2017.04.25

久しぶりの‘阿形・吽形’!

Img_0002    観光客で混雑する東大寺・南大門

Img_0003     国宝‘金剛力士立像 吽形’(1203年)

Img_0001     国宝‘東大寺法華堂日光仏立像’(8世紀中頃)

Img     国宝‘誕生釈迦仏立像’(8世紀中頃)

奈良博で‘快慶展’(4/8~6/4)を楽しんだ後、長らく見ていない南大門の‘金剛力士立像 阿形・吽形’へ行くことにした。奈良博までの道順はだいたいわかっているが、そこから先は博物館の案内でもらった‘奈良公園ウォークマップ’をみながら進んだ。

予定では南大門をみてそのまま大仏殿まで進み、そのあと5年前にオープンした東大寺ミュージアムに寄ることにしていた。だが、修学旅行の生徒たちと外国人観光客があまりに多いので大仏はやめて‘阿形・吽形’だけにし、南大門のすぐ近くにあるミュージアムへ入った。

ミュージアムの観覧料金は500円。これは中に展示されているものは国宝がずらずらと続くのでお得感がある。前に三月堂でみたのがいつだったか思い出せないほど長い時が流れたのが‘日光・月光仏立像’、顔のふっくらしたこの塑造の仏像の特徴は顔が白いこと。白く光るのは雲母の入った土で仕上げられているため。

この前にあったのがお馴染みの‘誕生釈迦仏立像’、美術品との付き合いが長くなると釈迦や仏教の話がだんだん頭のなかに入ってくる。この誕生仏のおかげで釈迦は生まれてすぐ歩いたという並みの人間とは違う特別な力をもって生まれたことを知る。さらにスゴイのが赤ん坊なのに難しい言葉もしゃべれる。7歩進んで、右手は天、左手は地を指し、‘天上天下唯我独尊’(てんじょうてんげゆいがどくそん)といったという。こりゃ参った!

修学旅行があるのはこの時期、だから、駐車場には大型バスが何台も並んでいる。京都へ近鉄で帰るとき隣の席にいた中学生は佐賀市からやって来たという。その日京都に着きまず奈良にでかけそのあと2日かけて京都の名所観光をするという。楽しくて気持ちがずっとハイになっていた修学旅行のことをかすかに思い出した。

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2017.04.24

ダルビッシュ ロイヤルズ戦に好投し2勝目!

Img    ロイヤルズ相手に8回2失点に抑えたダルビッシュ

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開幕して20試合を消化した大リーグ、今日応援したのは地元でロイヤルズとの一戦に先発したダルビッシュ、期待された開幕戦がダメだったので楽しみが下降気味だが、この試合は8回まで投げ、5安打、2失点に抑え勝利投手になった。

3回の表簡単に2アウトまでとったのに、ロイヤルズの主軸に2連続ホームランを食らって2点を失った。これでまた勝てないなと思ったが、その裏と4回に打線が3点とってくれて逆転、勝ち星の望みがでてきた。4回以降はスライダー、カーブをうまく使って零を重ね8回3人を打ちとったところで交代した。試合は5-2でレンジャーズが勝ち、この4連戦をスイープ。これでダルビッシュは2勝目(2敗)。

ほかの日本人選手と成績を見ると、ヤンキースのマー君は開幕戦と次の登板が全然ダメで今シーズンは前途多難を予感させたが、そのあと立て直し2勝1敗。そして、西海岸のドジャーズのマエケンは1勝したが、内容は良くない。10勝は難しい感じ、とにかく序盤の失点をなくさないと監督の信頼を得られない。マリナーズの岩隈はまだ勝ち星がつかない。ここ数年序盤戦はスローペース、そのうち調子をあげてくるのを待つしかない。

ブルペン陣ではレッドソックスから昨年のワールドチャンピオン、カブスに移った上原は上々の滑りだしをみせている。前々回の登板ではじめて失点したが、次はまた無難に抑えたので心配はないだろう。同じくレッドソックスからイチローのいるマーリンズへ移籍した田沢、最初は慣れないナショナルリーグでの登板のためか思うように投げられなかったが、今は落ち着きをとりもどしている。

野手に目をやると、先日もといたマリーナーズとの交流戦でホームランを放ちシアトルのファンを喜ばせたマーリンズのイチロー、代打での出場ばかりだが今年も打ってくれそう。イチロー以上に注目したいのがアストロズに移った青木、毎試合先発で使ってもらえないのが残念だが、バットの調子は悪くない。ヒットを重ねればいずれ上位打線で起用される。熱く応援したい。

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2017.04.23

奈良博の‘快慶展’も大盛況!

Img_0003     ‘地蔵菩薩立像’(重文 鎌倉時代13世紀 東大寺)

Img_0001     ‘孔雀明王坐像’(重文 1200年 金剛峯寺)

Img_0002     ‘不動明王坐像’(重文 1203年 醍醐寺)

Img     ‘釈迦如来立像’(13世紀 キンベル美)

京都の美術館へ行くときは奈良まで足をのばすことが多い。この度は嬉しいことに奈良博で‘快慶展’(4/8~6/4)が開催中、ホテルのランチビュフェでたらふく食べたあと近鉄の快速に乗り込んだ。

久しぶりの奈良だったので、奈良博までは近鉄奈良駅からすぐ到着すると勘違い。イメージの倍近く15分かかった。途中、大勢の外国人観光客が鹿にせんべいを食べさせていた。以前はこれほど多くの外国人はみかけなかった。京都もそうだが、ここも人気の観光地だからいっぱい外国人がいる。

運慶とともに鎌倉彫刻を代表する仏師快慶(?~1227以前)、その仏像をまとまった形でみるのは2回目。前回は同じ奈良博で行われた運慶との合同展覧会(1994年)、作品の数は20点ほど。今回は全部で36点、そのうちアメリカの3つの美術館から3点里帰りしている。

快慶の仏像でいつも熱心にみているのは目、目をむいて怒りの表情をみせる不動明王は除くとたいていは切れ長のきりっとした目をしている。東大寺にある‘地蔵菩薩立像’はお気に入りのひとつ。この菩薩より目の開きが少し大きくその分目線が鋭いのが‘孔雀明王坐像’、顔のふくらみと厳しい眼光が圧倒的な存在感を生み出している。これをみるのは2004年の‘空海と高野山’(京博)以来、息を呑んでみていた。

最後の展示コーナーに並んでいた立像に思わず足がとまるものがあった。アメリカのテキサス州にあるキンベル美からお出ましいただいた黄金の‘釈迦如来立像’、金泥のコンディションが良いのでついつい見とれてしまう。衣文の流麗な線は慈愛あふれる釈迦如来の美しさを引き立てている。

彫刻好きの隣の方も満足げな顔、快慶は兵庫県の浄土寺にある国宝‘阿弥陀如来像’もクルマで見に行ったのでこの回顧展をもって済みマークをつけられる。ミューズに感謝!

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2017.04.22

期待を上回る‘海北友松展’!

Img     ‘雲龍図 阿形’(右隻 重文 1599年 建仁寺)

Img_0001     ‘吽形’(左隻)

Img_0002_2     ‘柏に猿図’(16世紀 サンフランシスコ・アジア美)

Img_0003_2     ‘網干図屏風’(左隻 17世紀 三の丸尚蔵館)

Img_0004     ‘月下渓流図屏風’(左隻 17世紀 ネルソン・アトキンズ美)

4月19日、京博ではじまった‘海北友松展’(4/11~5/21)をみるため4年ぶりに京都へ行った。朝早い新幹線に乗ったので、9時30分の開館と同時に入館、新装なった京博に来るのははじめて。もとの本館での開催をイメージしていたが、通常展を行っている新館で列に並んだ。

海北友松(1533~1615)は実力絵師ではあるが、狩野永徳や長谷川等伯とくらべると知名度は三分の一くらいかもしれない。それは‘海北友松’という名前が‘かいほうゆうしょう’とすっと読めないことも一因。この絵師を知るきかけとなったのはかなり前京博で開催された‘建仁寺展’。

ここに出品された迫力満点の‘雲龍図’に度肝をぬかれ、‘かいほうゆうしょう’を胸に刻み込んだ。過去見た作品で印象深い龍の絵が全部で4点でている。そして、プラスαの収穫は長谷川等伯を連想させる手長猿を描いた‘柏に猿図’、下の草花の緑がよく残っており長くみていた。

じつは今回最も期待していたのは三の丸尚蔵館が所蔵する‘網干図屏風’、1999年にあった‘皇室の名宝展’にこの絵は‘浜松図’とともに出品されたが、展示替えでお目にかかれなかった。その後、尚蔵館での展示をずっと待ち続けたが願いが叶ったのは‘浜松図’のほうだけ。

この回顧展に2点はたぶんでてくるとは読んでいたが、出動するタイミングに‘網干図’が合うかどうか、果たして、ありました!ありました! 最初にこの網干がでて(4/11~4/23、5/9~5/21)、浜松は後半に展示される(4/25~5/21)、リカバリーに18年かかったので感慨深くながめていた。

そして、最後にすばらしい絵が飾ってあった。60年ぶりに里帰りした‘月下渓流図屏風’、等伯の‘松林図屏風’が頭をよぎる静寂な水墨の世界、こんないい絵があったのか、という感じ。もし、日本にあったら国宝まちがいないだろう。チラシに最晩年に描いた最高傑作とあったので、どんな絵かと気になっていたが確かにその通り。通期の展示なのでいつ出かけてもみられる。

この絵をみたら友松のスゴさがわかり絵画史における位置づけを改めなくてはならなくなった。永徳、等伯、友松は真に桃山のビッグ3、海北友松に乾杯!

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2017.04.21

美術館に乾杯! ベルギー王立美 その十

Img_0001     クノップフの‘愛撫’(1896年)

Img_0004     クノップフの‘妹マルグリットの肖像’(部分 1887年)

Img     バーン=ジョーンズの‘プシケの婚礼行列’(1895年)

Img_0002    ヌンクの‘孔雀’(1896年)

とても気になる絵の存在がきっかけとなって、画家が好きになることがある。だが、その絵とじっさいにお目にかかれるかというと簡単ではなく時間がかかる。ベルギー象徴派のクノップフ(1858~1921)が描いた‘愛撫’を見た瞬間、クノップフへの関心が大きくなった。そして、ようやくベルギー王立美を訪問する機会がめぐってきた。

チータと女性のハイブリッドスフィンクスが一見女性を思わせる若者と頬を寄せ合っている謎めいた作品、心がザワザワしてくる感じはクリムトが描く官能的な女性をみるときと似ている。スフィンクスがエジプトにあるようなライオンだったら、どんな印象になるだろうか、女性の顔を美しくみせるために黒い点々のあるチータにしたのかもしれない。

クノップフにとって理想の女性は6歳下の妹マルグリットだった。そのため、描かれるモデルの容貌はマルグリットのイメージがベースになっている。肖像画は結婚前のマルグリットをクノップフが29歳のとき描いたもので、生涯手放さなかった。

クノップフに強い影響を与えたのがイギリスのラファエロ前派の画家、バーン=ジョーンズ(1833~1898)、ここには‘プシケの婚礼行列’が展示されていた。人物の配置はバーン=ジョーンズお得意の女性のシールを横一列にぺたぺた張り付けたような構成。真ん中がこれから恐ろしい怪物のところへ嫁ぐことになるプシケ。

ヌンク(1867~1935)の鈍く光る青を基調にした‘孔雀’は森のなかに出現した幻想世界に紛れ込んだような気分にさせる作品。まさに象徴派全開。この美術館にはデルヴィル(1867~1953)の鑑賞欲をおおいに刺激する‘悪魔の宝物’があるのだが、どういうわけか2回とも姿を見せてくれなかった。残念な思いをずっと引きずっている。

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2017.04.20

美術館に乾杯! ベルギー王立美 その九

Img_0003      ダリの‘聖アントワーヌの誘惑’(1946年)

Img     ミロの‘スペインの踊り子(オレ)’(1924年)

Img_0001     アンソールの‘憤慨した仮面’(1883年)

Img_0002     アンソールの‘燻製ニシンを取り合う骸骨達’(1891年)

好きな画家の場合、手元に集めている情報は他と比べて多い。美術本は複数あり、展覧会の図録もたまっていく。シュルレアリストのダリ(1904~1989)もその一人。だから、どの絵がどこの美術館にあることはしっかりインプットされている。

2015年12月、フィラデルフィア美を再訪し前回みれなかった‘ゆでたインゲン豆の柔らかい構造(内乱の予感)’と対面した。残るはベルギー王立美の‘聖アントワーヌの誘惑’、この絵でとくに魅せられるのはあの巨漢の象の細くて長い足が小さいころ遊んだ竹馬をイメージさせること。驚くべきシュールな造形をいつかこの目でとらえたいが、3度目の美術館訪問があるかどうかはわからない。隣の方のご機嫌次第。

このところミロ(1893~1983)の回顧展に遭遇してない。ミロファンとしては昨年あったダリ展(国立新美)に続いて、ミロも期待したくなるがその気配はまだない。‘スペインの踊り子(オレ)’は現地でも楽しんだが、2002年世田谷美で開かれたミロ展に出品された。そのため、絵の前に立ったときは親しみを覚えた。

マグリット、デルヴォー同様、この美術館を訪問したことで画家との距離が一気に縮まったベルギー人画家がいる。北海に面した町、オステンドで生まれ育ったジェームス・アンソール(1860~1949)。5,6点展示してあった作品で目に焼き付いているのが仮面と骸骨、絵のタイトルに仮面がついているのが‘憤慨する仮面’と‘奇妙な仮面’、そして死してなお食欲が旺盛なあまり喧嘩してしまう‘燻製のニシンを取り合う骸骨達’。

アンソールの当面の追っかけ作品はLAのポール・ゲッティ美にある‘キリストのブリュッセル入城’、まだ足を踏み入れていないLAなので旅行計画の優先順位は高く、そのうち訪問の機会がやって来そう。

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2017.04.18

美術館に乾杯! ベルギー王立美 その八

Img_0003     マグリットの‘光の帝国’(1954年)

Img_0004     マグリットの‘キリンの浴槽’(1949年)

Img_0001     デルヴォーの‘民衆の声’(1948年)

Img     デルヴォーの‘ピグマリオン’(1939年)

ベルギー王立美をはじめて訪れたのは2005年、このとき近代絵画で必見作品の上位を占めていたのがシュルレアリストの3人、ダリ(1904~1987)、マグリット(1898~1967)、そしてデルヴォー(1897~1994)、残念なことにダリの‘聖アントワーヌの誘惑’は姿を見せてくれなかったが、ベルギーが生んだビッグ2は存分に楽しむことができた。

当時は同じ部屋にマグリットとデルヴォーは飾ってあったが、今はマグリットは別料金がいる独立したマグリット美術館(2009年オープン)におさまっている。2015年、この美術館の監修でマグリット展が国立新美で開催され所蔵作品が数多く出品された。

マグリットが50歳をこえて描いた最高傑作が‘光の帝国’、連作は10点以上あるが美術の本に載っているのは1954年のもの、ほかのヴァージョンは過去に日本にやって来たがこれはまだ登場してない。2年前に展示されたのはNYのMoMAが所蔵するものだった。

2011年、マグリット美で再度前のめりになってみて心にぐさっときたのが‘キリンの浴槽’、シュルレアリストの創作過程に首をつっこむのは無謀なことだが、ついマグリットはどこからキリンをガラスコップのなかにとじこめることを思いついたのか詮索したくなる。うーん、わからない?

長生きしたデルヴォーはマグリットと同世代、ここには10点くらいあった。比較的大きな絵が多いが、目に焼き付いているのはジョルジョーネやティツィアーノの構図を借りて裸婦を描きその背景に電車を走らせるという奇妙な作品‘民衆の声’とデルヴォーのマザコンをどうしても感じてしまう‘ピグマリオン’。

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2017.04.17

美術館に乾杯! ベルギー王立美 その七

Img_0002     スーラの‘セーヌ川のグランド・ジャット島’(1888年)

Img_0001     ゴーギャンの‘緑のキリスト’(1889年)

Img     ココシュカの‘役者ラインホールドの肖像’(1908年)

Img_0003     シャガールの‘私と村’(1912年)

ベルギー王立美に良い印象をもつのは古典絵画から近代絵画、さらにはオブジェなどもふくむ現代アートまで多くの作品がみられるから。その展示スタイルはNYのメトロポリタンと似ている。

印象派とポスト印象派で心に残るのはスーラ(1859~1891)の点描画‘セーヌ川のグランド・ジャット島’、いつも気にとめている画家がでてくると美術館に足を運んだ甲斐があるというもの。古典絵画ではブリューゲルがみれ、近代絵画でスーラ、ダリ、マグリット、デルヴォーが揃っていれば目にも力が入る。

ゴーギャン(1848~1903)は図録には3点載っているが、みたのは2点、ブルターニュに滞在していたころゴーギャンが描いたキリスト物語は大胆な色使いが特徴、ここで死せるキリストに使われているのは緑、同じ年にもう一枚‘黄色のキリスト’も仕上げている。

ココシュカ(1886~1980)が初期に手掛けた肖像画はまだ激しい筆致はみられず目鼻をはっきり描いているのでモデルの生気が感じられる。そして、おもしろいのは女性でも男性でも腕を曲げ手の指を開けていること。身振りをつけ個性を引き出そうとしている。この男性の肖像はいかにも役者らしい雰囲気がでている。

NYのMoMAにシャガール(1887~1985)の代表作‘村と私’があるが、その別ヴァージョンに遭遇するとは思ってもみなかった。サイズ的にはこちらはぐっと小さくMoMAの3分の1ほど。村人と向かいあっている乳牛の大きな顔の目の横に乳しぼりの様子が描かれている。こういう牛の体の一部にまたモチーフを描きこむというアイデアは並みの画家の頭からは浮かんでこない。

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2017.04.16

美術館に乾杯! ベルギー王立美 その六

Img_0002     J.ボズの‘マラー’(パリ カルナヴァレ美)

Img     ダビィッドの‘マラーの死’(1793年)

Img_0001_2     ダビィッドの‘マルスとヴィーナス’(1824年)

Img_0003     アングルの‘アエネイスを聞く皇帝オーグスト’(1819年)

いい絵を一枚でも多くみたいと願っているのは描かれた美しい女性の姿や素晴らしい風景に心を打たれるからだが、もうひとつ絵画をみる効用に歴史上おこった事件や出来事を絵画によってイメージできるということもある。

ベルギー王立美には衝撃度としてはマグニチュード7くらいの絵画がある。それはダビィッド(1748~1825)が45歳のときに描いた‘マラーの死’、古典絵画に通じている人はこの暗殺されたマラーの姿は十字架から降ろされた死せるキリストを連想するにちがいない。ダビィッドのこの絵によってマラーは民衆のために命を落とした殉教者というイメージができあがった。

フランスの歴史を知らないで血だらけになって浴槽に横たわっている人物をみると、一見女性かと思うこともある。女性は風呂にはいるとき頭にシャワーキャップを被っているので、だが、よくみると男、フランス革命の後混乱期にあったパリで庶民に支持されたジャコバン派の指導者の一人、マラーである。

持病の皮膚病の治療のため浴槽に入って仕事をしていると、敵対する富裕層が支持するジロンド派側のコルデーという女性がジャコバン派のシンパを偽装して面会を求めてやってきた。そして、隙をみてコルデーはマラーを隠し持ったナイフで刺し殺した。

この暗殺事件の3ヶ月後、ダビィッドが依頼に応じて描いたのがこの絵。模写が2点存在し、その一つがルーヴルにあり、2005年横浜美で開催されたルーブル美展に出品された。オリジナルをブリュッセルでみたのもこの年。そのため、この絵は忘れられない一枚になった。

ナポレオンの失脚でフランスにおれなくなったダビィッドが身を寄せたのがベルギー。ギリシャ神話を題材にした‘マルスとヴィーナス’は亡くなる1年前の作品、戦いのシーンがでてくる歴史画とはちがい、花園的な雰囲気に包まれている。

ダビィッドの弟子アングル(1780~1867)の‘アエネイスを聞く皇帝オーグスト’は人物表現が彫刻作品を思わせるのが特徴。アングルのこんな絵はあまりみないので強く印象に残っている。

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2017.04.15

美術館に乾杯! ベルギー王立美 その五

Img     レンブラントの‘ニコラス・ヴァン・バンベック’(1641年)

Img_0001     ハルスの‘山羊と3人の子ども’(17世紀)

Img_0003     ヤン・マセイスの‘スザンヌと長老たち’(1567年)

Img_0002     ヴァン・ダイクの‘ジェノヴァの貴婦人と娘’(17世紀)

レンブラント(1606~1669)が最高傑作‘夜警’を描いたのは1642年、この1年前に仕上げたのがアムステルダムに住む富豪商人とその妻の肖像。バンベックはベルギー王立美にあり、妻の肖像はバッキンガム宮殿が所蔵している。

‘笑い絵’がトレードマークのハルス(1582~1666)、この‘山羊に曳かせた荷車と3人の子ども’も思わず頬が緩む。これはもともと大きな家族の肖像画だったのを切り離した右面のほう。ハルスは30代の後半に裕福なブルジョワからの注文を受けて散歩から帰る子どもと羊を描いた。笑う子どもをみるとこちらもつい笑いたくなる。しかも3人いるから仏頂面はできない。

ヤン・マセイス(?~1575)はクエンティン・マセイスの息子、アントワープの画家組合から親方の称号を得たが異端信仰を問われてアントワープを追放された。で、向かったのがイタリア、ここでヤンはマニエリスムに出会い妖艶な女性像を得意とするようになる。中央で腰をかけるスザンヌ、その輝く白い肌からは妖しい色香が発散されている。アントワープ王立美にはゾクッとする‘ユディット’がある。いつかみてみたい。

一時期イタリアのジェノヴァで制作活動をしていたヴァン・ダイク(1599~1641)は貴婦人となかなか美形の娘の肖像画を描いた。ヴァン・ダイクの女性画には二つのタイプがある。

ひとつは先日現役を引退したフィギュアスケートの浅田真央ちゃんのような卵形の丸顔で目がパッチリしたお人形さんのような女性、これは脚色性の強い定型化された女性像。もうひとつはこの肖像画にみられる素のままを描いた感じの女性。描き分けたのはヴァン・ダイクが商売上手だったから。

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