵が出てきた。実景ではなく、
目の前の風景から感じ取った“気”を描くのだという。刻々と変わる気を表現
するのは難しいらしい。水墨画の世界は奥が深い。

最近、水墨画のいい本が出た。島尾新著“すぐわかる水墨画の見方”
(東京美術、05年2月)。島尾氏は山下祐二さんと共にいま、日本画では一番
売れている美術史家。代表的な水墨画を例にとり、表現方法や視点、画題
を分かりやすく説明している。実際、墨と筆をもったことない人でも、絵を細かく分解
して解説してくれる技法や画家の描かんとしているポイントをみれば、
水墨画を描いたような気になる。コンパクトで情報がいっぱい詰まった本である。

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2005.02.17

大リーグ、キャンプイン

アメリカ大リーグのキャンプが17日からはじまる。昨日、今日はヤンキース
松井の渡米、そしてヤンキース球場での練習をマスコミが報じていた。
いよいよ、日本人大リーガーも始動しだした。

今年は新たに4選手が挑戦する。阪神の藪がアスレチックス、
ダイエーの井口がホワイトソックス、近鉄の中村がドジャーズ、横浜のデニー
がレッドソックスへ入団。

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2005.02.16

映画「オペラ座の怪人」

話題の映画、オペラ座の怪人を観た。映画を劇場でみるのはやはり楽しい。
最近はクラシックのコンサートに足を運ばなくなったので、映画館の良い音響
システムで聴く音楽は非常に新鮮。その曲がミュージカルの大ヒットナンバー、
オペラ座の怪人となると気分は一段と高揚する。

この映画はミュージカルの舞台を再現しているという。もちろん映画なので、
舞台では出来ないシーンがいくつもある。見終わって買い求めたパンフレット
にそのことが書かれていた。シャンデリアが上からどーんと落ちてきたりとか
、ラウルが地底の水溜りをもぐったりとか。。。

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2005.02.15

芹沢銈介

15横浜そごう美術館で芹沢銈介展が開催されている(2/27まで)。芹沢銈介の作品は大原美術館に河井寛次郎や浜田庄司の陶器が目当てで足を運んでいる時、知った。斬新で明るい色調のデザインの着物や暖簾が展示してあった。

その後、柳宗悦の民芸運動のことがわかるようになるにつれ、この芹沢という染色作家にたいする関心が増してきた。作品はこれまであまり観てない
ので、今回の展覧会は期待していた。着物、帯、暖簾、屏風などの染色物や
ハンドバッグ、絵本のデザイン、マッチやパンフレットなど商業デザインなど
約300点が出品されている。

そのなかで気に入っているのは着物のデザインと文字をデフォルメしたもの。
着物は女性が着るものとして作られたのだが、これを所有してる人が身に着けずに
保存していたので、良いコンディションで残っているそうだ。確かに、観ると色が
鮮やかで古さを感じない。右の着物は1970年に作られた“鎌倉の秋着物”。
鎌倉の村の農家と野山がモティーフになっている。色が鮮やかでデザインセンス
のよい作品である。8種類の図柄で全体をうめている。いいデザインが数多く
繰り返されると見栄えがする。村上隆の作品にも感じる心地よい繰り返しである。

面白いデザインがもう一つある。暖簾や屏風などに使われる文字をデフォルメした
デザイン。例えば、風という漢字をいくつかの色で塗り分けたり、文字の隣に
花を置いたりしている。これは一種のコラージュ。文字そのものを分解して、
彩色したり、ひらがなを対象物にしてほかのものと組み合わせるといった行為は
もう現代アートの世界。芸術家としては一級の感じがする。会場にいて気持ちが
良くなる展覧会であった。

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2005.02.14

村上隆

14現代アーティスト、村上隆の作品に今、非常に興味をもっている。きっかけは3週間くらい前のBS2“迷宮美術館”で、村上隆の絵には現在6千万円の値段がついていることを知り、この作家が現代アートのトップ集団にいるのがわかったからである。

Myビデオコレクションにも数本入っているので、名前は知っているが、それはミュシャや速水御舟の解説者であったりで、作品そのものは03年10月に
開催された森美術館の開館記念展覧会“ハピネス”に出品された右の“COSMOS”
しか見たことが無い。コスモスの花と漫画のキャラクターが一緒になった
面白い形を、黄色や赤、緑、青で彩色し、数かぎりなく繰り返しているこの作品は
見てて楽しかった。これがあの村上隆のアートか。子供が喜びそうな絵だなと
いう印象であった。この絵以外は残念ながら知らない。

TVにでてきた6千万円の絵は一度みたくなるような絵であった。また、NYの中央駅
にも彼の作品が飾ってあるらしい。日本では村上隆の絵はどこにあるの
だろうか?もしあまりなければNYに行ったとき、彼の作品を見せてくれる画廊や
中央駅を訪ねてみたい。

村上隆の絵が評価されるようになったのはIT長者のピーター・ノートンというコレクター
が彼の作品にいち早く目をつけ買ったかららしい。こうしたリーディング・コレクター
の購入などが強い影響力をもち、作品の値段が上がっていくようだ。村上隆の
才能が眼力のあるコレクターや画廊経営者に評価され、高額な村上ブランドが
市場で確立している。

この人は東京芸大の日本画の博士号をとっているし、凄い才能をもってると思う。
期待して、作品を追っかけたい。

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2005.02.13

長澤芦雪の虎図

291昨日の美の巨人たちは長澤芦雪だった。南紀串本町の無量寺にある応挙芦雪館にカメラが入ったのをみるのははじめて。

ここは昨年の7月に訪れたので、まだ記憶に新しい。目玉は長澤芦雪が描いた襖絵“龍虎図”。6面毎に龍と虎が描かれている。とくに有名なのが右の“虎図”。この絵は重要文化財に指定されている。虎は今にも飛び出してきそうにみえる。でも、この虎は怖くない。そう、猫のように描かれた虎なのである。虎の瞳孔は丸いのに、縦になっている。猫の証拠。猫であろうがこの襖絵には感動する。

なぜこんな構図にしたのか?美術史家の山下祐二さんが謎解きをしていた。この
襖の裏には猫が池の魚を捕まえようとして、構えている絵がある。この魚になって
猫をみると猫はこんなに形に見えるという。実際みたときにはこんな解説はない
ので、裏の絵と虎図との関連はわかりようがないが、言われてみると納得する。

芦雪という人は面白い発想をする。この龍虎図が描かれたのは1787年、33歳の
頃である。他の作品を画集でみると、奇抜な構図が目を引く。これがこの画家の
最大の魅力。普通の絵師が気がつかないようなアングルで風景を捉えている。
芦雪の頭の中で視点が自由に動いてるようだ。まだ見たこと無いが、メトロポリタン
美術館にある“海浜奇勝図屏風”や根津美術館所蔵の“赤壁図屏風”などは意表
をつく、奇抜な構図で奇勝が描写されており、シュルレアリスムの絵をみるようだ。

無量寺がわかりにくく、道が狭いのでクルマの運転に気を使ったが、この虎図との
出会いは楽しいひと時であった。交通の便があまりよくないので、なかなか行けな
いが、いつかまた訪ねてみよう。

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2005.02.12

ミュシャ様式

12今、東京都美術館で開催中のミュシャ展の人気は高いようで、昨日は日本テレビと世界美術館紀行でミュシャを取り上げていた。美術館紀行では昨年の拙ブログで紹介したプラハ国立美術館にあるミュシャの名画“スラーヴィア”を解説していた。

上野のミュシャ展で代表作を大半みたので、この画家に関する情報を集中的にレビューしている。その一つ、99年11月に
放映された日曜美術館のミュシャ特集をビデオでみてると、興味深い内容がいくつ
もあった。番組は司会役の緒川たまきとアーティストの村上隆が堺市にある
ミュシャギャラリーを訪ねるという趣向。

ここのギャラリーは日本におけるミュシャ芸術の殿堂と言われている。今回の
ミュシャ展にでたポスターなどもかなり揃ってるようだ。このことはシルフさんに
も教えて頂いた。そして、上野に出てなかった“蛇のブレスレットと指輪”がここ
に展示されていた。これは凄い。このブレスレットが次のターゲットと思ってい
たが、これを日本で見られるのは有難いこと。

この作品は“メディア”のポスターに描かれている蛇のブレスレットを女優サラ・
ベルナールが気に入り、実際に作らせたもの。ミュシャがデザインし、宝石商
のフーケが制作している。ルネ・ラリックの作品にひけをとらないルビーやオパー
ル、ダイヤモンドを使ったこれぞアールヌーボーといった一品。これが日本に
あるということは複数つくられた?いやここにしかない?それともレプリカ?

ミュシャは早くから写真を撮っていて、モデルにいろんな動きをさせ、写真をポス
ター、装飾パネル、カレンダー、スポット印刷などに描かれるデザインに生かし
ている。モデルの心が形にあらわれるようにと音楽を流すような気配りもしたよ
うだ。写真が下絵で、写真の段階で装飾的な雰囲気になっている。

1910年、プラハに移ってから、ミュシャはスラブ民族のことを作品にするよう
になるが、その中心テーマであるスラブの連帯が1897年に制作した右のポス
ター“サロン・デ・サン ミュシャ展”(上野ミュシャ展に出品)のなかにも描かれ
ているという。三つの丸い輪とハートがそれで、丸い輪はソコルと呼ばれるスラ
ブの連帯を表している。ソコルは隼(はやぶさ)を意味するらしい。

人気のミュシャ展にもう一回行きたいが、相当混んでるようで、しっかり見れる
だろうか?

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2005.02.11

ピカソの肖像画

Scan10043迷宮美術館でコレクターの話をしていた。アメリカ人のガートルード・スタインという女流作家は兄とともに美術愛好家としてパリでピカソやマチスの絵を買っている。

最初、彼女はマチスのフォーヴィスム作品を評価し、1905年に描かれた“マティス夫人(緑のすじのある肖像)”を購入し、当時お金に困っていたマティスを喜ばせている。

この絵は、対象物が持っている色ではなく、自分が感じた色で表現するというフォーヴィスムの代名詞のような作品。顔の真ん中に緑のすじが描かれている。まだ見たことが無いが、実物は強烈なインパクトを持っていそう。いつかお目にかかりたい絵だが、
コペンハーゲン国立美術館はちょっと遠い。

ガートルード・スタインはピカソがキュビスムの絵を描くようになると、こんどはピカソに
肩入れするようになる。そして、25歳のピカソは彼女の肖像を描いている。
右の“ガートルード・スタインの肖像”(1906年)である。メトロポリタン美術館でみた
時からかなり最近まで、この絵は男性の肖像とばかり思っていた。
ガートルードは80回以上もポーズをとったが、ピカソの筆は進まなかったようだ。
そのため、一旦中断し、ピカソはスペインに帰る。そのとき、ゴソルというピレネー地方
の小村で目にした素朴なロマネスク彫刻に霊感を受け、仮面を思わせる顔をした
肖像画を描きあげている。細部にとらわれず、ガートルードの顔を彫刻的に表現している。キュビスムを予感させる絵である。

ピカソは“モデルに似てないな”という世間の批評を全然気にせず、
“そのうち彼女の方が、この絵に似てくる”と言ったという。

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2005.02.10

ワールドカップアジア最終予選

昨日行なわれたワールドカップアジア最終予選を興奮してみた。
野球に較べ、サッカーの試合はかなり縁遠い。だが、ワールドカップの本大会
や予選では日本チームをTVで応援している。この時期だけにわかサッカーファン
。普段はサッカーの試合は点がはいらなくてイライラすることが多いのに、
ワールドカップの予選の試合になると、これがあまり気にならず、
90分間前のめりになって見る。これがワールドカップの魔力かもしれない。
こういう試合はとにかく1-0でも勝ってくれればいい。0-0でもまあ
いいかとサッカー通のような気持ちでなっている。いまやサッカーワールドカップ
は日本のスポーツ文化の中では大きな関心事。

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2005.02.09

梅原龍三郎の紫禁城

11東京国立近代美術館で何年ぶりかに梅原龍三郎の“北京秋天”をみた。

ここの平常展は定期的にチェックし、頻繁に観に行っている。日本画と洋画の名画が一緒に鑑賞でき、料金も420円と安い。この美術館には日本人画家の洋画に関しては教科書にでてくる作品が沢山ある。

日本画と違い、油絵は光による影響がないため展示期間が長く、同じ絵を
何度もみることになる。で、飽きるかというとそんなことは無い。岸田劉生
の“麗子肖像”などは見るたびに感動する。名画たる所以だ。落語や漫才で
同じネタなのにまた笑ってしまうのと同じ。

梅原龍三郎の“北京秋天”は代表作の1枚。1942年に描かれている。
梅原は1939年から1943年まで毎年数ヶ月北京を訪れ、北京の風景を作品に
している。この絵のほかに“雲中天壇”(1939年、京近美所蔵)、
“紫禁城”(1940年、永青文庫)がある。この3点はどれも傑作。

一番好きなのは右の“紫禁城”。この絵には昨年4月、松江市にある島根県立
美術館で偶然出会った。あまり期待せず、ふらっと入った昭和前期の洋画展に
“雲中天壇”とともにでていた。わおーてな感じですごく嬉しかった。
10年くらい前みた紫禁城が目のまえにあるような感じがした。紫禁城の赤、
空の白い雲、木々の緑がうまくとけあっている。カラリスト梅原ならではの
装飾的で美しい作品である。

梅原龍三郎とか安井曽太郎などの絵をもっとみたいと思っているのだが、
この巨匠たちの大規模な回顧展があまりない。日本画の画家に較べ、
洋画をやった人の展覧会が少ないのは残念なことだ。

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2005.02.08

喜多川歌麿

267浮世絵の専門美術館である太田記念館で開催中の名品展が2月になり展示替えになったので再度足を運んだ。この展覧会が新日曜美術館で紹介されたこともあり、先週土曜は10時半の開館には大勢の人が並んでいた。

前期、後期出っ放しの作品はわずかで、後期にでている肉筆画、版画とも名品揃い。前期のときもそうだったが、一つ一つの作品にこんなに興奮する展覧会はそう無い。いままで見た浮世絵の
展覧会の場合、春信、清長、北斎、広重、歌麿、写楽、豊国、国芳といった
ビッグネームの作品には名品が多いのに対し、中堅クラスの絵師のは印象が薄く、
平均的な浮世絵というイメージが強かったが、この記念展に出品されている
中堅絵師の絵に優品がいくつもあった。

歌川豊広の“ほたる狩り図”、勝川春湖の“夕立”など。また、準ビッグネーム、
勝川春章の肉筆画“子猫に美人画”や溪斎英泉の江戸八景にも魅了される。
月岡芳年の“雪中常盤御前図”も二重丸。

見所一杯の展覧会であるが、一番気に入ったのが右の喜多川歌麿の
“三保の松原道中”(部分)。大きな一枚絵(版画)。歌麿の美人画は東博などで
見る機会があるが、このような人物画と風景画が一緒になった絵はあまり
お目にかからない。この絵をじっくりみて、浮世絵師歌麿の天才ぶりがよくわかった。

女性の艶っぽい描き方は天下一品であるが、構図のとり方がじつに上手い。
この絵を注文したパトロンの妻を載せた籠の中に侍と従者を中景でみせている。
近景の女性たちを大きく描き、遠景に三保の松原をもってきている。
広重の絵をみるようだ。この歌麿の絵に会えたのは大きな喜びである。
太田記念館に感謝。

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2005.02.07

横山操の越路十景

09日本画家、横山操が描いた“越路十景”を山種美術館でみた。この越路十景という絵はこれまで一部はみたが、全部まとめてみるのははじめて。

横山操の作品はあまり観ていない。山種の所蔵の絵を数点みた程度。画集などでみると、この画家の作風は都市の一角を描いた油絵をおもわせる絵やアクションペインティングのような抽象画のイメージが強い。東近美にある代表作“ウォール街”には都市のもつ
寂寥感を感じる。

横山は後年になり、水墨画に新しい境地をもとめ、中国山水画の瀟湘八景をモティ
ーフにした、故郷越後の瀟湘八景を描いている。越路十景はこれを発展させ、越後
八景に越中・越前の二景を加え十景としたものである。10点のうち6点は空気や
光の微妙な雰囲気を出すため金泥を使い、4枚は墨の濃淡により描かれている。

右の作品は“蒲原落雁”。横山が生まれ育った西蒲原郡の光景である。雪の平原
に生えるのはハザキという樹。この樹〃が近景、中景、遠景に重層的に描かれて
いる。目を近づけてみると、水平線ちかくの樹ほど墨の線は細かく丹念。遠くの空は
墨の滲みで表現され、日本海の雰囲気が漂っている。

横山操は1971年、脳卒中で倒れ、右半身不随となり、以後左手で制作を続けたが、
1973年53歳で没している。昨年亡くなった加山又造は少し年上の横山とはウマが
あったらしく、お互い刺激しあって画業に励んだようだ。

会場には越路十景の他、“滝”という傑作も展示されている。来月の5日からは東近
美でも横山&中村展がはじまる。まだ見ていない“ウォール街”がでてくる。横山操
の絵の質の高さがこの展覧会ですこしわかった。これからも機会をみつけて名作を
追っかけようと思う。

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2005.02.06

癒しのモーツァルト

普段は見ない“題名21”というテレビ朝日の朝の番組で“癒しのモーツァルト、
人気ランキングベスト20”というのをやっていた。音楽療法が最近盛んに
行なわれているという。どういう効果があるのか、専門的なことは分からないが
、番組ではモーツァルトが作曲した音楽の中から、癒し系の曲に注目し、上位
20曲を披露していた。そして、お医者さんが選ばれた曲が健康の促進に
どう影響してるかを解説していた。好きなモーツァルトの曲がどんな順位に
なるのかというのに興味を覚え、熱心に見た。

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2005.02.05

エゴン・シーレ

08昨日の世界美術館紀行にウィーンにあるレオポルト美術館が登場した。03年、ウィーンを訪れたときは時間がなくて残念ながらこの美術館には行けなかった。エゴン・シーレの絵を沢山所蔵してるので有名なところである。

日本にも、ここの名画が2、3回きている。8年前の97年、安田火災東郷青児美術館で開かれた“ウィーン世紀末展ークリムトの夢、シーレの愛”で観たレオポルト所蔵の作品は今でもよく
覚えている。この展覧会でシーレの画風についてのイメージが固まった。

その後、シーレの絵を日本でみることがなかったが、ベルヴェデーレ美術館で
久しぶりにお目にかかった。ここにもシーレの代表作がいくつもある。“家族”、
“自画像”、“抱擁”、“死と乙女”、“母と子供”などだが、これらは日本で見た。
で、新鮮味はないが、シーレが28歳の若さで亡くなった年に描かれた“家族”
が強く印象に残った。この絵のシーレの顔が他の作品にくらべ、暗さや退廃的
な匂いがなく、逆になぜか端正に描かれているからだ。妻、そして生まれて
くるであろう子供も綺麗で可愛い。

この絵についで心をうたれたのが右の“4本の樹”という風景画(1917年)。
はじめてみる絵。シーレの絵描きとしての才能の高さを感じさせる素晴らしい絵
である。沈みゆく太陽が夕暮れの空を赤くそめ、前景に平行に立ち並ぶ4本の
マロニエの樹が描かれている。エロティックで毒のある絵をかくシーレのイメー
ジがこの絵をみて変わった。こんな美しい絵も描けるのだと。これは大きな収穫。

ネーベハイ著の“クリムト”にはクリムトとシーレのおもしろいやりとりが出てくる。
クリムトは若いシーレ(28歳年下)の絵をみて“君が描いた人物の顔の表情は
どうだ!僕は君が羨ましい”と言ったという。また、後年、シーレは尊敬するクリム
トのデッサンが欲しくて、クリムトに作品の交換を懇請した。そして、クリムトの1点
に対して自分のは数点を差し上げましょうと言うと、クリムトは“何のために君は僕
とデッサンを交換しようと言うのか?君の方が僕なんかより遥かにいいデッサンを
するじゃないか。。。”と答えたらしい。クリムトとシーレは奇しくも1918年、同じ
年に亡くなっている。

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2005.02.04

スイスのチョコレート

バレンタインデイが近くなり、デパートやショッピングセンター、専門店における
チョコレートの販売が熱を帯びてきた。デパート売り場で目立つのがベルギー
の老舗ブランドのゴディバ。高島屋でも三越でもゴディバのショーケースの前は
お気に入りのチョコレートを買う客で一杯。

昔、スイスのジュネーブに住んでいたのでスイスのチョコレートを沢山食べた。
スイス人一人が1年で食べるチョコレートは12キロくらいだそうだ。同じ
くチョコレート国のフランスやベルギーの人々の消費量は7~8キロ。
スイスは世界のチョコレート王国である。

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2005.02.03

サイモン・ラトルのダフニスとクロエ

最近はサイモン・ラトルが指揮するベルリンフィルの演奏をよく聴く。
そのなかで、ビデオをまわす回数が一番多いのが03年の
ジルベスターで演奏されたラヴェル作曲のバレエ組曲“ダフニスとクロエ” 
第二組曲。出だしの“夜明け”を目をつぶって聴くと気分がほわーんとなる。
ドイツ人にこんな曲はつくれない。フランス生まれの作曲家らしいラヴェルの
傑作である。

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2005.02.02

岡田温司著「マグダラのマリア」

Scan10042最近出版された“マグダラのマリア”という本を読んだ。著者は美術史家の岡田温司氏(中公新書、05年1月)。

この本を読むと、この聖女マグダラがこれまで絵画、文学、映画の題材として数多くとり上げられ、作品づくりの霊感源となってきたかがよくわかる。マグダラのマリアには堕落した女というイメージと同時に肉体美をそなえた官能的な女性というイメージがある。また、悔い改めた苦行者として信者の模範となるマグダラのマリアも強く残っている。

著者はこんなイメージでみられるマグダラのマリアがいつ頃、どういう背景により
人々にPRされていったかを聖書に書かれた内容、さらにカソリックの
歴史をひもときコンパクトにまとめている。美術好きの人は画家が描いたマグダラ
のマリアが沢山でてくるので、信者で無い限りあまりなじみのない宗教の話
がさほど苦にならず、理解できるのではないだろうか。

これまで観たマグダラのマリアの絵で印象深いのはティティアーノが描いた
“悔悛のマグダラ”とカラヴァッジョの同名の絵。ティティアーノはほぼ同じ絵を3枚
制作している。これらはフィレンツェのピティ宮、エルミタージュ美術館、
ナポリのカポディモンテ美術館にある。ピティ宮にある絵は胸がそのまま
描かれているが、後の2枚はヴェールで隠されている。目に涙をためたマリア
の姿は実に美しい。時間があればずっとこの絵の前にいたくなる。
カラヴァッジョの絵を岡崎市でみたときは、こんななまめかしい絵が17世紀
の初頭によく描けたもんだと唖然とした。天才カラヴァッジョの凄さをみせつけ
られた感じだ。

まだお目にかかってない作品で関心があるのが、ドナテッロの
彫刻“マグダラのマリア”。この作品を図録でみると男の苦行者にみえる。が、
よくみると女性。長い髪が膝の下まで伸びている。
右のフレスコ画はアッシジにあるジョット作の“天使たちの対話”。長い金髪の
聖女マグダラが描かれている。長い苦行をしたマリアであるが、
ドナテッロの痩せ細った、険しい表情をしたマグダラとは対照的に気品がある。

岡田氏の本書は新書でボリュームは無いが、マグダラ物語はバロックから
象徴派のロップス、ラフェロ前派のロセッティ、映画“マレーナ”までつながっている。
岡田氏はカラヴァッジョ鑑の編者だけあって現代芸術の知識も深く、論点には
説得力がある。情報量の多い良書である。

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2005.02.01

河井寛次郎の木彫

Scan10041町田市立博物館で開催中の河井寛次郎展に展示替えがあったので、また見にいった。展示は2/6で終了。入場料は無料。

今回の企画展には陶芸以外の作品が多数出品されていたので、河井の多才な芸術力を知ることができた。その一つが木彫。河井は76歳まで生きた人であるが、60歳から本格的に木彫に取り組み、100点くらい制作している。これらの木彫作品(彫像、面)を所蔵してるのは京都の河井寛次郎記念館。

68歳までは彫像を手がけ、その後は面をつくっている。右は木彫像“母子”。
ほっぺたがぷっくっとふくれた愛嬌のある形をした母と子が向き合っている。
仏像は数限りなく見ているが、こういう木彫の像は見たことがない。寛次郎記
念館で最初に見たとき、日本の作品というよりはアフリカや南米あたりにあ
りそうなもののように思えた。このほかに兎や合掌した手の木彫像がでてい
た。自分の部屋に置いときたくなる一品である。

これらは共同作業で制作される。河井が粘土で原型を作り、松久という仏師
が彫り、最後の仕上げを河井が行う。素材は樟(くすのき)。数では一番多
い木彫面については、原始的な感じのする魚や人間の顔を作っている。

河井寛次郎は生活の中から、おもしろい形をしたものを見つけ、それをヒントに
して自分の造形をつくり上げいく。そして、自由な創作活動により、つねに
新しい自分を発見しようとしている。才能豊かな人はどんどん変身し、脱皮し、
新たな作風を生み出していく。ピカソ、速水御舟、葛飾北斎などが入っている
変身型天才倶楽部に河井寛次郎を加えなくてはいけない。

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