2017.10.23

来春 京博で待望の‘池大雅展’!

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美術館は展覧会の情報をゲットする大事な場所なので、チラスが置いてあるコーナーでは片っ端から手に取る。国宝展をみたあと、ざっとみていたら嬉しいニュースが目に飛び込んできた。

なんと京博で来春、開催を待ち望んでいた池大雅の回顧展が行われる!会期は4/7~5/20、80年振りの大回顧展だそうだ。じつはよく京博へ行っていたとき、必ず‘池大雅展を強く希望’と書きアンケート箱に入れてきた。その熱い思いがようやく叶えられる。京博は真に美術ファンの気持ちに応えてくれる。本当にエライ。

家に帰ってその話をすると隣の人もすぐ乗ってきた。で、来年の京都旅行が即決定。その際、外国人観光客に人気の伏見稲荷にも足を運ぶ予定。では、いつ出かけるか、それを検討するのにもうひとつの展覧会が絡んでくる。

過去に3度くらい訪問したことのある京都文化博物館で来年の2/17~4/15に‘ターナー展’が行われる。出品されるのはスコットランド国立美群と国内の東京富士美などのコレクション。チラシに使われている風景画がとても気になる。このターナー展をセットにすると出かけるのは4/7~15 あたりになりそう。今から楽しみ。

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2017.10.22

北斎のダイナミズム!

Img     上町祭屋台天井絵‘男浪図’(1845年 小布施町上町自治会)

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Img_0004          ‘滝に鯉’(1834年 大英博)

Img_0002     ‘長春・黄鳥’(1834年 大英博)

Img_0003     葛飾応為の‘関羽割臂図’(1844~54年 クリーブランド美)


以前小布施の北斎館でみた祭屋台天井絵‘浪図’が大英博物館で展示されるという話が今年初めに放送された日曜美術館にでてきたとき、イギリスの浮世絵ファンはどんな反応をするだろかと思った。おそらく、北斎は‘グレートウエーブ’のほかにこんな波も描いていたのか!とびっくりしたにちがいない。

‘男浪’と‘女浪’をあらためてじっくりみると、やはり‘男浪’のほうにぐっと惹きつけられる。どちらも濃い青の中心部分は巨大な渦巻きがトンネルのようにダイナミックに描かれている。そしてその渦巻きが回転速度を増すたびに大きなしぶきを上から下から飛び散る。まさに動画をみているよう。

大英博物館から色がよく残ったすばらしい版画が沢山やって来ているが、思わず足がとまったのが‘滝に鯉’。鯉の体が流れ落ちる滝によって分断されるというシュールな表現がなんともすごい。円山応挙にもこんな絵があることをすぐ思い出した。

北斎の魅力のひとつが花鳥画。大英博の摺りのいい13点を息を呑んでみていた。お気に入りは正面をむいた鳥が印象深い‘長春・黄鳥’、海外のブランド美術館が所蔵する花鳥画はいずれも心を打つ。ミューズに感謝!

NHKは展覧会に関連してを北斎の番組をつくったが、今回は娘の応為にも光を当てている。応為の作品は会期中5点でてくるが、チラシで気になっていたのは‘関羽割臂図’。三国志を全巻読破したのでこの絵には敏感に反応する。

関羽は毒矢で傷ついた腕を治すため荒っぽい治療をうけても平気な顔をしているのに、まわりの者は痛そうでみておれないとあたふたしている。これは記憶に残る一枚。応為もやるねぇ。

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2017.10.21

大盛況の‘北斎展’!

Img     ‘雪中虎図’(1849年)

Img_0001     ‘鍾馗図’(1846年 メトロポリタン美)

Img_0002     ‘露草に鶏と雛’(1832年 メトロポリタン美)

Img_0003     ‘河骨に鵜図’(1847年 大英博)

国宝展をみたあとヘビーな昼食をとり、大阪の天王寺をめざした。大阪に土地勘がなく天王寺駅と難波駅との区別があやふや。そのため、ホテルの案内係から教えてもらったJRで大阪まで行きそのあと環状線に乗り換え天王寺で下車するというルートを選択した。

天王寺にある日本一高いビル、あべのハルカスは駅から歩いて5分で着いた。現在‘北斎ー富士を超えて’(10/6~11/19)を行っているあべのハルカス美は16階。ガラス越しに外がみえるエレベーターの大きいこと!30人くらい乗せられそうな広さに目を白黒させていた。

国宝展は入館に40分かかったが、ここでもチケットを買うのに長い列ができていた。この展覧会は当初パスのつもりだったのでローソンで前売り券を購入するのを忘れていた。20分くらい待ってようやく館内に入ることができたが、なかも人だらけ。京都が国宝展で大賑わいなら、大阪は北斎展で大いに盛り上がっている。

今回、関心を寄せていたのは肉筆画だが、作品の構成は版画が予想以上に多く2005年に東博であった北斎展以来の質の高い回顧展となっていた。まさに超一級の浮世絵展。出かけたのは大正解だった。これも龍光院の曜変天目が出品されたおかげ。

一番のお目当ては肉筆の‘雪中虎図’、この虎が気持ちを揺すぶってきた。なにか優しそうで愛嬌のある虎が雪のなか横を飛ぶように描かれている。雪が積もった木の枝に上下から囲まれるように虎を配置する構図がとてもいい。本物は図版でみるより3倍も魅了された。

赤一色の‘鍾馗図’はチラシで気になっていた作品。すみだ北斎美にある体を横に曲げた鍾馗も展示されるが(11/6~19)、シャンとした姿で鋭い目で前をみつめるこのMET蔵のほうに惹かれる。同じくMETからやって来た‘露草に鶏と雛’と大英博の‘河骨に鵜図’も浮世絵本でみたことのない絵、こんないい北斎に出会えるのだから回顧展はありがたい。

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2017.10.20

これぞ国の宝!

Img     雪舟の国宝‘秋冬山水図’(室町時代・15世紀 東博)

Img_0003     俵屋宗達の国宝‘風神雷神図屏風’(江戸時代・17世紀 建仁寺)

Img_0001国宝‘青磁鳳凰耳花入 銘万声’(南宋時代・13世紀 和泉市久保惣記念美)

Img_0002     国宝‘時雨螺鈿鞍’(鎌倉時代・14世紀 永青文庫)

長いこと美術館へ足を運んでいるとこれは10年に一度、いや20年に一度の特別展と思わせるビッグな展覧会に出くわす。2002年京博で行われた雪舟展もそのひとつ。だから、今回の国宝展でも京博は雪舟(1420~1506)への思い入れが強く、なんと国宝6点を全部もってきた。これは圧巻!

その6点があるのは2階、ただし全部でているのは22日(日)まで。これぞ国宝、という感じの‘秋冬山水図’がでんと飾ってあるし、長さが15mもある‘山水長巻’も15年ぶりに展示されている。こんな豪華な雪舟はまちがいなく20年に一度の機会。混雑しようがもう出かけるしかない。

宗達(?~1640)の代表作‘風神雷神図’に9年ぶりに会った。宗達はどんな顔をしていたのかまったくわからないが、この天才絵師を愛し続けている。2年前ワシントンのフリーア美で開催された宗達展にでかけ、念願の‘松島図屏風’との対面を果たした。これで日本画の追っかけは終わり。大げさにいえば、日本画とのつきあいは‘風神雷神図’ではじまり、‘松島図’で終了したといっていい。思いの丈が叶いミューズに心から感謝している。

磁器のコーナーでⅡ期(10/17~10/29)にでているのは龍光院蔵の‘曜変天目茶碗’、‘青磁鳳凰耳花入’、‘飛青磁花入’の3点。過去にみた耳付花入のなかで最も大きいのが今回でている‘鳳凰’、大きいから国宝になったというわけではないが、見ごたえのある青磁の花入。何度みても感激する。

このところ目白の永青文庫にご無沙汰しているが、‘時雨螺鈿鞍’が目の前に現れたので最接近してみた。このすばらしい螺鈿細工を目白ではじめてみたときは200%KOされた。この鞍によって螺鈿の魅力に開眼した。

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2017.10.19

心に沁みる仏教美術!

Img_0001     国宝‘釈迦金棺出現図’(平安時代・11世紀 京博)

Img     国宝‘阿弥陀二十五菩薩来迎図’(鎌倉時代・14世紀 知恩院)

Img_0002     国宝‘釈迦如来(赤釈迦)’(平安時代・12世紀 神護寺)

Img_0003     国宝‘薬師如来坐像’(平安時代・9世紀 奈良博)

京博で行われている‘国宝展’(11/26まで)には会期中200をこえる国宝が出品されジャンルごとに飾られる。すべてみるのに何回足を運ぶ必要があるか仔細にみてないが、4つの期間のうち混雑を覚悟で2回くらい出動するとかなりの数がみれるはず。

金剛寺の2つの仏像に大きな感動を覚えたので、2階の仏画のコーナーでも心は敏感に反応する。Ⅱ期(10/17~10/29)に出ているのは‘釈迦金棺出現図’、‘阿弥陀二十五菩薩来迎図(早来迎)’、‘山越阿弥陀図’、‘釈迦如来像(赤釈迦)’、‘普賢菩薩像’、‘千手観音像’。

これらは幸運にも過去お目にかかっているので体が前のめり状態にはならないが、傑作がこれほど多く並んでいると自然にテンションがあがってくる。とくに長くみていたのはここにあげた3つ。仏像の絵を追っかけていたとき二重丸をつけていたのは大作3つと知恩院にある早来迎。その2つと久しぶりに会った。

大作はこの‘釈迦金棺出現図’と3年前東博であった国宝展に出品された‘仏涅槃図’と‘阿弥陀聖衆来迎図’。‘阿弥陀聖衆来迎図’は存在を知ってから思いの丈を叶えるまでに長い時間がかかった。だから、対面できたときはなにか大きな仕事をしたような気分だった。

‘釈迦金棺出現図’で印象深いのは釈迦のすぐそばにいる母の摩耶夫人が太めの姿で描かれているところ。どうしても視線が摩耶夫人のほうにいってしまう。

仏教でもキリスト教でも宗教物語の知識が多少なりとも増えていくのは宗教をモチーフにした絵画や彫刻と長く接しているから。この来迎図の絵をみるたびに、このように阿弥陀様や菩薩様にお越しいただければ死の恐怖が和らぐかなと思ってしまう。

‘釈迦如来像’は神護寺を訪問したときにみたはずだが、ちょっと怖い顔をした国宝の‘薬師如来立像’のイメージがあまりに強く、これによってにどんな風にみたかかき消されてしまった。そのため、この赤い衣が目にとびこんでくるこの釈迦如来はとても新鮮にうつった。

1階にあった目の大きい‘薬師如来坐像’は奈良博でお馴染みの彫像、どっしりとして安定感のあるお姿をみていると肩の力が抜け気持ちがぐっと落ち着く。

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2017.10.18

龍光院の国宝‘曜変天目茶碗’と対面!

Img_0002     国宝‘曜変天目茶碗’(南宋時代・12~13世紀 京都・龍光院)

Img_0001      斑文のまわりに現れる瑠璃色の虹彩

Img_0003     国宝‘大日如来坐像’(平安時代・12世紀 大阪・金剛寺)

Img     行快の国宝‘不動明王坐像’(鎌倉時代・1234年 金剛寺)

Img_0004     国宝‘釈迦如来立像’(北宋時代・985年 京都・清凉寺)

昨日、朝早い新幹線に乗り現在京博で開かれている‘国宝展’(11/26まで)をみてきた。9時半の開館のタイミングで京博に着いたが、すでに大勢の人が並んでおり展示室に入るのに40分かかった。これは想定外、平日でこの人気なら土日はこれの2倍くらいの列になっているのだろう。東京は‘運慶展’で賑わっているが、京都は今‘国宝展’が熱い!

待ち規制がなくなるとすぐ向かったのは1階の‘磁器’のコーナー、この日から龍光院が所蔵する‘曜変天目茶碗’が飾られているのである。展示はⅡ期(10/17~10/29)のみ。展覧会にでてくるのは1999年以来だから18年ぶり。一番奥の部屋にありました!ありました!もう天にも昇るような気持。時間をかけてじっくりみた。

この曜変の特徴は静嘉堂文庫と藤田美のものが斑文が2,3個くっついたり、天の川のように長くつながったりして大きな光量を生み出しているのとは違い、見込みの底から点々が円を幾重にもつくっている感じ。虹彩は底のところが一番輝いているが、光の広がりが弱いため夜空の星のようにひとつ々が美しく光っているようにみえる。均質的でリズミカルに光を放つ曜変天目だった。ミューズに感謝!

この茶碗をみるために京都までやって来たので、ほかの国宝はオマケのようなもの。同じ1階にサプライズの彫刻があった。それは今春でかけた海北友松展のときもみた大阪・金剛寺の‘大日如来坐像’と‘不動明王坐像’、またまた圧倒されたのはその大きさ、これは今年国宝に指定されたもの。そのため前は残念なことに絵はがきがなかったが、これからは図録でこの圧倒的な力強さを思い出せる。

もうひとつ、これがあの仏像か、というのがあった。いつもは大覚寺の近くの清凉寺に飾ってある‘釈迦如来立像’。中国でつくられたものなので、ほかの仏像とはイメージがだいぶ異なる。国宝仏像の追っかけリストの上位に入れていたものと遭遇できたのは大きな収穫。龍光院の曜変天目のお陰で忘れていた夢が叶った。

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2017.10.16

美術館に乾杯! ワシントンナショナルギャラリー その十一

Img_0003     ホイッスラーの‘白衣の女(白のシンフォニー)’(1862年)

Img_0001     ホイッスラーの‘ワッピング’(1861年)

Img_0002     ホーマーの‘右に左に’(1909年)

Img     ホーマーの‘夕食の角笛’(1870年)

画家との距離がぐっと縮まるのは回顧展を体験したとき。3年前、嬉しいことに横浜美がホイッスラー(1834~1903)をとりあげてくれた。横浜美はこの後日本ではホイッスラー同様よく知られた画家とはいえない女流画家カサットの作品をたくさん集めてくれた。この美術館に対する好感度はとても高い。

回顧展によって関心の度合いがさらに増したホイッスラーにめざめるきっかけとなったのは日本にやって来た‘シシリー・アレキサンダー嬢’(テートブリテン蔵)、そして2度目のサプライズがあったのは2008年ワシントンでみた‘白衣の女’。ホイッスラーは肖像画家と風景画家の二つの顔をもっている。この絵は女性の肖像画のなかでは第一列に並んでいる名画。白のインパクトがこれほど強く感じられる作品はそうない。

‘ワッピング’はテムズ川の船着場ワッピングを描いたもの。手前の3人のむこうには大勢の船は道路の交通渋滞を思わせるようにいきかっている。そんな活気のある背景とは対照的に部屋にいる男女はあまり会話が弾んでいるようにはみえず静かな空気が漂っている。

今月の21日から西洋美で特別展‘北斎とジャポニスム’がはじまるが、これは1988年同館で開かれた‘ジャポニスム展’のニューヴァージョン。今回は北斎の浮世絵を軸に日本美術の影響を浮き彫りにするらしい。期待できそう。

1988年の出品作のひとつがホーマー(1836~1910)の‘右に左に’、北斎通の方はすぐおわかりのように二羽の鳥の姿は北斎の絵本‘三体画譜’からヒントを得ている。荒々しい波を上手く描くホーマーは北斎の手をかりてこんな生き生きとした鳥の絵に仕上げた。

ホーマーの得意とする海や生き物の動的表現は人物の描写にもみられる。‘夕食の角笛’で視線が釘づけになるのは角笛を吹く女性の服が風にあおられて横になびいているところ、この絵と遭遇したのは大きな収穫だった。

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2017.10.15

美術館に乾杯! ワシントンナショナルギャラリー その十

Img_0001 コンスタブルの‘ウエイヴァンホー・パーク、エセックス’(1816年)

Img_0002   ターナーの‘月明りに石炭を積みこむ水夫たち’(1835年)

Img_0003     ターナーの‘ヴェネツィアの風景’(1834年)

Img     クールベの‘ルー川の水源’(1864年)

イギリスは仕事で数度行ったり、語学研修のため3カ月ロンドンに住んでいたこともありアメリカに比べれば落ち着いて行動できる。でも、イギリスの田園風景に対する馴染み感が希薄でまだまだかの地の遠い風景という思いが続いている。

そのため、コンスタブル(1776~1837)に描かれた草原をみていると、いつかこんなところをまわってみようという気になる。ワシントンのナショナルギャラリーで感心するのは、コンスタブルやターナー(1775~1851)も長くみていたくなるようないい絵が揃っていること。ルーヴルでコンスタブルはみたことがないし、ターナーが足がとまる作品だったいう記憶もない。

メトロポリタン、フリックコレクション、ボストン、フィラデルフィアなどアメリカの人気の美術館には心を揺すぶるターナーが展示されている。ワシントンでも波打つ水面にできた丸い光の渦が印象t的な‘月明りに石炭を積みこむ水夫たち’と明るい光がヴェネツィアの海と鐘楼や建物を輝かせている‘ヴェネツィアの風景’に目を奪われる。今年は日本の美術館でターナーをもってくるという話があったが、どこだったか、東京ではなかったはずだが。

クールベ(1819~1879)の‘ルー川の水源’は生まれ故郷であるフランス東部オルナンの近くを流れるルー川の洞窟を描いたもの。このごつごつとした岩に囲まれた川の水源をクールベは1864年ころ全部で9点描いている。2008年パリのグラン・パレであった大クールベ展にはこの絵を含めて6点でていたが、ワシントンのものだけが人物が描かれている。

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2017.10.14

美術館に乾杯! ワシントンナショナルギャラリー その九

Img     フラゴナールの‘読書する娘’(1775年)

Img_0002     ヴァトーの‘イタリアの喜劇役者たち’(1720年)

Img_0004     ブーシェの‘キューピッドを慰めるヴィーナス’(1751年)

Img_0003     シャルダンの‘トランプの家’(1735年)

日本画は美術館にいつも展示されないため本物との出会いにはかなり長い時間がかかる。これに対して西洋画は修復中とか展示室の改装工事の期間を除けば所蔵している美術館に足を運べばお目当ての作品をみることができる。だから、リーチ一発というのが普通。

ところが、前のめりになって入館したのに‘現在この部屋は工事中で閉鎖されてます!’という想定外のことが時々おこる。ワシントンナショナルギャラリーへ2008年行ったときはロココ絵画はこの案内で鑑賞を妨害された。一番のお目当てだったフラゴナール(1732~1806)の‘読書する娘’に会えたのは5年後のこと。

黄色の服で印象深いのはフェルメールの絵に出てくる女性、例えばワシントンにある‘手紙を書く女性’とフラゴナールのこの作品。Myカラーが緑&黄色なのでこういう目の覚めるような黄色に遭遇すると熱く反応する。驚かされるのは明るいライブ感覚、ここにはロココの甘ったるい雰囲気がなくマネやルノワールの女性画を横に並べても違和感のないほど近代的、すぐそこまで新しい都市生活がやってきている感じ。

METにもいいロココが揃っているが、ここのヴァトー(1684~1721)の‘イタリアの喜劇役者たち’の前に立つとルーヴルにいるような気になってくる。当時のフランスで大いにはやったエンターテイメント生み出す役者たちの軽快な動きと心意気がびしびし伝わってくる。

ヴァトーの20年後に生まれたブーシェ(1703~1806)の裸婦は開放的でぽっちゃり系のイメージがありつい長くみてしまう。そして、この絵のようにキューピッドやおちび天使のティツィアーノ風の描き方が心を打つ。ところが、キューピッドをよくみるとその目がやけにきついことに気づく。この目が画面をひきしめている。

ロココの画家と同じ時代に生きたのに別の道を歩んだシャルダン(1699~1779)、‘トランプの家’に大変魅了されている。このトランプ遊びをする絵をほかにも3,4枚みた覚えがある。音の聞こえない静かな空間だが、少年の手の動きをじっとみてしまう。

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2017.10.12

美術館に乾杯! ワシントンナショナルギャラリー その八

Img_0002     プッサンの‘キリストの洗礼’(1642年)

Img_0003     ロランの‘パリスの審判’(1646年)

Img     コローの‘フォンテーヌブローの森’(1830年)

Img_0001     ドラクロアの‘山峡におけるアラブ人たちの戦い’(1863年)

上野の西洋美は倉敷の大原美ととも日本における西洋絵画の殿堂ともいえる美術館。平常展をのぞくと古典絵画から自慢の印象派までの西洋画の流れが粗くだが頭のなかにはいる。運よくここに展示されている画家はどんな絵かイメージできるようになるが、世界は広いし作品を所蔵していない画家は数多く存在する。

絵画が好きな人は西洋美で西洋画の場ならしをすると、次に目指したくなるのはパリのルーブル。ここではダ・ヴィンチの‘モナリザ’をみなくてはいけないし、ドラクロアの‘自由の女神’にも挨拶をしておきたい。また、フェルメールのある部屋にも急がなくてはならない。そんなこんなで一回目のルーブルはとても忙しい。

だから、フェルメールの部屋から近い所に飾られている二コラ・プッサン(1594~1665)やクロード・ロラン(1600~1682)をみる時間は残ってないかもしれない。ガイドブックにプッサンの代表作‘アルカディアの羊飼いたち’が必見の名画と記述されているか知らないが、2つの部屋にはプッサンが20点くらい展示してある。

ほかのビッグ美術はプッサンをこれほど多くはもっていない。エルミタージュが12点、プラド8点、メトロポリタン、ロンドンのナショナルギャラリー、そしてワシントンのナショナルギャラリーが正確に何点もっているか押さえていないがそれぞれ4,5点みた。4点でていたワシントンでは‘キリストの洗礼’が記憶に強く残っている。

2008年はプッサンの当たり年だった。運よくMETで遭遇した大規模な回顧展で39点みることができ、その年まわったルーヴル、ロンドン、ワシントン、シカゴでみたものを加えると全部で73点。これで一気にプッサンが近くなった。

ロランもプッサン同様、その画業人生の大半をローマですごしたフランスの画家。広々とした風景のなかに古代建築や廃墟を描くことにより神話の世界の舞台づくりをし話の主役たちを登場させた。‘パリスの審判’はお馴染みの美女選びの場面。最も美しい女性を決めるのに相応しいように空を意図的に明るくしている。

コロー(1796~1875)の‘フォンテーヌブローの森’は明らかにプッサンとロランの影響をうけている。画面の左手前をみると、川のほとりで女性がのんびりと寝そべって本を読んでいる。視線を支配するのは森の風景だが、女性のくだけすぎた姿が気になってしょうがない。

コローより2年あとに生まれたドラクロア(1798~1863)の‘山峡におけるアラブ人たちの戦い’は中くらいのサイズの絵、お得意の馬を躍動させたり転がしたりしてアラブ人たちの緊迫した戦いの様子をいつものように激しく描いている。

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