2020.01.22

美術館に乾杯! 河井寛次郎記念館

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       ‘三色扁壺’(1961年)

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     ‘桃注’(1922年)

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     ‘辰砂刷毛目扁壺’(1937年)

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     ‘練上鉢’(1956年)

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     ‘木彫像(母子)’(1950~58年)

これまで出かけたやきものの展覧会では民藝派の河井寛次郎や濱田庄司の
回顧展が茶の湯展とともに最も多い。そして、河井寛次郎(1890~
1966)については京都にある河井勘次郎記念館や倉敷の大原美、出身地
の島根県安来市にある足立美でも目を楽しませてくれた。記念館があるの
は京博から北方向の五条坂。寛次郎は1920年、ここに‘鐘渓窯’を構え本
格的に作陶活動をはじめた。

回顧展があるときいつもガツーンとやられるのは‘三色扁壺’。緑、赤、黒の
釉薬がアクションペインティングのように飛び散っている。この生き生き
とした色合いが心に響く。驚くのはこんな前衛的な仕事を60歳代後半から
70歳代にかけて行ったこと。現代ア―ティストがつくるオブジェと一緒に
並べたとしてもすばらしいコラボが生まれそう。

初期につくった作品でお気に入りは‘桃注’。丸い形とともに青磁の青と赤み
がかったピンク色により表現された桃の質感描写に感動する。小品なのに目
に焼きついている。

‘辰砂刷毛目扁壺’の丸いフォルムをみて連想するものがある。秋から冬の
時期、熱いお茶を飲みながら食べる今川焼。食い意地がはっているので小さ
い頃からの大好物、レーズンサンドも思い浮かべる。まだありそうだが、
これ以上食べものと関連づけると寛次郎の笑いがとまらなくなりそうだから
やめる。

‘三色扁壺’のように文様のつくり方から抽象的なイメージが膨らむ‘練上鉢’にも
魅了されている。練上は色の違う土を重ねて練り込み、文様を生み出すもので
寛次郎が得意とした技法。なんだか目玉の怪物が暴れている感じ。

寛次郎はやきものだけでなく、木彫像、竹製の椅子やテーブル、キセルのデザ
インなどもてがけている。思わず足がとまったのが母と女の子をモチーフにし
た木彫像。微笑ましいのがほっぺの膨らみ。昨日亡くなった宍戸錠と同じくら
い大きい。

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2020.01.20

美術館に乾杯! 京都府立堂本印象美術館

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Img_0002_20200120221301      ‘冬朝’(1932年)

Img_0004_20200120221301      ‘木華開耶媛’(部分 1929年)

 

Img_0001_20200120221301     ‘交響’(1961年)

Img_0003_20200120221401     ‘意識’(1956年)

画家を認識するときこの人は日本画家か西洋画を専門に絵が描いている人か
はいちおう区別する。ところが、どっちも高いレベルの作品を生み出した
画家がいる。京都市出身の堂本印象(1891~1975)と加山又造
(1927~2004)。印象はぶったまげるほどすごい抽象画を創作し、
又造はブリューゲルやイタリア未来派を彷彿とさせる作品を描き画壇を驚か
せた。

立命館大のすぐ近くにある京都府立堂本印象美術館へは2度訪問した。堂本
印象という画家のことを知らないでここへ来たら、前衛的な模様が施された
建物の外観をみて現代アートの作家の本拠地に紛れ込んだと思うにちがいな
い。確かに半分は当たっている。抽象美全開の‘交響’や‘意識’などをみせられ
たら、誰だってカンディンスキー(1866~1944)とかモンドリアン
(1872~1944)の抽象絵画を思い浮かべる。

印象が並みはずれた才能の持ち主だということは前半の画家人生で描いた
伝統的な日本画の画題でも明らか。二曲一双の花鳥画‘冬朝’では冬の寒い朝、
川の流れのなかにひとかたまりになっている白鷺の群像表現が目を釘づけに
させる。また、隣に飾ってある兎の絵にも魅了される。印象のやさしい心根
がそのままでている。

‘木華開耶媛’は人気の高い作品で縦1.7m、横2.4mの大きな絵。描か
れているのは日本神話に登場する女神、木華開耶媛(このはなさくやひめ)。
うっとりしながらみていると古典西洋画の有名な作品が重なる。そう、ボッ
ティチェリの‘ヴィーナスの誕生’と‘春’。これは参った!

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2020.01.19

美術館に乾杯! 何必館・京都現代美術館

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      村上華岳の‘太子樹下禅那之図’(1938年)

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    村上華岳の‘武庫山春雲’(1936年)

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    麻田鷹司の‘天橋雪後図’(1972年)

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    北大路魯山人の‘つばき鉢’(1938年)

昨年、忘年会で会った友人は京都の南座で歌舞伎をみると言っていた。南座
から八坂神社のほうへ行く途中にあるのが何必館・京都現代美術館。この
何必館が‘かひつかん’と読めるようになるまで時間がかかった。‘何ぞ必ずし
も’と定説にとらわれない自由な創作活動を実践するという意味が込められ
ている。

この美術館の存在を知ったのは‘昭和の日本画100選’(1989年)に選
ばれた大阪市生まれの村上華岳(1888~1939)の‘太子樹下禅那之
図’と京都市生まれの麻田鷹司(1928~1987)の‘天橋雪後図’と出会
ったから。美術館はいつも才能豊かな画家の傑作と結びついており、何必館
の読み方はすぐには定着しなかったが漢字3文字は深く脳に刻まれた。

華岳は墨の太い線とぼかしを使って精神性の高い山水画をたくさん描いた。
‘武庫山春雲’をじっとみているとじわーっと自然の生命力につつまれていく。
そして、この山水画とともに華岳の代名詞となったのが仏画。菩薩像は丸顔
と大きくて鋭い目が特徴。代表作の‘太子樹下禅那之図’は悟りをひらくため
樹下で修業する若き日の釈迦が描かれている。こんな仏画を生み出した華岳
の画才の凄さに200%KOされた。

麻田鷹司の天の橋立図は雪舟と川端龍子の絵と並ぶすばらしい絵。冬の日本海
の厳しさが感じられる。またこの地を訪れてみたい。

ここは北大路魯山人(1883~1959)のコレクションでも有名。300
点くらい所蔵している。来月日本橋三越でこのコレクションを披露する‘北大路
魯山人展’(2/5~2/17)が行われる。久しぶりの魯山人なので楽しみ。

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2020.01.18

美術館に乾杯! 泉屋博古館 その三

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   岸田劉生の‘二人麗子図’(1922年)

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    山下新太郎の‘読書の後’(1908年)

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    東山魁夷の‘スオミ’(1963年)

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    板谷波山の‘葆光彩磁果文花瓶’(重文 1917年)

昨年の夏から秋にかけて東京ステーションギャラリーで岸田劉生
(1891~1929)の没後90年を記念した回顧展が開催された。好き
な画家だから見逃すわけにはいかない。東京のあと名古屋、山口に巡回する
ロング興行の間、劉生の代名詞となっている‘麗子像’は全部でコンテ、水彩
もふくめると24点でてきた。そのなかに最も大きな‘二人麗子図’もあった。

麗子像の‘ベスト3’にしているのはもっとも有名な‘麗子微笑’とこの絵の1年
後に描かれた‘二人麗子図とまだ縁のない‘麗子住吉詣之立像’。二人の麗子が
あたかも双子のように寄り添っている姿を描くのはかなり神秘的な表現だが
、なぜかあまり違和感がなくみれる。それは二人の白い顔が少女というより
は若い女性がみせる美しさを感じさせるから。

フェルメールの絵に女性が手紙を読む場面を描いたものがあるが、これとの
関連で思い出すのは山下新太郎(1881~1966)の読書をする女性。
東近美にあるのは窓際の女性を後からとらえた作品で、アーチゾン美(旧ブ
リジストン)のは読書中の女性。そして、ここにあるのは本を手にもち一息
ついている女性。この状況では肖像画そのものだから絵の魅力はぐんと増す。
しかも色白の綺麗な女性とくれば目はとろんとなる。

東山魁夷(1908~1999)が北欧を旅行したときの体験をもとに描い
た風景画で大変魅了されるのがフィンランドの森林や湖を横にどこまでも広
がるようにとらえたもの。3点ありいずれも大作、その一枚が‘スオミ’。まだ
一度しかみてないが、2年前国は違うが冬はともに厳しい自然と向き合わな
くてはならないノルウェーを旅したので、再会すると絵に感じるものがちが
ってくるのにちがいない。

出光美同様、住友コレクションにも板谷波山(1872~1963)のいい
作品が揃っている。‘葆光彩磁果文花瓶’にお目にかかったとき端正で緻密な
果物模様の描写を唖然としてみていた。完璧主義者の波山は納得のいく焼成
でないと片っ端から壊したという。そうした高い完成度を追及することによ
り、葆光彩磁の美しさが心を打つ見事な花瓶が生まれた。

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2020.01.17

美術館に乾杯! 泉屋博古館 その二

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      伊藤若冲の‘海棠目白図’(18世紀)

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    狩野芳崖の‘寿老人’(1877~87年)

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     ‘小井戸茶碗 銘六地蔵’(朝鮮時代 16世紀)

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    野々村仁清の‘白鶴香合’(17世紀後半)

お気に入りの絵師の作品がどこの美術館におさまっているかは最低限おさ
えておきたい。だから、伊藤若冲(1716~1800)を所蔵している
京都の美術館やお寺はすぐでてくる。細見美がたくさんもっているが、ここ
には‘海棠目白図’がある。とても可愛いのが丸くまがった枝にぎゅうぎゅう
詰めにとまっている目白の姿。日本橋高島屋で開催される‘若冲展’(3/8~
4/6)は京都にある絵が披露されるが、この絵は出品される?

山口県の毛利博物館(防府市)をとりあげたとき狩野芳崖(1828~
1888)の‘福禄寿図’を紹介したが、泉屋博古館は同じ画題で描いた‘寿老
人’を所蔵している。こちらは横描きの大作でくしゃくしゃ顔の老人が梅の
根元に腰掛けている。足の先に白鶴がおり、その向こうに蝙蝠が飛んでいる。
もう一頭、縁起のいい鹿がいるが、寿老人の後ろにいるためうっかりすると
見落とす。

北村美同様、京都の個人美術館にはいい茶道具が揃っている。2013年
根津美であった‘井戸茶碗展’でお目にかかったのが‘小井戸茶碗 銘六地蔵’。
井戸茶碗を見る楽しみは高台や胴部にみられる白釉の梅花皮。枇杷色の地
に浮かび上がるこの白い玉の景色を息を殺してみていた。

旅先のお土産店でつい手にとりたくなるのが生き物の置物。でも、隣の方
がNGを出しつづけているのでコレクションにはならない。野々村仁清の
‘色絵丹頂鶴香合’を手元においていたら心が安まるのはまちがいない。腕の
いい陶工でもここまで鶴の優雅さは生み出せない。やはり仁清は別格の
存在である。

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2020.01.16

美術館に乾杯! 泉屋博古館 その一

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       泉屋博古館

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      閻次平の国宝‘秋野牧牛図’(南宋時代 13世紀)

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       沈南蘋の‘雪中遊兎図’(1737年)

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      ‘佐竹本三十六歌仙絵 源信明’(重文 13世紀)

住友コレクションを公開している泉屋博古館を訪れたのは2009年。場所
は平安神宮から東に向かって進んだところにある。館内のレイアウトがどん
なだったかもう思い出せない。この年の1年前、名古屋の徳川美で東山御物
にスポットをあてた特別展が開かれ中国絵画の傑作がどっと集まった。
ところが、うかつなことに情報が入ってくるのが遅れ泉屋博古館から出品さ
れた国宝の‘秋野牧牛図’が展示替えでみれなかった。

国宝の追っかけにエネレルギーを注いでいるのでこれを見逃したのは痛い。
その残念な思いをひきずっていたら、運よく春季展にでてくるという。思っ
てもみなかった早いリカバリーの機会。気がはやり京都旅行をすぐ決定した。
描かれたのは中国南宋時代、休んでいる親牛と子牛の姿に心が和む。その後
ろに目をやると牧童がおり、一人が前の男の子の髪をかいている。このふた
つのペアリングが強く印象の残る。

日本に3年滞在した中国人画家、沈南蘋は写実的な画風で日本の絵師たちに
大きな影響を与えた。8代将軍徳川吉宗も愛好しており、大名家にも好まれ
た。‘雪中遊兎図’は濃密なイメージの作品で多産を象徴する縁起のいい兎が
細密に描かれている。

住友家が手に入れた‘佐竹本三十六歌仙絵’は‘源信明’。ほかの歌仙絵の多くが
流転を繰り返し所有者が変わったのに対し、これは住友がずっともちつづけ
今日に至っている。だから、住友コレクションのお宝中のお宝。昨年、京博
でお目にかかれたのは良いめぐりあわせだった。

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2020.01.15

美術館に乾杯! 北村美術館 その二

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    与謝蕪村の‘鳶鴉図’(重文 1778~83年)

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    ‘織部松皮菱形手鉢’(重文 17世紀)

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    ‘掛分釉一重口水指’(17世紀初期)

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    ‘大井戸茶碗 銘雨雲’(朝鮮時代 16世紀)

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     ‘瀬戸茶入 銘廣澤 本歌’(17世紀)

作風が年齢を重ねるにつれ心に沁みるものになっていく絵師がいる。
与謝蕪村(1716~1783)の‘鳶鴉図’をみるとつくづくそう思う。
これは最晩年の絵で右に強い風雨のなか木の枝にとまっている鳶、左に降り
注ぐ雪をみながら体を寄せ合い寒さに耐えている二羽の鴉が描かれている。
動と静の対比が見事。長いこと縁がなかったが、10年くらい前ようやくお
目にかかることができた。

斬新な意匠とおもしろい形が刺激的な織部に魅了され続けているので、名品
‘織部松皮菱形手鉢’が気になってしょうがなかった。2017年にここを訪問
したのはいいタイミングで展示されていたから。松皮菱は菱形の上下に小さ
な菱形をつける日本の伝統的な模様。この形だけでなく緑と赤土色の組み合
わせが目に心地いい。こういう前衛的なやきものを生み出す陶工たちの
アート魂にほとほと感心させられる。

朝鮮唐津の‘掛分釉一重口水指’も強い磁力を放っている。上の鉄釉とボリュ
ームを感じさせる白釉はともに深く主張している。これも織部同様、見方を
かえれば現代アーティストがてがける抽象絵画やオブジェにもイメージが膨ら
む。例えば、リーウーファンの絵画がちらっと頭をかすめた。

古美術を蒐集する人物に茶の湯のたしなみがあるといい茶道具が揃う。だから、
‘大井戸茶碗 銘雨雲’や‘瀬戸茶入 銘廣澤 本歌’はさらっとでてくる。ここの
展示室はあまり広くないのでコレクションに馴染むには何度も足を運ぶ必要が
あるが、これほどいいものをみせられるとついその気になる。

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2020.01.13

美術館に乾杯! 北村美術館 その一

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    ‘佐竹本三十六歌仙絵 藤原仲文’(重文 13世紀)

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      ‘古染付高砂花入’(重文 明時代17世紀)

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  野々村仁清の‘色絵鱗波文茶碗’(重文 17世紀)

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   千利休の‘竹茶杓 タヽイへ様参’(16世紀)

京都へ観光でいくときは東寺とか金閣寺といった人気のお寺めぐりがお楽し
みの中心となるが、展覧会をみるためだと足は京博や京近美などの美術館へ
向かう。もうひとつ美術品をもとめて足を運ぶところがある。それは個人
コレクターが蒐集した絵や古美術、茶道具を公開している小規模の美術館。
北村美術館もそのひとつ。

ここの所蔵品で最初におぼえたのが野々村仁清の‘色絵鱗波文茶碗’。華やか
な京焼や琳派の絵画に魅了され続けているので、モダンな意匠にハッとさせ
られるこの色絵茶碗には200%のめりこんだ。そして、いつか北村美へ出
向こうと思った。2017年の秋にその思いが実現した。場所は同志社大か
ら歩いて15分くらいのところ。昔、この大学の近くに住んだことがある
から、迷うこともなく入口にたどり着いた。

昨年の秋は京博の‘佐竹本三十六歌仙絵’に大変熱くなった。31点集結した
歌仙絵のなかに北村美蔵の‘藤原仲文’も入っている。これまで縁がなかった
から興味津々。美術鑑賞はこういう瞬間が一番楽しい。明時代につくられた
‘古染付高砂花入’も一緒に披露されている。情報はないのだが、こういう展示
を年に一度くらい企画展として行っているのだろうか。それとも、佐竹本の
公開は数年に一度?

利休が切腹する前につくったという茶杓‘銘泪’(徳川美)をみたことがあるが、
ここにも自ら削った‘タヽイへ様参’がある。千利休作と記されていると小刀を
動かす姿を想像してしまう。

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2020.01.12

美術館に乾杯! 四天王寺

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    大阪 四天王寺境内

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    国宝‘扇面法華経冊子 法華経巻一’(12世紀後半)

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      ‘法華経巻六’

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    国宝‘懸守 松喰鶴’(12世紀)

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    国宝‘金銅威奈大村骨蔵器’(707年)

聖徳太子によって建立された大阪の四天王寺へ行ったのがいつごろだっか
思い出せない。でも、ここでみたすばらしい装飾経‘扇面法華経冊子’のこ
とはエポック的な鑑賞体験として深く心に刻まれている。大きな日本美術
の展覧会があるとき、これは欠かせないピースのひとつ。

もっとも気持ちよくさせてくれるのが‘法華経巻一 料紙を手にする公卿
と童女’。文机の前の公卿と可愛い女の子が扇子いっぱいにどんと描かれて
いる。金や銀の箔の小片が蒔かれた華やかな装飾にも驚かされ、肝心の
法華経の経文がビジーに感じなくなる。これが装飾経のマジック。
‘巻六 屋内の女房と干し物をする女’にも目は寄っていく。平安時代の後半
における庶民の日常生活のひとこまが生き生きと表現されている。貴重な
風俗画であり書物ではイメージできないことがしっかり記録されている。

‘懸守(かけまもり)’はお守りのはじまりみたいなもの。7種類ある。大き
さは幅6~8㎝の小物アイテム。桜の花とか枕、小さな箱のような形のも
のがある。魅了されるのは松喰鶴、七宝花菱などの凝ったデザイン。女性
はこういうのをみたら全部揃えたくなるにちがいない。

8世紀のはじめにつくられた‘金銅威奈大村骨蔵器’は天明年間(1781
~89年)に大和国(奈良県)で開墾中に発見された。丸い骨蔵は心が落
ち着く。頑丈な金銅合子に遺骨がおさまれば安心する。

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2020.01.11

銀座松屋の‘利休のかたち’!

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   長次郎の‘赤楽茶碗 銘白鷺’(16世紀 裏千家今日庵)

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    ‘本手 利休斗々屋茶碗’(朝鮮時代 16世紀 藤田美)

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     ‘瀬戸雁口花入’(16世紀)

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      ‘湯の釜’(16世紀 武者小路千家官休庵)

昨年秋、三井記念美で‘高麗茶碗展’があり茶の湯の名碗が目を楽しませてくれ
たが、時をあけずまたいいやきもの展に遭遇した。今月の20日まで銀座
松屋で開かれている‘利休のかたち’。利休の好みを反映した茶道具が並んでい
る。松屋が企画するやきもの展はいつも期待を裏切らない。だから、好感度
は二重丸が続いている。

日本文化のなかで脈々とその伝統を伝えている茶道。そのど真ん中にいる
のが千利休(1522~1591)。大規模な茶の湯展が2017年に東博
であり、名品がたくさんでてきた出。今回の‘利休のかたち’はそのときのデジ
ャブがおこっている感じ。長次郎(?~1589)の初期の作品‘赤楽茶碗 
銘白鷺’とまたお目にかかった。光悦のシャキッとした赤楽とちがい素朴な
景色が心を打つ。

高麗茶碗の‘本手 利休斗々屋茶碗’は収穫の一品。これは三井記念美では展示
がなかったもの。想定外のリカバリーとなった。斗々屋茶碗のなかでは丸みの
ある形は珍しく柔らかいイメージがわくため思わず手にとってみたくなる。

究極の丸みを感じさせる‘湯の釜’もハッとさせる釉薬の流れが印象深い‘瀬戸
雁口花入’も茶の湯展にかざられていたもの。こういうのはみるたびに足がと
まる。釜はほかにも阿弥陀堂釜や尻張釜があり目を釘づけにさせる。

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