2019.12.04

美術館に乾杯! 奈良国立博物館 その二

Img_0001_20191204221501       国宝‘刺繍釈迦如来説法図’(唐時代 8世紀)

 

Img_20191204221601         ‘普賢菩薩像’(重文 平安時代 12世紀)

 

Img_0002_20191204221601         周文の国宝‘山水図’(1445年)

 

Img_0003_20191204221601        ‘力士立像’(重文 奈良時代 8世紀)

 

刺繍で描かれた仏画をみる機会は数少ないため、‘刺繍釈迦如来説法図’はすご
いものをみたという思いが強い。制作が完了するまでどれだけの時間と労力
がかかったことか。菩薩や弟子たちに囲まれた中央の朱衣の釈迦如来をみる
と、その強烈な赤に刺激されてエル・グレコの傑作‘聖衣剥奪’が目の前を
よぎる。

いろんなヴァリエーションがある‘普賢菩薩像’。その違いが生まれるのは普賢
菩薩が乗る白い象の描き方が変わっているから。ボリュームのある象が一頭
だけ描かれているのは東博のものと同じだが、こちらの象のほうがだいぶ
大きいので綺麗な顔で描かれている普賢菩薩が食われてしまいかねない。

如拙と周文は室町時代に水墨画を描いた絵師としては突出した存在だった。
ともに相国寺の禅僧で同時代の絵師たちに大きな影響を与えた。‘山水図’は
余白を多くとり全体に靄がかかったような光景に形のいい枝ぶりをもつ松や
書斎、葦辺の舟がさらさらと描かれている。周文の作品は少ないので、この
絵に遭遇するのは貴重な体験である。

絵でも彫刻でも一度みたら忘れないものがある。‘力士立像’もそのひとつ。
視線が向かうのが顔のえらがはったようにみえる顎ひげ。また口のまわりの
立派な髭と太い眉毛も目に焼きつく。そのひょうきんな表情からはエネルギ
ッシュな動きが持ち味の力士のイメージが湧いてこない。いっそのこと
ゆるキャラをかかえる芸能事務所に登録しておくのがいいかもしれない。

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2019.12.03

美術館に乾杯! 奈良国立博物館 その一

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       奈良国立博物館本館

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       国宝‘十一面観音像’(平安時代 12世紀)

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      国宝‘薬師如来坐像’(平安時代 9世紀前半)

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    国宝‘地獄草紙 鉄磑所’(平安時代 12世紀)

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    国宝‘辟邪絵 天刑星’(平安時代 12世紀)

奈良にでかけるときは京都とセットのことが多い。まず京都でひとつか二つ
美術館をみてそのあと近鉄特急に乗りこむ。奈良駅には1時間ちょっとで着く
ので非常に樂。奈良国立博物館はここからは15分も歩くとみえてくる。
立派な建物の本館とその後ろに新館がある。お目当ての企画展は新館の2階
で行われる。そして、時間に余裕があるときは地下道を通って本館に移動し
平常展示されている仏像などを楽しむ。

東博で仏画というとすぐ白象に乗った‘普賢菩薩像’を思い浮かべるように、
‘十一面観音像’は奈良博のお宝を象徴するような作品。この観音さまは体を
少し斜めにしているが、これは頭にのっけてる十一面がぐるっとまわり立体
感をだしているのでこれをさらに印象づけるために演出したのであろう。
200%感動する仏画である。

9世紀前半につくられた‘薬師如来坐像’は国宝展が開催されるときの定番の
仏像。とても重厚感のある薬師如来像でふっくらしたお顔をじっとみてしま
う。意志の強そうな鼻と厚い唇、そして粒粒の突起物になっている螺髪が強
く目に焼きつけられる。まさにこれぞ仏像!という感じ。

美術本で強烈なインパクトを放つ絵に出会うと、本物をいつか見なくては思
う。そんな気にさせる作品がここには2つある‘地獄草紙’と‘辟邪絵’。
地獄草紙と餓鬼草紙は東博にも京博にもあるが、奈良博にあるこの2点がもっ
ともおもしろくゾクゾクさせる。地獄草紙の場面で目が点になるのが‘人間
ミンチ’、罪人が摺臼(すりうす)に頭から放り込まれ下からでてくるミンチ
肉にされている。これは究極の責苦、悪行を重ねたとはいえミンチにされて
はたまらない。

五幅ある‘辟邪絵’のなかでとてつもないパワーと怖さを感じるのが悪い鬼を
懲らしめる天刑星。忿怒の形相をしてでトウモロコシを食べるよう鬼を酢に
つけて食いちぎっている。よくみると手は4本、これなら効率よく悪さをす
る鬼をやっつけられる。長くみていると夢に出てきそうなのでそこそこで絵
から離れることにしている。

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2019.12.02

美術館に乾杯! 無量寺・串本応挙芦雪館

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      長澤芦雪の‘虎図’(重文 1786年)

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      長澤芦雪の‘龍図’(重文 1786年)

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      長澤芦雪の‘唐子琴棋書画図’(重文 部分 1786年)

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      円山応挙の‘波上群仙図’(重文 1786年)

和歌山の串本は潮岬がある本土最南端の街。ここの無量寺のなかにつくら
れた串本応挙芦雪館を2004年に訪問した。お目当ては長澤芦雪(1754
~1799)の‘龍虎図’。絵画好きだからどんなところにも足を運ぶ。建前
的にはそうだが、交通アクセスのことを考えると和歌山まで出かけるにはな
かなか踏ん切りがつかない。

ところがいい機会がめぐって来た。広島での勤務を終え横浜にクルマで帰還
することになったが、この際だから走行ルートを途中から南のほうへ向け
徳島の鳴門の渦潮と串本の芦雪の虎をみることになった。大遠征である。

無量寺の本堂が1786年に完成したのを機に障壁画が飾られた。描いたの
は長澤芦雪と師匠の円山応挙(1733~1795)。京都から派遣された
芦雪は‘龍虎図’、‘唐子琴棋書画図’、‘薔薇に鶏・猫図’を描き、応挙は現地に
は出向かず‘波上群仙図’を芦雪に託した。

‘龍図’はほかにも同じ描き方のものをみているのでさらっとみてしまうのに
対して、‘虎図’のほうはじっくりながめてしまう。おもしろいのはこの虎は
胴体は曲がっているが顔は正面向きになっていること。そして、この顔が
あまり怖くない。狩野山楽の虎のような獰猛さはまったく感じられず、
まるで大型の猫と対面しているよう。こんな愛嬌のある虎ならこちらもリラ
ックスして楽しめる。

子どもが絵描きの真っ最中のところを描いた‘琴棋書画図’は思わず口元が
緩む。絵の板を二人の子どもがしっかり支えている姿が微笑ましい。筆を
走らせている子ども絵師が仕上げようとしているのは木の枝にとまった烏。
なかなか気合が入っている。

応挙の‘波上群仙図’に登場するのは鯉に乗る琴高仙人と杖をつく鉄拐仙人。
二人とも中国画によくでてくる人物だが、波の上に描かれるのは珍しい。
応挙の頭のなかは相当シュール気分が宿っている。

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2019.12.01

美術館に乾杯! 国立国際美術館

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    ミロの‘無垢の笑い’(1970年)

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      デュシャンの‘L.H.O.O.Q’(1919/1964年)

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      デ・クーニングの‘水’(1970年)

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      堂本尚郎の‘連鎖反応ー緑・赤’(1983年)

大阪の国立国際美術館へ行ったのは2010年にここでルノワール展が開か
れたとき。国立新美で一度みているのにわざわざ出かけたのはスイス・チュ
ーリヒにあるE.Gビュールㇾ・コレクションが所蔵する‘可愛いイレーヌ’をみ
たかったから。この愛らしい少女の日本での公開はもうないと思っていたら、
昨年またやって来た。おかげでもう一度金髪の描写に酔いしれた。

展示されているミロ(1893~1983)の大壁画‘無垢の笑い’(縦5m、
横12m)は1970年の大阪万国博覧会のガス館のために制作されたもの。
ミロのこんなすばらしい作品が日本に存在することはミロの大ファンとして
は嬉しいかぎり。ミロはシュルレアリストのビッグネーム、だから大回顧展
を強く願っているがまだ実現しない。でも、諦めていない。船の帆を高く掲
げいい風が吹いてくれるのをじっと待つ心境。

デュシャン(1887~1968)は突拍子もないことを思いつく。ダ・ヴ
ィンチの‘モナリザ’に悪ふざけで口ひげと顎ひげを描き、これはアートだよ、
とうそぶく。子どもはきっと‘これがアートなら僕だって描けるよ’と言うにち
がいない。いや、多くの大人だってそう思う。アートの可能性を新たに作り
出すのはひとにぎりの天才と頭ではわかっていても感性はついていけない。

デ・クーニング(1904~1997)の抽象画が楽しくみられるのは色彩
の筆触が生き生きしているから。青や黄色をベースにしたフォルムの構成は
具体的なイメージが固定することはないが、水といわれればそうかなとも感
じられる。画面に曖昧さが漂っていても色彩に力があるのでイメージをいろ
いろと膨らまして遊べるのがこの絵の魅力。

2013年に亡くなった堂本尚郎(1928年生まれ)とは世田谷であった
回顧展でちょっと話したことがある。大画家はちょうどそのころモネの睡蓮
を意識した作品を発表していた。‘モネがお好きなんですね’というとニヤッと
された。‘連鎖反応―緑・赤’は出品作の一枚。緑と赤で彩色された美しい文様
の重なりによって生み出される軽やかな運動のリズムが目に心地いい。

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2019.11.30

摺りのいい写楽が続々!

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  東洲斎写楽の‘3代目大谷鬼次の江戸兵衛’(1794年 ベルギー王立美歴博)

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   葛飾北斎の‘雪月花 隅田’(1833~44年 江戸東博)

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  歌川広重の‘和漢朗詠集 月に雁’(1830~44年 ミネアポリス美)

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           歌川国芳の‘双龍’(1831~32年)

東洲斎写楽の摺りのいい大首絵がみられる浮世絵展に遭遇するのは10年に
一度くらいのこと。今回は2011年に東博で開かれた写楽展と同じように
浮世絵のコレクションで有名な海外の美術館からたくさん里帰りしている。
お気に入りの悪党、‘江戸兵衛’はベルギー王立美歴博とシカゴ美から出品さ
れている。ワルの怖さを200%みせつけるため写楽は目をつりあげ指を大
きく広げた手を描いた。この手がいつもイモリの足を連想させる。

葛飾北斎(1760~1849)と歌川広重(1797~1861)は定番
の‘富嶽三十六景’と‘東海道五捨三次’が軸となるラインナップ。まだみてない
ものがあるか目をこらしてみたが、数点にとどまった。そのためこのコーナ
ーでは進むスピードを早めたが、今の時分北斎の‘雪月花 墨田’に思わず足
がとまった。この冬、何度雪景色がみられるだろうか。

広重の‘月に雁’はミネアポリス美蔵の2点が並んでいる。見慣れているのは
絵だけの‘月に雁’だが、和漢朗詠集の漢詩が上に書かれているほうはこれまで
みたかはあやふや。2枚は雁の群れが大きな月を背景にして飛んでいるところ
は同じ。違いをさがすと、漢詩つきは雁の影が下の水面に描かれている。雁
が飛んでいく姿が影となって映る表現に心が揺れる。

歌川国芳の人気がどんどん高まっていく感じ。人気の秘密は画題の多さと
戯画チックな人物描写が圧倒的な存在感を感じさせることかもしれない。
今回‘大江山酒呑童子’や‘川中嶋合戦’だけでなく二匹の龍の睨みあいが刺激的
だった。これはたぶんはじめてお目にかかったもの。一見すると迫力のある
龍だが、よくみるとユーモラスでとぼけた味をだしている。

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2019.11.29

大浮世絵展 パート2!

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  喜多川歌麿の‘歌撰恋之部 あらはるる恋’(1792~93年 シカゴ美)

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  歌麿の‘婦女人相十品 煙草の煙を吹く女’(1793~94年 シカゴ美)

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  歌麿の‘千代鶴おりせ’(1794~95年 ベルギー王立美歴博)

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   歌麿の‘武蔵野’(1798~99年 ボストン美)

江戸東博で11/19からはじまった‘大浮世絵展’(来年1/19まで)をみ
てきた。5年前同様大規模な浮世絵展で今回は人気の高い歌麿、写楽、
北斎、広重、国芳の5人にスポットを当てている。色の摺りの状態がほれぼ
れするほどいい里帰りのものを含めて作品数は会期中全部で366点。一回
の出動では済みそうにない質、数ともに一級の浮世絵展である。

西洋絵画ならルノワールやマネの女性画に心がときめくように喜多川歌麿
(1753~1806)の美人画には特別の思い入れがある。会場に入って
すぐスゴイ歌麿が集結していることがわかったので、鑑賞の集中度を10の
レベルに引き上げた。出品作はどの絵師についても多くは前期(11/19
~12/15)と後期(12/17~1/19)に分けられて展示される。
これほどいい摺りの歌麿がでていたら(全部で64点)まだみてないもの
があれば見逃すわけにはいかない。歌麿の美人画ワールドを存分に楽しむぞ
、という気になった。

初見で一番ぐっときたのが‘婦女人相十品 煙草の煙を吹く女’。画像ではわ
からないが実際の絵では女が吹きだした煙が空摺りで表現されている。すぐ
形が消えていく煙草の煙を女の色香がほんのりでてくる小道具のように使
うところが歌麿の豊かな感性のなせる技。

‘歌撰恋之部 あらはるる恋’は女性の髪や肌の匂いがもろに感じられそうな
絵。画面いっぱいに顔をどアップでみせられると黙っていてもこちらの体も
最接近してしまう。櫛がしっかり髪にささってなくなんだかドタバタしてい
る様子。心の乱れが透けてみえるのでここはすっと離れたほうがいいかも
しれない。

人物の影を描くことで料理茶屋における座敷遊びの楽しさを浮かび上がらせ
ている‘千代鶴おりせ’にも思わず足がとまる。これをみていると広重の‘名所
江戸百景 月の岬’の障子に映る遊女の影が思い起こされる。遊びの世界の
悲哀をこういう風に影で演出する浮世絵が西洋の人たちをドキッとさせたの
は容易に想像できる。

3枚続の‘武蔵野’で目が点になったのは雲母摺りの使われた背景の大きな月。
近未来に計画されている月への宇宙旅行で体験できるような光景がこの絵に
重なってくる。武蔵野の広い空間でくりひろげられる若い侍の捜索劇をこの
月は一部始終みている。

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2019.11.27

美術館に乾杯! 藤田美術館 その三

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     菱川師宣の‘大江山酒呑童子絵巻’(1692年)

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        円山応挙の‘蔦鴨図’(1766年)

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    長澤芦雪の‘幽霊・髑髏仔犬・白蔵主三福対’(18世紀)

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    竹内栖鳳の‘大獅子図’(1902年)

藤田美にある絵画は人気の高い‘紫式部日記絵詞’をはじめ江戸絵画や明治以
降の竹内栖鳳など幅広く作品を揃えている。菱川師宣(?~1694)のお
馴染みの画題‘大江山酒呑童子絵巻’で目が点になったのは源頼光らに刎ねられ
た酒呑童子の首が武将に襲いかかっているところ。あの‘見返り美人’の師宣
がこんなに激しかったとは。

円山応挙(1733~1795)の‘蔦鴨図’は待望の一枚。サントリ―美で
開かれた藤田美術館名品展(2015年)では絵の前に長くいた。波濤の荒
々しさと鴨の強く羽ばたく様がシンクロし画面に緊張感が走っている。絵の
存在を知ってからいつかこの目でと思っていたが、ようやくお目にかかれ
た。

長澤芦雪(1754~1799)の絵はちょっと不気味。真ん中が幽霊で
右は髑髏と仔犬の組み合わせ。そして、左は狐のような老女。芦雪も応挙の
影響で幽霊を描いたが、意表をついて幽霊と髑髏を一緒に描くところが
蘆雪流。

竹内栖鳳(1864~1942)のライオンの絵はまさに動物園にいるライ
オンそのもの。毛一本々までリアルの表現する栖鳳の圧倒的な画力は半端で
はない。動物好きな栖鳳ならではの作品である。

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2019.11.26

美術館に乾杯! 藤田美術館 その二

Img_0001_20191126224701      国宝‘紫式部日記絵巻’(13世紀前半)

 

Img_0003_20191126224701         国宝‘柴門新月図’(1405年)

 

Img_0002_20191126224701      国宝‘玄奘三蔵絵’(14世紀)

 

Img_20191126224701        国宝‘両部大経感得図’(1136年)

 

藤田美にある‘紫式部日記絵巻’に登場する藤原道長の顔の描き方をみると2日
前に終了した‘佐竹本三十六歌仙絵展’(京都博)に出品された歌仙絵がオーバ
ーラップする。ともに鎌倉時代の初めごろに描かれているので平安時代の
‘源氏物語絵巻’とくらべると現実感覚をだす人物表現が生まれている。この絵
で視線が真っ先に向かうのが左の舟の舳先が竜の頭になっている楽舟。雅楽
を演出する舟にワクワクする。

縦長の掛け軸に描かれた水墨画には数多くの賛が書かれ、絵の部分が全体の
半分以下のものに出くわすことがある。‘柴門新月図’もそのひとつ。ここに
書かれている詩は皆愛する友人のためのもの。絵の題材となったのは杜甫の詩
の一場面で門前に親しい友人を送る杜甫が描かれている。そして詩を寄せた
禅僧たちはこの人物を友人に見立てている。

‘西遊記’の三蔵法師でお馴染みの玄奘三蔵の生涯を描いた‘玄奘三蔵絵’(12巻)
は絵巻展などでこれまで2回みる機会があった。画像は巻三の玄奘がパミール
高原の雪道を進んでいるところ。濃密な色彩表現が印象深く、動きのある人物
描写も見事。

‘両部大経感得図’とはじめてお目にかかったのは1995年奈良博であった
‘日本仏教美術名品展’。このエポック的な特別展が仏教美術へのめりこむきっか
けとなった。描かれているのはインドの僧善無畏が密教の経典を獲得した場面。
五重塔の下で童子を従えた善無畏が瑞雲を見上げている。この瑞雲の上に出現
した金色の文字を横にいる書家が書き写している。

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2019.11.25

美術館に乾杯! 藤田美術館 その一

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     藤田美術館

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     国宝‘曜変天目茶碗’(南宋時代 12~13世紀)

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     国宝‘仏功徳蒔絵経箱’(平安時代 11世紀)

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         快慶の‘地蔵菩薩立像’(重文 鎌倉時代 13世紀)

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     尾形乾山の‘銹絵絵替角皿’(重文 江戸時代 18世紀)

大阪の街は出かけた回数が少ないので梅田ならどう行けば阪急電鉄に乗れるか
くらいは知っているが、例えば大阪城へはどう行くのかまったくわからない。
昨年、北斎展をみるためあべのハルカス美を訪問した際、JRの環状線を利用し
たが目的の駅につくまでどのくらいの駅があり何分かかるのかがよくわからず
落ち着かなかった。大阪のイメージが今だに広がらないので一度行ったことの
ある藤田美術館がどこにあったか心もとない状況。

ここは春と秋に収蔵品の展示をしており、その情報を得て足を運んだ。
一番のお目当ては国宝の‘曜変天目茶碗’。静嘉堂文庫の‘稲葉天目’とここの
天目は展示のタイミングをあわせれば思いの丈が叶えられる。茶碗を手にし
て宇宙で輝く星を見ているような気分になるというの特別な体験であること
はまちがいない。そんな茶碗が中国になくて日本に3碗(すべて国宝)も
あるというは曜変天目に対する思い入れの違いが深く作用したためだろう。

‘仏功徳蒔絵経箱’はお気に入りの蒔絵。側面に描かれた法華経の説話をぐるっ
とまわってみると鳥が飛翔する場面があり、雲が動き波が大きくうねって
いる。人のしぐさを含めて動きのある表現はアニメーションを楽しむ感覚
に近い。

2015年にサントリーで開催された‘藤田美の至宝展’で多くの人が釘づけ
でみていたのが快慶の‘地蔵菩薩立像’。ここにはビックリするほどいろんな
古美術品がある。この展覧会で嬉しかったのが尾形乾山と光琳の合作‘銹絵
絵替角皿’。美術本には‘鶴’とか‘梅’しかでてなかったが、なんと全部で10
枚あった。布袋さんや雀などをニヤニヤしながらみていた。

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2019.11.24

ビッグニュース!来秋カラヴァッジョの‘キリストの埋葬’が登場

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カラヴァッジョの‘キリストの埋葬’(1602~04年 ヴァティカン美)

昨日の朝日新聞に嬉しい記事が載った。ローマのヴァティカン美にあるカラ
ヴァッジョの‘キリストの埋葬’が来年の秋、日本で公開されるとのこと。
美術館は国立新美で‘キリストの埋葬展’と銘打ち10/21から展示される。
30年ぶりの来日だが、1990年にヴァティカン美関連の特別展が開催さ
れたのはぼやっと記憶しているが足を運んだかはあやふや。

この絵をローマでみたときはその大きさに圧倒された。なんと縦3m、
横2mの大作。強い存在感を感じるのはキリストを担ぎこちらをみている二コ
デモ。街のどもにでもいるような男がモデルになっている現実感がとてもよ
く宗教的な絵というよりは風俗画をみている感じ。この大作が日本でみられ
るというのは幸運この上ない。とても楽しみ。

カラヴァッジョの話はもうひとつあって、来月26日から大阪のあべのハル
カス美ではじまるカラヴァッジョ展について残念なニュースが入ってきた。
バルベリーニ国立古代美(ローマ)が所蔵する‘ホロフェルネスの首を斬る
ユディト’は出品されなくなった。この絵をまたみたくて来年1月大阪へ行く
ことを決めていたが、こういうことならやめることにした。そのかわり秋に
‘キリストの埋葬’がやってくるので気分はリカバリーされる。

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