2017.08.22

全生庵の‘円朝まつり’!

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Img_0002      ‘円朝まつり’が行われている全生庵

Img 鏑木清方の‘茶を献じるお菊さん’(1904~05年) 朝日新聞の記事より

Img_0001        鏑木清方の‘三遊亭圓朝像’(重文 1930年 東近美)

朝日新聞やNHKのニュースで報じられた鏑木清方の幽霊画をみるため、台東区の全生庵へ行ってきた。地下鉄千代田線の千駄木駅に降りるのははじめてのこと。略図でもわかるようにここから全生庵までは約5分、谷中墓地のほうに向かって進むとすぐ着く。

途中、銭湯があった。東京で銭湯をみたのは学生時代のとき利用して以来。台東区という名前は知っているが地元の住人ではないので広さや範囲が皆目見当がつかない。でも、銭湯にでくわすのだからここらがいわゆる東京の下町なのだろう。これが下町の風情かと想いながら歩いていた。

驚いたのはガイドブックを手にした男性の外国人観光客が4人もいたこと。アメリカ人かヨーロッパから来た様子だが、こんなところに興味があるのだろうか。外国人は今どんどん地方にも足をのばしているとよく耳にするが、ここでみた光景はその流れの現れかもしれない。

全生庵では年中行事として‘円朝まつり’(8/1~8/31)が開催され、三遊亭円朝(1839~1900)が蒐集した幽霊画が公開されている。例えば名の通った画家でいうと、円山応挙、川端玉章など、でも、お目当てはこれらの絵ではなく、94年ぶりに発見された鏑木清方(1878~1972)が26~27歳ころに描いたとされる‘茶を献じるお菊さん’。

予想していた通りこの絵の絵はがきは用意されてない。そのため、朝日の記事に載ったものを使っているが、本物も色的にはこんなもの。そして、お菊さんは顔をみせていない。美人画を得意とした清方が幽霊画とはいえ女性の顔を描かないというのはどういう意図があったのだろうか、

清方は17歳のとき円朝に誘われて一週間栃木を旅している。脚気を患った清方を円朝が転地療養に連れて行ったのである。二人は40も年が離れている。清方の父は粋人で円朝を支援していたため円朝が手助けしたというわけ、お蔭で清方の足は東京に帰って来たときはすっかり治っていたという。

それから35年経った1930年に美人画の人気画家になった清方が描いたのが‘三遊亭円朝像’、以前東近美によく通っていたころはときどき飾ってあった。久しぶりにみたくなった。

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2017.08.21

美術館に乾杯! ハーシュホーン美 その五

Img     ウォーホルの‘花’

Img_0003               デイヴィス

Img_0002               ムーア

Img_0001              ヘップワース

現代アートをアメリカ人作家の作品を軸にして楽しもうと思うと、どこの美術館にいけばいいか。ハーシュホーンを知る前は、ヨーロッパではパリのポンピドーセンターとロンドンのテート・モダンへ出かけ、アメリカならNYでMoMA、メトロポリタン、グッゲンハイム、そしてホイットニーをまわる。

アメリカの場合、もう一つ忘れてならないのがワシントンナショナルギャラリーの東館。NYには4つの美術館があるのでポロック、ロスコ、ウォーホル、リキテンスタイン、デ・クーニングといったスターア―ティストの作品が存分に味わえる。

一方、ワシントンを訪問してもナショナルギャラリーとハーシュホーンに足を運べばNYと変わらないくらいの高い満足度が得られる。2013年のときはポップアートの旗手のウゥーホル(1928~1987)は2館で3点みれた。ハーシュホーンで魅了されたのは緑の葉っぱと5つの青の花びらをつけた花が画面いっぱいに描かれたもの。一般的な静物画とはちがい、なにか浮き浮きするような気持になる。これがポップ調の真髄。

デイヴィス(1892~1964)の作品には模様で埋め尽くされた四角や曲がった線のほかに文字や記号が描き込まれている。こういう画風ですぐ思いつくのはピカソのコラージュやクレーの作品。対象を平板的に扱うのは同じだが、デイヴィスの作品は記号や形は自由に主張し合い互いの存在を浮き立たせている感じ。こんな公平な組み合わせはいかにもアメリカ的。

イギリスの現代彫刻家ヘンリー・ムーア(1898~1986)とバーバラ・ヘップワース(1903~1975)はともにヨークシャーの出身。このところ、熱海のMOA美に出かけていないので、ムーアはハーシュホーンでみたあとはとんと縁がない。

ムーアがブロンズに穴をあけるのに対して、女性彫刻家ヘップワースがなかをきれいにくりぬいているのは木。竹細工は日本人の琴線にふれるから、このヘップワースの作品が気に入っている。小品だがこういうものが部屋にあったら心がぐっと落ち着くにちがいない。

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2017.08.20

美術館に乾杯! ハーシュホーン美 その四

Img_0003            ジャコメッティ

Img             アルプ

Img_0002             ケリー

Img_0001             リヒター

今年前半に行われた西洋美術関連の展覧会で注目していたものが4つあった。見た順番からいうとミュシャ、ブリューゲル、アルチンボルド、そしてジャコメッティ。このうち、ジャコメッティ(1901~1966)については11年前、神奈川県近美 葉山であった回顧展をみているので、プラスαが少しでもあればいう中くらいの期待をしていた。

ところが、実際に入館してみると前半は予想通りの作品が並んでいたが、後半は‘ヴェネツィアの女’の揃い踏みと大きな頭、歩く人などの大型彫刻に度肝を抜かれた。アーチストの物語はやはり回顧展を2回くらい体験しないと最接近できない。

このジャコメッティ展で遭遇した大型作品に比べると、ハーシュホーン美でみた原始人のような人物像はサイズ的には小さいものだが強い存在感があった。ジャコメッティの彫刻と言うと女性の体を両サイドから鋼鉄によりぐっと圧縮し薄っぺらで縦長にしたイメージ。ところが、目の前の人体はゴリラが仁王立ちしているような姿。こんなジャコメッティがあったのか!という感じ。

抽象彫刻のアルプ(1887~1966)の回顧展も同じく葉山で一度みたことがある。その特徴は形は抽象であってもどこか人間を感じさせる柔らかいイメージの造形表現、イメージはいろいろふくらむ、赤ちゃんの小さな手や足であったり、女性の豊満な上半身や大きな臀部にみえたりする。

ハーシュホーンでみたのは黄金の一つ目小僧という印象をもった、黄色が輝く彫刻ですぐ思い浮かべるのはブランクーシの‘眠れるミューズ’。アルプの作品はこれと対比すると緊迫度はぐっと弱く、その分自由で開放的な面が際立つ。

アメリカの美術館をまわってよくお目にかかるのがケリー(1923~)の明るい色彩をシンプルに横に並べた作品。この美術館は3点所蔵している。明度の高い赤、黄色、青が大きな横長のボードに左からまったく同じ寸法で塗られている。ケリーでなくてもこれくらいの事なら誰でも描けるが、それはこういう作品をみたあとだから言えること。これほどストレートに色面の美しさをみせつけられると、素直に感動する。

ドイツの現代ア―ティスト、リヒター(1932~)の作品がここにあるとは思ってもいなかった。海外の美術館で色のついた土砂降りの雨が前後何層にも重なるように空から降ってくるようなリヒターの抽象画を見る機会はほとんどない。だから、この幸運なめぐり合わせにスゴイ!々、と心で叫びながらみていた。

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2017.08.19

美術館に乾杯! ハーシュホーン美 その三

Img_0002     ベーコンの‘ゴッホ’

Img_0001     デ・クーニングの‘ふたりの女’

Img_0003    スティル

Img     カルダー

円筒形の建物のハーシュホーンは3階建てになっており、3階の竹でいうと空洞の外側にあたるところに所蔵作品が展示されている。部屋の数は10くらい。所蔵品を一度に披露できないのでローテーションしながらみせている。数の多さに驚いたのがベーコン(1909~1992)。

じつはベーコンは好きではない。登場する人物が幽霊のようでグロテスクにゆがんだ顔がどうしても馴染めない。だから、4年前東近美で開催されたベーコン展はでかけることはでかけたが図録は購入しなかった。

でも、1,2点まあみていられるのがある。ひとつはベラスケスが描いた法王イノケンティウス10世の肖像をパロッた連作。MoMAではじめてみたが、そのときは幽霊画のイメージなので絵の前には長くいなかった。それからだいぶ後にローマでベラスケスの原画とお目にかかり、そのリアルな姿に驚愕した。そのため、ベーコンの連作への感じ方が変わった。ここも一枚コレクションしている。

もうひとつはゴッホが野外で絵を描くために散策しているところをモチーフにしたもの。何点かあるようだが、ハーシュホーンにも一枚おさまっている。ゴッホが好きなのでほかの作品にくらべて拒否感は小さい。

日本でもブリジストン美で回顧展(2014年)が開かれたデ・クーニング(1904~)、あの有名な‘女’が4点現れた。目はキツイがどこかユルキャラ的なところがあるこの女を一度にこれだけみれたのだからもうワクワク気分。NYのMoMAにいるような感じだった。

抽象表現画の鬼才、スティル(1904~1980)の3つの大作も息を呑んでみていた。ギザギザのとげをだす塊が丸くなったり縦長にのばされたりして白地の大きな背景に無造作に配置されている。別ヴァージョンでは地は黒みをおびた深い青、塊が深海に現れた奇妙な姿をした新種の魚にみえてくる。

カルダー(1898~1976)は定番のモビールやオブジェが3つの部屋に全部で8点飾ってある。カルダーに開眼したのは1991年、池袋のセゾン美(現在はなし)で行われたビッグなグッゲンハイム美名品展。そのときの楽しい気分がよみがえった。

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2017.08.18

美術館に乾杯! ハーシュホーン美 その二

Img_0001     ミロに‘サーカスの馬’(1927年)

Img     ダリの‘スルバランの頭蓋骨’(1956年)

Img_0002     ポロックの‘ポーリングのある構成Ⅱ’(1943年)

Img_0003     ロスコの‘No.9/No.24’(1949年)

美術館のミュージアムショップへ行くと普通は収集品を載せた図録が並んでいるが、ここはどういうわけか図録をつくっていない。そのため、紹介できるのは手元にある美術本や展覧会の図録にでているものと展示室で写真撮影したものだけ。

ミロ(1893~1983)の‘サーカスの馬’は日本とワシントンで二回みる機会があった。2002年世田谷美であったミロ展はこれまで開かれた最も大規模な回顧展、TASCHEN本に載っている作品などがいくつもあったので目を輝かせてみた。ハーシュホーンという美術館の名前がインプットされたのはここに出品された‘サーカスの馬’と出会ったときだったような気がする。そして、2013年に再会したときは絵のサイズの記憶が消えていたから195×280㎝の大きさにちょっとのけぞった。

ミロの漫画チックでユーモラスなシュルレアリスムとはちがい、ダブルイメージや精緻な描写によって独自の画風を生み出し人々を謎めいた絵画空間に誘ったダリ(1904~1989)、スペインの巨匠スルバランの作品を引用して不気味な髑髏を登場させた‘スルバランの頭蓋骨’はBunkamuraの‘だまし絵展’でみたとき頭蓋骨の奇妙なつくりかたに200%感心させられた。

ハーシュホーンの誇る自慢のコレクションは昨日紹介したホッパーとポロック(1912~1956)の‘ポーリングのある構成Ⅱ’とロスコ(1903~1970)の‘No.9/No.24’かもしれない。ともにTASCHENに掲載されている。とくに心に強く残っているのは6年前にあったポロック展(東近美)でみた‘ポーリング’、ポロックはこの絵から抽象表現主義という新しい絵画を切り開きアート界の寵児になっていく。

今は宇宙の謎にどっぷり嵌っているので、宇宙創成期のころ星と星が衝突を繰り返しているようなイメージでこの絵をながめている。

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2017.08.17

美術館に乾杯! ハーシュホーン美 その一

Img_0001     ワシントンD.C.の美術館(拡大で)

Img     ホッパーの‘午前11時’(1926年)

Img_0002    ホッパーの‘線路際のホテル’(1952年)

Img_0003    ホーマーの‘国会議事堂’(1881)

もしワシントンで美術館巡りを満喫したいと思ったら、何日ここに滞在すればいいか。一つの美術館にかける時間にもよるが、ここにある美術館群はわりと狭いエリアに集中しているので2日もあれば存分に楽しめるかもしれない。

美術散策のハイライトは国会議事堂とワシントン記念塔を結ぶ、モールと呼ばれる緑地帯(拡大地図で)。いい美術館が揃っている。スミソニアンのひとつハーシュホーン美があるのは国立航空宇宙博物館とフリーア美のちょうど中間点あたり。円筒形の建物で彫刻庭園にはリキテンスタインやピカソらの彫刻がある。

2013年に訪問したとき驚いたのが充実した現代アートのコレクション、美術館の向かい側にあるナショナルギャラリーの東館ではウォーホルやロスコといったビッグネームの作品がたっぷり楽しめるが、ここには質の高さでは敗けてないいいものが並んでいる。

そして、アメリカ人にはとても人気のあるホッパー(1882~1967)やホーマー(1836~1910)も所蔵している。日本にいるとなかなかみる機会がない画家なので2008年シカゴ美で2人の回顧展に偶然遭遇したのは生涯の喜びである。このときみたのがホッパーの‘午前11時’、裸婦が椅子に座って窓の外をみている。11時になるのにこの女性はまだけだるいのか、服を着て何かをするという気持ちになってない様子。

ハーシュホーンにあるもうひとつの‘線路際のホテル’は必見リストの載せていたが残念なことに姿をみせてくれなかった。次回の楽しみ。ホーマーの水彩画‘国会議事堂’は45歳のときの作品。モネの作品とは趣の異なる心に響く風景画。

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2017.08.16

サイエンスの森! 生物学者 福岡伸一

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なにかを求めているとき、ひょうんなことから知りたい情報が入ってくることが時々ある。京大名誉教授の永田博士の本で細胞膜がどのようにできているかを知り、生命の条件のひとつである‘外界から区別された単位であること’の意味がわかったような気になった。

以前なら地球上に生命が誕生したことについて考えることもなかったが、今は細胞の進化にも興味がふくらんでいく。そんな中、散歩の途中馴染みの本屋にぶらっと入ったら、福岡伸一著‘生物と無生物のあいだ’(講談社現代新書 2007年5月)という本が目にとまった。

ぱらぱらと頁をめくると、膜形成のメカニズムとかタンパク質の分泌プロセスといった脳を刺激する図がでてきた。これはまさに知りたかった話、即購入した。あとで知ったのだが、10年前に出版されたこの本は多くの人に読まれたらしくサントリーの賞を受賞していた。

著者の生物学者福岡伸一(青山大学教授)さんはフェルメール好きの学者として5年くらい前TVの美術番組によく出演していたので、顔は知っていた。だが、そのころはこの学者が専門の分野でどんな貢献をしたかについては関心がなく、もっぱらフェルメールが好きな異色の先生というイメージだった。

ところが、この本を読みイメージが変わった。この人は大変な才能の持ち主で専門の分子生物学の話をわかりやすく説明してくれる。例え話が的確なため、込み入った話がすっと頭に入っていく。頭がよくて文章が上手い、多くのサイエンス本愛好家の心をとらえたのもうなずける。

この本が縁となり、ブックオフで次の2冊も手に入れた。今は隣の方が熱心に読んでいる。
★‘動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか’(木樂舎 2009年2月)
★‘動的平衡2 生命は自由になれるのか’(木樂舎 2011年12月)

3冊を読み生命の不思議さが少しずつわかってきた。DND、タンパク質、ノックアウトマウス、プリオン、ミトコンドリア、遺伝などの理解が進むことは請け合い。いい本と出会った。

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2017.08.15

鏑木清方の幻の幽霊画が存在していた!

Img_3    鏑木清方の‘茶を献ずるお菊さん’(朝日新聞の記事より)

先週ホテルオークラで久しぶりに鏑木清方(1878~1972)の美人画をみて、やはり清方の描く女性はいいなと惚れ直したところだったが、今日の朝日新聞に清方の作品に関するおもしろい話が載っていた。また、NHKのニュースでも取り上げていた。

東京都台東区の全生庵では今、清方が怪談‘皿屋敷’にでてくる幽霊お菊をモチーフにして描いた‘茶を献ずるお菊さん’が展示されているという。展示は8/31まで。手元に清方の美術本や過去に開催された回顧展の図録がかなりの数あるが、この絵のことはまったくでてこない。

この幽霊画がいつ頃描かれたものか正確な情報がないが、1906年清方がお世話になった三遊亭円朝(1839~1900)の法要の際には絵葉書の図柄にこの絵が使われていたようだ。そして、絵は1923年の関東大震災で焼失したといわれていた。

ところが、実際は無事で残っており、記事によるとつい最近都内の画廊が手に入れたとのこと。清方好きとしてはこれを見逃すわけにはいかない。全生庵は地下鉄千代田線千駄木駅の団子坂下出口から徒歩5分のところにあるそうなので、日程を調整して出かけることにした。

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2017.08.14

見ごたえのある‘タイ展’!

Img_0001    ‘ナーガ上の仏陀坐像’(12世紀末~13世紀)

Img     ‘仏陀遊行像’(14~15世紀)

Img_0003     ‘ラーマ2世王作の大扉’(19世紀)

Img_0002     ‘虎や猪などが彫られ下方部分’

タイのバンコクは仕事で2回訪問したが、休みの日を利用して観光として出かけたのは定番の寺院などが主でバンコク国立博物館に寄る時間はなかった。ここでタイ仏教美術の神髄がみれることはわかっているから、このたび東博の特別展‘タイ~仏の国の輝き~’(7/4~8/27)にその傑作の数々がやって来てくれたことは本当に有り難い。

入っていきなりチラシに載っている‘ナーガ上の仏陀坐像’が現れた。すぐメインディッシュがでてくるの!という感じ。この蛇が瞑想中の仏陀を雨風から守るというモチーフはインドやアンコールワットの仏像展で目に焼きついているから、食いつきはすごくいい。これはタイの国宝であることは間違いない。声を失ってみていた。

スコータイ時代につくられた‘仏陀遊行像’も大きな収穫、腰が少しS字に曲がったやわらかい仏像の足元をみるとかかとが上がりまさに歩いている姿。こういうタイプの仏像ははじめてみたので2回ぐるぐる回りした。

そして、最後に飾ってある現在のバンコク王朝の仏教美術にサプライズが待っていた。それは高さが5.6mもある大きな扉。これは木製で金が張られており、表面に植物や動物がびっしり彫られている。ここだけは写真撮影がOK、そして解説パネルにどの部分にどの動物がいるかが示されている。

登場する動物で下方にいるのが蛙、蛇、亀、鹿、猪、虎など、ほかのところを単眼鏡を使ってじっくりみると猿や小鳥、蜘蛛や蝶、栗鼠、蜥蜴などもみつかる。

バンコクへ行ったのは25年前のこと、今は道路の交通渋滞は解消されているだろうか、この展覧会をみてまた‘微笑みの国’を旅行してみたくなった。

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2017.08.13

アートコレクション展 ‘佳人礼賛’!

Img     上村松園の‘うつろう春’(霊友会妙一コレクション)

Img_0001     鏑木清方の‘七夕’(左隻 大倉集古館)


Img_0002     鏑木清方の‘雨月物語 蛇身’(霊友会妙一コレクション)

Img_0004    モデイリアーニの‘婦人像’

地下鉄銀座線の虎ノ門駅で下車しホテルオークラをめざした。今このブランドホテルは増改築の真っ最中、2年後の2019年にオーフンの予定だという。どんなホテルに生まれ変わるのかと想像しながら、ちょっとしんどい坂道を進み横の別館にたどり着いた。

現在、ここで恒例のチャリティーイベント、‘第23回 秘蔵の名品 アートコレクション展 佳人礼賛’(7/31~8/24)が行われている。長らく鑑賞が途絶えていたが、何かの情報に載った上村松園の美人画が気になってしょうがなかったので、1点買いで足を運んだ。

これまで上村松園(1875~1949)の回顧展は何度も出くわしたが、今回出品されている‘うつろう春’は縁がなく画集でもみたことがなかった。所蔵しているのは霊友会妙一コレクション、このようなぐっと惹きこまれる作品がどうしてこれまで公開されなかったのだろうか、いい絵ほど所有者は出したがらないという法則が働いたのかもしれない。すぐMy‘好きな美人画’に登録した。

直感通りの傑作をみたのであとは気軽にみた。日本画で佳人をモデルに描く画家というとすぐ頭に浮かぶのは上r村松園、鏑木清方(1878~1972)、そして伊東深水(1898~1972)。清方は大倉集古館にある‘七夕’と‘雨月物語’(8点)が一際輝いている。

ふたつとも前回いつどこでみたか思い出せないが、清方作品では忘れられないものなのでいい気持でみていた。深水は‘楽屋’(明治座)の画面いっぱいに描かれた着物姿の女性に体が吸いこまれていく。まさにうっとりするほどの佳人。

西洋画の女性画で思わず足がとまったのがモディリアーニの‘婦人像’とキスリングの‘スペインの女’、日本にこんないいモディやキスリングがあったの!という感じ。‘うつろう春’のプラスαにこれがついてくれば元はとれた。以前のように毎年でかけたほうがいいかなという気になっている。

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