2020.09.24

大倉集古館の‘近代日本画の華’展!

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    竹内栖鳳の‘蹴合’合(1929年)

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    橋本関雪の‘暖日’(1929年)

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       川合玉堂の‘暮るる山家’(1918年)

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       菱田春草の‘かけす’(1910年)

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    横山大観の‘山四趣・風 秋’(1925年)

台風12号の影響で出動がダメになるかと心配されたが、進路がそれ大雨に
ならなかったので予定通り西洋美の‘ロンドンナショナルギャラリー展’と
大倉集古館の‘近代日本画の華’をみてきた。美術館へ行くのは6/18の
Bunkamura以来、3ヶ月ぶり。今年はまだ5回しか展覧会をみていないので
例年とは様変わり。

大倉集古館の特別展は9/27(日)までなので滑り込みこみセーフだった。
展示されている日本画の大半は1930年ローマで開催された日本美術展に
出品された日本画。全部で25点ある(すべて大倉集古館蔵)。その一部
の横山大観(1868~1958)の‘夜桜’などは‘美術館に乾杯!大倉集
古館’で紹介したが、ここにとりあげた竹内栖鳳(1864~1942)の
‘蹴合’、橋本関雪(1883~1945)の‘暖日’、大観の‘山四趣’も一緒に
飾られた。

軍鶏(しゃも)の闘鶏を描いた栖鳳の‘蹴合’は本物の軍鶏が目の前に大喧嘩
しているみたい。これほどリアルに鶏の動きを表現するというのは並みの
画技ではとうていできない。栖鳳は生き物が大好きだったから、軍鶏の
表情や動き方を徹底的に観察し、この見事な生き物画を完成させた。一方、
関雪が‘暖日’で描いたのは猫の王様、ペルシャ猫。日本画にペルシャ猫が
登場したのでイタリアの人たちはびっくりしたにちがいない。

川合玉堂(1873~1957)の‘暮るる山家’は心温まる作品。仕事の終
わった荷馬を主人が熱い湯で体をふいてやっている。この湯気の描写が目に
焼きついている。馬の絵はたくさんみたが、馬と一緒に生きている人間の
やさしさがこれほど強く感じられるものはほかにみたことがない。

菱田春草(1874~1911)の‘かけす’は亡くなる1年前の絵。これは
江戸琳派の鈴木其一の絵を意識したもので鳥の種類をかけすに変えて描か
れている。やわらかい色彩と墨のぼかしを葉や幹のところどころにいれる
描写は春草が琳派の装飾性に傾注していたことをうかがわせる。大観の
‘山四趣・風 秋’は手前の薄野が秋の情景にぴったり。My散歩道にはまだ
すすきがでてこないが、10月になるとぐっと秋らしくなるからBコース
を選択したときは風に吹かれてちょっと傾いた姿をみせてくれるだろう。

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2020.09.23

美術館に乾杯! 根津美術館 その六

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     ‘饕餮文方彜’(重文 西周時代・前10世紀)

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  野々村仁清の‘色絵山寺図茶壺’(重文 江戸時代・17世紀)

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    ‘鼠志野茶碗 銘 山の端’(重文 桃山時代・16~17世紀)

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       ‘青磁筍花生’(重文 南宋時代・12世紀)

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   ‘肩衝茶入 銘 松屋’(重文 南宋~元時代・13~14世紀)

最近は回数が少なくなったが以前は古代中国の遺跡から出土した青銅器や金
の装飾品などを披露する特別展がよく開かれた。そうした遺物で強い存在感
を発揮するのが青銅器。同じようなものを東博でもみる機会があるが、本場
の青銅器は流石と思わせるほどその大きさや複雑な模様に目を見張らされる。
日本の美術館でも、すばらしい青銅器にお目にかかれるところがある。それ
が世界的にも高く評価されている根津のコレクション。2階の専用の展示室
には‘饕餮文方彜’(とうてつもんほうい)などがずらっと飾られている。
これは圧巻!

2006年、京博で京焼展があり野々村仁清の名品といわれる色絵の茶壺や
水指が数多くでてきた。そのひとつが山寺の図が描かれた茶壺。まるで
風景画をみているよう。装飾性豊かな絵柄、茶壺のかたちからいうとこれと
福岡市美にある‘吉野山図’がとくに気に入っている。

根津、五島美、出光美では茶陶展が定期的に開催される。こういうとき来館
者の目を釘付けにする目玉のひとつが‘鼠志野茶碗 銘 山の端’。2年前、
ここであった‘新・桃山の茶陶’でも目を楽しませてくれた。織部・志野では
五島美蔵の‘鼠志野 銘 峯紅葉’とともに欠かせない定番の名品としてつとに
有名。

中国からはいってきたもので自慢の品は‘青磁筍花生’と‘肩衝茶入 銘 松屋’。
筍が好物なのでこの青磁はいつもいい気分でみている。同じような花入はこ
れまで5点くらいみた。2010年の‘南宋の青磁’(根津美)では五島美、
鹿苑寺蔵のものと一緒に並べられた。そして、肩衝茶入の名品‘銘 松屋’に
も200%参っている。小さな茶入なのに丸みをおびた形、なだれのうみだ
す模様が目をとらえて離さない。

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2020.09.22

美術館に乾杯! 根津美術館 その五

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    円山応挙の‘藤花図屏風’(重文 江戸時代・1776年)

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    芸愛の‘花鳥図’(室町時代・16世紀)

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    久隅守景の‘舞楽図’(江戸時代・17世紀)

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    尾形乾山の‘ぶりぶり毬杖図’(江戸時代・18世紀)

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           酒井抱一の‘七夕図’(江戸時代・18世紀)

どこの美術館でも自慢の絵画をもっているとその作品を描いた画家の回顧展
を主催する。東京でみられる円山応挙(1733~1795)の名画という
と三井記念美の国宝‘雪松図屏風’と根津の‘藤花図屏風’。2016年、ここで
開館75周年記念特別展として円山応挙展が開催された。‘藤花図’に大変魅了
されているのは紫という色が好きだからということもある。松が武将のイメ
ージなら、藤はお姫様。藤の絵というと応挙と日本画家の山本丘人をすぐ思
い浮かべる。

16世紀半ば頃京都で活躍した芸愛の‘花鳥画’は鷹と白鷺の緊迫した場面が
描かれている。右の老松にとまっている鷹がじっとみているのは相方の鷹に
狙われて慌てふためく白鷺。花鳥画の中にはときどきこういうはらはらドキ
ドキさせる画題が描かれる。この状況をもっとも激しく描いたのが曽我蕭白。
襲われた鳥が泣いている感じ。これはこたえる。

宗達が描いた‘舞楽の舞台を久隅守景もとりあげている。六曲一双の屏風の左
と右に太平楽と蘭陵王の舞いが楽人の演奏する太鼓や鉦鼓などと一緒に美し
く描かれている。広島にいたとき厳島神社の恒例行事となっている舞楽の様
子がニュースで流れると‘来年は見に行くぞ!’、と思ったが結局実現しなか
った。

絵はやきものの余技だった尾形乾山(1663~1743)のおもしろい絵
が根津美にある。‘ぶいぶり毬杖図’。ぶりぶりと毬杖(ぎっちょう)は新年の
男児の玩具で中世には盛んに遊ばれたが、江戸中期以降は遊びとしてはすたれ、
正月用の飾りに変わった。左端の杭のようなものが毬杖の先、そこから柄が
のびこれに沿って縁起物の翁と媼、松竹梅、鯛と海老、鶴亀の作りものが並ん
でいる。ぶりぶりは背後に斜めに挿されているもの。

酒井抱一(1761~1828)の‘七夕図’は慣れ親しんでいる七夕とはちが
う。これは七夕祭りの原型の‘乞巧奠’(きっこうでん)を表す図像。麻の緒を
張りこれに五色の糸をかけ、下に置かれた角盥(つのだらい)に梶葉を浮か
べている。これにより手芸や芸能の上達を祈願している。

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2020.09.21

美術館に乾杯! 根津美術館 その四

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Img_0001_20200921221001     雪村の‘龍虎図屏風’(室町時代・16世紀)

Img_0003_20200921221001         芸阿弥の‘観瀑図’(重文 室町時代・1480年)

Img_0002_20200921221001         祥啓の‘山水図’(重文 室町時代・15世紀)

Img_0004_20200921221001       ‘桜下蹴鞠図’(桃山時代・17世紀)

Img_0005_20200921221001       ‘誰が袖美人図’(江戸時代・17世紀)

雪村の回顧展を運よく2度遭遇したので、主要作品はおおよそみることがで
きた。そして、それらをどこの美術館が所蔵しているかも一緒にインプット
された。私立の美術館ですぐ思い浮かぶのは京都の野村美、奈良の大和文華
館と東京の根津美と畠山記念館。根津にある‘龍虎図’は見応えのある屏風絵
(六曲一双)。左隻に描かれた虎のちょっととぼけた表情がおもしろい。

根津には国宝の‘那智瀧図’のほかにもうひとつ滝の絵がある。芸阿弥
(1431~1485)の‘観瀑図’。崖にできた3つの段差を豊富な水が流
れ落ち4本の滝が出現している。この変化のある滝の光景はほかにみたこと
がない。この絵は芸阿弥のもとで絵画の修行をした建長寺の僧祥啓が東国に
帰るとき与えられたもの。その祥啓もなかなかいい‘山水図’を描いている。
岩の塊が大きく内側にえぐられトンネルのようになっているところは師匠の
画風とよく似ている。

‘桜下蹴鞠図’はぼやっとみていると蹴鞠がどこにあるのが気がつかない。蹴鞠
は全部描かれてなく、一部がみえるだけ。そこは上の中央からすこし右のと
ころ。琳派の宗達の工房ではこんな描かれ方があったことが驚き。普通のやま
と絵の表現では蹴鞠は全部描くのに、琳派は大胆な構図をつくり見る者の意表
をつく。蹴鞠が小さくなった分、かえって蹴鞠に視線が集まる効果を狙ってい
るのかもしれない。

江戸時代前期に流行った‘誰が袖図’と呼ばれる屏風をこの美術館でみたとき、
‘これもありかい?’と思った。描かれているのは衣桁(いこう)や屏風に掛
けられた衣装のみ。まるで呉服屋へでかけ新しくつくる着物の生地を吟味して
いるよう。主役は花でも鳥でもなく衣裳とは。この絵は‘誰が袖図’の変種で
右隻は遊女と禿を登場させている。

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2020.09.20

美術館に乾杯! 根津美術館 その三

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        牧谿の‘竹雀図'(重文 元時代・13世紀)

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    呂敬甫の‘瓜虫図’(重文 明時代・14~15世紀)

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    呂紀の‘四季花鳥図’(明時代・16世紀)

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          韓旭の‘藻魚図’(明時代・1612年)

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     蘇漢臣の‘売貨郎図’(明時代・16世紀)

これまで牧谿の絵や南宋・元時代以降の中国絵画をまとまった形でみる機会
があったのは東博の常設展と根津、名古屋の徳川美で開催された特別展。
根津では2回開催されたのでこの美術館には中国絵画のいいのがあるという
イメージができあがった。

牧谿は‘瀟湘八景図‘がとくに有名だが、人物画や花鳥画にも魅了されるものが
多い。‘竹雀図’はいい感じ。見慣れた雀が2羽密着して竹にとまっている。
日本の画家で雀が得意なのは長澤芦雪と菱田春草。二人は牧谿の絵を見てい
るにちがいない。

子どものころ夏は昆虫採集が楽しくてたまらなかった。だから、明時代に描
かれた‘瓜虫図’も目をかっと開いてみてしまう。蔓を長くのばした瓜のまわり
にカマキリ、赤トンボ、コオロギ、ハチがいる。こういう心が和む絵をみる
と日本の花鳥画のお手本は中国にあったことがよくわかる。

‘四季花鳥画’は鳳凰などの華麗な鳥が主役だから絵全体がとても華やか、大き
な広間でみると気持ちが高揚しそう。日本に伝来した呂紀の作品は東博に
ある同じ題名のものでまずその画風に馴染んだ。ほかにも三の丸尚蔵館でとき
どき公開される。

応挙でも明治以降の日本画家でも鯉は横長の画面に描くので、それに慣れる
と‘藻魚’にような縦の掛物に登場する鯉がとても新鮮に映る。存在感抜群の大
きな鯉の横にもう3匹いる。忘れられない一枚。‘売貨郎図’もお気に入りの子
ども絵。貨郎は日用雑貨を売り歩く行商人。台の上に鳥が入った籠がたくさん
並んでいる。

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2020.09.19

美術館に乾杯! 根津美術館 その二

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        国宝‘那智瀧図’(鎌倉時代・13世紀)

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     牧谿の国宝‘漁村夕照図’(南宋・13世紀)

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    李安忠の国宝‘鶉図’(南宋・12世紀)

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    因陀羅の国宝‘禅機図断簡’(元・14世紀)

滝で有名な観光スポットというとすぐ栃木県の‘華厳の滝’と熊野の‘那智の滝’が
思い浮かぶ。2つをくらべると華厳が男性的で荒々しいのに対し那智は女性の
イメージ。趣味が旅行だけなら話はこれで終わりとなるが、絵画に関心がある
ともうひとつ滝の物語が加わる。根津美にある‘那智瀧図’はただ滝の光景を描い
たのではない。滝は神様で崇拝の対象。だからこれは聖画なのである。このこ
とを美術本で知り、それを根津で確認にそして熊野に足を運び、この神秘的な
雰囲気につつまれた滝を眺める。すると、絵画をみたときの感情が思い出され
目の前のリアルな視覚体験が薄められるような気になる。不思議な感覚だった。

牧谿が巻物に描いた‘瀟湘八景図’は切断されて掛物となった。その2幅は国宝に
指定されている。‘漁村夕照図’と‘煙寺晩鐘図’(畠山記念館)。どちらも琴線に
触れる名品だが、‘漁村夕照図’のほうがたなびく霞のなか山々が印象づけられ家
の屋根や小さな舟がみえるので漁村の情景にすっと入っていける。こういう
親しみのもてる牧谿は‘燕子花図’のように何度もお目にかかりたいのだが、思う
ようにはいかない。

日曜美術館が唯一の美術情報源だったころ、高山辰雄が‘鶉図'を最接近してみ
て‘本物の鶉がいるようだ'と言っていた。この絵をみたら画家の大家でなくても
同じような感想をもつのではなかろうか。とくに目が点になるのは緻密に描か
れた羽毛。応挙の孔雀の羽毛もすごいが、この鶉のほうがリアル感が強く、丸く
膨れた胸あたりの羽毛を動かし歩きだすような気配がある。

中国元時代の画僧、因陀羅の‘禅機図断簡'には5つのヴァージョンがあり、根津
にもそのひとつがある。全部国宝に指定されているのはもともと画巻だったか
ら。この人物画の魅力はユーモラスな笑いの表現。描かれている人物同士の会話
の中から相手方あるいは両人が大笑いしている。なにかを理解し腹にストンと
おちたとき(頓悟)には自然と笑いがおきるのだろう。

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2020.09.18

美術館に乾杯! 根津美術館 その一

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    尾形光琳の国宝‘燕子花図屏風’(江戸時代・18世紀)

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    尾形光琳の‘白楽天図屏風’(江戸時代・18世紀)

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  尾形乾山の‘銹絵染付金彩絵替土器皿’(重文 18世紀)

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    鈴木其一の‘夏秋山水図屏風’(江戸時代・19世紀中頃)

コロナの影響で多くの美術館が予約制をとっている。これがめんどくさくて
お馴染みの美術館で行われている企画展についてのチェックがすごく緩くな
り、展覧会へ注がれる関心がごく一部のものだけに限定されている。見る側
がこんな気分だから、美術館の人たちもフルパワーで特別展を準備するとい
うことにはならないかもしれない。根津美や五島美、静嘉堂美のようなブラ
ンド私立美術館の展覧会スケジュールはさらっとインプットされているが、
特段前のめりになるものは今のところない。

MOAでは春の梅の季節になると尾形光琳(1658~1716)の国宝‘紅白
梅図屏風’が公開されるのが恒例の行事になっているが、根津美でも毎年とい
うわけではないが、同じく国宝に指定されている‘燕子花図屏風’が頻繁に披露
される。国宝の日本画をおおかた目の中に入れた経験からいうとこういう風
に繰り返し展示される作品は光琳の2点と東博にある長谷川等伯の‘松林図’く
らい。江戸絵画で大変な人気を誇る伊藤若冲でも国宝に相当する‘動植綵絵’
(三の丸尚蔵館)そう度々飾られることはない。だから、光琳と等伯が日本
画では美術ファンと最も近い画家かもしれない。

根津で開催される琳派展は欠かさずみてきたのでここにある作品はすぐでて
くる。光琳は‘白楽天図’も波濤の描き方などに目が吸いこまれる。弟の尾形
乾山(1663~1743)は最晩年に描かれた‘定家詠十二カ月和歌花鳥図’
にも魅了されるが、乾山ならやきものへ視線が向かう。お気に入りは‘銹絵染
付金彩絵替土器皿’。この軽くて洒落た意匠感覚が心を打つ五つの土器皿との
対面はずいぶん待たされた。だから、深い思い入れがある。

琳派というと宗達、光琳をまず覚えて、次に工芸の光悦に進み、酒井抱一ま
では一応たどり着く。では鈴木其一(1796~1858)はどうか、この
絵師の画風に馴染むようになるのはだいぶ後になってから。その実力の高さ
に目覚めたのはここにある‘夏秋山水図屏風’とメトロポリタンが所蔵する‘朝顔
図屏風’。これで其一が琳派ビッグファイブの一人になった。

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2020.09.17

美術館に乾杯! 大倉集古館 その三

Img_20200917223201     国宝‘普賢菩薩騎象像’(平安時代・12世紀前半)

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Img_0003_20200917223301     国宝‘随身庭騎絵巻’(鎌倉時代・13世紀中頃)

Img_0004_20200917223301     久隅守景の‘賀茂競馬図’(重文 江戸時代・17世紀後半)

国宝の仏像をみたければどうしても奈良や京都のお寺を訪ねていかないとい
けないが、クルマでまわるとなるとこれは大行事となるためかなりの鑑賞
エネルギーをためこまないと実現しない。追っかけ国宝は4,5点残っている。
今はコロナ禍で動きにくい環境、コンプリートを果たすにはまだまだ時間が
かかりそう。

こんなとき、大倉集古館にでかけるとすばらしい仏像に対面できる。国宝に
指定されている‘普賢菩薩騎象像’。象に乗る普賢菩薩の姿がじつにいい感じ。
つくられたのは平安時代の最後の頃。見惚れのがもうひとつある。菩薩像に
最接近して肩のところや背面の衣をじっくりみると目にとびこんでくる唐草
や七宝繋ぎなどの截金文様。東京のど真ん中でこんな心を打つ仏像がみられる
のだから有り難いことである。

‘随身庭騎絵巻’も記憶に長くとどまっている鑑賞体験の。随身は貴人
のガードマンのこと。ここでは9名が描かれている。彼らは馬に乗るのは朝
飯前だから、馬が荒々しく体を動かしてもそれを御する腕をもっている。
視線がむかうのは随身よりは跳びはねている馬のほう。動きの描写がこれほ
ど見度な絵はそんなにない。もう何年もみていないので再会の機会をさぐる
ことにした。

久隅守景の‘賀茂競馬’は興味をそそる風俗画。描かれているのは初夏を彩る京
の風物詩となっている賀茂神社の競馬(くらべうま)。これは左隻で宇治の
茶摘みの場面が右隻で並んでいる。この大イベントをひとびとは思い思いに
楽しんでおり、手前の中央では酒盛りがはじまっている。    

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2020.09.16

美術館に乾杯! 大倉集古館 その二

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    前田青邨の‘洞窟の頼朝’(重文 1929年)

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    宇田荻邨の‘淀の水車’(1926年)

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    橋本関雪の‘猿猴図’(1929年)

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    菱田春草の‘さつき’(1906年)

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    山口蓬春の‘木瓜’(1929年)

歴史好きで絵画にも関心があると歴史上の出来事や時代の覇者となった人
物についての知識が深まる。大観や春草のあと日本画壇の中核的存在として
新しい日本画を創作した安田靫彦、小林古径、前田青邨は歴史画の傑作をい
くつも描いている。安田靫彦の‘黄瀬川陣’を東近美が所蔵し、前田青邨
(1885~1977)の‘洞窟の頼朝’(ともに重文)は大倉集古館にある。
青邨のこの絵をはじめてみたとき強烈に印象づけられたのががっちりした
武将の姿で描かれた頼朝の大きな鼻。異様に大きい!

回顧展がなかなか開かれない画家については、テーマによる企画展があった
ときに作成された図録を使ってMyミニ画集を編集している。三重県松阪市
出身の宇田荻邨(1896~1980)もその一人。今、集まってきた作品
は11点。そのなかで最も魅了されているのは三の丸尚蔵館にある‘渓澗’と
ローマ開催日本美術展に出品された‘淀の水車’、涼し気な水車をみていると
気持ちが軽くなる。

手長猿や馬の絵を得意とした橋本関雪(1883~1945)は‘猿猴図’と
ペルシャ猫を描いた‘暖日’の2点が来場したイタリア人を驚かせたにちがい
ない。京都で一度訪問したことのある白沙村荘 橋本関雪記念館は達磨の
肖像画などの絵だけでなく国の名勝に指定されている庭園も楽しめる。

大倉集古館は橋本雅邦や菱田春草(1874~1911)も所蔵している。
春草の‘さつき’は6月のころ、深い森から飛び立つ一羽のほととぎすが描かれ
ている。森の木々と空には墨のグラデーションにより奥行き、空間的な広が
りが生まれている。山口蓬春(1893~1971)の‘木瓜’はローマ展の
出品作。静寂感があり品のいい花の絵だから西洋の人々に日本の静物画の
新鮮なイメージを植えつけられたかもしれない。

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2020.09.15

美術館に乾杯! 大倉集古館 その一

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    横山大観の‘夜桜’(1929年)

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     小林古径の‘木菟’(1929年)

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       川合玉堂の‘秋山懸瀑’(1929年)

日曜美術館は最近は熱心に見なくなったのだが、モネとマティスをコラボ
させるユニークな企画が紹介されたので久しぶりにみた。そして、ついで
だからアートシーンもチャンネルを変えなかった。これがよかった。2つ
の展覧会情報にヒットした。ひとつは大倉集古館で開催されているローマ
開催日本美術展覧会にスポットをあてたもの(今月27日まで)。もう
ひとつは千葉のホキ美の‘森本草介展’(11/16まで)。
改築した大倉集古館へはまだ足を運んでないので、西洋美の‘ロンドンナシ
ョナルギャラリー展’を24日にみにいく予定だから、このあと寄ってみる
ことにした。ここは西洋美と違って予約がいらないので気が楽。

大倉美術館へ最初に出かけたのは横山大観(1868~1958)の‘夜桜’
をみるためだった。だが、ここへ着いたのは閉館間際だったので、普通な
ら入館を断られるところ、それを懇願すると‘お金はいらないからどうぞ‘と
入れてくれた。なんと太っ腹!そんな嬉しい配慮をしてもらって念願の
絵をみることができた。‘夜桜’は1989年にあった‘昭和の日本画100
選’展で美術専門家や文化人が選んだ作品ベスト20で1位に選ばれている。
このころ、この図録はわが家の日本画のバイブルとなりこの100点を
すべてみようと心に決めていた。だから、大倉集古館でこの絵を滑り込み
セーフでみれたのは感激ものだった。この3日後、転勤のため名古屋に旅立
った。

‘夜桜’、小林古径(1883~1957)の‘木菟(みみずく)’、川合玉堂
(1873~1957)の‘秋山懸瀑’は1930年(昭和5年)ローマで
開催された日本美術展覧会のために描かれたもの。この大プロジェクトは
大富豪で美術愛好家としても知られた大倉七三郎男爵(1882~1963)
がスポンサーとなり団長横山大観のもと80人の画家が参加した。出品作は
イタリア人に和風のしつらえで鑑賞してもらうため、表具師、大工、生花
の師匠まで同行させるという懲りよう。まさに空前別後の日本美術フェア。
展覧会は連日千人の来場者を集め、1カ月余りの期間で16万人の入場者が
あった。

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