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2005.01.31

前田青邨の能役者絵

07日本橋高島屋で開かれていた“岡倉天心と日本美術院展”で思はぬ名品に出会った。チラシには無かった前田青邨の“出を待つ”である。

代表作の大半を鑑賞し、この絵が最後に残っていた。個人の所蔵のためか、なかなかでてこない。が、なんとここに出品されていた。こういう時ほど嬉しいことは無い。天にも昇るような気持ち。30分くらいこの絵の前にいた。

白獅子の装束に身を包む能役者が舞台に出る前の緊張した瞬間を
描いている。演者は椅子に浅く腰掛けて、精神を統一しているところ。出番前
の張り詰めた空気が伝わってくる。二曲の屏風絵。色数は香色をベース
に白、獅子面の口の赤と少なく、色調は抑制気味。日本画でこういう配色は
あまり見たことがない。これから演じられる幽玄な能の世界を感じさせる
色面構成、構図である。

前田青邨のまとまった展覧会があまりないので、東博や大倉集古館、山種など
にまめに通ってこの画家の名画に接してきた。最近では東近美で開催された
琳派展に“風神・雷神”、“水辺春暖”が出展されていた。“水辺春暖”の華やかな
画風が気に入っている。また、東博の平常展でも“神輿振”、“唐獅子”をみた。

青邨の画技はとびぬけて高かったそうだ。この高い技術と近代的な感覚、斬新な
画面構成により、“洞窟の頼朝”、“知盛幻生”、“大物浦”など一連の歴史画、
武者絵の傑作を生み出してきた。青邨の絵をみるたびにこの画家の大きさ
を感じる。“出を待つ”は一緒にでてた“お水取り”と共に心に深く残る
絵となった。

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コメント

前田青邨、大好きです。
2001年に愛媛県美術館で回顧展が開かれました。


>“琳派展”に風神・雷神、水辺春暖

この「風神・雷神」は愛媛のセキ美術館の収蔵品です。普段は壁画のように高い位置に掛けられているのですが、琳派展では、下におりてきて、目の前で見ることができました。改めてその大きさにびっくりしました。
「水辺春暖」は県美の回顧展ではパンフにもチケットにも使われていた名画です。木枯らし吹きすさぶ今日のような日に、この絵を見ると春待つ気持ちがますます強くなります。

>こういう時ほど嬉しいことは無い。

思いがけず出会った絵ほどうれしいことはありません。私も1枚の絵に強く惹かれ、何度も戻って見直すとことがよくあります。

投稿: リセ | 2005.02.01 13:23

to Lyceeさん
“出を待つ”をついに観ました。出品を知らずに他の春草
や大観に期待して出かけたものですから、食べかけのメインデイッシュ
を忘れて隣の席でまた美味しい料理を頂いたようなものです。

期待通りの名品でした。こういう色合いの日本画にお目にかかったこと
がありません。01年松山で青邨展があったのですね。迂闊でした。
知っていれば駆けつけてました。風神・雷神は大きくていい絵ですね。
水辺春暖は琳派展でのターゲットでした。大満足でした。青邨の
絵の魅力をLyceeさんと共有できるのは嬉しいですね。

投稿: いづつや | 2005.02.01 20:20

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