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2004.12.27

分離派館とクリムト

Scan10022昨年、ウィーンに行った時一番行ってみたかったのはこの分離派館。建物自体も興味があったが、お目当てはここにあるクリムトの“ベートーベンフリーズ”。

この分離派館(ゼツェッション)は1897年にクリムトなどが結成した分離派の展覧会活動の拠点となった建物。オットーワグナーの弟子オルブリッヒの設計。イスラム寺院をモデルにし、金メッキした月桂樹の葉のレリーフで飾られ
たドームが印象的。当時、金色のキャベツとあだ名されている。正面玄関の
上に掲げられた“時代にはその芸術を、芸術には自由を”という金文字は
分離派の精神を象徴している。

この建物の地下にクリムトの“ベートーベンフリーズ”がある。34mの壁画。
この絵の原寸大複製(ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館所蔵)を89年、
セゾン美術館で開催された展覧会で見た。本物の絵は左壁、正面、右壁に
ある。ベートーベンの9番にあわせ、左から“幸福への憧憬”、“敵対する
力”と続き、そして最後が“歓喜”。

音楽を絵にするのは難しいことだとおもうが、これをやってしまうのが天才
クリムト。正面の壁画、敵対する力は忘れようにも忘れられない絵。幸福に
敵対する力を巨大な怪物テュフォン(ゴリラ)、ヘビ、擬人化された悪徳(病、
狂気、死、欲望、不貞、不節制)で表現している。不節制をあらわす腹の
でた肥満の女性はちょっとグロテスク。

最後の歓喜では天使が合唱する横に全裸の男女の接吻するシーンが描か
れている。クリムトお得意の装飾的で官能的な描写で、色は光輝く金。いつ
までも見ていたい絵だ。

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コメント

昨年の秋に名古屋の松坂屋美術館であったクリムトとウィーン分離派の展覧会で、私もベートーベン・フリーズのレプリカを観ました。やはり壁画の大作は印刷物などで観るのとは全く捉える印象がかわりますよね。
その展覧会時にはクリムトの素描が幾つか来ていたのですけど、ベートーベン・フリーズや晩年の作品の習作にあたるものが多くて興味深かかったです。ベートーベン・フリーズの後にも人体の輪郭線などが派生的に別の作品に転用されているようで、そのクリムトの試みの様子がデッサンに見て取れるように思いました。とくに、その後に描かれた三人の妊婦のデッサンなどを観ていると、 壁画でも多用されている三対のモチーフや人間の根源の姿としての妊婦にクリムトが考えていたこと、表現したかったことの断片があるように思えて面白かったです。

ところで、拙サイトからもいづつやさんのblogにリンクをはらせていただきました。これからもよろしくお願いいたします。

投稿: 桂田 | 2004.12.27 23:47

to 桂田さん
こんばんは。名古屋にいた時、愛知県美術館のクリムトの黄金の騎士を何回も
みました。ベートーベンフリーズの幸福への憧れで描かれている“完全武装された強者”は黄金の騎士とつながっていますね。黄金様式で描かれたこの剣をもつ男が
1年あとに騎士になったのでしょうか。

クリムトはちょっと謎の画家ですが、好きですね。ベルヴェデーレ宮にある絵は
日本にかなり出品されて、沢山の来場者があったと伺っています。人気の高い画家ですね。

投稿: いづつや | 2004.12.28 00:48

http://www.icnet.ne.jp/~take/vienna.html#6

私がウィーンに行った時、
この「たまねぎ」は真っ赤に塗られていました↑

投稿: Tak | 2004.12.28 21:28

to Takさん
98年の分離派館は赤で塗られていたとは!芸術には自由を実践してますね。
芸術家はこうでなくては尊敬されません。ウィーンというのは町は壮大な教会があったり、赤いたまねぎがあったり、格式と革新が同居していて面白いですね。

投稿: いづつや | 2004.12.28 23:12

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