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2005.01.03

円山応挙の双鶏図

643_1今年の干支は鶏。日本画には鶏を描いた絵がいくつもある。極め付きは伊藤若冲の鶏。超リアルに色鮮やかに鶏を描いている。

写生画の一方の雄、円山応挙も鶏を手がけている。右の作品は京都の八坂神社にある“双鶏図”。衝立に雌雄の鶏がかかれている。背景がない。本物の鶏が目の前にいるようだ。

この絵が描かれた時(1776年頃、応挙43歳)、そのリアルさが評判になり、
鶏が逃げ出さないよう、長らく画面を金網で覆っていたという。それくらい、描
かれた鶏が生きている鶏にそっくりだったということである。若冲の写実性は
幻想的な空間のなかでスーパーリアルを出しているのにたいし、応挙の対象
物の捉え方は見たままを描いたという感じ。

美術家の森村泰昌さんが面白い言い方をしている。“絵には匂う絵と匂わな
い絵がある。曾我蕭白や伊藤若冲は独特の匂いを発散させるが、円山応挙
の絵は匂わない”

昨年、芸大美術館で開催された“版画東西交流の波”に宋紫石が作った画譜
(草花、生き物、昆虫などの写生帖)が出品されていた。中国人、沈南ぴん
(しんなんぴん)が日本にもたらした写生的な画風が大流行し、宋紫石(日本
人)が作ったこの写生画のマニュアル本が手本となった。

写生画には好き嫌いがある。あまり写真ぽくなると、学校や図書館にある図鑑
に出てくる絵のようで、見てて楽しくない。実際、細かいところまで忠実に描き
すぎると、絵が重くなる。やはり、絵のなかに雰囲気や情感がないと絵としての
魅力がない。応挙はこのあたりのことは心得ており、実と虚をうまくバランスさ
せた絵を描いている。

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