美術館に乾杯! 東京国立博物館 その十八
美術品のお宝はバラエティに富んでおり、古い時代の日本では中国やペルシ
ャなどからの影響にみられるものが数多く存在する。‘竜首水瓶’は横から
見たときの形がとてもいい。注ぎ口に象られた龍の頭は一瞬カモノハシが
浮かぶ。そして、下膨れの胴体にもつい視線が集中する。東博では法隆寺
献納宝物を展示する特別の部屋が設けられているが、この水瓶や‘海礒鏡’は
とくに目を奪られる。この大型鏡は均等の配置された山形の島と埋め尽く
された渦巻きの波文に夢中になってみてしまう。
‘如来坐像’は法隆寺金堂にある‘釈迦三尊像‘の中尊の連想させる形をしてい
る。高さ30銭cmほど小さな像だが、存在感があり大きくみえるのが飛鳥
像のマジックかもしれない。横に並んでいる20~40cmくらいの‘菩薩半
跏像’や‘観音菩薩立像’、‘十一面観音立像’にも大変魅了される。
本館1階で‘遮光器土偶’同様、目に焼き着いているのが運慶三代目の世代を
代表する康円(1207~?)が1267年に造立した‘四天王眷属立像’の
持国天と増長天、これは持国天のほう。手や足に動きがあり、個姓の強い
表情は一度みると忘れられない。もう2体は静嘉堂文庫と熱海のMOAに
ある。
‘伝源頼朝坐像’も記憶によく残っている武士の肖像彫刻。これは鎌倉の鶴岡八
幡宮に安置されていたもので、鎌倉時代以降に流行した武士が俗体形をとっ
た姿。頭にかぶる烏帽子、狩衣、指貫によって安定感のある美しい三角形
坐像が誕生した。同じスタイルでつくられた北条時頼と上杉重房の坐像が
それぞれ建長寺、明月院にある。
最近のコメント