2019.10.09

お知らせ

拙ブログはしばらくお休みします。

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2019.10.08

美術館に乾杯! 足立美術館 その六

Img_0001_20191008215901     安田靫彦の‘王昭君’(1947年)

 

Img_0002_20191008215901     小林古径の‘楊貴妃’(1951年)

 

Img_20191008220001     前田青邨の‘知盛幻生’(1969年)

 

Img_0003_20191008220001     小杉放菴の‘金時’(1949年)

 

3年前の2016年、東近美で安田靫彦(1884~1978)の決定版とよ
べるような大回顧展があり主要な作品がドドっとでてきた。そして、その図録
の表紙に使われたのが足立が所蔵する‘王昭君’。この歴史画の傑作はおさまり
が良く回顧展を思い出すには恰好の図柄になっている。

安田の歴史画には中国の話も画題に選ばれる。王昭君は前漢の皇帝に仕えた
官女。匈奴の機嫌をとるため貢物として後宮の女が贈られた。帝は画工が醜く
描いた王昭君に決めた。ところが、会ってみると絵のように絶世の美女。
ええーこれは拙い!と思ったがもう遅い。王昭君は毅然として匈奴へ旅立った。ほかの女がしたように画工に賄賂を手渡し綺麗に描いてもらえばこんなことにはならなかったのに。世渡りが下手な王昭君はそれができなかった。

小林古径(1883~1957)の‘楊貴妃’も美術館自慢の絵。謡曲‘楊貴妃’の能舞台をもとに描かれており、玉すだれの動きや能役者のゆったりとしたしぐさが幻想的な能のイメージと自然に融合する。まだ能を鑑賞したことがないのでアバウトだが来年はギンザシックスの地下にできた能楽堂へ出かけようかなと思っている。

靫彦、古径とくれば前田青邨(1885~1977)はあるの?となるが、
勿論しっかり‘知盛幻生’がコレクションされている。これは習作的な絵で2年後、86歳の青邨は縦1.4m、横3.1mの大作を仕上げる。‘平家物語’では大物浦沖(現尼崎市)を出港した源義経一行の船が難破したのは壇ノ浦の合戦で海の藻屑と消えた平知盛の恨みのせいであるとされる。いま、まさに知盛の霊魂が義経たちに襲いかかってくる場面が描かれている。

小杉放菴(1881~1964)のユーモラスな‘金時’をみると、肩の力がすっと抜ける。岩から岩へとまさかりをもってジャンプ!たっぷりとった余白の真ん中に金時をすえる構図が決まっている。後ろにいる兎も金時に続いて跳ぶのだろうか? ちょっと無理かな。

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2019.10.07

美術館に乾杯! 足立美術館 その五

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    寺島紫明の‘舞妓’(1961年)

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    伊東深水の‘湯気’(1961年)

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    宇田荻邨の‘高尾の女’(1928年)

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    入江波光の‘拈華菩薩’(1944年)

上村松園とともに人気の美人画として一世を風靡した鏑木清方の門下に兵庫
県明石市生まれの寺島紫明(1892~1975)がいる。回顧展がないの
でみた作品の数は少ないが、いい舞妓の絵が記憶に残っている。とくに惹か
れるのがここが所蔵しているもの。印象深いのが唇、帯や簪にみられる赤。
これがアクセントとなって色白で美形の舞妓を輝かせている。みているだけ
でドキドキしてくる。

鏑木清方同様、関東でもてはやされた美人画家が伊東深水(1898~
1972)。松園や清方との違いは画面にあまり余白をとらずモデルを大き
く描くこと。そのため女性の存在感をより感じることになる。‘湯気’は湯殿
で丸髷を結った女性が温かくした水につけた手拭いを絞る姿が絵描かれて
いる。浴衣の袖が濡れないよう端をくわえるところと立ちこめる湯気の描写
がじつにリアル。美人画というより日頃目にする生活のひとコマをすぐ近く
で見ている感じ。

宇田荻邨(1896~1980)の‘高尾の女’は忘れられない一枚。これを
みてすぐ連想するのが土田麦僊の‘大原女’。いかにも京都の洛外をイメージ
させる設定だが、女の顔がすごく整っていることに気がつく。働く女という
風ではなく気品のある女性を描くところが洗練された京都の風土を愛した
荻邨流の演出。

菩薩像の画家というと村上華岳がすぐ思い浮かぶが、その画風を彷彿とさせ
るのが入江波光(1887~1948)の‘拈華菩薩’。京都市生まれの波光は
華岳や榊原紫峰らと同じ美術学校で学んでいたので華岳の絵を意識したのか
もしれない。

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2019.10.06

美術館に乾杯! 足立美術館 その四

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    川端龍子の‘愛染’(1934年)

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    榊原紫峰の‘梅花群禽’(1939年)

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    西村五雲の‘漁閑’(1932年)

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    山口華楊の‘深秋’(1972年)

川端龍子(1885~1966)のすばらしい花鳥画‘愛染’はほかの美術館で
おこなわれる展覧会にでたことがない。過去2度川端龍子展を体験したが、
いずれもみれなかった。大観、春草、松園らはでてくるのに龍子だけはダメ
というのがわからない。

‘愛染’に息を呑むほどしびれるのは一面落葉が散らされた池に二羽の鴛鴦が互
いの姿をながめながら円を描いていること。こういう動きをする鳥にどこか
で遭遇するのではないかと思わせるところがにくい。落葉の赤一色に浮き上
がる円のゴールドが目に焼きついている。現地でみれたのは貴重な鑑賞で
ある。

京都出身の榊原紫峰(1887~1971)はかなりの数ある。そのなかで
惹かれるのは背中が緑で前が白の目白の群れの愛らしい姿をとらえた‘梅花群
禽’。目白でも雀でも小さな鳥が群がっているとその嬉しそうな表情につい
感情移入してしまう。

それに対して一羽の鳥がぐっと存在感を発揮しているのが西村五雲
(1877~1938)の‘漁閑’。竹籠にとまりあたりをきょろきょろ見渡し
ているのはカワセミ。この鳥は中型で羽の鮮やかな青が特徴。バードウォッ
チングの趣味がないので実際にみたことがないが、もしそんな機会があり運
よくカワセミも遭遇し深い青の羽をみれたら気持ちいいだろう。

今日放送されたNHKの‘ダーウインが来た!’で奈良公園の牡鹿の激しい角突合
せがでてきた。そのシーンはまさに山口華楊(1899~1984)の‘深秋’。
動物画を得意とした華楊の見事な動感描写により画面になかにひきこまれ
る。つくづく上手いなと思う。

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2019.10.05

美術館に乾杯! 足立美術館 その三

Img_20191005221901     川合玉堂の‘鵜飼’(1931年)

 

Img_0002_20191005221901     橋本関雪の‘猿’(1940年)

 

Img_0001_20191005222001     松林桂月の‘山泉’(1940年)

 

Img_0003_20191005222101     山元春挙の‘奥山の春図’(1933年)

 

どんな組織でもそのメンバーの能力には順番がついている。日本画の世界で
も最前列にいる画家は高い知名度、人気を誇っておりビッグネームと呼ば
れる存在。その次の列にいるのが準ビッグネームのグループ。お金を払っ
てみる展覧会で関心があるのはこの2列まで。評判の高い美術館にはこうし
た画家の作品が数多くあり、展覧会にもよく出品される。

足立美を訪問して収穫だったのはビッグネームの面々のほかにこれまでほと
んどみたことのなかった準ビッグネームの画家たちに多くであったこと。
これにより日本画の世界が大きく広がった。出版社が日本画の全集を発行す
るときそこに選ばれる画家とか文化勲章受章者のことを一応ビッグネームと
しているが、川合玉堂(1873~1957)は勿論ここに入る。玉堂の
得意のモチーフが鵜飼。ここにもいいのがある。

橋本関雪(1883~1945)は日本画をもっている美術館ならどこでも
見られるという画家ではないが、馬や猿の絵で有名。猿は手長猿が描かれ
ることが多いが、ここにあるのはニホンザル。秋の季節には定番の柿を食べ
ようとする猿の姿がリアルに描かれている。とても親しみの沸く猿である。

山口県出身の画家というと狩野芳崖がいるが、もうひとりいい画家がいる。
それは文化勲章をもらっている松林桂月(1876~1963)。月明りを
バックにした白黒写真のような繊細な花鳥画が東近美にあるが、彩色を施し
たこの‘山泉’にも大変魅了される。流れの速い水流に集まる鳥たちが生き生
きとしている。

豊かな水量をたたえた渓流の描写に思わず足がとまる山元春挙(1871~
1933)の‘奥山の春図’はお気に入りの一枚。水の流れや波の動きのように
形がすぐ消えてなくなるものを描くのは大変難しい。そんなモチーフの質感
をこれほどうまく描き出せるのだからその画力は相当高いレベルにある。

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2019.10.04

美術館に乾杯! 足立美術館 その二

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    竹内栖鳳の‘爐邊’(1935年)

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   菱田春草の‘紫陽花’(1902年)

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    上村松園の‘牡丹雪’(1944年)

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    鏑木清方の‘紅’(1928年)

足立美術館にある日本画コレクションがすごいなと思うのは人気の高い画家
の回顧展が開催されたとき、ここの所蔵品がよく出品されているから。大観
だけではなく日本画のオールスターが次から次と現れるのだからおそれいる。
竹内栖鳳(1864~1942)の場合、はじめて遭遇した大回顧展
(2013年 東近美)で‘爐邊’と再会した。そばにあるストーブに気持ちよ
くあたたまっている仔犬がじつに可愛い。動物が好きな栖鳳だからこそこん
ないい絵が描けるのだろう。

竹内栖鳳展の翌年同じく東近美で行われたのが菱田春草展。これ以上の作品
は望めないくらい主要な作品はほとんどでてきた。菱田春草(1874~
1911)の絵は4点が重文に指定されており(大観は2点)、それが全部
集結したのだから天にも昇るような気持ち。さらに嬉しかったのがずっと
鑑賞の機会を待っていた足立の‘紫陽花’が登場したこと。紫陽花のまわりを
蝶々が舞う光景が心に沁みた。

日本画家のなかで展覧会が度々開かれるのは横山大観、上村松園、東山魁夷。
そのため3人の図録の数が断トツに多い。2010年に開催された上村松園
(1875~1949)の回顧展も栖鳳、春草同様、決定版クラスだった。
‘牡丹雪’は魅了され続けている一枚。いつも感心するのだが、松園の美人画に
は出来が悪いなというのがない。どれも完成度が高くうっとりさせられる。

美人画というと西の上村松園に対する東の鏑木清方(1878~1972)。
11月に待望の‘築地明石町’がみれるので今から浮き浮きしている。‘紅’はこれ
まで4回くらいみた清方展でお目にかかった。松園の描く女性はラファエロ
の聖母のようなイメージだが、清方の美人画は近くでみるとそのしっとりし
た美しさに緊張してしまいそう。

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2019.10.03

美術館に乾杯! 足立美術館 その一

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   日本画だけでなく日本庭園も魅力の足立美

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    横山大観の‘紅葉’(1931年)

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    横山大観の‘曙色’(1940年)

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    横山大観の‘雨はる’(1940年)

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    横山大観の‘漁夫’(1946年)

大原美が西洋絵画の殿堂なら、島根県の安来市にある足立美は近代日本画が
自慢の美術館。そして、ここは大観美術館とも言われている。だから、横山
大観(1868~1858)好きは一度はでかけてみたいところだろう。
また、日本画に縁がない人でも旅行会社が企画する山陰の旅ツアーに参加す
れば名所観光プラスこの美術館も楽しめる。訪問するたびにびっくりするの
が広い駐車場に数多くの大型バスがびっしり並んでいること。すばらしい
日本庭園がみれるので人気の観光スポットにもなっている。

大観の絵の目玉が六曲一双の‘紅葉’、これは熱海のMOAにある尾形光琳の
国宝‘紅白梅図屏風’のような絵で秋になると展示され多くの人の目を楽しま
せてくれる。紅葉がこれほどきらびやかに装飾されて描かれているのはほか
になく、現代版の琳派をイメージさせる傑作。

1940年に描かれた海山十題20点のうち、8点が足立にある。これは
圧巻!お気に入りは海に因む十題の一枚‘曙色’。斜めにのびる波の線がいい
感じで上の4隻の帆船にすっと視線が移っていく。正方形に近い画面を使う
場合、上手いなと思わせる風景画のお手本のようになっている。

山に因む十題の‘雨はる’はこの美術館をつくった足立全康氏(1899~
1990)がはじめて手に入れた作品。大観のこの絵に魅せられた足立氏
は画集を切り取って額に入れ長いこと自分の部屋に飾っていたという。コレ
クターの好きな絵に対する執念は半端ではない。

‘漁夫’にも大変魅了されている。切り立った岩壁に三人の漁師が釣り糸を垂
れている。北斎の‘富嶽三十六景’に漁夫が網打つ姿を描いた‘甲州石班澤’と
いうのがあるが、大観はこれを意識したのかもしれない。岩山の塊が海に
せり出しているところが似ている。

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2019.10.02

美術館に乾杯! ルイス・C.ティファニー庭園美術館

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 松江市の宍道湖畔に2001年開館したルイス・C.ティファニー庭園美術館

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   ‘窓:ヘレン・グールドの風景(鹿の窓)’(1910年)

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    ‘テーブル・ランプ:蜘蛛の巣’(1900~05年)

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         ‘花形花瓶’(1900~05年)

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 ‘アート・ジュエリー:ブラック・オパール、ガーネット、サファイア、エナメル・ネックレス’(1915~20年)

山陰の観光名所、松江で思い出に残るところは松江城と宍道湖。この宍道
湖畔にあるのが島根県美と2001年4月に開館したルイス・C.ティファニー
庭園美術館。ティファニーのいい美術館ができたという噂を聞いてクルマで
出かけたのだが、いつごろだったかはもう覚えていない。アールヌーヴォー
調のすばらしいガラス作品が満喫できるだけでなくイングリッシュガーデン
も楽しめるのだから夢の楽園に紛れ込んだ気分。今では文化度の高い松江に
ふさわしい人気の観光スポットになっているにちがいない。

ルイス・C.ティファニー(1848~1933)はNY5番街の有名な宝飾店
ティファニーの二代目に生まれたが、家業は継がずガラス工芸やステンド
グラスの作家になった。ガレやラリックと同じくらい名が知られているか
らアールヌーヴォー展が開催されるときはよく作品にお目にかかる。

その数がグーンと増えたのはここを訪問したお陰。見ごたえのあるステンド
グラスの窓やテーブル・ランプをはじめとして花瓶、エナメル(七宝)、
アート・ジュエリー、銀製品、ブロンズ、家具、絵画、モザイクなどが数多
く飾られている。ええー、ティファニーがこんなにたくさんみれるの!とい
う感じ。

諏訪湖のほとりにある北澤美に出かけるとアールヌーヴォー様式でつくられ
たガレやドーム兄弟のガラス作品に感動するが、このルイス・C.ティファニ
ー庭園美術館でもテンションは高く上がったまま。工芸の装飾美にこれほど
心が反応する美術館はそうない。ここは嬉しいことにルイス・C.ティファニ
ーのほかに歌麿の美人画やガレ、ラリックといった豪華なオマケまでついて
いる。また行ってみたい。

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2019.10.01

美術館に乾杯! 島根県立美術館 その三

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     ‘洛中洛外図屏風(誓願寺本)’(1615~1624年)

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    鈴木其一の‘流水千鳥図’(19世紀)

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    菱田春草の‘秋景(渓山紅葉)’(1899年)

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    橋本明治の‘鏡’(1966年)

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    橋本明治の‘夏座敷’(1970年)

いろいろある絵画の楽しみ方のなかで大きな画面に描かれたものはあとあと
まで印象に残る。西洋絵画ではルーベンスをすぐ思いつくし、日本画では
京都の景観が俯瞰的に描かれた‘洛中洛外図屏風’がほかの絵にくらべると断
トツに大きい。

洛中洛外図は描き込まれた建物や人物の動き、まわりの木々などを時間をか
けてみると結構シンドイ。これが何点も並んでいると集中力が続かなくなる。
だから、美術館で1点だけ解説文とつきあわせながらみるのが一番樂。島根
県美では誓願本と呼ばれるものをじっくりみた。このころは単眼鏡を使って
なかったので細部まではとらえられず、今の京都でもみられる二条城などの
建物や歌舞伎や南蛮人、山鉾巡行といった目を惹くイベントを目に焼きつけ
た。

ここ1、2年でかけてない琳派の展覧会。来年あたりはどこかの美術館で賑
やかに宗達や光琳を輝かせてくれると嬉しいのだが。鈴木其一(1796~
1858)の‘流水千鳥図’でびっくりするのは流水の描き方がハッとするほど
モダンなこと。其一は人気グラフィックデザイナーにすぐなれる。

5年前、東近美で待望の菱田春草(1874~1911)の大回顧展が行わ
れ、主要作品がどどっとでた。出品作に含まれていたのが朦朧体で表現され
た‘秋景(渓山紅葉)’。盛り上がった岩をつたって下に流れる水の勢いが印象
深い。ぱっとみると橋本雅邦の画風を連想させる。

広島県出身の有名な日本画家というと平山郁夫や奥田元宋が頭に浮かぶが、
島根県では誰か、浜田で生まれた橋本明治(1904~1991)。
2004年にここで開かれた生誕100年を記念した回顧展に運よく遭遇し、
一気にこの画家と近くなった。そのなかで魅了されたのがバレリーナの舞台
前の様子を描いた‘鏡’と定番の舞妓さんの‘夏座敷’。太い黒の輪郭線は好みが
割れるかもしれないが、美しい顔立ちに心をふわっとさせられ続けている。

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2019.09.30

美術館に乾杯! 島根県立美術館 その二

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   藤田嗣治の‘サーカスの人気者’(1939年)

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    青木繁の‘犬’(1910年)

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    岸田劉生の‘自画像’(1914年)

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    岡鹿之助の‘古港’(1928年)

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    松本竣介の‘鉄橋付近’(1943年)

昨年東京都美で藤田嗣治(1886~1968)の大規模な回顧展があった。
海外からはパリの市立美などから多くの作品がやって来たが、国内の美術館
や個人コレクターが所蔵しているものもどっとでた。ビッグネームの‘フジタ’
となると、日本のどこの美術館に作品がおさまっているのか詳しく知りたく
なる。

東近美、京近美、大原、ブリジストン、ポーラ、平野政吉美術財団、、、、
そして島根県美もそのなかに入っている。所蔵する作品は‘サーカスの人気者’。
藤田は猫だけでなく犬にも愛情を注いでいた。ここには争いはなく犬たちは
皆マイペースという感じ。この作品の翌年、今度は猫たちの大喧嘩、‘争闘’が
描かれた。

来年1月、ブリジストンが名前をアーティゾン美と変えて新たに開館する。
どんな企画展が登場するのだろうか。勝手な予想だが、2021年は青木繁
(1882~1911)の没後110年にあたるのでまた回顧展に遭遇する
気がする。そのときは‘犬’にもお呼びがかかるかもしれない。

現在、東京ステーションギャラリーで開催中の‘岸田劉生展’は29日放送の
日曜美術館でとりあげられたので、来場者の増加に拍車がかかるにちがいな
い。今回、島根県美の自画像は出品されないが、これは感想記で紹介した
豊田市美のものとよく似ている。

岡鹿之助(1898~1978)の‘古港’と松本竣介の‘鉄橋付近’は画風の違
いはあるものの、音のない風景という点では同じイメージに映る。鹿之助は
スーラを連想するのに対し、竣介は色を明るめに塗り替えるとアンリ・ルソ
ーがダブってくる。静かな絵と動きのある絵、好みは夫々だが自分の置かれ
た状況次第では逆のほうがぐっとくることもあるから、先入観にとらわれる
ことはない。

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