2023.12.02

日本の農民画ベスト5!

Img_0004_20231202230101  ‘月次風俗図屏風 五月の田植え’(重文 室町16世紀 東博)

Img_0003_20231202230101   久隅守景の‘四季耕作図屏風’(江戸17世紀 東博)

Img_20231202230101    川合玉堂の‘早乙女’(1945年 山種美)

Img_0002_20231202230101    村上華岳の‘二月乃頃’(1911年 京都市立芸大)

Img_0001_20231202230101    近藤浩一郎の‘雨期’(1951年 山梨県美)

歴史の話は西洋、東洋、日本を問わず貪欲に吸収しようと心がけているが、
これに絵画の鑑賞がおおいに役立っている。それは関心の向かっている時代
や場所の様子をリアルに伝えてくれる風俗画の色合いの濃い風景画。日本の
農村の光景を描いたものは室町時代の頃から登場する。東博の‘やまと絵展’
(12/3まで)に出品された‘月次風俗図屏風’には‘五月の田植え’がでてく
る。左の大勢の女性が小気味よく田植えをする姿をみるといつも映画‘七人の
侍’(黒澤明監督)の最後のシーンを思い出す。

久隅守景(17世紀頃)が何点も描いた四季耕作図は中国の風俗画をベースに
しており、農作業の流れが季節にそって左から右に進行していく。牛による
田起こし,田への水入れなどに男たちが精を出している。こういう場面は
すごく愛着を覚えるからつい画面の隅から隅までみてしまう。

明治以降に活躍した日本画家たちのなかで農民画ですぐ思いつくのは川合
玉堂(1873~1957)。西洋画でいうとブリューゲルの絵がダブって
くる。心に沁みる作品がいくつもあるが、お気に入りは1945年に描かれた
‘早乙女’。田植えに励む早乙女たちを鳥瞰構図で大胆にとらえている。ひと
りが立ち上がり一息いれる仕草がとてもいい。

村上華岳(1888~1939)が23歳のとき制作した‘二月乃頃’に魅了され続けている。これぞ日本の農村という感じ。構図が本当よくできており、誰もが描けそうだがどうしてどうして華岳にしかこの田んぼの広がりは表現できない。近藤浩一郎(1884~1962)の‘雨期’は‘昭和の日本画100選’(1989年 朝日新聞社)に選ばれた傑作。印象派の影響を受け、光と陰を墨で巧みに表現することで田植えの光景を強く印象づけている。

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2023.12.01

2023年 心に響いた名曲!

Img_0002_20231201225801   ショスタコーヴィチの♪♪‘セカンドワルツ’

Img_20231201225801   

ディズニー映画‘美女と野獣’の主題歌♪♪

Img_0003_20231201225801   ディズニー映画‘ライオンキング’の主題歌♪♪‘愛を感じて’

昨年から本格化した映画の中古DVDとクラシックやポップスのCDの収集
は量・質ともにほぼ満足のいくレベルになってきた。映画のほうはまと
まった時間が必要なのでほかとのバランスを調整してホームシアターで
楽しんでいるが、音楽は毎日のようにお気に入りの曲を流して定番の軽
作業の効率を高めている。その中で今年はじめて耳にし即My名曲選に
登録したものを選んでみた。

☆♪♪‘セカンドワルツ’
☆♪♪‘美女と野獣’
☆♪♪‘愛を感じて’

ショスタコーヴィチが作曲した‘セカンドワルツ’はYouTubeで知り、今年
前半は毎日のように聴いていた。こんな名調子のワルツをあのショスタ
コーヴィチがつくっていたとは!必死になってこの曲が入っているCD
を探したが、まったくぶち当たらない。ワルツの定番の名曲を集めたCD
があるはずで、そこに収録されていると思うのだが、、ブックオフはあき
らめて銀座の山野楽器で探すことにしている。

歌姫セリーヌ・ディオンがピーボ・ブライソンとデュエットしたディズニ
ー映画‘美女と野獣’の主題歌に巡り合ったのが嬉しくてたまらない。好き
なセリーヌが歌っていたことをうかつにも知らなかったから、いっぺんに
嵌った。そして、同じくディズニー映画‘ライオンキング’の主題歌‘愛を感
じて’も気持ちよく聴いている。ミュージカル‘ライオンキング’は知ってい
たが、この‘愛を感じて’が琴線に触れたのはクラシックフルート奏者のジェ
ームズ・ゴールウェイのアルバム‘フルートで聴くポップス・ヒッツ’を流
したとき。ええー、‘ライオンキング’にこんないい曲があったの!?、と
いう感じで耳に大変心地よかった。この美しいバラードを作曲したのは
エルトン・ジョンだった。本当にいい曲。

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2023.11.30

2度目の‘北宋書画精華’!

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    徽宗の‘猫図’(北宋・12世紀)

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    国宝‘孔雀明王像’(北宋・12世紀 仁和寺)

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   李公麟の‘五馬図巻’(北宋・11世紀 東博)

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   趙令穣の‘秋塘図’(重文 北宋・11∼12世紀 大和文華館)

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   国宝‘古今和歌集序(巻子本)’(平安・11∼12世紀 大倉集古館)

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   内藤湖南の‘志那絵画史’(2002年 筑摩書房)

現在、青山の根津美で行われている‘北宋書画精華’(11/3~12/3)
に再度足を運んだ。お目当ては未見の‘猫図’。展示されるのは11/28
~30の3日。これまでまったく縁がなくこれを見逃したら二度とみれ
ないのはわかっているので、国宝‘桃鳩図’(12/1~3)よりもこちら
を選択した。図録を読むとこの猫図は水戸徳川家に伝来し、菱田春草や
岸田劉生も影響を受けており、春草の‘黒き猫’はこれを参考にして描か
れている。久しぶりに単眼鏡を使い猫の目や細い線による体毛の表現、
インパクトのある黒いしっぽをじっくりみた。そして、My好きな猫図
に即登録した。

もうひとつの収穫は仁和寺にある国宝‘孔雀明王像’と再会できたこと。
館内には前回同様、多くの中国人がいてこの傑作を熱心にみている。
威厳のある表情をした明王を乗せた孔雀はゴージャスな羽を目いっぱい
に広げ堂々とした姿をみせている。この安定感のある構図のとり方が心
をとらえて離さない。

この特別展で強く印象に残るのはモチーフとなった動物や鳥の共演。
今回の主役である李公麟の描いた五頭の馬、徽宗の班猫と明日から3日
間展示される胸が大きく膨らんだ鳩、そして、美しさの際立つ孔雀。
単独で登場しても観客の目を釘付けにするのに、みな一緒に飾られるの
だからたまらない。こんな滅多にない‘事件’に遭遇出来て幸せである。

後期(11/21~12/3)に出品された‘秋塘図’は2004年の‘南宋
絵画’(根津美)でみたのでさらっと流し、上の階にある展示室5に急い
だ。11/10に来たとき、どういうわけかこの部屋の展示に気づかず館
を出てしまった。そのリカバリーの目玉が大倉集古館蔵の国宝の‘古今
和歌集序(巻子本)’。見所はなんといっても和歌が書きこまれた色彩鮮
やかな唐紙とそこに描かれた装飾模様。息をのんでみていた。

この特別展がとりあげられた日曜美術館で日本のコレクターに北宋絵画
を指南した内藤湖南がでてきた。中国絵画のバイブルにしている‘支那絵
画史’をひっぱり出し李公麟の記述のところを読み返している。

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2023.11.22

お知らせ

拙ブログはしばらくお休みします。

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2023.11.21

麻布台ヒルズギャラリーで‘オラファー・エリアソン展’!

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   エリアソンの‘星くずの素粒子’(2014年 テート美)

最近、とても気になる展覧会チラシを美術館をまわっていて手に入れた。
それは11/24に開館する麻布台ヒルズギャラリーで開催される‘オラファー
・エリアソン展’(会期は来年3/31まで)。この作家にすぐ反応したの
は‘テート美術館展’(国立新美 7/12~10/2)に出品されたオブジェ
‘星くずの素粒子’に大変惹かれたから。

チラシによると麻布台ヒルズには街の文化発信拠点としてギャラリーが設け
られ、開館記念としてアイスランド系デンマーク人のエリアソン
(1967~)の回顧展が行われる。ここではインスタレーション、絵画、
彫刻など15作品が展示されるが、日本で一番高い高層ビルとなった麻布台
ヒルズ森JPタワー(330m)のオフィスロビーにはパブリックアート作品
としてらせん状の彫刻 ‘相互に繋がりあう瞬間が協和する周期’が吊り下げら
れる。

エリアソンのような現代アートのフロントランナーの作品が常時見れる場所
が東京に出現したことは刺激的なことである。今年はインバウンドが回復し、
美術館でも多くの外国人をみるようになった。たとえば、‘ホックニー展‘
(東京都現美)では入場者の半分くらいヨーロッパやアメリアからの観光客
という感じだったし、上野の森美の‘モネ展’にも大勢の外人がいた。日本は
美術大国で美術館では有名な西洋アーティストの展覧会が頻繁に開催されて
いることがだんだん認知されるようになり、美術館巡りを名所観光の選択肢
のひとつに加えるようになったのかもしれない。

こうした日本の展覧会シーンにおける新たな動きのなかで麻布台ヒルズギャ
ラリーが誕生した。まわりに外国人が多くいて海外の美術館で作品をみてい
るような気分になりそう。

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2023.11.20

農民画ベスト5!

Img_0003_20231120225901    ブリューゲルの‘干し草の収穫’(1565年頃 プラハ国立美)

Img_0001_20231120225901    ルーベンスの‘虹のある風景’(1636年 ウォレスコレクションン)

Img_0004_20231120225901    プッサンの‘夏’(1660~64年 ルーヴル美)

Img_0002_20231120225901    ミレーの‘晩鐘’(1857~59年 オルセー美)

Img_20231120225901    ゴッホの‘収穫’(1888年 ゴッホ美)

美術館で開かれる展覧会に足を運ぶ回数が多くなると、そのなかには後から
振り返ってみて日本で目にかかれたことがとてつもなく有難い展示だったな
と思うものがある。たとえば、1990年、はじめて日本で公開された
ブリューゲル(1525~1569)の油彩画‘干し草の収穫’。中央に描かれた仕事を終えて家に帰る3人の農婦たちの姿に大変魅了された。この絵をみて以降、ブリューゲルの農民画をウイーンの美術史美術館などでみる機会があったが、風景の描き方や人物描写の点でいい気分にさせてくれる絵ならこれが一番のポジションを長くキープしている。

ブリューゲルを敬愛していたルーベンス(1577~1640)の‘虹のある
風景’は‘干し草の収穫’に刺激されて描いたことは間違いない。ルーベンスの
スゴイところはこちらに向かってくる女たちや牛の背景に見事な虹を描いた
こと。虹がかかることで一層美しさをました広々とした自然が農村の生き
生きした光景をつつみこむ情景が心をとらえて離さない。ルーベンスのやさ
しい画風にほとほと感服させられる。

プッサン(1594~1665)の‘夏 別称「ルツとボアズ」’は題材から
すると宗教画になるが、農村で汗をかく人々の光景をこれほど実感させてく
れると宗教くささが消え画面のなかにすっと入っていける農民画になる。
2008年、メトロポリタン美で偶然遭遇した大プッサン展は一生の思い出
である。時間をつくって手に入れた英語版の図録をじっくり読むことにして
いる。

西洋絵画の名画セレクションに必ず入る絵としてすぐ思い浮ぶのがミレー(1814~1875)の‘晩鐘’。農民画として最初に記憶されるのがこの絵かもしれない。日本には山梨県美に‘種をまく人’があるから、ミレーとの相性がとてもいい。なかでも真摯に生きる農民の姿が胸に深く刻まれる‘晩鐘’は特別な農民画というイメージを持ちづつけている。ミレーに憧れたゴッホ(1853~1890)の‘収穫’をアムステルダムのゴッホ美で遭遇したときは立ち尽くしてみていた。この絵はまだ日本にやって来てない。次回ゴッホ美蔵の名画展があったら期待したい。

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2023.11.19

映画‘マルタイの女’の興味深いシーン!

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  映画‘マルタイの女’より

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  映画‘トパーズ’より

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  映画‘パリは燃えているか’より

ブックオフに足を運び以前観て気に入った映画のDVDを集め出したころ、
予想外に早く手に入ったのが伊丹十三監督の‘マルタイの女’(1997年)
。ほかの作品にも関心があり目にとまったら購入しようと思っていた。
コレクションをはじめて2ヶ月くらい経ったとき、もっともゲットした
かったあの大ヒット作‘マルサの女’がでてきた。値段は8900円。だか
ら、これはちょっと高すぎるなと思い、ひとまずパスと決め込んだ。
このころは名作映画の相場が一体どのくらいなのか、まったく情報がな
かったので、また遭遇するだろうから手ごろな価格のものを買おうとい
う作戦だった。

ところが、これが大きな間違い。あれから3年くらい経ったが、まった
く姿を現してくれない。‘マルサの女’のような一世を風靡したような映画
は市場にはめったにしかでてこないということを思い知らされた。伊丹
映画を軽く見すぎていたのが失敗の原因。悔やまれてならない。運よく
手に入った‘マルタイの女’も2本目に会わない。同じく‘タンポポ’にもぶ
ち当たらない。また運がめぐってくるまで粘り強く待つことにした。

刑事役の西村雅彦の演技に200%嵌っている‘マルタイの女’は終盤の
ところで興味深いシーンがでてくる。殺人事件を目撃した女優(宮本信子)
が証言台に立つことを阻止しようとするオカルト教団の一味が女優と不倫
関係にある経営者(津川雅彦)を脅そうと会社に押しかけてくる。取引
の話を一応聞いた津川雅彦はこう言う。‘君たちは映画をあまり観てないよ
うだね。こういう場面で脅されている方が引き出しに手をやったら何がで
てくるか、映画を観たら誰でも知っているはずだよ’。そして、拳銃を手に
とり前にいる男たちを次々と撃ち殺し、最後自分の頭を撃つ。

このセリフのなかにある‘映画を観たら誰でも知っているはずだよ’が理解で
きる映画にようやく遭遇した。この映画のことを伊丹監督はさしているの
だろうと勝手に確信している。ひとつはヒッチコック監督の‘トパーズ’
(1969年)、この場面はソ連のためにスパイ活動をしているフランス
の組織‘トパーズ’のNO.2が取材にやって来たジャーナリストと話をしてい
るときに机の引き出しを開けるところ。ふたつめはフランスのルネ・ク
レマン監督の‘パリは燃えているか’(1966年)。連合軍によってパリが
解放される直前、パリ占領軍司令官コルティッツ将軍の部屋にヒトラーの
親衛隊が乗り込んできて将軍にヒトラーが所望している品物(タペストリ
ー)を伝える。将軍はパリ爆破を命令するヒトラーに従わず無条件降伏を
きめているので親衛隊にびくびくしている。で、彼らがなにか言うと引き出
しをあける。緊張するシーンだった。

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2023.11.18

来年の展覧会情報!

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今年の展覧会めぐりは最終ゴールがもうすぐのところに来ているが、その先
の2024年の新たなスタートラインには特別展の情報がちらほら集まって
いる。12月は師走だから、諸行事であっという間にすぎていくので期待の
展覧会については心理的には近く感じられる。その話をいくつか。

☆‘印象派 モネからアメリカへーウスター美蔵’(1/27~4/7 東京都美)
☆‘鳥文斎栄之展’(1/6~3/3 千葉市美)
☆‘キース・へリング展’(12/9~2/25 森アーツセンターギャラリー)

アメリカのウスター美が所蔵する作品で構成される‘印象派 モネからアメリ
カ’は一枚のチラシがあるだけでそこに載っているモネの睡蓮とアメリカ印象
派のハッサムの絵以外はどんな作品がやってくるのかわからない。手元にあ
るアメリカの美術館地図で調べるとウスター美は同じマサチューセッツ州に
あるボストン美から西へ60kmくらいのところに位置している。これまで
この美術館がもっている作品には出くわしたことがない。モネの睡蓮はとて
も気になるから、開幕が楽しみである。

手に入れたばかりでホット々な情報なのが千葉市美で開催される‘鳥文斎栄之
展’。千葉市美の浮世絵師展は定評があり、いつもクリーンヒット。ええー、
あの鳥文斎栄之の美人画をどっと見せてくれるの、嬉しいねェー、という
感じ。好感度がまた上がりそう。
森アーツセンターギャラリーで来月からはじまるキース・へリング展は年内
に行くか年が明けてからにするかちょっと迷う。日本で回顧展が開かれるの
はひとつの‘事件‘みたいなものだから、ホックニー展のように大勢の外国人が
押し寄せるのは間違いないだろう。

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2023.11.17

西洋美で大キュビスム展!

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 ローランサンの‘アポリネールと友人たち’(1909年 ポンピドゥー)

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  レジェの‘婚礼’(1911~12年)

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  ドローネーの‘パリ市’(1910~12年)

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  クプカの‘色面の構成’(1910~1911年)

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   ピカソの‘輪を持つ少女’(1919年)

西洋美で開催中の‘キュビスム展 美の革命’(10/3~1/28)をみる
ため、先週に引き続き上野にでかけた。東博のやまと絵展同様、館内には制
服姿の中学生、中国人を含む外人観光客がここにもあそこにもいた。美術史
における形の革命、‘キュビスム’の美術をポンピドゥーセンターが所蔵する
絵画や抽象彫刻でどーんとお見せしましょう、という感じだから誰にとって
もエポック的な鑑賞体験となるのは間違いない。

お目当ての作品はやはりまだみてないもの。今年はマリー・ローランサン
(1883~1956)の当たり年でポンピドゥーにある‘アポリネール
とその友人たち(第2ヴァージョン)’との対面が叶った。どういうわけか、
パリでこの絵と会った実感がない。常時展示されてない絵なのかもしれない。
真ん中の男性が詩人のアポリネールでその隣にピカソが描かれている。恋人
のローランサンは右の水色のドレスを着た女性。人物とお馴染みの鹿はいろ
いろ曲がり具合を変えた円の装飾表現によって繋がっている。

日本初登場のレジェ(1881~1955)の‘婚礼’は一度お目にかかったこ
とがあるが、今回は長く絵の前にいて大きな画面のなかに一体何人いるのか
チェックした。何度も数えたが、気づいたのは10人。キュビスム様式で描
かれている顔なので‘アハ!ピクチャー’的なところがあり、言われるとそうか、
と顔の輪郭をとらえることができる。みてのお楽しみ!

ドローネー(1885~1941)の‘パリ市’は3人の裸婦の表現がキュビ
スム+マグリット流のシュルレアリスムとなっているのがおもしろい。マグ
リットの絵は‘白紙委任状’(ワシントン国立美)をみた人は同じことをイメー
ジするだろう。クプカ(1871~1957)の‘色面の構成’は背景の明るい
暖色(オレンジと黄色)が後退する暗い寒色(青と緑)で描かれた女性を前
に押し出している。この絵と同じくピカソ(1881~1973)の‘輪を持
つ少女’ははじめてお目にかかった。手元のピカソ本に載っていないので大き
な収穫だった。

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2023.11.16

国宝‘桃鳩図’ 根津美で12/1~3に展示!

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   徽宗の国宝‘桃鳩図’(北宋・1107年)

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   徽宗の‘猫図’(北宋・12世紀)

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   国宝‘孔雀明王像’(北宋・11世紀 仁和寺)

先週出かけた根津美の‘北宋書画精華’(11/3~12/3)に特別な中国
絵画が登場するので、その作品と展示期間をお伝えしたい。
☆国宝‘桃鳩図’   12/1~3
☆‘猫図’      11/28~11/30
☆国宝‘孔雀明王像’ 11/21~12/3

北宋展をみ終わったあと購入した図録をみてあっと驚いた。あの‘桃鳩図’が載
っている!ええー、どういうこと?手にもって展示室をまわったチラシにで
てないじゃない。それで出品リストをじっくりみてみると、会期の最後
12/1~3の3日間だけ展示されることになっている。今回の主役は李公麟
なので、徽宗はあまり目立たないように配慮したのかもしれない。

この‘桃鳩図‘にお目にかかったのは2014年の11月。三井記念美で開かれ
た‘東山御物展’に出品されてようやく思いの丈を叶えることができた。まさに
中国絵画で‘最高の瞬間!‘だった。2004年にあった‘南宋絵画ー才情雅致’
(根津美)にこの絵が出品されたが、展示期間がわずか5日と短かったため
広島から上京するタイミングがあわず展覧会はみたがこの絵とは縁がなかっ
た。残念な思いを長く引きずり、10年後ようやくリカバリーが実現した。
今回の展示はそれから9年経っている。

徽宗の絵はもう1点出品される。これも個人蔵の‘猫図’。展示は‘桃鳩図’の前の
3日間。まだみてない斑猫を優先したいところだが、桃鳩ももう一度見たい。
2014年にようやく本物に会えた‘孔雀明王像’(後期:11/21~12/3)
との組み合わせをどちらとするか、悩ましいことになった。

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