2009.11.16

インドの世界遺産を満喫! その一 添乗員なしでスタート

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A旅行会社の団体旅行ツアーを利用してインドの世界遺産めぐりをしてきた。しばらくインド体験記におつきあい下さい。

今回訪づれた世界遺産は次の13。
★デリー フマユーン廟
★デリー レッド・フォート
★デリー クトゥブミナール
★エレファンタ島石窟寺院
★ムンバイ チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅
★エローラ石窟寺院群
★アジャンタ石窟寺院群
★ビンベトカ
★サーンチー仏教遺跡群
★カジュラホ寺院群
★タージ・マハル
★アグラ城
★ファテープル・シクリ

出発日の集合時間は10時。成田の第2ターミナルビルに着き、団体カウンターで参加者の列に並んでいると、前のほうで係りの人が深刻な顔をして説明している。何があったのだろうかと不安になったが、なんと一緒にインドへ行くはずの担当添乗員が新型インフルエンザにかかり急遽同行できなくなったとのこと。アリャラー!これはまったく想定外。

代わりの人をあてるにしてもビザがすぐとれないので、現地に入るのは2日後だとういう。参加をとりやめるわけにはいかないので、参加に同意してエア・インディアで搭乗手続きをした。そのあと、もとのところに戻ると、ちょうどいい具合に日本に帰ってくるツアーがあり、この添乗員が現地で代わりを務めるという。これで一安心。

インドのデリーまでの所要時間は約9時間30分。日本に帰ってくるときは2時間短縮される。インドと日本の時差は3時間30分。インドのほうがこの時間だけ遅れている。

インド航空に乗るのは2度目。若い頃スイスのジュネーブに住んでいたとき、この航空会社を利用してムンバイ(当時はボンベイと呼んでいた)の地に足を踏み入れた。今から25年前のこと。そのときのスチュワーデスの対応がどうだった記憶にないから較べようがないが、久しぶりのインド航空はあまりよろしくない。

ここのスチュワーデスは笑うことがなく仏頂面、フレンドリーさが感じられない。ところが、食事サービスの配膳がおわって、一息つくときは仲間うちで楽しそうにしゃべっている。これはお客様志向の心の無い会社でよくあるパターン。インドへ往くときは国営の航空会社だから、サービスの悪さは仕方がないと思っていた。が、帰国するときには愛想のいい日本人スチュワーデスがいて、食事も日本食だった。カレーに飽きているからとの配慮だろうが、これで悪いイメージが少し消えた。

デリー空港に着き、ホテルへ向かうバスのなかで、現地のインド人添乗員Mr.Bさん(42歳)がインドのことをブリーフィングしてくれた。そのあと、参加者に‘一番見たいところはどこですか?’と一人々に聞いてまわった。こういう参加者のなかに積極的に入ってくる現地のガイドさんにははじめて出会った。そのやりとりで一気に気持ちがほぐれた。

われわれは‘エローラとアジャンタ’と答えたが、‘タージ・マハル’も多く、‘カジュラホ’という人もいる。Mr.Bさんはカジュラホと答えたシニアの夫婦に驚いて、‘カジュラホ!もっと若いときに来ればよかったね’と笑わせる。

バスに乗ったときには中に蚊が沢山おり、‘大変なところに来たな’と過剰反応。が、しばらく窓を開けるといなくなり、蘇ってきたインドの光景をじっと見ていた。2度目のインドは添乗員なしでスタートしたが、まずは無事に最初のホテルへ到着した。

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2009.11.03

お知らせ

拙ブログは11/15までお休みします。

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2009.11.02

出光美のユートピア展はまるごとハッピーランド!

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出光美で行われている‘ユートピア展ー描かれし夢と楽園’(10/31~12/20)は開幕前の気分としてはパスだった。ところが、ぐるっとパス券を買ったのとどこかの美術館で手に入れたチラシに予想もしていなかった絵が載っていた。しかも展示期間が限られている。それは上の海北友松作‘琴棋書画図屏風’(東博、10/31~11/15の展示)。

でも日比谷へかけた理由はカッコつき。この絵がみたかったというより、この絵の図版が欲しかったためなのである。というのも、2、3年前これと東博の平常展で遭遇し、その色の鮮やかさに200%魅了された。絵は色に遊べるときが一番楽しいので夢中になってみた。ところが、東博にはこの絵の絵葉書はつくってない。

で、そのときは感動を長く体のなかにとどめようと、ポンチ絵描きの唐美人と子供の衣装の色で印象深いものを書き入れていった。右隻(上の画像)では赤と橙色、子供の緑、左隻では梅の木に寄りかかっている女性のうす青と左端にいる子の橙色。当たり前のことだが、この絵が載っている図録がちゃっと用意されている。今回は図録が宝物のように思えてくる。

いつも書いているように展覧会へでかけるのは追っかけ作品を見るためだから、展覧会のテーマにはあまり関心がない。でも、今回の‘ユートピア’にはまるごと嵌り、すごくハッピーな気分になった。ユートピアというテーマはある意味では美術展としては定番だけれども、作品の見せ方がとても洗練されており、章立てと構成する絵画、やきものの取り合わせにこれを企画した人たちのセンスのよさがでている。流石、出光という感じ。そして、図録(2000円)が秀逸!いい本を手に入れたときと同じような嬉しさがある。

出光の企画力が高いレベルにあるのは他館の名品と自分のところの所蔵品をうまくミックスアップしているから。今回は三井記念美から‘日月松鶴図屏風’(重文、12/1~
20)、円山応挙の‘福禄寿・天保九如図’(10/31~11/29)を、東博から海北友松の絵、俵屋宗雪の代表作‘秋草図屏風’(重文、11/17~29、拙ブログ08/11/7)、狩野探幽の‘周茂叔林和靖図屏風’をもってきている。いずれもいいところに展示され目を楽しませてくれる。

真ん中は出光自慢の肉筆浮世絵‘美人鑑賞図’(06/12/8)。これを描いたのは肉筆美人画の名人、勝川春章。久しぶりにこのぞっこん惚れている絵を見た。女が身に着けている衣装の鮮やかな色と精緻な紋様に声が出ない。これと友松の絵は‘美人衆芳ー恋と雅’のところに展示されている。

‘描かれし蓬莱仙境界ー福寿と富貴’にはゆるキャラ系の絵がいくつもある。下は池大雅の‘寿老四季山水図・南極寿星図’。前日、MIHO MUSEUMで対面を楽しみにしていた大雅の‘蘇東坡孟嘉図屏風’(ファインバーグ・コレクション)を見たばかりだから、この愛くるしい丸ぽちゃ寿老人にも心が和む。また、このコーナーには富岡鉄斎のおもしろい絵がある。見てのお楽しみ!

1点買いのつもりだったが、2,3点みてすぐ‘楽しむぞ!’モードに切り替えた。もう大満足。

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2009.11.01

3回目の若冲ワンダーランド展!

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‘若冲ワンダーランド展’の4期(10/27~11/8)を見るため、再度MIHO MUSEUMまでクルマを走らせた。

この期の若冲作品は全部で34点、そのうち新規は17点。残りは1回目、ないしは2回目の訪問で見たもの。HPに載っていたスケジュールでは‘蔬菜図押絵貼屏風’が登場するはずだったが、これは12/1~12/13に変わっていた。

あらたに展示されたものでお気に入りは、
★花鳥版画・薔薇に鸚哥図:平木浮世絵財団(上の画像)
★雪中遊禽図:個人(真ん中)
★鯉図:個人(下)

6点ある花鳥版画のうち、今回は‘鸚哥(いんこ)図’と‘青桐に砂糖鳥図’の組み合わせ。中央で上にのびる樹木の向こう側からインコをとまらせ、腹と羽を二つに分断してみせる構成がとてもユニーク。

結局、最も見たかった‘雪竹に錦鶏図’とは会えなかったが、たばこと塩の博物館で開催される‘平木浮世絵コレクション展’(11/21~1/11)でリカバリーがあるかもしれない。そうなればご機嫌なのだが。

‘雪中遊禽図’はとても好きな絵だが、昨年の‘巨匠たちの対決展’(拙ブログ08/7/13)にも展示された。これとよく似た絵はほかに5点くらいある。
★雪中雄鶏図:細見美
★雪梅雄鶏図:京都・両足院
★雪芦鴛鴦図:プライス・コレクション
★雪中鴛鴦図:松岡美
★動植綵絵・雪中鴛鴦図:三の丸尚蔵館(06/8/18

このうち、細見と松岡のものはまだ縁がない。松岡のと動植綵絵では、鴛鴦の雌は頭を水のなかに突っ込んだままだが、今回展示の‘雪中遊禽図’とプライスさんのは水中の顔が描かれている。雪の描写で一番寒そうなのが動植綵絵。

若冲が描く鯉にもいろんなヴァリエーションがある。
★鯉図:東芸大美(7/8
★昇鯉図:相国寺(07/5/16

相国寺の絵は‘昇鯉図’となっているが、下の垂直度100%の鯉のほうが鯉の滝昇りのイメージに近い。東芸大のは口から水泡がでており、ユーモラス系。

4回目のMIHO通いは最終の6期(11/25~12/13)。とても見たいのが数点でるから、これにあわせて12月の上旬になりそう。最後のサプライズに期待したい。

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2009.10.30

大倉集古館の根来展

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大倉集古館では現在、‘根来展’(10/3~12/13)が行われている。ものすごく見たい展覧会ではないが、急遽‘ぐるっとパス券’を買うことになったのと、入手したチラシにこの展覧会が根来研究の第一人者である河田貞氏の監修によるもので、中世期につくられた根来の優品を集めているとあったので、寄ってみた。

これまでも朱が目に飛び込んでくる根来塗を見る機会はあった。だが、魅せられるところまでには至ってない。だから、目の前にある沢山の神饌具、仏具、僧侶たちが使う器などは見る人が見れば相当いいものだろうが、なにせこれまでの鑑賞がアバウトだから、皆同じ朱漆に見えてくる。で、折角の機会だからじっくりみてみた。

すると、見るからに保存状態が良く、なんだかこれまで体験したものとはちょっと質が違う感じがしてきた。上の平安時代後期につくられた‘足付盤’は神前に供物を供える台。福井県の大滝神社に伝来したもの。これほど朱色が美しいものは見たことがない。

根来塗の中で最も惹かれるのは真ん中の‘瓶子’(室町時代)。瓶子は神前に供える酒を容れるための器。胴の上部が大きく膨らみ下部が細くなるS字カーブのフォルムはとても美しく、見てて飽きない。繰り返して使用したために朱塗りは擦り減り、下塗りの黒漆が現れており、枯淡の趣を感じさせる。

下はチラシに使われている‘練行衆盤’(鎌倉時代、1298年、北村美)。これは東大寺二月堂の修二会(お水取り)で食事に使用した盤。形から‘日の丸盆’と称され、茶道では珍重され‘根来の中の根来’、最高の根来として有名なものらしい。

ほかで足がとまったのは、家で使いたくなるようなすばらしい‘湯桶’(室町時代)や形のいい‘六角盆’(室町)や白洲正子が所蔵していたという‘楓文漆絵大鉢’(室町)。とくに‘楓文大鉢’を釘付けになってみた。根来塗というと紋様はなく、朱一色というイメージなのだが、これは黒漆塗の外側から内側の全面に楓の木を朱漆描きしている。

5年前、和歌山をクルマで旅行し、根来寺を訪れた。そのとき根来衆の鉄砲のことに詳しくなったが、もうひとつ有名な根来塗の日用雑器については関心が薄かった。これで、良質の根来塗に少し目が慣れた。これからは朱漆に敏感に反応するかもしれない。

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2009.10.29

唐物肩衝茶入の名品 銘油屋に200%しびれた!

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5年前から定期的に訪問している畠山記念館に来るのはあと数回くらいになりそう。館の図録に載っている絵画ややきものの名品で見たいのは残すところ3点。

その1点が今回の‘戦国武将と茶の湯展’(10/10~12/20)に展示されている‘唐物肩衝茶入 銘油屋’(上の画像)。これを見たくて足を運んだ。

茶入に開眼したのは2年前の‘大徳川展’(東博)。ここに出品されていた唐物肩衝茶入‘銘 初花’(重文)と‘銘 新田’(重美、ともに徳川美)との出会いは衝撃的だった。茶入はこれまでも結構見ているが、このときほど小さな茶入の形に魅せられ、‘こげ茶色の美’に強く感動したことはない。

以来、畠山記念館の‘銘油屋’(重文)との対面をひたすら待っていた。これがつくられたのは南宋時代(13世紀)。釉のなだれがいく筋もあり、重みと気品を感じさせる景色に声を失った。‘初花’同様、心を揺すぶる茶入である。もとは堺の町衆油屋常言と息子がもっていたが、油屋は豊臣秀吉に献上している。

茶入の名品ビッグファイブは‘初花’、‘油屋’、‘新田’、‘松屋’、‘北野’。まだ見てない根津美蔵の‘松屋’(重文)は新館記念特別展の第2弾、‘根津青山の茶の湯’
(11/18~12/23)で見られそうな予感がする。‘北野’(重文、三井記念美)はすでに鑑賞済みだから、今年中に茶入は済みマーク付きとなるかも。

1点買いの作品にお目にかかれたので、あとは32点をさらっと見た。真ん中は秋の季節にぴったりの本阿弥光悦書&俵屋宗達下絵の‘金銀泥薄下絵古今和歌巻’(江戸時代・17世紀)。風に揺れる細い薄がとても美しい。

チラシで気になっていたのが下の‘梅に山鳥図屏風’(部分、江戸時代・17世紀)。山鳥のまわりの画面構成に魅せられる。ダイナミックに曲がる太い幹から梅の咲く枝が下にのび、それと向かい合うように胸の赤が目を惹く山鳥が岩にとまっている。一瞬、京都の大仙院にある狩野元信の装飾的な水墨画‘四季花鳥図’(4/24)が頭をよぎった。

11/21~12/6に牧谿の国宝‘煙寺晩鐘図’(南宋時代・13世紀、拙ブログ06/11/2)が登場する。この絵は展示の機会が極めて少ない。3年前やっと遭遇したのに、またでてきたから、この先10年くらいは出ないと思ったほうがいい。牧谿が好きな方はどうかお見逃しなく。

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2009.10.28

フェルメールの‘真珠の耳飾りの少女’が来年7月にやってくる!

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今日の朝、ビッグニュースがとびこんできた。朝日新聞の記事によると、フェルメールの傑作‘真珠の耳飾りの少女’が来年7月に再度日本にやってくる。これを所蔵するオランダのマウリッツハイス美(ハーグ)の名品展として東京と神戸で7月から12月まで公開されるという。これはすごいことになった。

美術館名と具体的な日程については発表されてないが、東京は西洋美か国立新美のどちらかで、神戸は兵庫県美ではなかろうか。それにしても、フェルメールの代表作が頻繁にやってくる。フェルメール愛好家にとって、わが国における西洋画の展覧会シーンはまったくすばらしく、そして有難い。日本は本当に美術大国!

で、これまで国内で体験したフェルメール作品をレヴューしてみた。

‘フェルメールとその時代展’(00年4月、大阪市立美)
★聖プラクセディス : バーバラ・ピアセッカ・ジョンソン・コレクション
★リュートを調弦する女 : メトロポリタン
★天秤を持つ女 : ワシントン・ナショナル・ギャラリー(拙ブログ08/4/13
★真珠の耳飾りの少女 : マウリッツハイス(上の画像)
★地理学者 : シュテーデル美

‘栄光のオランダ・フランドル絵画展’(04年4月、東京都美)
★絵画芸術の寓意 : ウィーン美術史美(真ん中)

‘ドレスデン国立美展’(05年7月、西洋美)
★窓辺で手紙を読む女(下)

‘オランダ風俗画展’(07年9月、国立新美)
★牛乳を注ぐ女 : アムステルダム国立美(07/10/6

‘フェルメール展’(08年8月、東京都美)
★マリアとマリアの家のキリスト : スコットランド・ナショナル・ギャラリー(08/8/6
★ディアナとニンフたち : マウリッツハイス
★小路 : アムステルダム国立美
★ワイングラスを持つ娘 : アントン・ウルリッヒ美(08/8/6)
★リュートを調弦する女 : メトロポリタン
★ヴァージナルの前に座る若い女 : 個人蔵
★手紙を書く婦人と召使い : アイルランド・ナショナル・ギャラリー(08/8/6)

‘ルーヴル美展’(09年2月、西洋美)
★レースを編む女(3/12

日本で鑑賞したフェルメールの絵は以上の16点。確か、もう一点、アムステルダム国立美蔵の‘恋文’もやってきたように記憶しているが、これは見ていない。

この調子だと、大好きな‘デルフトの眺望’(マウリッツハイス、05/4/17)とか追っかけ作品の‘真珠の首飾りの女’(ベルリン国立美、1/8)もひょっとして日本で対面できるかもしれない? 期待したいが‘デルフトの眺望’はやはり無理か。

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2009.10.27

静嘉堂文庫の水墨画展 パートⅡ

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静嘉堂文庫で開幕した‘水墨画展 パートⅡ’(10/24~12/20)を見た。半年前お目にかかった式部輝忠の‘四季山水図屏風’(拙ブログ4/25)の余韻がまだ残っているので、パートⅡ‘山水・人物・花鳥’にも期待がふくらむ。

前期(10/24~11/23)に展示される31点は2点を除いて、後期(11/26~12/20)の28点と全部入れ替わる。ここの入館料は800円だが、こうしたスッキリ展示だと満足感がある。

今回のお目当ては伝周文の‘四季山水図屏風’(重文、上の画像)。この絵をはじめて見たのは02年にあった‘雪舟展’(京博)。7年ぶりの対面となった。四季の情景といっても、大和絵のように桜や楓、鶯などの鳥がでてくるわけでもないから、中国画に慣れないとすぐには春夏秋冬の移り変わりはわからない。

画像は左隻で、手前中央には驢馬にのった旅人がみえる。そこから目を上にやると家々があり、門の前で騎驢の男が同じように左のほうへ進んでいる。枝振りのいい木のフォルムが画面を引き締めており、右端の飛翔する雁、水面の舟、木々の向こうに広がる雪と四季を感じさせるモティーフは揃っている。

真ん中の明時代(14世紀)に描かれた‘竹林山水図’(重文)は最も日本人の琴線に触れる水墨画かもしれない。余白がたっぷりとられ、細い竹があまり多くなくさらっと描かれているところがなんともいい。日本人の絵では室町時代の作品‘蜀山図’(重文)にもすっと入っていける。余白があり、遠くにかすむ険峻な峰々がバランスよく配置され、幽玄的な世界を見ているよう。

収穫のひとつは下の‘十王図’(重美、元時代後期・14世紀)。画面下の罪人たちが首に板をはめられて、鏡を見せられ犯した悪行を見せ付けられるのは見慣れた場面だが、びっくりするのは真ん中にでんと座っている十王の体の大きさ。周りにいるものに較べると異常にデカイ。

こういうガリバー級の王とははじめて対面した。そして、デカイわりには顔はそれほど怖くない。でも、最後の審判では‘地獄の一丁目一番地へ行ってもらうからな!’と声を低くして言うのであろう。人物画では三幅対の‘観音・蝦蟇・鉄拐図’や明兆の‘雪中文殊図’にも足がとまった。

家に帰って出品リストをおさらいしていて大事な絵を見てなかったことに気づいた。それは雪村の‘柳鷺図’。リストには載っているが展示してあった?大きな部屋ではないから、順番にみていて見逃すはずはないのだけれど。

この絵は追っかけ作品のひとつで、memeさんの記事を見てとても喜んでいたのに、会場ではてっきり忘れていた。リカバリーするつもりだが、その前に展示されていたか美術館に聞いてみようと思う。展示されていたら、トホホである。

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2009.10.26

東博平常展の名画! 与謝蕪村・岩佐又兵衛・渡辺崋山

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2度目の‘皇室の名宝展1期’(10/6~11/3)を見たあと、本館の平常展に寄った。この度は他の展覧会をいくつも回ったので2階の書画(10/6~11/15)と浮世絵
(10/6~11/1)のコーナーに展示してある作品だけをみた。書画10点のなかにいい絵があったので紹介したい。

★与謝蕪村の‘山野行楽図屏風’(上の画像)
★岩佐又兵衛の‘本性房怪力図’(真ん中)
★渡辺崋山の‘佐藤一斎(五十歳)像’(下)

蕪村(1716~1783)のこの絵(重文)は2年前くらいにでたような気がする。とてものんびりした絵。上は左隻で、右隻には男を乗せた3頭の馬がちょうど坂道にさしかかるところが描かれている。最後尾の男のすぐ近くに三日月がみえる。月がこれほど低い位置にあると、山道とそこまでの距離は相当あることになるのだが、こういう絵はそんなことは気にしないでアバウトに楽しむのがいい。

左の場面では4人の文人と従者の童子6人は左から斜め上にむかって進んでいる。文士は皆酔っ払っているのか自分ではまともに歩けない様子で、おぶってもらったり、背中を押してもらったり、また肩を担いでもらったりしている。ここでは山々の線描はさらっとしており、親しみを覚える人物が主役。気楽に見ているつもりでも、惹きこまれる。

‘本性房怪力図’は色が薄いのでちょっと見づらいところがあるが、漫画をみているようでおもしろい。はじめて見たのは04年の岩佐又兵衛(1578~1650)の回顧展(千葉市美)。視線は左上で大きな石を頭上に持ち上げ、下にいる敵軍に投げつけようとしている坊さん(本性房)に集中する。この坊さん、とにかく怪力なのだ。

敵方の兵士(六波羅軍)が石の下敷きになり悲鳴を上げているのに対し、坊さんの向こう側では味方の兵士たち(宮軍)がこれをニヤニヤ笑いながら見ている。‘あの坊主、ものすごい怪力だな!これは頼もしい。お陰でわが軍の勝利は間違いなしだな。お酒でも飲みにいこうか、まだ早い?’合戦絵で笑っている人物はみたことがないので、夢中になってみた。

‘佐藤一斎’(重文)は二つの絵とは対照的にぐっとシリアスな肖像画。渡辺崋山
(1793~1841)というとすぐ思い浮かべるのは国宝‘鷹見泉石像’(拙ブログ07/9/3)とこの絵。そして、儒学者、佐藤一斎(1772~1859)の顔を見ると条件反射的に片岡鶴太郎の顔が出てくる。見れば見るほど二人はよく似ている。鶴太郎も絵描きだから、まわりから一斎のことを言われているに違いない。

崋山の肖像画でもうひとつ是非見たいのは顔の横にこぶがでている‘市河米庵像’(重文、京博)。また、静嘉堂文庫にある魚図鑑タイプの絵‘遊魚図’(重文)にもいつかお目にかかりたい。

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2009.10.25

今、高橋誠一郎浮世絵コレクションに夢中!

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現在、三井記念美で開催中の‘高橋誠一郎浮世絵コレクション名品展’中期(10/14~11/1)を楽しんだ。作品は前期(拙ブログ9/19)とは全部入れ替わり102点でている。数の多いのが春信(9点)、歌麿(9点)、北斎(16点)、広重(17点)。

目に力が入るのはやはり春信。前期に展示されたもの同様、摺りの状態がとてもよく、心が弾む。極上の浮世絵を見る機会はボストン美やギメ美、ベルギー王立美からの里帰り作品だけではなかった。日本にもあるところにはある。

Myカラーが緑&黄色だから、上の‘子供の相撲’は敏感に反応する。これは回顧展で見たが、遊女が鶴に乗って文を読んでいる‘鶴上の遊女’は初見。もうすぐやってくる冬の光景を描いたものは‘雪転がし’と‘風俗四季哥仙 庭の雪’。春信も広重と同じく雪を描くのが上手い。

今回の収穫は合戦絵2点。奥村政信の‘義仲最期’と真ん中の歌川国芳の‘宇田川合戦之図’。ともにはじめて見る絵で構図にとても魅せられた。奥村政信のような準ビッグネーム絵師の絵は東博の平常展でよく見るが、足をとめて見るのはあまりない。

これが海外からの里帰りした絵だと、政信でも北尾重政でも鳥居清倍でも、‘こんないい絵があったのか!’とひっくり返るくらいのサプライズがある。高橋コレクションの奥村政信をみてると、里帰り展のような気になる。それだけ質が高いということである。

国芳の絵は思わず‘ウワッー、これはすごい!’とつぶやいてしまった。馬が海を泳いで渡るのを実際にみたことはなく、映像で知るだけだが、この絵により宇田川の合戦のイメージがふくらんでいく。国芳は武者絵の名手、合戦の場面を広くみせ、暗い色調で緊迫感がストレートに伝わってくる馬と武士を見事に描いている。

広重はお馴染みの‘東海道五十三次’からは下の‘岡部 宇津之山’や‘藤沢 遊行寺’など8点がでている。‘岡部 宇津之山’で目を惹くのは緩くカーブしている坂道と川の両サイドの崖がV字のようになっているところ。道はちょうど中央あたりで上りが終わり、その向こうは下りになっている。ぱっとみると平面的な画面なのだが、広重は道や崖のフォルムに変化をつけることにより奥行きのある空間にしている。

北斎の絵で釘付けになってみたのは‘柳の糸’。浜の浪うち際の情景だから、あんな大げさな波頭はありえないが、絵のなかに見せ所を意図的につくるのが北斎流。

この展覧会はもう一回楽しみがある。後期(11/3~11/23)にも期待したい。

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