アートに乾杯! ダ・ヴィンチの注目‘徴描写’は金髪
‘キリストの洗礼’(部分 1472~75年 フィレンツェ ウフィッツィ美)
‘ジネヴラ・デ・ベンチの肖像’(1478~80年 ワシントン国立美)
ルネサンスからバロックあたりまでの西洋絵画を前にして、仮に誰の絵が好きか5人あげてみてといわれたとする。これは難しい。5人になかなか絞りこめない。心を奪われる作品はいくつもあり、傑作絵画を生み出した画家たちは例えていうならヨーロッパアルプスにそびえる名峰のようなものだからである。モンブラン、マッターホルン、モンテローザ、アイガー、、どの山も雄々しく美しい姿で人々の心をとらえて離さない。
でも、ダ・ヴィンチ(1452~1519)が5人のなかに入ることは確定している。西洋画家のなかで特別の存在であるダ・ヴィンチ、運がいいことに新規に発見されたものは除き画集に載っている作品はすべてみることができた。描かれた人物画のなかでいつも目をこらしてみているのは3つ。スフマート、金髪の描き方、そして背景の風景に用いられた空気遠近法によって彩られた空のうす青。
ときどきフランスの工学技士パスカルスコット氏が08年にマルチスペクトル高解像度カメラを使って復元した‘モナリザ’をながめ、この絵が描かれたときの色彩を楽しんでいる。透明な絵の具を何度も々塗り重ねて描くスフマートという技法は究極の‘徴描写’、これはもう200%神業!そして、背景の空の紫がかったうす青。この神秘的な青に心を奪われる。
人物の描き方で夢中にさせるのは金髪。ダ・ヴィンチはヴェロッキオの工房にいたとき‘キリストの洗礼’の画面左にいる天使を描いた。この天使をはじめてみたとき、その水流の渦巻みたいに描かれた金髪の美しさに目が釘づけになった。金髪にこだわってみるようになったのはこの‘徴描写’が影響している。
1月ワシントンのナショナルギャラリーを訪問したとき古典絵画の多くはパスしたのだが、ダ・ヴィンチの‘ジネヴラ・デ・ベンチの肖像’の前には少し長くいた。この女性の顔には惹かれないが、金髪の精緻な描写にはつい引き込まれる。金髪の完成度の高さではこの絵が一番かもしれない。
6/30まで上野の東京都美で展示されている‘音楽家の肖像’も‘キリストの洗礼’の天使同様、目をひくのはきれいにカールした金髪。ダ・ビンチの作品は少ないので今年ワシントンと東京で2点の金髪‘徴描写’に遭遇したのは幸運だった。ミューズに贈り物をしておかないといけない。
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モスクワ プーシキン美術館 別館



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