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2005.01.04

ピティ宮殿のラファエロ

467昨日、TV東京の“ヴァザーリの回廊”という番組を見た。

フィレンツェにあるヴェッキオ宮殿とピティ宮殿を結ぶ回廊を俳優の奥田英二が案内するという趣向。

ここにカメラが入るのははじめてのこととナレーションの小谷さんは強調する。こちらは沢山お金握らせたら、すぐOKなんだなと思うが、そこは熾烈な視聴率競争を戦っているTV局のこと故、素直にへえーとトリビアの泉の気持ちになり、興味深くみた。

番組のなかで嬉しかったのはピティ宮殿にあるラファエロの名画をみせてく
れたことである。宮殿内にあるパラティーナ美術館にはラファエロの聖母子
像などの傑作が沢山展示してある。5年前、2度目のフィレンツェ訪問で
一番見たかった絵が右の“小椅子の聖母”、ラファエロ全作品のなかで最
も気に入ってる絵だ。

この絵を見たときの感動はいまだに忘れられない。この聖母子をみている
自分の顔は素直ないい顔をしているだろうなと、勝手に思ってしまうような
穏やかな気持ちになる。聖母は慈愛溢れる母親そのものであり、抱かれて
いるのはどこにでもいるちょっと太目の可愛い赤ん坊。宗教臭くないのが
いい。

この絵はラファエロがフィレンツェ(1504~1508年)を去り、ローマに移っ
てから(1508年以降)の作で、1513~1514年頃に描かれている。制作
事情はあまり分からないらしい。そのため色々な神話が生み出されている。
その一つは、ラファエロがたまたま田舎を通りかかったとき、天使のように
美しい二人の子供と母親をみて、心打たれた。すぐ、この3人を描きとめよう
としたが、あいにくスケッチの道具を持っていなかったので、あり合わせの
陶土を使って酒樽の蓋に描いたというもの。この話は1800年代に出来た
らしい。また、ラファエロが愛したフォルナリーナを描いたという説もある。

この宮殿ではフィレンツェで制作された名画“大公の聖母”や未完成の“天
蓋の聖母”にも会える。そして、ウフィツィ美術館には大公の聖母同様、
フィレンツェ時代に描かれた“ひわの聖母”がある。ここフィレンツェにラファ
エロの優雅な聖母子像の傑作が集まっている。もう一つの名作“サンシスト
の聖母”は昨年、ドレスデン国立美術館でみた。ラファエロの聖母子像を
みている時が一番楽しい。

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コメント

いづつやさん、あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
ご挨拶が遅れてスミマセン。情けないことに新年早々寝込んでおりました・・・。「ヴァザーリの回廊」は私も録画していて今日観ました。憧れていたところですので、順をおって途切れなく進むカメラワークに終始わくわくしていました。が、そこはテレビ、停まってほしいところが流されたり、解説がとても中途半端でやきもきしたり・・・でも、はじめてヴェッキオ宮殿からピッティ宮殿まで通しての取材ということでやはり価値のある映像だと思いました。願わくばもう倍ぐらいの時間をかけてほしかったところですが・・・視聴率のかかる民放でここまでやってくれたことには拍手ものですね。

投稿: 桂田 | 2005.01.04 23:20

to 桂田さん
お体、大事になさって下さい。無理をなさらず、飛騨牛でも
お食べになったらどうですか。昔、風邪をひいた時は、よく無理
してステーキを食べたことがあり、これで回復しました。

ヴァザーリの回廊、新情報も一杯あり、これはよかったですね。
隅から隅まで見せてくれたという印象です。
そのため、桂田さんのおっしゃるようにもう少し詳しくみせて欲しい作品も
ありましたね。それと画面が暗いですね。NHKがカメラ回すときは、
写真撮影の時のように、いっぱいライトを使いますが、TV東京の場合、
そこまでのスタッフとお金、時間がかけられないのでしょう。
私が持ってるウフィツィ美術館やヴェッキオ宮殿のビデオテープは
こんなに暗くないです。

回廊に飾られてる肖像画や自画像は画集で見たような作品がいくつも出て
きましたね、ドラクロアなんかもありました。
いつか、この回廊を歩いてみたいですね。

投稿: いづつや | 2005.01.05 00:27

いづつやさん

初めて拝読し、面白くてどんどんリンクを辿ってしまいました。私もイタリアが大好きで、一時は取り付かれたように大学の社会人クラスでイタリア語も勉強していました。

ラファエロは柔らかくて私も大好きです。わたしの場合は「ひわの聖母」が最も好きかな・・・今もデスクの壁に絵葉書が貼ってあります。いづつやさんが書いておられるとおり、何故か優しい気持ちになれますね。仕事で行き詰ったりイライラしたときに「ひわの聖母」がふと視界に入ると、思わずほっとします。そんな不思議な力が備わっているように感じる、大好きな絵です。

これからも知的で興味深いコンテンツをよろしくお願いします。

投稿: Guarneri | 2006.05.02 04:11

to Guarneriさん
はじめまして。書き込み有難うございます。イタリア大好きな方とお知り
合いなれ、また、ラファエロの絵の素晴らしさに響きあえることを喜んでおり
ます。どうかよろしくお願いします。

今回のイタリア旅行でウッフィッツイ美術館にもまた入ったのですが、Guar
neriさんのお好きな“ヒワの聖母”は修復中で写真だけでした。わたしも
この絵は好きで、会えるのを楽しみにしていたものですから、とても残念です。
今、東京ではプラド美術館展が開かれムリーリョの絵が人気なの
ですが、ムリーリョも好きな画家ですが、やはりラファエロが最高です。イタリア
美術鑑賞記にいずれラファエロの絵をだしますので、しばらくお待ちください。

投稿: いづつや | 2006.05.02 22:55

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