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2004.12.31

村田陶菀展

637今年は陶磁器鑑賞でのエポックの年だった。それは陶工・村田陶菀の作品に出会ったからである。

日本橋高島屋で開かれた展覧会(10/27~11/9)のチラシを偶然みつけ、そのコピー“神の手を持つ、幻の陶工”に惹かれて会場に足を運んだ。

目の前に素晴らしい作品があらわれた。陶工の名前は村田陶菀(1905~2002)。まったく知らない。02年、97歳の天寿をまっとうしている。亡くなる半月前まで作品の絵付けをしていたという。

この人は知る人ぞ知る、京焼、清水焼の陶彫、色絵、金襴手などを作る
名工として名をはせていたらしい。出品作をみてその名工ぶりがよくわかる。
野々村仁清の再来かと思わせる見事な色絵金銀彩の水指しや尾形乾山を
彷彿させる12ヶ月絵組皿がある。また、緑と赤が鮮やかな三彩婦人俑もある。

若い頃、日本画の山元春挙のもとで絵画を学んだだけあって、絵心が豊か。
奥の細道を題材にした陶板などは色合いといい構図といい味わい深い
作品となっている。

こうした京焼の伝統に自分なりの新機軸や工夫を加えて名品を残す一方、
60歳後半からは格式からはなれ、自由な作陶活動を続け、ユーモラスな
鬼の陶彫を制作している。右の作品は財宝を前にして喜ぶ鬼である。
このあふれんばかりの笑いに誘われてこちらも一緒に笑いたくなる。
この他にも、酒を飲んだり、相撲をとったり、大漁を祝う鬼などを作っている。
いずれの鬼も生き生きしていて、ユーモラス。

今年も残りわずかとなった。財宝を前に笑う鬼のように、この1年間で
みたマチス、ピカソ、ダリ、ゴッホ、速水御舟、菱田春草、横山大観、
加山又造、前田青邨、小林古径、福田平八郎、竹久夢二、香月泰男、
牧谿、長澤芦雪、岩佐又兵衛らの絵を前に酒をくみかわし、
笑って新年を迎えよう。

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2004.12.30

ヴァン・ドンゲン

183これまで知らなかった美術家の素晴らしい作品に出会ったときほど楽しいことは無い。今日と明日は今年出会ったそんな作家をとりあげたい。

右の絵はオランダの画家ヴァン・ドンゲンの“黒い帽子の女”。エルミタージュ美術館に飾られている作品だ。この絵には5年前、エルミタージュで会っているはずだが、マチスの絵の印象が強く、おなじフォービズムに属するこのドンゲンの絵はまったく覚えてない。

その絵が9月、伊香保で観た竹久夢二の名画“黒船屋”の先行作品をみ
つけているときに偶然手元にあった図録から飛び出てきた。この綺麗な絵
を観た時、夢二が黒船屋を描くとき刺激をうけたのはこの作品ではない
かと直感した。

竹久夢二が黒船屋を描く際、ドンゲンが描いた“猫を抱く女”の構図をまね
たことは知られている。猫を抱く女は黒船屋が描かれた1919年より11年
前の1908年の作品。夢二はこの絵だけでなく、右の黒い帽子の女も見
たのではないか。この絵も1908年に描かれている。緑の衣装と帽子を被
ったきれいな顔立ちの女性を日本人に変えたのだろう。夢二式美人の
特徴は体形が細長いのと大きな目であるが、この大きな目はこの黒い帽
子の女から生まれたのではないか。

ヴァン・ドンゲンという画家は最近まで知らなかった。ひろしま美術館、パリ
の市立近代美術館の図録にも載っているのに記憶がないのは、絵の印象
が薄かったのだろう。黒船屋を見て以降、ドンゲンの絵を意識するように
なると、不思議なものでドンゲンの絵がこちらに向かってくる。10月、アム
ステルダムのゴッホ美術館でいい絵を観た。これは同館の名画100選
に入っている。そして、国立西洋美術館でも“カジノのホール”が常設展示
されていた。

ヴァン・ドンゲン(1877~1968)は1899年パリに移り、マチス、ブラマン
ク、ドランらと知り合い、ゴッホの色使いに刺激をうけたフォービズムの一角
をなしている。キャバレーの芸人などを強烈な色彩で描いた女性画が多く、
後年にはその女性の体つきは10頭身もあるくらい細長くなってくる。なぜ、
こんなに長くなったのかわからない?ひょっとすると、日本からやってきた
鳥居清長や写楽のあの細長い人体を見たのかもしれない?これは今後の
テーマ。

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2004.12.29

金子みすゞと中島潔

654童謡詩人金子みすゞの展覧会が12月30日から松屋銀座店で始まる(1月17日まで)。金子みすゞの手帳、遺品、書簡、絵本の原画など100点が展示されるそうだ。

生誕100年を記念して建てられた<金子みすゞ記念館>を今年の8月に訪問した。この記念館はみすゞが生まれた山口県の仙崎(日本海側にある長門市)に昨年開館した。以来、全国からみすゞファンが訪れ、30万人になるという。
女性客が多い。金子みすゞの実家は書店を営んでおり、これを再現した<金子
文英堂>では2階にみすゞの部屋があり、当時のみすゞの生活がうかがえる。

<本館>ではみすゞの26歳までの生涯と作った詩が実物や写真で紹介してある。
また、データベース化された全512の詩がPCで検索・鑑賞できる。

金子みすゞの詩に詳しいわけではない。詩そのものへの理解が足りない。
この天才女流詩人の詩を知ったのは03年3月、神戸の大丸店で
開催された中島潔展。この画家の描く絵のおかげで詩人金子みすゞが
近くなった。

以前から中島潔の絵が好きで、この画家の活動に注目していたが、金子
みすゞの詩の魅力にとりつかれ、みすゞの詩をテーマに40点を描いている。
右の絵はみすゞの代表作<大漁>。鰯(いわし)の大群のなかに女の子がいる。
海の中なのに海の青はない。見方によってはかなりシュール。
みすゞの詩がいい。
  <大漁>  朝焼小焼だ
        大漁だ
        大羽鰯の
        大漁だ

        濱は祭りの
        やうだけど
        海のなかでは
        何萬の
        鰯のとむらひ
        するだろう
自然の草花、生き物や日常の出来事をやさしいまなざしでみつめ、
自然の美しさやいのちの尊さを教えてくれる金子みすゞの詩はこれからも
多くの人に愛され続けるだろう。

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2004.12.28

井上陽水と小田和正

この日曜日、BS2で井上陽水、TBSで小田和正のコンサートをやっていた。
2人はシンガーソングライターのビッグネーム。井上陽水はこの世界のドン、
キングだろうか。そして、小田和正も堂々たる実力者。ともに声がよく、
高音がのびる。この二人とチャゲ&飛鳥は好きな歌手だ。生の歌
を聴いたことがなく、衛星放送の番組を収録したビデオを楽しんでる
程度なので、熱烈なファンというのとはちがう。

井上陽水は最近BS2と仲が良く、陽水企画の番組を作っている。今回は
今売り出し中の平原綾香などが出演し、陽水の歌を歌っていた。番組を
仕切っている時の井上陽水はもうただの話を合わせるのがうまい
お父さん、顔をみればおじい。。。。でも歌をうたわせると相変わらず、
高い音が苦もなくでるし、“今、あなたにグッドバイ”のような語るような
歌も上手い。やはり、キング。

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2004.12.27

分離派館とクリムト

Scan10022昨年、ウィーンに行った時一番行ってみたかったのはこの分離派館。建物自体も興味があったが、お目当てはここにあるクリムトの“ベートーベンフリーズ”。

この分離派館(ゼツェッション)は1897年にクリムトなどが結成した分離派の展覧会活動の拠点となった建物。オットーワグナーの弟子オルブリッヒの設計。イスラム寺院をモデルにし、金メッキした月桂樹の葉のレリーフで飾られ
たドームが印象的。当時、金色のキャベツとあだ名されている。正面玄関の
上に掲げられた“時代にはその芸術を、芸術には自由を”という金文字は
分離派の精神を象徴している。

この建物の地下にクリムトの“ベートーベンフリーズ”がある。34mの壁画。
この絵の原寸大複製(ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館所蔵)を89年、
セゾン美術館で開催された展覧会で見た。本物の絵は左壁、正面、右壁に
ある。ベートーベンの9番にあわせ、左から“幸福への憧憬”、“敵対する
力”と続き、そして最後が“歓喜”。

音楽を絵にするのは難しいことだとおもうが、これをやってしまうのが天才
クリムト。正面の壁画、敵対する力は忘れようにも忘れられない絵。幸福に
敵対する力を巨大な怪物テュフォン(ゴリラ)、ヘビ、擬人化された悪徳(病、
狂気、死、欲望、不貞、不節制)で表現している。不節制をあらわす腹の
でた肥満の女性はちょっとグロテスク。

最後の歓喜では天使が合唱する横に全裸の男女の接吻するシーンが描か
れている。クリムトお得意の装飾的で官能的な描写で、色は光輝く金。いつ
までも見ていたい絵だ。

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2004.12.26

オットーワグナーのマジョリカハウス

Scan10021ウィーン世紀末を代表する建築物、マジョリカハウスを探し回ってやっとのことでこの前にたどり着いた。パリでおこったアールヌーボーがここウィーンで装飾的な建物となって伝播している。

これを設計したのはオットーワグナー(1841~1918)。このマジョリカハウスは一際目立っている。右側のベージュの壁面はレリーフが施され、その凹凸に金を被せて飾ってある。クリムトの絵にでてくる黄金の感じである。

左の方はタイルに東洋的な花柄模様が描かれている。世紀末の文様である。
薄紅色や緑などの色の配色は洗練されており、どぎつい装飾という感じはない。
ここはウィーンの観光名所の一つで、団体客も結構やってくる。また、中国人
ツアー客に会った。彼らはこういう奇想天外の建物が好きなのだろうか?

オットーワグナーが設計したもう一つの世紀末デザインの建造物も見た。それ
はカールスプラッツ駅。マジョリカハウスと同じ時期の1898~1899年に建て
られた。マーブル、鉄骨を使い、金粉をはめ込んでいる。洒落た文様で垢抜け
た建物である。

最後に、ワーグナーが1904~1906年に建てた郵便貯金局をみる予定であ
ったが、すでに日が暮れ、所在地を探す気力も失せていたのであきらめた。
オットーワグナーの装飾豊かな建築物は強烈な存在感があった。随分くたびれ
たが、楽しい一日だった。

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2004.12.25

ウィーンのフンデルトヴァッサーハウス

646_1BS2では23日と今日、ドナウ川紀行の再放送をしていた。

昨年中欧を旅したときの感動が現地の映像をみてよみがえった。1年前なので記憶もかなり残っている。23日の放送はウィーンだった。

2回目の訪問だったので、新しい観光名所にいくつか行った。そのひとつがフンデルトヴァッサーハウス。フンデルトヴァッサーは画家であり
建築家でもある。人気の芸術家で今、このユニークな建物はウィーンの観光名所になっており、沢山の人がいた。

中国人のパックツアー客がガイドの説明を熱心に聞いていた。日本の旅行会社はこんな所に連れてってくれることはまず無い。自由時間のプライベイトオプションだ。どうでもいいことだが、中国人のコースにここが入って
いるのが妙に気にかかる。彼らの方が文化教養度が高いのかなと思ってしまう。

このハウスは86年に市営住宅として建設され、現在も普通の人が住んでいる。
中には入れず、外の概観をみるだけだ。フンデルトヴァッサーが描いた色彩鮮やかな
曲線と渦巻き模様の絵をそのまま建物にした感じだ。バルセロナにあるガウディの
建築群を連想する。フンデルトヴァッサーもガウディの建物に刺激されたのだろう。

ここから15分くらい行ったところに、フンデルトヴァッサーの絵が展示してある
クンストハウスがある。この美術館は91年にオープンした。建物は市営住宅
同様、変わっており、展示室の床が波打っている。これには驚く。絵は子供が
描いたようでもあり、クレーにもちょっと似ている。でも、この鮮やかな色彩は
この画家しか生み出せないだろう。かたちは曲線と渦巻きが多い。野原にある
ぜんまいの形にヒントを得たのかも?

フンデルトヴァッサーは百の水という意味らしい。日本の木版画に注目し、日本
から職人を呼んで作品を完成させている。絵には百水の落款がある。

この画家は1928年ウィーンに生まれている。母親はユダヤ人。親族の
大半はナチスドイツに殺されている。画家の唱える“5枚の皮膚”という
考えは重要だ。“人間は5枚の皮膚につつまれている。体の皮膚、衣服、
住まい、アイデンティティー、地球環境”。ここでアイデンティティーとは
集団、共同体、国民などへの帰属のこと。

5番目の皮膚、地球環境、自然と人間との調和が大事であるといい、自然の丘
の地形を生かした温泉保養村などを建設している。エコロジーの
考えを自分の芸術で実践した人だ。00年2月、98年から住んでいた
ニュージーランドで心臓発作のため亡くなっている。

日本でフンデルトヴァッサーの絵を観たのは大原美術館池田20世紀
美術館
だけ。この画家の展覧会をどこか開いてくれないかと秘かに
願っている。

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2004.12.24

シャルロット・チャーチ

クリスマスの24、25日は我が家では例年、クラシックのクリスマスコンサート
を聴いている。天使の歌声が入ったビデオだ。天使はシャルロット・チャーチ
ちゃん、シセル・シルシェプーさん、フィリッパ・ジョルダーノさん。。です
みなさん、天空より特別出張していただきました。

まず最初はシャルロット・チャーチちゃん、 1曲目“天使のパン”(フランク作曲)
つかみは上々。クリスマスモードにはいってきた。。。。。。。。
4曲目は“ピエ・イエス”(ロイド・ウェーバー作曲)天使のお相手をする
ボーイソプラノがどっかから入ってきた。ううーん。なんといい曲だ。二人
のハーモニーが絶妙。ウェーバーは現代のモーツァルトだな。
クリスマスイブも佳境に入ってきた。冷えた吟醸酒もうまい。楽しい。
。。。もう最後の曲か“ハーレックの兵士たちよ”(ウェールズ伝承歌)
歌のおわりは“。。。。。ウェールズ万歳”か。バックで歌っている合唱団
の面々は頭の薄いひとや、白髪のおじさんだ。閉めの歌としては
きっちりきめている。1部の終了。あの天使は15歳?

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2004.12.23

新刊 カラヴァッジョ本

次にイタリアへ行く時はナポリ・ポンペイかローマに決めている。なぜローマ
かというと、ベルニーニの彫刻とカラヴァッジョの絵、そして未来派の
ボッチョーニの作品が見たいからである。ローマはミケランジェロやラファエロ
の町であると同時に天才ベルニーニ、カラヴァッジョの作品が多く見られる
ところでもある。

細部描写と光の効果を使い迫力ある絵画空間をうみだしたカラヴァッジョの
絵をローマの教会や美術館で観てみたいと常日頃思っている。先週、興味
のあるカラヴァッジョに関する本がでたのでさっそく読んでみた。

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2004.12.22

川合玉堂美術館

978暖冬とはいえ、日本海側では雪がだいぶ積もってきたようだ。夏の暑さには比較的強いが、冬はからっきしダメだ。TVに映しだされる雪景色をみて、1ヶ月くらい前、奥多摩の川合玉堂美術館で観た雪の絵を想い出した。

玉堂美術館は季節にあわせて川合玉堂の作品を展示している。館内には日本の景色をわかりやすく、情感豊かに描いた名作の数々がならんでいる。玉堂の風景画は農村の田んぼや水車、川を下る筏と人々を描いたものが多い。
そして、鵜飼を繰り返し描いている。

右の絵は雪が降った後の晴れたところを描いた“雪せい”という作品だ。
左下には橋が架かり人が歩いている。川には水車がある。農家の屋根には
雪がかなり積もっている。よくある冬の景色だが、雪が降り止んだ後、雪か
きを始めた住人の動きをよくとらえている。

最近も玉堂の名画に出会った。東京国立近代美術館の平常展に代表作
“彩雨”、“祝捷日”があった。東博でも“霧”をみた。いずれも肩の力がぬけ
てほっとする絵だ。


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2004.12.21

エミール・ガレのひとよ茸ランプ

3479月に訪問した北澤美術館でみたエミール・ガレの“ひとよ茸ランプ”がサントリー美術館にもあった。細部が少し違うだけで、形はほぼ同じ作品だ。ガレはこのランプを何個も作ったのだろうか?

ガレの作品をまとめて観たのは北澤美術館と広島県にあるウッドワン美術館のコレクションだけだ。日本では北澤美術館が名品を所蔵しているとのことなので、諏訪湖まで行ってみた。うわさに違わず、ガレの作品が沢山ある。

館内にいる人の7割くらいが女性。ガレのガラス作品が女性の間で人気があるというのを実感する。ガラス工芸はジュエリーとおなじ感覚だろう。ミュージアムショップでは結構な値段のグッズが売れていた。

本館の最初の展示室に“ひとよ茸ランプ”が展示してある。サントリー美術館
所蔵のより印象深い感じがする。もう一つの代表作“フランスの薔薇”は新しくで
きた新館(本館から車で10分)にある。ピンクの色が綺麗で存在感のある名品
だ。エミール・ガレは自然を愛し、野山に生息するとんぼ、蝶、蝉や薔薇、ひとよ
茸、羊歯(しだ)などの草花を作品のなかに描いている。日本画の花鳥図からも
刺激を受けているだろう。

この美術館は一度には展示しきれないほどガレの作品を持っている。定期的に
訪れ、ガレの世界を楽しもう。来年江戸東京博物館でガレの没後100年を記念
した大回顧展が開催される(1/22~4/3)。北澤からも“フランスの薔薇”が出品さ
れるそうだ。前売り券はすでに購入したので初日に出かけよう。とても楽しみだ。

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2004.12.20

サントリー美術館の薩摩切子

645サントリー美術館の今年最後の、そして赤坂見付では見納めとなる展覧会がはじまった。

この美術館には何回となく足を運んだ。展示スペースがあまり広くないため、展示品の数は多くないが、質的にはいつも期待値以上の内容であった。陶磁器、風俗画、浮世絵など数多くの名品をみせてもらった。

入場料は500円。さあ、当館のお宝を篤と御覧あれとばかりに国宝、重文
や優品のオンパレード。あれもこれも観なくてはとどたばたする位である。
会場には事前のユーザーアンケートによる“好きな作品ベスト10”が張り出
されている。これは会場に行ってのお楽しみ。

所蔵品のなかでまだ観てなかったのがいくつか残っていた。狩野山楽の
“南蛮屏風”(重文)、狩野探幽の“桐鳳凰図屏風”、鎌倉時代に作られた“浮
線綾螺鈿蒔絵手箱”(国宝)、日吉山王祇園祭礼図屏風、薩摩切子、エミー
ル・ガレの“ひとよ茸ランプ”。今回、これらが全部みれたのだから、こんなに
効率のいい展覧会はまたと無い。

南蛮屏風は思った以上の名画だ。ベスト○位のことはある。探幽の鳳凰は
生き生きしていて目の前を動いているようだ。祇園祭礼図屏風は
当時の人々の衣装、顔かたち、動き、お祭りの喧騒ぶりが仔細に描かれ
ており、時間がたつのも忘れて見入ってしまう。

この展覧会で是非みたかったのは薩摩切子。図録でここに優品があるのは
知っていたが、お目にかかるのははじめて。5、6点でていた。
右のは“藍色船形鉢”。繊細な青である。船の形がユニーク。薩摩の
殿様島津斉彬が殖産興業の一環としてはじめたガラスの製造を
薩摩切子という美術工芸にまで発展させた。この地を訪れた時、
この作品を知った。以来薩摩切子に興味をもっていたが、やっと、サントリー
美術館でいくつもみせてもらった。


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2004.12.19

富本憲吉展

636楽しみだった富本憲吉展を東京国立近代美術館・工芸館で観てきた。

今回は富本が信楽、益子、瀬戸、九谷、清水などの窯で作陶した安価な日常のうつわに焦点をあてた展示となっている。そして、鑑賞用の作品、色絵金銀彩、白磁、染付(東近美所蔵)の代表作もずらっとある。

富本憲吉は色絵磁器の人間国宝である。九谷で身につけた色絵の技術がベースになっている。その代表作が右の“色絵更紗模様飾皿”。
赤の素地に描かれた独自の更紗模様が鮮やか。洗練されている。
いつまでもこころに残る模様である。口径は25.5cm。大変きつい作業
だったろう。妻に宛てた手紙に“小さな模様なので、指と眼が疲れる”と
書いている。

この展覧会の料金は200円。これは安い。キャッチコピーが先行する企画展
に較べると、作品の質が違う。しかも、この特別展のほかに人間
国宝コーナーでは北大路魯山人、荒川豊蔵の志野茶碗、金重陶陽の備前焼
、加守田章二などの名品がみれる。

“もう一つの富本憲吉”展は来年の2/27まで。

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2004.12.18

ドレスデン国立管弦楽団

昨夜、BS2でハイティンク指揮のドレスデン国立管弦楽団の演奏会を
聴いた。演奏されたのは2年前の02年9月。ハイティンクの指揮をみる
のも久しぶり。曲目は歌劇“オベロン”序曲、ベートーベンのヴァイオリン
協奏曲、最後がブラームスの交響曲1番。豪華なプログラムだ。
ドイツ音楽の好きな人にはたまらない演目。ヴァイオリニストがまた
ビッグネーム。ドイツが今、世界に誇るツィマーマンである。

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2004.12.17

横浜美術館のダリ

640
横浜美術館の通常展(来年3/23まで)でダリの大きな絵が楽しめる。3連作で真ん中にあるのがこの絵だ。250×240cmの絵がならんでいる。前に立つとこりゃすごいとただ見つめるばかり。空間的な広がりを感じる。

題名は“幻想的風景”。中央の絵には“英雄的昼”とつけられている。そして、左が“暁”、右が“夕暮”。英雄的となっているが、よくみると描かれているのは女性。顔、横に上げた手、胸は雲や空をとぶ鳥と重なっている。おもしろい構図だ。まさにシュールな絵。

ダリはこの絵を1942年アメリカにいるとき、富豪のポーランド系女性実業家、ヘレナ・ルビンシュタインのために描いている。広島県立美術館池田20世紀美術館にもダリの大きな作品があったが、ここの幻想的風景も感激度200%の絵だ。

ダリの作品では“ニュートンを讃えて”と名のついたブロンズ像がまたいい。久しぶりに帰ってきた横浜でダリの名品にあえるとは嬉しいかぎり。シュルレアリスムの作家ではマグリットの“王様の美術館”、デルボーの
“階段”もでている。共にこの美術館自慢の作品だ。

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2004.12.16

ピアノ協奏曲

ピアノはコンサート会場で聴くのが一番いいのはわかっているが、
仲々これが実現しない。とくに、人気ピアニストのチケットはすぐ売り切れ
になる。で、32型TVで収録ビデオを楽しむことになる。今のTVは音質
も良いので、我が家のミニ々ホールにもピアノは鳴り響く。
音量を上げると、ご近所の迷惑になるので程々の音にしておくのが
節度ある住人の心得とわきまえているが、時々身内からチェックが入る。

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2004.12.15

バイオリン協奏曲

バイオリンとピアノの協奏曲を較べたとき、どちらをよく聴くかと
なると、、なぜかバイオリン協奏曲である。バイオリンのほうが歌って
いるように聞えるからかもしれない。

クラシック音楽は専らBS2やN響アワーを収録したビデオで聞いている。
Myコレクションは現在200本位ある。CDやDVDに比べ音質は劣る
かもしれないが、ビデオの良いところは指揮者や演奏者の表情、どの楽器
から音がでているかがわかるのと、感動を指揮者、楽団員、
観客と共有できることだ。

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2004.12.14

国芳・暁斎展

650東京ステーションギャラリーで開かれている国芳・暁斎展(12/11~1/23)によってみた。このギャラリーははじめてだ。

過去、国芳の大きな展覧会を2回みたので、今回の興味は河鍋暁斎。この絵師は7歳のとき国芳の画塾に入門している。これは知らなかった。

国芳は実力浮世絵師だ。武者絵、風景画、美人画、役者絵、戯画なん
でも描ける。今回は美人画の代表作が沢山でていた。どれも魅力的。

特異な戯画は少なく、影絵と本当の場面をみせる絵は2点のみ。国芳
のハイライトは代表作“宮本武蔵と巨鯨”。この絵は何度観ても見ごたえ
がある。鯨の背の黒と波の青がいい配色となっている。一度みると
忘れられない絵だ。

暁斎の面白い絵をみつけた。鳥獣戯画にでてくるような場面を描いた
“鼠の猫退治”。猫と鼠の立場が逆転している。鼠がいつもいじめられている
猫をからめとり、弓矢を放ったりしている。猫はおとなしくなって、
鼠を背中にのせ、もう一匹はがんじがらめにされている。
この絵の隣には蛙が蛇を退治しているのがある。実に面白い。
おもわず口元がゆるんでしまう。

暁斎の名品は沢山出ている。奇才暁斎、凄い絵師だ。

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2004.12.13

映画「戦場のピアニスト」

日曜洋画劇場で“戦場のピアニスト”を見た。02年のアカデミー賞
をいくつも獲った作品であることは知っていたので、いつかレンタル
ビデオでと思っていたが、TVでみせて貰った。
ロマン・ポランスキー監督の作品でこれまでみたのは2,3本。
“チャイナタウン”(74年、ジャック・ニコルソン、フェイ・ダナウェイ)、
“テス”(79年、ナスターシャ・キンスキー)
テスではナスターシャ・キンスキーの美しさに見蕩れていた。

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2004.12.12

ジュリオ・ロマーノ

東京12チャンネルの<美の巨人たち>は毎週欠かさず見ている。
12/11の放送はジュリオ・ロマーノだった。マントヴァにあるという天井壁画
“巨人の間”はいつか見たい絵だ。この画家についてはあまり
情報がない。乏しい資料によると、1499年ごろペルージアに生まれて
いる。ラファエロと同じ出身。ラファエロが制作していたヴァチカンの
火災の間の壁画“ボルゴの火災”を彼の死後、ひきついでいる。

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2004.12.11

ヴェネツィアのエル・グレコ

Scan10013
昨日の世界美術館紀行はトレドのエル・グレコだった。Myカラーが緑と黄色となったのはグレコの緑とゴッホの黄色
に魅せられたからに他ならない。エル・グレコは大好きな画家だ。

今年10月、ギリシャを旅行した時、アテネでグレコの作品を観た。ギリシャ
国立美術館に3点ある。そのひとつが右の絵。エル・グレコの本名はドメ
ニコス・テオトコプーロス。1541年、クレタに生まれ、1567年このギリシャ
人はヴェネツィアに移住している。そして1570年の11月までここで絵の
修行をする。<キリストの埋葬>という題名のこの絵はエル・グレコが修行
時代に描いた絵だ。サイズは51×43cm。木の板に油彩とテンペラで描い
ている。あのグレコ様式の片鱗がみえるが、20代後半の初期の作品なの
で大感激とはいかない。色の深さが足りない。

他の2点は聖人画と大きめの画面に天使が楽器を奏でるところを描いたも
ので、どちらもトレドでの作品。

美術館紀行で取り上げていた代表作<聖衣剥奪>に描かれたキリストの
衣装の赤のなんと鮮やかなことか。トレドでこの絵の前に立ったときの感動
がよみがえった。この色彩感覚はヴェネツィアの画家から学んだものだろう。
グレコは当時80代のティツィアーノの弟子になっている。また、ティントレット、
ヴェロネーゼの画法からも刺激をうけている。

エル・グレコは人生の大半を異郷の地、ヴェネツィア、ローマ、トレドですごし
たが、ギリシャ人であることに拘り、ドメニコス・テオトコプーロスという名前を
改めなかったそうだ。そのため、トレドのスペイン人には発音しづらい名前の
かわりに、スペイン語でギリシャ人を意味する“エル・グレコ”というあだ名
で呼ばれたのである。

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2004.12.10

ミラノスカラ座

オペラファンなら一度はミラノスカラ座にいってみたいと思う。その
憧れのスカラ座の改修が終わり、公演を再開したそうだ。今回の改修費
は84億円。最新鋭の舞台装置になり、座席数も増え、座席の
背に英語などの字幕がみえる小画面が設置されているという。
ロンドンのコヴェントガーデンオペラ劇場も1、2年前にリニューアル
を完了している。

スカラ座でオペラを楽しんだことはないが、かわりにビデオを集めてきた。

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2004.12.09

マチスの切り紙絵

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国立西洋美術館で開かれているマチス展の終わりが近づいている。今回の出品作は名画揃いだった。

ポンピドーセンターは過去2回マチスの名品を持ってきたが、このマチス展で主要な作品はおおかた公開されたのではないか。

マチスの魅力はなんと言っても、色使いだ。色に対する感覚は天賦の才と言われる。努力しても身につけられない能力である。よく、デッサン力は鍛錬によって上手くなるが、色使いと構図は生まれもったセンスという。


切り紙絵“ジャズ・イカロス”をみると、マチスの色彩感覚は歳をとるにつれ衰えるどころか、逆にさらに研ぎ澄まされている。大病後は絵筆が自由に使えなくなり、切り紙絵を制作するようになるが、形はシンプルになり、子供の遊びに似てくる一方、色使いは逆に一段と冴えてくる。色に対する感覚が強まったのではないだろうか。ブルーヌードやジャズシリーズの一点々の色の配色をみるとカラリストとしての才能がリファインされ、21世紀の現在でも通用する超一流のデザイナーに変身している。

エルミタージュ美術館でみた“赤の調和”、“家族の肖像”、“音楽”、“ダンス”(1908~1911年)の赤にも心をうたれるが、晩年の切り紙絵にあらわれる色合いはもっとシャープで現代的な感じがする。やはり、マチスは色の魔術師だ。ピカソの画風が晩年、ちょっとごちゃごちゃしてきたのに対し、マチスの絵はいっそう魅力的になってるように感じられる。


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2004.12.08

小澤征爾とベルリンフィル

12/6、小澤征爾が顧問をつとめる水戸室内管弦楽団の一行が長岡
市の中学校を訪れ、中越地震で被害にあった人たちを元気づける
演奏会を行ったことが報じられた。ウィーンフィルの指揮者である
小澤征爾が日本に来ることがもともと決まっていたのか、わざわざ
時間を割いてかけつけたのかはわからないが、フットワークがいい。

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2004.12.07

デユーラーのロザリオの祝祭

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ドイツルネサンスの巨匠、デューラーの描いた衝撃度200%の絵が
プラハ国立美術館(古典絵画)にある。35歳の時描いた“ロザリオの
祝祭”である。何が衝撃的かというと、描かれている人物が纏って
いる衣装の赤が鮮やかなのである。絵の前にたつと、わーという感じ
になる、こんなに感動する赤にであったことがない。この絵は戦禍
に見舞われて、原画のかなりの部分が傷んだり、色が剥げ落ちてい
るというが、それでもまだこんなに心を揺さぶられるのだから、絵が
完成したときはどんなに素晴らしかったことか。

この作品はデユーラーがヴェネツイアを訪れた際、ドイツ商人グループ
からの依頼を受け、聖バルトロメオ教会の祭壇画として制作された。
聖母が薔薇の冠を皇帝マクシミリアン一世や教皇ユリウス二世らに
授ける場面を描いている。高いアルプスの峰が背景をなす。

ヴェネツイアの画家たちは色彩豊かな絵は自分たちしか描けないと
思っていたものだから、ドイツ人のデューラーが彼ら以上に鮮やかな
絵をかきあげたのでぎゃふんとなったそうだ。やがて町中で、この
絵は大評判となり、ヴェネツイアの御用画家になってくれないかと
懇願されている。また、ヴェネツイア派の総帥ジョバンニ・ベリーニか
らは“デューラー親方、君の素晴らしい作品のおかげで、この豊か
な町がいっそう豊かになった”と褒められている。

これまでデューラーの絵といえば、リアルに描かれた自画像やアル
テ・ピナコテークの“四人の使徒”をすぐ想いえがいていたが、こんな
イタリア的な傑作を描いていたとは知らなかった。プラハでの大収
穫であった。

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2004.12.06

クプカ

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プラハ国立美術館はチェコ出身のクプカの作品を展示するスペース
をかなり広くとっている。名古屋にいた94年に愛知県美術館でこの
画家の画業を紹介するわが国はじめての展覧会があった。
初期の象徴主義的な絵から抽象絵画まで130点くらいでていた。

この展覧会以来、クプカのファンになっていたので、このクプカコーナー
の前では興奮した。わおーてな感じ。クプカがこんなにある!!
スペースファンタジーを連想させる何層にも重なった円や楕円を赤、青、
黄色、緑、白、紫で埋めた画面は抽象絵画の美しさを存分に
感じさせてくれる。ドローネーのフォルムと色使いを重層的にした
みたいだ。クプカの画風は後年には曲線から直線に変わり、
ちょっとモンドリアンのような絵になってくる。

旅行前はプラハでミュシャやクプカのこんな素晴らしい絵を観れる
とは思ってもみなかった。チェコには偉大な画家がいた。

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2004.12.05

プラハ国立美術館のミュシャ

428NHKでドナウ川を旅する番組を昨日までやっていた。最終日はプラハのカレル橋から中継。昨年旅行したブダペスト、ウイーン、プラハの名所、風景が映し出され、感激がリフレインされた。

各都市で思いがけず絵画の名品に接することができたが、プラハではアルフォンス・ミュシャの作品に出会った。ミュシャに会えるのは聖ヴィート大聖堂にあるアールヌーボー風のステンドグラス、プラハ国立美術館(現代)、98年に開館したミュシャ美術館の3箇所。

国立美術館の古典絵画はプラハ城のすぐ隣にあるが、印象派や現代絵画は町の
中心からちょっと離れたところにある。ここで一番有名な絵はルソーの代表作 
“私自身、肖像、風景”、パレットを持つ画家の後ろに万国の旗を飾り付けた船が
いる絵である。

ミュシャの絵は2枚ある。上の絵は“スラーヴィア”という名前のついた油彩画
(1908年)。もう一枚は出世作ポスター“ジスモンダ”のための習作(テンペラ、
1894)。ミュシャの絵をみたのはこれがはじめて。名前は知っていたが、作品に
は縁がなかった。ミュシャのポスターがとくに女性の間で人気が高いのがわかっ
た。描かれる女性は花柄など装飾的な文様を背景に優雅に描かれている。顔立
ちはふっくらとしてチャーミング。

ツアーで一緒になった若い女性の方はミュシャ美術館に行き、お気に入りのポス
ターを2,3枚買った人が多かった。友人から頼まれたという人もいた。

来年の1/27から東京都美術館でミュシャ展が始まる。新春から楽しくなりそう。

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2004.12.04

コートールド美術館のルノアール

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昨日の世界美術館紀行はロンドンのコートールド美術館だった。印象派の傑作が沢山
ある。まだここを訪れたことがない。でも、名作の大半は日本で見させてもらった。
日本橋高島屋はなぜかこのコートールド美術館にご執心で94、5年(?)と97年、2回
も展覧会を開いた。97年の時は“また持ってきたの”という感じだった。おかげでマネ、
モネ、ルノアール、セザンヌ、ロートレック、ゴッホ、ゴーギャン、ドガ、スーラの名画を
堪能させてもらった。番組で紹介された絵は全部観ていた。高島屋に感謝々。

一番のお気に入りはルノアールの“桟敷席”とマネの“フォリー・ベルジェールのバー”。
どちらが欲しいと言われればルノアールの桟敷席。この絵はMy女性画の上位に位置
する。ルノアールが描いた女性画のなかではエルミタージュにある“女優ジャンヌ・サマ
リーの肖像”と一、二をあらそう傑作だ。日本には2回とも出品された。第一回印象派
展(1874年)にでた作品だが、モネの“印象日の出”のように粗いタッチではなく、入念
に描かれている。黒がこんなに美しく感じられる絵はそうない。

ルノワールの後年の女性画は豊満になりすぎたきらいがあるが、30代のころ描いた
女性は本当に綺麗だ。この絵をサミュエル・コートールドのように毎日見れたらどんなに
楽しいことか。。。

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2004.12.03

濱田庄司展

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今、日本民芸館で特別展バーナード・リーチと濱田庄司展をやっている。
民芸派の陶芸作家、濱田庄司のまとまった展示にやっと巡りあえた。これまで
大原美術館所蔵の作品は何回もみているが、濱田庄司展となるとはじめてだ。
今回は盟友リーチの陶器とともに日本民藝館所蔵の名品がずらっとでている。

濱田の作品には大皿が多い。口径は50.5cmある。作名は緑釉黒流描大鉢。
このくらいのサイズになるとずしっとした存在感がある。
会場にはもう一点、これよりもさらに大きい口径58cmの大鉢がでている。
濱田庄司の魅力はこの形の大きさと流し描きという窯技で一気に掛けた緑青と
黒の釉薬によってできる文様である。この色調に魅了される。

濱田庄司は柳宗悦が提唱した民芸運動を益子の地で実践した天才陶芸家である。
昔、益子に行ったときは濱田のはの字も知らなかった。次回は濱田の陶房がみれる
益子参考館を訪ねてみよう。

12/11からは富本憲吉展が東京近代美術館・工芸館ではじまる。楽しみだ。

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2004.12.02

河井寛次郎展

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町田市立博物館で開催中の河井寛次郎展を見てきた。驚いたことになんと無料。
京都の河井寛次郎記念館や京都国立近代美術館、東京の日本民芸館から
錚々たる陶芸作品が出品されているのにお金を払わずみられる。こんなことは
滅多にない。会期は来年の2/6まで。

河井寛次郎の三色打薬壷に魅せられている。形もさることながら、赤、緑、黒の配色
が何ともいえず美しい。これを最初にみたのは島根県の安来市(寛次郎の生地)にある
足立美術館。横山大観の絵がみられる展示室とは別に河井寛次郎と北大路魯山人
の展示コーナーがある。また、倉敷の大原美術館にも寛次郎の作品が
沢山ある(足立の3倍くらい)。東京では日本民芸館が名品をいくつも所蔵している。

今回の展覧会では木彫作品や寛次郎がデザインした家具やキセルも展示されている。

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2004.12.01

ホルストの惑星・木星

N響アワーに宇宙飛行士の毛利さんが出演し、宇宙で聞いて良かったクラシック音楽
を披露していた。番組の最後は視聴者が期待したホルストの惑星から水星、木星が
毛利さんが宇宙で撮影したハイビジョン映像をバックに演奏された。

最近、平原綾香という音大の歌手が木星に歌詞をつけて歌う“ジュピター”をよく聴く。
すばらしい歌声だ。この歌手は来年日本で公演されるフランスの「十戒」の日本語
テーマソングを歌うそうだ。紅白歌合戦にも出場するらしい。拍手。

クラシック音楽、オペラとの付き合いもだいぶ長くなってきたが、数ある名曲から
つい口ずさみたくなるのはこの木星とヴェルデイのナブッコで歌われる
“ゆけ、わが思いよ、黄金の翼にのって”、マスカーニのカヴァレリア・ルステイカーナ
である。

ホルストの木星にはちょっとした思い出がある。ひとつは横浜に引っ越した頃
近くの家電店が閉店の音楽にこの木星を流していたので、ひどく感激して以後この
センスのいい店で電気製品を買うようになったこと。もうひとつは、この曲の原曲が
讃美歌であることを交通事故で亡くなったあのイギリスのダイアナ妃の葬儀で知った
ことである。このとき海外旅行中でホテルのCNNを見ていたら、ウェストミンスター
寺院の合唱隊がこの讃美歌を歌っていた。

ナブッコの“黄金の翼にのって”は本当にいい曲だ。これを歌うミラノスカラ座合唱団の
歌声は天下一品。この曲を聴くたびにオペラに接して良かったなと思う。

マスカーニの“カヴァレリア・ルステイカーナ”は結構頻繁に聴いている。とにかくこの曲を
目をつぶって聴いているときが一番気持ちがいい。α波が目一杯出ているのだろう。
ゴッドファーザーⅢにもこの歌劇が使われていた。

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