2017.04.29

美術館に乾杯! アントワープ王立美 その四

Img     アンソールの‘陰謀’(1890年)

Img_0002     アンソールの‘首吊り死体を奪い合う骸骨たち’(1891年)

Img_0003     アンソールの‘絵を描く骸骨’(1896年)

Img_0001     アンソールの‘東洋の品々のある静物’(1907年)

海外の美術館が改修工事などで閉館になるとそのコレクションがまとまって日本にやってくることがある。2017年末まで美術館を閉めるアントワープ王立美は‘仮面の画家’アンソール(1860~1949)の作品を2012年どさっと新宿の損保ジャパン美に貸し出してくれた。

このラインアップは手元にあるTASCHENのアンソール本に載っているものを多くカバーする充実ぶり、だから、この画家はいっぺんに済マークがつけられた。そのなかで最も有名な仮面の絵が‘陰謀’、右に意地の悪そうなでぶっちょの女、あのマイケル・ジャクソンの鼻を連想する緑の服を着た男の仮面、また、右の上には半分骸骨の仮面の男がいる。

仮面とともにアンソールの代名詞となっているのが骸骨、ブラックユーモア的なおもしろさがある‘首吊り死体を奪い合う骸骨たち’と骸骨に身を変えた自画像‘絵を描く骸骨’は一度みたら忘れられない。ベルギー王立美でもニシンを二人の骸骨が奪う合う絵をみた。

じつはアンソールの絵を最初にみたのはMASミュージアムにも展示してあった‘東洋の品々のある静物’、1988年西洋美で開催された‘ジャポニスム展’で遭遇した。アントワープ王立美にはアンソールの油彩が40点くらいあるそうだが、その頃はまだ仮面や骸骨とアンソールは結び付かなかった。そのあと、2005年東京都庭園美でアンソール展に出くわし、だんだんアンソールの画風に興味を覚えるようになった。

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2017.04.28

美術館に乾杯! アントワープ王立美 その三

Img     マグリットの‘9月16日’(1954年)   

Img_0001     デルヴォーの‘バラ色の蝶結び’(1937年)

Img_0003     フレデリックの‘農民の子’(1888年)

Img_0002     クラウスの‘亜麻畑の雑草をむしる農民たち’(1888年)

アントワープ王立美は今年の秋に再オープンすることになっているが、もう一度この街へ足を運ぶ可能性はいまのところ低い。そのコレクションのうち古典絵画はルーベンスがドーンと真ん中にいるのに対して近代絵画については部分的にしかわかっていない。

2010年に新宿の東京オペラシティアートギャラリーでこの美術館が所蔵する近代絵画が展示された。そこで大きな収穫だったのがマグリット(1898~1967)の‘9月16日’、マグリットの作品はつけられたタイトルはあれこれ詮索せず目の前の不思議な絵を感じることに徹している。

この絵は一見シュールだが、脳みそがよじれるほど変な構成でもない。たしかに樹木の真ん中に三日月はみえるはずはないが、その三日月をこの木の上でも左右でも少しずらしてみれば夜の自然な光景をして認識できる。だから、マグリットのシュール絵画はわりとすんなり腹に落ちていく。

一方、デルヴォー(1897~1994)の楽しさは血の気が感じられない人形のような裸婦がつくりだす夜のファンタジックな世界、これになぜかひき込まれてしまう。中央の女性は胸に大きなバラ色の蝶結びをつけており、右の女性はそれをとりさっている。この蝶結びは一体何を暗示しているのか。

近代に活躍したベルギーの画家でざっと思いつく人物にレオン・フレデリック(1856~1940)とエミール・クラウス(1849~1924)も入っている。フレデリックの名前を知ったのは大原美にある裸の子どもがたくさん登場する絵。そのあと、フランスの自然主義派のルパージュの影響を受けた‘農民の子’などが現れた。

同じくルパージュに刺激されたエミール・クラウス(1849~1924)の‘亜麻畑の雑草をむしる農民たち’も強く記憶に刻まれている。3,4年前?東京駅ステーションギャラリーでクラウスの回顧展があったが、なんとなく見逃してしまった。

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2017.04.27

美術館に乾杯! アントワープ王立美 その二

Img_0001     メムリンクの‘父なる神と奏楽の天使たち’(1489年)

Img_0002     ヤン・マセイスの‘ユディト’(16世紀中頃)

Img_0003     ルーベンスの‘凍れるヴィーナス’(1614年)

Img_0004     ルーベンスの‘キリストの磔刑’(1620年)

MASミュージアムに展示されたアントワープ王立美蔵作品は部屋のスペースの関係で大作は運んでこれない。そのため、メムリンク(1465~1494)の左右に大きくのびる祭壇画の‘父なる神と奏楽の天使たち’は残念ながらみれなかった。

このメムリンクの画才に200%開眼したのはアントワープに移動する前の日に滞在したブリュージュで訪問したメムリンク美。ここにずらっと飾られていた最高傑作といわれる‘聖ヨハネ祭壇画’や‘聖ウルスラの聖遺物箱’の前ではほかのブランド美術館にあったものとは倍以上の感動を味わった。だから、精緻な写実性が心を打つ‘父なる神’もみたくてしょうがない。

フーケの‘聖母子と天使たち’同様、強く引き込まれたのはヤン・マセイスの‘ユディト’、このドキッとする画題はいろんな画家によって描かれている。カラヴァッジョの作品ではホロフェルネスの首をユディトが今まさに切り落とさんとする場面、気の弱い人はこの血しぶきを正視できないかもしれない。

この絵にくらべるとヤンの描いたユディトは敵将の首をもってるだけなのでしばらくはみておられる。でも、モデルのぬめっとした顔には魔性の微笑み的なところがあり、ゾクッとするような怖さがじわじわとわきおこってくる。イタリアのマニエリスムとフォンテーヌブロー派をミックスしたような表現はヤンの腕の確かさをみせつけている。

ルーベンス(1577~1640)が暮らした町の美術館だから、ここのコレクションは世界最大規模、臨場感のある‘キリストの磔刑’をMASでみれたら最高だったが、展示してあったのは‘凍れるヴィーナス’と‘放蕩息子’の2点。ヴィーナスの緊張した表情とキューピッドの寒くてたまらないといった顔が目に焼きついて離れない。

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2017.04.26

美術館に乾杯! アントワープ王立美 その一

Img_0003    ベルギーの大聖堂と主要美術館(拡大図で)

Img_0001     フーケの‘聖母子と天使たち’(1452年)

Img_0002     ファン・エイクの‘泉の聖母子’(1439年)

Img     ファン・エイクの‘聖女バルバラ’(1437年)

2011年12月ベルギーを旅行したとき、アントワープでの楽しい思い出はブリューゲルの‘悪女フリート’を展示しているマイヤー・ファン・デン・ベルグ美と新しくできた美術館MASミュージアムを訪問したこと。ブリューゲルをコンプリートしようと意気込んでいるのではじめての美術館でも地図を頼りにでかけていく。開館前にスタンバって念願のボス風の悪女fフリートと対面した。

そのあと急いだのがこの年ウォーターフロントに完成したMASミュージアム、じつはこの美術館で2011年の9月から2017年秋まで改修工事のため休館するアントワープ王立美が所蔵する作品50点が展示されていたのである。事前にアントワープ王立美にある作品はチェックしていたのでワクワクしながら入館した。

サプライズの絵はフランスのジャン・フーケ(1420~1481)が描いた‘聖母子と天使たち’、色彩がこれほど強烈な聖母子像はみたことがない。まったく異色の宗教画、聖母マリアと幼子キリストをまわりにいる天使たちの色が衝撃的、一人一人が赤と青のインクの入った大きな壺にどぼんと体をつけてからここに参集した感じ。

この赤肌、青肌の天使の色彩効果によって白い姿をいっそう輝かす聖母子が浮かび上がって見える。驚かされるのが細密に描写された真珠やメノウをちりばめた聖母の王冠、そしてその聖母、乳房の形が真ん丸。忘れられない一枚になった。

ボスとブリューゲル同様、ファン・エイク(1390~1441)に200%のめりこんでいる。アントワープ王立美には2点あることはわかっており、それがMASミュージアムに運よく出品されているのだから天にも昇るような気持ち。ともに小さな絵だが目をこらして神業的な写実描写をみていた。

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2017.04.25

久しぶりの‘阿形・吽形’!

Img_0002    観光客で混雑する東大寺・南大門

Img_0003     国宝‘金剛力士立像 吽形’(1203年)

Img_0001     国宝‘東大寺法華堂日光仏立像’(8世紀中頃)

Img     国宝‘誕生釈迦仏立像’(8世紀中頃)

奈良博で‘快慶展’(4/8~6/4)を楽しんだ後、長らく見ていない南大門の‘金剛力士立像 阿形・吽形’へ行くことにした。奈良博までの道順はだいたいわかっているが、そこから先は博物館の案内でもらった‘奈良公園ウォークマップ’をみながら進んだ。

予定では南大門をみてそのまま大仏殿まで進み、そのあと5年前にオープンした東大寺ミュージアムに寄ることにしていた。だが、修学旅行の生徒たちと外国人観光客があまりに多いので大仏はやめて‘阿形・吽形’だけにし、南大門のすぐ近くにあるミュージアムへ入った。

ミュージアムの観覧料金は500円。これは中に展示されているものは国宝がずらずらと続くのでお得感がある。前に三月堂でみたのがいつだったか思い出せないほど長い時が流れたのが‘日光・月光仏立像’、顔のふっくらしたこの塑造の仏像の特徴は顔が白いこと。白く光るのは雲母の入った土で仕上げられているため。

この前にあったのがお馴染みの‘誕生釈迦仏立像’、美術品との付き合いが長くなると釈迦や仏教の話がだんだん頭のなかに入ってくる。この誕生仏のおかげで釈迦は生まれてすぐ歩いたという並みの人間とは違う特別な力をもって生まれたことを知る。さらにスゴイのが赤ん坊なのに難しい言葉もしゃべれる。7歩進んで、右手は天、左手は地を指し、‘天上天下唯我独尊’(てんじょうてんげゆいがどくそん)といったという。こりゃ参った!

修学旅行があるのはこの時期、だから、駐車場には大型バスが何台も並んでいる。京都へ近鉄で帰るとき隣の席にいた中学生は佐賀市からやって来たという。その日京都に着きまず奈良にでかけそのあと2日かけて京都の名所観光をするという。楽しくて気持ちがずっとハイになっていた修学旅行のことをかすかに思い出した。

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2017.04.24

ダルビッシュ ロイヤルズ戦に好投し2勝目!

Img    ロイヤルズ相手に8回2失点に抑えたダルビッシュ

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開幕して20試合を消化した大リーグ、今日応援したのは地元でロイヤルズとの一戦に先発したダルビッシュ、期待された開幕戦がダメだったので楽しみが下降気味だが、この試合は8回まで投げ、5安打、2失点に抑え勝利投手になった。

3回の表簡単に2アウトまでとったのに、ロイヤルズの主軸に2連続ホームランを食らって2点を失った。これでまた勝てないなと思ったが、その裏と4回に打線が3点とってくれて逆転、勝ち星の望みがでてきた。4回以降はスライダー、カーブをうまく使って零を重ね8回3人を打ちとったところで交代した。試合は5-2でレンジャーズが勝ち、この4連戦をスイープ。これでダルビッシュは2勝目(2敗)。

ほかの日本人選手と成績を見ると、ヤンキースのマー君は開幕戦と次の登板が全然ダメで今シーズンは前途多難を予感させたが、そのあと立て直し2勝1敗。そして、西海岸のドジャーズのマエケンは1勝したが、内容は良くない。10勝は難しい感じ、とにかく序盤の失点をなくさないと監督の信頼を得られない。マリナーズの岩隈はまだ勝ち星がつかない。ここ数年序盤戦はスローペース、そのうち調子をあげてくるのを待つしかない。

ブルペン陣ではレッドソックスから昨年のワールドチャンピオン、カブスに移った上原は上々の滑りだしをみせている。前々回の登板ではじめて失点したが、次はまた無難に抑えたので心配はないだろう。同じくレッドソックスからイチローのいるマーリンズへ移籍した田沢、最初は慣れないナショナルリーグでの登板のためか思うように投げられなかったが、今は落ち着きをとりもどしている。

野手に目をやると、先日もといたマリーナーズとの交流戦でホームランを放ちシアトルのファンを喜ばせたマーリンズのイチロー、代打での出場ばかりだが今年も打ってくれそう。イチロー以上に注目したいのがアストロズに移った青木、毎試合先発で使ってもらえないのが残念だが、バットの調子は悪くない。ヒットを重ねればいずれ上位打線で起用される。熱く応援したい。

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2017.04.23

奈良博の‘快慶展’も大盛況!

Img_0003     ‘地蔵菩薩立像’(重文 鎌倉時代13世紀 東大寺)

Img_0001     ‘孔雀明王坐像’(重文 1200年 金剛峯寺)

Img_0002     ‘不動明王坐像’(重文 1203年 醍醐寺)

Img     ‘釈迦如来立像’(13世紀 キンベル美)

京都の美術館へ行くときは奈良まで足をのばすことが多い。この度は嬉しいことに奈良博で‘快慶展’(4/8~6/4)が開催中、ホテルのランチビュフェでたらふく食べたあと近鉄の快速に乗り込んだ。

久しぶりの奈良だったので、奈良博までは近鉄奈良駅からすぐ到着すると勘違い。イメージの倍近く15分かかった。途中、大勢の外国人観光客が鹿にせんべいを食べさせていた。以前はこれほど多くの外国人はみかけなかった。京都もそうだが、ここも人気の観光地だからいっぱい外国人がいる。

運慶とともに鎌倉彫刻を代表する仏師快慶(?~1227以前)、その仏像をまとまった形でみるのは2回目。前回は同じ奈良博で行われた運慶との合同展覧会(1994年)、作品の数は20点ほど。今回は全部で36点、そのうちアメリカの3つの美術館から3点里帰りしている。

快慶の仏像でいつも熱心にみているのは目、目をむいて怒りの表情をみせる不動明王は除くとたいていは切れ長のきりっとした目をしている。東大寺にある‘地蔵菩薩立像’はお気に入りのひとつ。この菩薩より目の開きが少し大きくその分目線が鋭いのが‘孔雀明王坐像’、顔のふくらみと厳しい眼光が圧倒的な存在感を生み出している。これをみるのは2004年の‘空海と高野山’(京博)以来、息を呑んでみていた。

最後の展示コーナーに並んでいた立像に思わず足がとまるものがあった。アメリカのテキサス州にあるキンベル美からお出ましいただいた黄金の‘釈迦如来立像’、金泥のコンディションが良いのでついつい見とれてしまう。衣文の流麗な線は慈愛あふれる釈迦如来の美しさを引き立てている。

彫刻好きの隣の方も満足げな顔、快慶は兵庫県の浄土寺にある国宝‘阿弥陀如来像’もクルマで見に行ったのでこの回顧展をもって済みマークをつけられる。ミューズに感謝!

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2017.04.22

期待を上回る‘海北友松展’!

Img     ‘雲龍図 阿形’(右隻 重文 1599年 建仁寺)

Img_0001     ‘吽形’(左隻)

Img_0002_2     ‘柏に猿図’(16世紀 サンフランシスコ・アジア美)

Img_0003_2     ‘網干図屏風’(左隻 17世紀 三の丸尚蔵館)

Img_0004     ‘月下渓流図屏風’(左隻 17世紀 ネルソン・アトキンズ美)

4月19日、京博ではじまった‘海北友松展’(4/11~5/21)をみるため4年ぶりに京都へ行った。朝早い新幹線に乗ったので、9時30分の開館と同時に入館、新装なった京博に来るのははじめて。もとの本館での開催をイメージしていたが、通常展を行っている新館で列に並んだ。

海北友松(1533~1615)は実力絵師ではあるが、狩野永徳や長谷川等伯とくらべると知名度は三分の一くらいかもしれない。それは‘海北友松’という名前が‘かいほうゆうしょう’とすっと読めないことも一因。この絵師を知るきかけとなったのはかなり前京博で開催された‘建仁寺展’。

ここに出品された迫力満点の‘雲龍図’に度肝をぬかれ、‘かいほうゆうしょう’を胸に刻み込んだ。過去見た作品で印象深い龍の絵が全部で4点でている。そして、プラスαの収穫は長谷川等伯を連想させる手長猿を描いた‘柏に猿図’、下の草花の緑がよく残っており長くみていた。

じつは今回最も期待していたのは三の丸尚蔵館が所蔵する‘網干図屏風’、1999年にあった‘皇室の名宝展’にこの絵は‘浜松図’とともに出品されたが、展示替えでお目にかかれなかった。その後、尚蔵館での展示をずっと待ち続けたが願いが叶ったのは‘浜松図’のほうだけ。

この回顧展に2点はたぶんでてくるとは読んでいたが、出動するタイミングに‘網干図’が合うかどうか、果たして、ありました!ありました! 最初にこの網干がでて(4/11~4/23、5/9~5/21)、浜松は後半に展示される(4/25~5/21)、リカバリーに18年かかったので感慨深くながめていた。

そして、最後にすばらしい絵が飾ってあった。60年ぶりに里帰りした‘月下渓流図屏風’、等伯の‘松林図屏風’が頭をよぎる静寂な水墨の世界、こんないい絵があったのか、という感じ。もし、日本にあったら国宝まちがいないだろう。チラシに最晩年に描いた最高傑作とあったので、どんな絵かと気になっていたが確かにその通り。通期の展示なのでいつ出かけてもみられる。

この絵をみたら友松のスゴさがわかり絵画史における位置づけを改めなくてはならなくなった。永徳、等伯、友松は真に桃山のビッグ3、海北友松に乾杯!

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2017.04.21

美術館に乾杯! ベルギー王立美 その十

Img_0001     クノップフの‘愛撫’(1896年)

Img_0004     クノップフの‘妹マルグリットの肖像’(部分 1887年)

Img     バーン=ジョーンズの‘プシケの婚礼行列’(1895年)

Img_0002    ヌンクの‘孔雀’(1896年)

とても気になる絵の存在がきっかけとなって、画家が好きになることがある。だが、その絵とじっさいにお目にかかれるかというと簡単ではなく時間がかかる。ベルギー象徴派のクノップフ(1858~1921)が描いた‘愛撫’を見た瞬間、クノップフへの関心が大きくなった。そして、ようやくベルギー王立美を訪問する機会がめぐってきた。

チータと女性のハイブリッドスフィンクスが一見女性を思わせる若者と頬を寄せ合っている謎めいた作品、心がザワザワしてくる感じはクリムトが描く官能的な女性をみるときと似ている。スフィンクスがエジプトにあるようなライオンだったら、どんな印象になるだろうか、女性の顔を美しくみせるために黒い点々のあるチータにしたのかもしれない。

クノップフにとって理想の女性は6歳下の妹マルグリットだった。そのため、描かれるモデルの容貌はマルグリットのイメージがベースになっている。肖像画は結婚前のマルグリットをクノップフが29歳のとき描いたもので、生涯手放さなかった。

クノップフに強い影響を与えたのがイギリスのラファエロ前派の画家、バーン=ジョーンズ(1833~1898)、ここには‘プシケの婚礼行列’が展示されていた。人物の配置はバーン=ジョーンズお得意の女性のシールを横一列にぺたぺた張り付けたような構成。真ん中がこれから恐ろしい怪物のところへ嫁ぐことになるプシケ。

ヌンク(1867~1935)の鈍く光る青を基調にした‘孔雀’は森のなかに出現した幻想世界に紛れ込んだような気分にさせる作品。まさに象徴派全開。この美術館にはデルヴィル(1867~1953)の鑑賞欲をおおいに刺激する‘悪魔の宝物’があるのだが、どういうわけか2回とも姿を見せてくれなかった。残念な思いをずっと引きずっている。

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2017.04.20

美術館に乾杯! ベルギー王立美 その九

Img_0003      ダリの‘聖アントワーヌの誘惑’(1946年)

Img     ミロの‘スペインの踊り子(オレ)’(1924年)

Img_0001     アンソールの‘憤慨した仮面’(1883年)

Img_0002     アンソールの‘燻製ニシンを取り合う骸骨達’(1891年)

好きな画家の場合、手元に集めている情報は他と比べて多い。美術本は複数あり、展覧会の図録もたまっていく。シュルレアリストのダリ(1904~1989)もその一人。だから、どの絵がどこの美術館にあることはしっかりインプットされている。

2015年12月、フィラデルフィア美を再訪し前回みれなかった‘ゆでたインゲン豆の柔らかい構造(内乱の予感)’と対面した。残るはベルギー王立美の‘聖アントワーヌの誘惑’、この絵でとくに魅せられるのはあの巨漢の象の細くて長い足が小さいころ遊んだ竹馬をイメージさせること。驚くべきシュールな造形をいつかこの目でとらえたいが、3度目の美術館訪問があるかどうかはわからない。隣の方のご機嫌次第。

このところミロ(1893~1983)の回顧展に遭遇してない。ミロファンとしては昨年あったダリ展(国立新美)に続いて、ミロも期待したくなるがその気配はまだない。‘スペインの踊り子(オレ)’は現地でも楽しんだが、2002年世田谷美で開かれたミロ展に出品された。そのため、絵の前に立ったときは親しみを覚えた。

マグリット、デルヴォー同様、この美術館を訪問したことで画家との距離が一気に縮まったベルギー人画家がいる。北海に面した町、オステンドで生まれ育ったジェームス・アンソール(1860~1949)。5,6点展示してあった作品で目に焼き付いているのが仮面と骸骨、絵のタイトルに仮面がついているのが‘憤慨する仮面’と‘奇妙な仮面’、そして死してなお食欲が旺盛なあまり喧嘩してしまう‘燻製のニシンを取り合う骸骨達’。

アンソールの当面の追っかけ作品はLAのポール・ゲッティ美にある‘キリストのブリュッセル入城’、まだ足を踏み入れていないLAなので旅行計画の優先順位は高く、そのうち訪問の機会がやって来そう。

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